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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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河野談話を「補足」する
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今月(8月)10日李明博韓国大統領が竹島訪問を行ってから、日韓関係は一挙に緊張の度を増しました。竹島問題を国際司法裁判所に提訴するなど、それまで韓国への刺激を避けるために表立った抗議を抑制してきた日本政府は方針を一転しました。

竹島問題は当ブログでも何度か取り上げましたが(「竹島」 「竹島やっぱり韓国も変だよ」 など)領土問題はどちらの主張も絶対的な正当性を判断するのが難しい面もあり、他国は「日韓で仲良く解決してください」という以上の姿勢は基本的には取りません。

ところが、竹島問題の陰にはもう一つ「慰安婦問題」があります。韓国では慰安婦は女子挺身隊の別名にもなっているように、一般の婦女子を軍が銃剣で大量に(20万人という主張がされています)連行し日本軍の性的奴隷として奉仕させた、と広く認識されています。

つまり、戦前の日本は貪欲で侵略的な犯罪集団で、竹島はその侵略によって強奪された。その犯罪性の証拠が慰安婦問題に他ならない、という訳です。

慰安婦問題は竹島と違って国際的広がりを見せています。2007年にはアメリカ下院は日本政府の公式謝罪を要求する「慰安婦決議案」を満場一致で可決しました(アメリカ下院本会議で慰安婦決議案可決)。決議案(原文)では第2次世界大戦中、日本が占領地から強制的に若い女性を連行し、「性奴隷」にしたとして、「20世紀最大の人身売買事件」と日本を断罪しています。

そのアメリカ下院での議決で日本軍が強制的に連行した「証拠」とされたものの一つに、慰安婦問題を謝罪したいわゆる「河野談話」があります。この河野談話は慰安婦問題の謝罪を強く要求する韓国に、日本の犯罪性を認めずに謝罪だけを行うという、言ってみれば玉虫色の解決を図ろうとしたよくできた作文です(ここの詳細については「河野談話を再検証する」 を参照)。

日本では河野談話を取り下げるべきだという意見も根強くあります。しかし河野談話はその玉虫色の内容のため、取り下げることは謝罪そのものの全否定する結果になりかねません。慰安婦と呼ばれた女性たちが慰安婦になる過程で多くの辛酸を舐めたこと、慰安所では借金の形などで半ば強制的に働かざる得なかった場合もあったことなどを考えると、これはかなり乱暴なやりかたでしょう。サイパンなど軍が玉砕した戦地で慰安婦が集団自殺を行った例もあり、謝罪自体を取り消すのは適当とは思えません。

とは言っても、国際的に日本が非常に特殊な、ユダヤ人の虐殺、のような戦争犯罪を慰安婦に行ったという主張を、河野談話をそのままにすることで認めてしまうことも問題です。河野談話を取りあえずそのままにして何らかの「補足」を行うことで日本としての立場、考え方をもっと明確にすることはできないでしょうか。

例えば次のような文章はどうでしょう。

従軍慰安婦問題について、日本政府は1993年、当時の河野内閣官房長官が談話を発表し、その中で従軍慰安婦の存在を認め、慰安婦となった女性が多くの辛酸を舐めたことに心よりの謝罪を行った。

日本国は先の大戦において、戦争に巻き込まれ筆舌に尽くしがたい苦難と犠牲を払った朝鮮半島およびアジア諸国の人々に、一貫して深いお詫びと反省の気持ちを表明してきた。この思いはいささかも揺らぐことはない。

しかし、河野談話についてその後談話の内容を大きく超えて、日本軍が銃剣をもって強制連行により一般の婦女子を連行し性的奴隷として兵士に奉仕させたと解釈される場合が出てきたことは、誠に遺憾なことと言わざるを得ない。

慰安所とは一般的には売春施設とされるもので、そのような施設で働く女性が、そこにいたる過程で尋常ではない人生を歩まねばならなかったことは想像に難くない。また、売春施設がそのような性質のものであるにもかかわらず、軍が設置、運営および慰安婦の移送に関与したことは恥ずべきことである。

その事実を踏まえた上で、慰安所での慰安婦の待遇は性的奴隷という表現から想像されるようなものではなく、一般の売春施設と大きく異なるものではなかったことは指摘しなければならない。

慰安所と類似の施設は、他国でも多くの軍に見られるもので、例えば「20世紀最大の人身売買」あるいは類を見ない「軍による大規模な戦争犯罪」との表現は実態を歪曲していると言わなければならない。

再び、これは軍による売春施設の管理、運営という事実の全てをを正当化するのものではないが、慰安所設置の目的は占領地域の女性犠牲の上に性的享楽を行うのではなく、むしろ兵士と一般市民の安全と衛生に供する目的であったことも理解されるべき点と考える。

これまで述べたことは慰安婦の女性たちの人生が苛酷であったこと、それが軍の慰安所という準公的な施設をめぐるものであったことに対する謝罪の念を忘れるためのものではない。

しかしながら、河野談話の解釈が当初の意図と大きく乖離して日本軍の犯罪性の攻撃のために利用されている現状は、日韓双方の友好のために憂慮すべきものと考える。ここに河野談話を補足する形で、事実の再確認が必要と考えるゆえんである。



比較的押さえた筆致で書きましたが、これで韓国が納得することなどありえないでしょう。「厚顔無恥に河野談話を否定した」と怒りに火を付ける可能性の方が高いと思われます。しかし、今のままで日本人は性的変質者のように世界中で思われるより、まだましでしょう。政府も何らかの対応は考える時だとは思います。
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この記事に対するコメント
司法は別の世界
 司法には争点が存在し、領土との主張は、歴史的史料に拠り判断されるもので、慰安婦問題が考慮される可能性はありません。
 個人的には似た者同士の韓国と真に協調関係が築けるのなら、竹島放棄も有り得る選択肢と捉えていましたが、今回の出来事より、それは望めないのだと、悲しい現実を感じました。
【2012/08/30 22:21】 URL | 桃栗 #- [ 編集]


これを“馬場談話”として韓国に対する、日本の公式メッセージにして頂きたいものです。
所で、戦争や核実験等による他国に対する被害について、謝罪や賠償等には時効の様な仕組みは無いのでしょうか。此等、せいぜい百年位迄が有効期限でしょう。そこで、慰安婦問題の解決方を一つ。日本が例えば、‘国家賠償五十年時効法’といった法律(祖父さんの犯罪に孫は責任を負わない)を作る。その上で、『日本国として慰安婦問題(強制連行)について、調査の結果一切事実無根、韓国のとんだ言いがかり、であると決定した』と宣言する。この法律により、日本国が認めない五十年を過ぎた歴史的事実、又それらに関わる補償や賠償又謝罪責任等は、すべて無効。仮に、強制連行があったとしても無効(非難はされるだろうが)。日本国内に於ける慰安婦問題は解決。逆に日本が要求出来るのも五十年。北方領土は放棄。
【2012/09/01 03:15】 URL | 天野 #- [ 編集]


私の意見とまったく同じです。これは私の一押しの橋下のロジックとも符合します。 何とか大々的に世界中に発信しましょう。
【2012/09/03 19:54】 URL | Annmonymous #- [ 編集]


ご指摘のとおりと思います。竹島/独島の件は、年月が解決し、あるいは年月によっても解決しないかも知れませんが、慰安婦の件は、戦時中の状況や河野談話が出された経緯を知る人が全て亡くなられてしまった後は、「日本軍が慰安所を自ら経営し、韓国人を含むアジア人女性を、成人未成人を問わず、軍隊を動員して誘拐して調達した」という、韓国人による英文の記述だけが残る仕組みになってしまっています。wartime prostitutes だったところが、既に comfort women になって久しく、これがいままた sex slave に “格上げ” されようとしています。靖国神社に詣でる暇があるなら、まずは、世界的な誤解を解いてからにすべきで、でないと祭られた方々に顔向けできないのではないでしょうか。
【2012/09/04 09:56】 URL | まるぼろ #- [ 編集]


両論併記して、判断は後世の人にまかせるべき。

しかし、いまの日本の政治家は相手国のプロパガンダに対して、
余りに、無防備で、無責任、日和見的としか言いようがありません。

以下のブログの様な方の声が、韓国/日本に良く伝わっていません。
もっと、証言を丁寧に拾い上げるようにしないと・・・
日本が食い物にされてしまいます。
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私は1923年生まれです。もう韓国のためにも、日本のためにも事実を言いたいです。それはかなりの覚悟が必要です。生命の危険を覚悟しています。

"私は88歳です。もう事実を言いたいです。" 崔基鎬さん

yeoksa.blog.fc2.com
【2012/09/04 12:11】 URL | べき分布0.015%のトマト #qbIq4rIg [ 編集]


BLOGOSの方のコメント欄に書くべきなのかも知れませんが、もう1つ。

この件に限らず、日本として、何らかの重要な意思表示をする際、もう少し、慎重に英訳を考えた方がよい。河野談話の英訳が外務省サイトに出ていますが、英文としての意味まで考えて訳したのかどうか。慰安婦を直訳すれば確かに comfort women ですが、どうして wartime prostitutes と呼び続けなかったのか。comfort women という英単語からは、欧米人は「不本意だったかも知れないが働いて対価も得ていた」という印象は受けにくいように思います。あるいは、慰安所を comfort stations と訳したのは、適切だったのか。慰安所が基地の外にあったのなら、別の訳語を考えるべきではなかったのか。何にせよ、kidnap とか abduct とかいう英単語を使って説明されているのですから、必要あるならそこから改めないと、将来に大きな禍根を残してしまうことになりそうです。

ラスク書簡の原文や河野談話の英訳を読んでみて、初めて、三木谷氏が、かなり無理をしてでも社内言語を英語にしようとしている訳が、何となく感じられるようになりました。
【2012/09/04 17:32】 URL | まるぼろ #- [ 編集]


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