この問題はLet’s Make a Dealという実際のアメリカのテレビ番組がもとになっていて、番組の司会者のモンティ・ホールの名前をとってモンティ・ホール問題(Monty Hall Problem)と呼ばれています。この話が有名になったのは、パレードマガジン誌のコラムニストのマリリン・ヴォン・サヴァント(自称IQ228と称しているそうですが)が1990年9月9日号で読者からの質問に答えたことに始まります。 サヴァント
「顧客は常に正しい: Customer is always right」というのはよく言われている言葉ですが、これも常識的に考えて100%正しいとは思えません。顧客といっても、悪い人やゴネ得を目指す人もいるでしょう。全然利益に結びつかない顧客もいます。医者が患者(これも立派な顧客です)の意向を尊重することは必要であるにしても、治療方針を全て患者の言う通りにすると、患者は命を失う危険すらあります。
「顧客志向」というのは、身を削っても顧客の得になる何かを提供することではありません。「顧客の視点で顧客が欲すること」を提供することです。あたり前に聞こえますが、現実には何か顧客志向の施策をしようとすると、ゼロサムゲームのように自分の取り分を減らして、顧客に便益を提供するようなことがすぐに出てきます。営業推進策の多くは、単なる値引き、割引のオンパレードになりがちです。ウォールマートのELDP(Every Day Low Price)は確かに、お得な商品を提供するということですが、本当の価値は「もっと安いところがあるのじゃないか。明日になればもっと安くなるんじゃないか」といった、値段に関する悩みを消費者に与えず、安心して必要な物を買うことに専念できるようにするということです。
もう一つ、覇権を失っても経済は成り立つかという意味では、イギリス以上の成功をおさめることは十分に可能でしょう。なんといってもイギリスは植民地に依存することがあまりに多すぎました。「狭い国土で一生懸命頑張る」という意識は日本ほどはありません。皮肉ですが、この点では英語が世界言語であることが一面マイナスに働いているのかもしれません。イギリス生まれで南アフリカ育ち、カナダに移住してアメリカ企業に就職、現在はオーストラリア駐在、というような人はいくらでもいますが、彼らは東京生まれで京都の大学を出て、九州で働いている程度の気持ちなのでしょう。英語の世界では国境はそれほど重いものではありません。Imagineではジョン・レノンも「Imagine there's no countries .It isn't hard to do 」と歌っています(日本人にはすごく大変なのかもしれませんが)。