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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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竹島
竹島
竹島はただの岩の塊だが・・

竹島はどこの領土?

日本と韓国で竹島がどこの領土かというアンケートをとると、おそらくどちらの国でも90%以上が自国の領土と答えるでしょう。韓国では多分ほとんど100%、日本は「竹島って何? わかんなーい」という人も結構多いので、「わかりません」を除くと80%くらいになるかもしれませんが、大多数の日本人は竹島は日本領土と思っているでしょう。もし真実というものが、どちらか一つだとすると、これは奇妙な現象です。どうして日本人も韓国人も竹島の自国への帰属を、やすやすと信じてしまうのでしょうか。

地図で見ると竹島は、よくもまーと思えるほど日韓の真ん中にあります。岩だらけの島の大きさは日比谷公園の1.4倍程度。今は約40名の韓国軍(武装警官)が駐留していますが、もともと人は住んでいません。と言うより人が住めるような島ではありません。人が住んでいれば、日本語が話されているか、韓国・朝鮮語を話すか、はたまた中国語を話すかなどで、自然にどこの国に属するかを決めることができるのですが、そうはいきません。

結局、日本も韓国も、古文書を持ち出して昔から竹島が自国に属すると認識されていたと主張することと、近代国家として1905年に日本が宣言した竹島の日本への編入が法的に正当かどうかを争うことになります。 古文書の有効性にしても、法的手続きの妥当性にしても、内容を理解し判断するのはそれほど簡単ではありません。どちらの国でも、領有を示しているという古文書を直に読んだ人は、一般にはほとんどいないでしょうから、自分では調べたこともないのに、「断固」竹島は自国の領土と信じていることになります。

もちろん、両国国民がそのように思い込んだ理由に、両国政府とくに韓国政府が繰り返し竹島の領有権主張のメッセージを自国民に送り続けたことがあります。韓国は、「独島(竹島の韓国名)はわが領土」という歌や竹島切手まで作って、竹島の領有権の宣伝を積極的に行っていますし、軍隊を派遣して実効支配を50年以上も続けています。

しかし、それにしても領土問題になるとなぜ、中身の検討もなく、大部分の国民は自国の領有権をやすやすと信じ込んでしまうのでしょうか。日本も韓国も民主主義国家で国民が政府の言うことを盲目的に信じるようなことはありません。年金制度が将来安泰だと政府が言っても納得しないのに、それより判断が難しそうな領有権の問題はあっさり政府の言うことを認めてしまっているのです。

竹島は経済的にはほとんど無価値な岩だらけな島(というより岩そのもの)です。軍事的にも飛行場さえ作れない何の役にも立たない代物です。点のような小さい島でも、領有権が認められれば半径200海里(約370キロ)のEEZ(排他的経済水域)を確保できますが、実際には竹島は日韓の排他的経済水域と重なるので、竹島の領有で得られるEEZはずっと小さく2万平方キロメート程度です。 

日本のEEZは世界6位の440万平方キロメートルもあるので、竹島の帰属で影響を受けるのは日本のEEZ領域の0.5%パーセント以下です。竹島近辺のEEZから得られる資源は漁業くらいですが、養殖を除く日本の漁業の全生産高は遠洋漁業も含めて年間1兆円程度です。竹島の価値は年間漁獲高でせいぜい50億円程度と考えてよいでしょう。

50億円という金額が、大きいか小さいか議論はあるかもしれませんが、少なくとも経済的には日韓両国民が目の色を変えるようなものとは思えません。おそらく韓国が竹島の実効支配を主張するために費やしている費用は年間50億円ではすまないでしょうから、韓国も竹島領有で経済的利益を得てはいません。

日本は鳥島のような岩礁を起点として、広大な領域のEEZを主張していますし、こちらには相当の石油資源があると考えられる尖閣諸島で中国と領有権の争いをしているので、安易に韓国に妥協すると、「日本組しやすし」と舐められてしまうという考え方もあります。

しかし、「舐められたら押される一方だ」という意見は、あまり説得力のあるものではないでしょう。第一韓国は日本を舐めてなぞいません。たとえば、韓国では、日本では大きな話題にならない、日本の次期戦闘機がF22になるかに強い関心が持たれています。強力な戦闘能力を持つ、F22を自衛隊が持ったら、韓国のF15、F16では対抗できないし、高価なF22を導入するのは、日本よりケ財力の劣る韓国には難しいというのです。

日本人の大部分は、日本は平和国家で外国と戦争するような国ではないと考えていますし、それはほぼ正しいでしょう。 しかし、韓国人の多くは日本の経済力。自衛隊の能力、そして過去の歴史から、本気で日本を軍事的脅威と思っています。

韓国の竹島占領は、韓国の初代大統領の李承晩が1952年に自国領有権を主張して海上に設定した、李ラインが竹島を含んでいたことが出発点になっています(李ラインそのものが竹島領有のために引かれたという説もある)。

李承晩は大統領就任当時から北朝鮮への軍事侵攻を唱えるなど、行動と発言の過激さはアメリカも危険視していました。そのため李政権の韓国に多くの武器を与えず、結果的に朝鮮戦争始めの韓国側の劣勢につながります。竹島の領有自身は韓国民の国民感情に沿ったものだったでしょうが、李承晩のやり方はいかにも乱暴でした。

それでもいったん占領した竹島を返還することは、李承晩以降の韓国政府も国民感情から到底できず、竹島の韓国による軍事的占拠が続いています。竹島の領有権の決着を日本は国際司法裁判所に付託することを韓国政府に提案していますが、韓国は「竹島に関して領土問題は存在しない」という立場から、両国の合意が必要となる国際司法裁判所への付託を拒否しています。

国際司法裁判所に付託するのを拒否するのは、本音では竹島占拠が違法だと韓国政府が思っているからだと見る向きもあります。しかし、今のように韓国民がほとんど100%竹島は自国領土と思い込んでいる状況で、万一国際司法裁判所で負けてしまったら、敗訴の責任を取らされて韓国の政権はとても持たないでしょう。わずかでも(多分わずかではないでしょうが)韓国側が破れる可能性がある国際司法裁判所への付託などできるはずがありません。

潜在的には日本の脅威を感じながら、経済的にも軍事的にも価値のない岩の塊を多額の費用をかけて守り続けるというのは、理屈の上では全くばかげた話です。日韓条約を締結した朴正煕大韓民国大統領は「竹島など爆破してしまったらいい」と言ったと伝えられていますが(そんなことは言っていないという説もある)、妥当な考え方でしょう。

日韓関係にマイナスの影響しかない無価値な竹島に、日韓両国がこだわるのは、理性の問題ではありません。どちらの国民も自国の領土を増やしたいという根源的な欲求があり、その欲求を補強する意見は簡単に信じるのに、反対する意見は真面目に考えようとしないからです。人間は自分に有利な情報は検証なしで受け入れますが、不利な情報は、聞く耳持たずとなるか、よくて疑り深く調べるようにできているのです。

領土は個人財産ではない

そもそも領土が増えるというのは、本当に国民一人ひとりに有利なことなのでしょうか。沖縄は1972年にアメリカから日本に返還されました。そのこと自身は良いことですが、沖縄が返還されたからといって他の日本国民がより豊かになったわけではありません。沖縄の土地や資源は沖縄住民のものですから、これは当たり前のことです。

個人の間で土地の所有権の争いがあれば、勝ったほうは経済的利益を受け、負けたほうは財産を失います。しかし、領土はそこに人が住んでいる限りその住民のもので、領土が増えたからといって、皆が豊かになるわけではないのです。戦後一貫して北海道は国から公共投資など援助を受け続けてきました。経済的には北海道は日本国民に対しマイナスの貢献しかしていないことになります。

戦前、日本は朝鮮、台湾を領有していましたが、同様に経済的にはマイナスでした。オリンピックで日本選手が勝って喜ぶのは日本国民として自然な感情ですが、同じような自然な感情として北方領土が日本に返還されたら、「自分」も得をすると思っているなら、それはまったく間違いです。

金持ちは、国籍に関係なく、モナコやハワイに自分の別荘を持っています。その別荘に入ることができるのは所有者であって、そこの住民ではありません。領土は自国の法律が及ぶという以上の意味はありません。領土が広くて、国民の数が多ければ、戦争をするときには有利に働くでしょうが、戦争をしない限り、ほとんど無意味です(戦争同様に国民の総合力が発揮されるオリンピックなどでは意味がありますが)。

領土を広げたいという欲求は、テリトリーの広さが豊かさ、場合によっては生死にかかわった、長い人類の歴史を通じて本能として組み込まれてしまったのでしょう。人類の歴史の大部分、集団は親戚一族で構成された小規模なもので、確かに「領土」が広ければ個人も豊かになったのです。

資源があることも良いこととは限らない

領土があっても、経済的に得になるとは限らないのは、土地に人が住んでいるからで、住民がおらず資源だけがあれば得になるのではないか。これは本能のレベルではなく、理性のレベルで確かなように見えます。尖閣諸島には石油や天然ガスがあっても人が住んでいるわけではありません。

尖閣諸島の大量の天然資源があれば、日本の800兆円の借金も帳消しにできる。こう考える人もいるでしょう。中国との紛争を無視して考えると、妥当性があるように思えます。北海油田でイギリスやオランダ、ノールウェーはエネルギーの輸入国から、輸出国になりました。

北海油田は、それらの国に租税収入をもたらしました。得られた税金は社会福祉や幾多の事業に使われました。確かに国民は得をしたのです。しかし、得をしたということと儲かったということは同じではありませんでした。天然資源のため通貨が必要以上に強くなってしまったのです。

強い通貨は製造業など他産業に打撃を与え、失業者は増加しました。 租税収入の増加はばら撒きを生みました。この現象は経済学で「オランダ病」として知られています。尖閣諸島に北海油田並みの石油資源があっても、日本の経済規模はオランダよりはるかに大きいので、そのために日本の製造業が崩壊に追い込まれるまではいかないかもしれません。しかし、日本国民が平均して豊かさを実感できるような効果もまたないでしょう。

このようなことをいうとロシアは石油の値段があがったから復活したではないかと言う人がいるかもしれません(ロシアと石油)。しかし、ロシアが1990年代後半系税危機に陥ったのは極端に外貨が不足したからと、国債を出しても買い手がつかず、政府の財政が逼迫してしまったからです。石油収入はロシア経済のボトルネックを解決するのに役立ったのは事実ですが、日本の問題は外貨準備や国債消化ではありません。日本にないのは資金ではなく魅力的な投資先です。

金と同様に資源も天下の回りものです。尖閣諸島で大量の石油が発掘されれば、尖閣諸島が日本領であろうと、中国領であろうと、石油の値段は下がるでしょう。日本の消費者にとっては同じことです。資源安保などと言っているのは、役人のたわ言でしかありません。もし、中国と戦争になって尖閣諸島の石油資源確保が重要になったら、尖閣諸島の領有権がどこにあろうと、軍事的に勝つほうが占拠するでしょう。平和なときには石油が自国を含め、どこから産出されようが市場価格への影響度では同じです。

それでも竹島はあきらめられない

竹島の問題に話を戻すと、領土や資源への欲求が本能だとしても、自国に有利(なように見える)論理のほうが信じやすいのも本能なのでしょうか。自分に有利な判断を安易に信じてしまうのは、生存競争で必ずしもプラスに働くとは限りません。太平洋戦争の日本や、イラク戦争のアメリカを見ても、状況を楽観的に解釈した結果は、悲惨なものでした。

それでも、いざ外敵と戦うということになったとき、やたら悲観的な見方に囚われて不安になったり、自分たちの正義に疑いを持つようでは、勇敢かつ献身的に戦うことは難しいでしょう。集団同士の生存競争では、何でもかんでも公平、客観的に考えようとするより、理屈抜きで味方は正しいと思い込む構成員で作られた集団のほうが強いと考えたほうが良さそうです。

オリンピックやワールドカップで試合前に悲観的な見解ばかりを言う評論家は嫌われますし、マスコミもあまり取り上げようとしません。結果を見れば楽観論より悲観論が正しいことのほうが多いのですが、だからといって、試合前から悲観的なこと言ってばかりの評論家が改めて評価されるということもあまりありません。そんな評論家が多くては、集団間の競争に生き残れなかったのでしょう。

竹島が日本、韓国のどちらの領有権に分があるかは、国益の観点からはどうでも良いことでしょう。国土の領有権を強く主張できないような国は尊敬されないというのは、何の根拠もありません。フセインやヒットラーが国の尊厳を守った立派な指導者だというのは、少なくとも国際的には認められた話ではないでしょう。北朝鮮のように自国の論理ばかり振り回す国は迷惑に思われるだけです。

それでも、日本は巡視船で竹島周辺の調査をしようとし、韓国はそんなことをしたら巡視船に体当たりをしてでも阻止すると言ったりします。愚かしいとか言いようのない話だと思うのですが、そうもいかないようです。地球温暖化で竹島が海の中に沈んでしまうなら、温暖化にも良いことがあるということかもしれませんが。 (続き
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