進歩を続ける半導体技術は、神殿の奥深くに納まっていたコンピューターを個人が使うことができるほど小型で安価なものにすることができるようになります。1970年代の後半になると、技術力と企業家精神に溢れた若者たちが、小さいながらもコンピューターとして機能する個人向けのコンピューター‐PC(Personal Computer)を作り始めます。 Apple I
Apple Iは当時のPCが普通組立てキットとして売られていたのに、完成品として売り出されました(それでも何か意味のある動作と出力を行うにはユーザーは相応の技術が要求されましたが)。Apple Iは200台が作られましたが、それは手作りの世界からPCを「大量生産」の工業製品に変えるものと言えました。
Apple Iの成功を踏み台にして、翌1977年アップルはApple IIを発表します。Apple IIはブラウン管表示装置とキーボードを持ち今日のPCとあまり変わらない外見を備えていました。何と言ってもApple IIは完成品として一般の人が家庭で使用することが可能なコンピューターでした。今やジョブズとウォズニャックの作ったアップルは急成長する大企業となりました。 Apple II
当時のIBMは社内でインテルの8088より1ケタ以上高速のマイクロプロセッサーを開発済みでしたし、OSもMS-DOSよりはるかに高機能のものを作ることが計画されていましたが、もし自社製品にこだわっていたら、価格も高くなり、販売時期もずっと遅れてしまっていたでしょう。IBM PCが発表されたころ、Apple IIはすでに何百万台も売られていました。IBMがPCの主導権を完全に失わないためには、遅れは許されなかったのです。 IBM PC
企業に導入されたPCはすぐに部門の中で連結されるようになります。LAN(Local Area Network)を使って結ばれたPCを使うことで、情報の共有や業務の連携が始まりました。面倒で、時間と金がかかり、しかも使い勝手の悪い中央集権型のメインフレーム(汎用機)での処理をPCやLANを使って置き換えることは「ダウンサイジング」と呼ばれました。少し前まで、「大きなことは良いこと」だったのに、「小さなことは良いこと」に変わってしまったのです。
世界最初のコンピューター(電子式デジタル計算機)は、アメリカのアイオワ大学のアタナソフとベリーが1937年に開発したABC(Atanasoff–Berry Computer)ですが、実際には1946年に同じアメリカのペンシルバニア大学でモークリーとエッカートによって完成したENIACが世界最初のコンピューターと思われることが多いようです(ノイマン型コンピューター)。 UNIVAC I
MIS(Management Information System: 経営情報システム)、SIS(Strategic Information System: 戦略情報システム)といった「3文字の略語」がブームになり、大規模なデーターベースを構築し、オンラインで企業と顧客を結び付ける形で、コンピューター化が進展します。