2009年の11月、イギリスの名門大学のイースト・アングリア大学の気象研究所(CRU: Climatic Research Unit)のコンピューターシステムにハッカーが侵入し160MBにおよぶデータが盗まれました。データの中にはCRUのサーバーにある1,000以上(恐らくそれをはるかに上回る)電子メールが含まれていました。
イースト・アングリア大学は研究機関として高い評価を得ていて、その中でCRUは気象学研究を行っています。CRUにはIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気象変動に関する政府間パネル)へ気象分析データを提供している気象学研究者が何人もいます。地球温暖化に対する懐疑派から見ればCRUから流出したデーターはIPCCの活動そのもの、地球は温暖化していているという結論そのものがいい加減なものである証拠でした。
その可能性がぬぐいきれないのはIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気象変動に関する政府間パネル)という地球温暖化の危険を訴えている組織そのものです。IPCCは国連の下部機関として、「人間活動による気候変動の危険性の評価」のために1988年に創設されました。
IPCCは「最新の科学技術、社会経済の情報を評価する(review and assess)することで、気象変動と人間社会に与える影響の可能性の明確な見方を世界に提供する」という目的を持っています。
Review and assessという言葉が示す通り、IPCC自身は実際の研究活動は行いません。世界130カ国の2,500人におよぶ気象学者、経済学者などの協力を得ながら、気象変動にかかわる情報収集と分析をしているのです。
報告書がある意味官僚組織としての枠組みを守ったものであったのに、ファインマンはより根本的な問題に深く切り込もうとしました。ファインマンの問題分析の結果は報告書の付録、Appendix Fで「シャトルの信頼性についての個人的な見解(Personal observations on the reliability of the Shuttle)として述べられることになりました。