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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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日本人はなぜ外国を恐れるか
TPPopposing.jpg


TPPの議論が白熱化しています。聞こえてくるのは、農産物の輸入が拡大することでただでさえ低い日本の食糧自給率がさらに低下するとか、医療の自由化で健康保険制度が崩壊するといったTPP亡国論とも言えるものが多いようです。

もっと先鋭的なものには、TPPに参加はアメリカの陰謀で、お人好しの日本は損をするだけだというものもあります。一方、TPP賛成論もTPPに参加しないと国際社会から日本は仲間はずれにされて、国際競争力を失ってしまうといった論拠が多いようです。賛成反対どちらも、日本は判断を誤ると外国にひどい目に会うだろうというのです。

TPP参加で日本は大して損もしないし得もしない、参加しないからといって国際社会から疎外されることもないし、参加したからといって日本の農業が崩壊するようなこともない、どっちでもないから大騒ぎをするのはバカバカしい、と言うような人はあまりいません。

しかし、TPPへの参加不参加が日本の運命を決める重大な決断とはとても思えません。打撃を心配される農業もすでに野菜や果物などはかなり自由に輸入されています。いつも問題となる米も日本人は米の味に非常にうるさいことや家計支出に占めるコメの出費が少ないことを考えれば雪崩をうって外国米に転換するとは思えません。1993年の米の大不作で輸入された外国米が大量に売れ残ったのを見てもその推測は確かでしょう。

製造業も既に大部分の工業製品が、TPP参加国の中で圧倒的なGDPを占める日米間で工業製品の関税がゼロまたは非常に低いことから考えて今さら大きな伸びは輸出入ともないでしょう。

制度的な面では資格の相互認証は、当ブログのちょっと待てTPPで書いたように、農産物など物の動きだけが取り上げられがちな中で気にしなくてはいけないところではあるのですが、物以上に人、特に資格を持つような専門職が、一気に日本に流入することはありえません。

つまりTPPの影響はプラス面、マイナス面とも大したことはないはずです。しかし、TPPに賛成する人も反対する人も「外国」に対する恐れ、配慮をその根拠にしているのはどうしてなのでしょうか。

TPPに限りません。最近中国人による日本の不動産取得が盛んですが、これを日本が買い占められるかのように言う人は少なくありません。けっさくなのは中国人が日本の豊富な水資源を狙っているとする論調です(あまりにも愚かな中国人水資源略奪論)。水源をいくら買ったところで水を中国に輸送して割が合うわけがありません。しかし、こんな妄想とも言えないような話を政治家まで巻き込んで反対運動を起こそうと言う人がいるのです。

外国人地方参政権の話もそうです(わかりにくい外国人地方参政権論議)。この問題は事実上在日韓国人に地方参政権を与えるかどうかということが中心で、外国人一般の参政権の話にするのは論理のすり替えと言っても良いのですが、それでも在日韓国人に地方参政権を与えたら対馬に大挙移住して対馬を韓国領にしてしまうというのは、心配が度が過ぎるというものです。

確かに、排外主義は政界中で普遍的なものです。日本がバブル経済に湧きかえっていた時、日本資本がニューヨークのど真ん中のビルを買ったり、映画会社を買収することを日本脅威論と絡めて反対したアメリカ人は沢山いました。

しかし、「このままでは世界の孤児になる」というような論理で国際的な枠組みへの参加を促すような言い方はあまり見かけません。日本のような大国で長期間外国の植民地になったこともないような国で、なぜこのような極端な外国恐怖症、外国脅威論が蔓延するのでしょうか。

冷静に考えれば日本は強国です。防衛予算は米中に次いで世界のトップクラスで、しかも四方を海に囲まれ、歴史上日本国内が戦場になったことはほとんどありません。第二次大戦でさえ沖縄以外は終戦まで一兵の米軍も上陸していません。

資源に恵まれていないとは言っても海上交通で世界中から輸入が可能で、旧ソ連圏の国家のように天然ガスのパイプを押さえられたらお終いなどということはありません。自給率が問題になる農業さえ出荷金額では世界第5位の農業大国です。日本が外国の脅威を心配するなら安心できる国などほとんどありません。

経済力、軍事力、技術力で非常に強固な基盤を持つ日本が外国に支配されるのを恐れるのは客観的にはバカバカしいことです。むしろ韓国がいつも自衛隊の最新鋭戦闘機の性能を気にするように周辺国が日本の侵略を恐れる方が力関係から言えば正常です。

日本人が外国の支配を恐れたり、何でも外国の陰謀にしようとする、さらには「外圧」を政治的に利用して官僚や政治家が政策実現を図るのは、実際の脅威ではなく日本人の深層心理的な外国への恐怖心からと考えた方が良さそうです。

深層心理に目を向けると、260年間の鎖国に終止符を打たされた、ペリーの黒船来航のトラウマがあります。圧倒的な技術力の差を見せつけられて無理矢理開国させられたという意識から脱却できないのです。

幕末の列強の進出では欧米の文明に反発して日本古来の伝統を守ろうといういわば日本原理主義的な反応が起きます。そしてそのような反発を利用する形で政権を取った新政府が文明開化に大きく舵を切ることで反発の気持ちは深層心理に抑圧される結果となります。

しかし抑圧された日本原理主義はその後何度も顔を出します。日露戦争での講和条件への不満から起きた暴動、そしてついには神州日本の力をアジアに広げ大東亜共栄圏を実現しようとした第二次世界大戦へと突入していきます。

第二次世界大戦で連合国に敗れた日本は明治維新と同じ反応を繰り返します。表面的なアメリカへの全面屈服と深層心理に抑圧された反発です。戦前は抑圧された意識は右翼的なものに姿を変えて現れたのと逆に、戦後は安保闘争を始め主として左翼的な運動に現れます。

恐らく抑圧された意識という当人が気がつかない深層心理からくる恐れが、過度の外国への恐れや脅威論につながっているのでしょう。TPPを幕末の不平等条約に例えるのは深層心理が表層化したものと考えるべきです。不平等条約を結んだ状況が現在の大国日本に当てはまると考えるのは常識では考えられないことです。

ここまで書いて日本人の外国恐怖症が幕末と終戦を通じて抑圧された意識が元になっているというのは視野が狭いのではないかと気がしてきました。そもそも鎖国政策の原因となったキリシタンへの嫌悪感の背景には西欧諸国がキリスト教を日本侵略の足がかりにしようという思いがあったからです。

これも客観的に考えれば3千万の人口と戦国時代に磨き上げた強力な軍事力を持ち、スペイン、ポルトガルを何も恐れる必要のないはずの日本が、なぜ鎖国までしてキリスト教を禁じなければならなかったのか疑問に思えます。

どうも日本は外国文化に支配されることで自分を失ってしまうという恐れを伝統的に持っているようです。このような気質はどこまで遡れば良いのでしょうか。菅原道真が遣唐使の廃止を進言し、それが平仮名の発明など日本独自の文化につながった、という成功体験もあるかもしれません。

だとすれば、無理矢理開国をさせられたというトラウマはその上に重なっただけなのでしょうか。そう思うと日本人の外国恐怖症はずい分根深いものだという気がしてきます。
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