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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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ウォーレン・バフェットに頼めばよかった
投資顧問会社AIJが年金基金から集めた資金の運用に失敗し、資産をほとんど胡散無償させてしまいました。AIJは高い運用実績を謳って、企業の年金基金から2千億円近い資金を集めたのですが、実際には高利回りの配当は集めた元金を食いつぶしていただけだったのです。

報道から判断する限り、AIJは投資顧問会社と言うより、ネズミ講あるいは単なる詐欺に近いものであったようです。しかし、AIJのように高い運用利回りを約束して多額の資金を集め、当初は元金を配当に回すことで信用を得ながら、さらに大きな資金を投資家から引き出す手口は、決して珍しいものではありません。

アメリカでは元ナスダック会長のバーナード・マドフの引き起こした詐欺事件が有名です。マドフはその経歴を利用して富豪、有名人から自らが運営する投資運営会社に多額の投資をさせました。マドフはAIJと同じように元金を配当金に回すことで、優れた投資家としての信用を勝ち得て、数十年に渡って投資家たちを騙し続けたました。被害額は累計で4兆5千億円にも達したと言われています。

詐欺は論外ですが、投資運用会社はどの程度の利回りを上げられるものなのでしょう。日本国債の利回りが1%程度ということを考えれば、年間5%も利回りがあれば大したものなのかもしれません。AIJの主な顧客(被害者)だった厚生年金基金では従来5.5%の利回りを前提に仕組みができていて、それを維持するのが困難だったことが、AIJの高い運用実績に多くの年金基金が引き寄せられが原因ともなっていました。

しかし、年間5%の利回りというのは、それ程高いとは思えません。世の中の投資ファンドはプロが高い手数料を取って運営しているのですから、その程度の利益を生まなければ、何のための投資顧問会社かと言われても仕方がないのではないでしょうか。

実際にはAIJのような投資顧問会社が詐欺的な方法で投資資金を集めることができたように、多くの投資顧問会社、投資ファンドは5%どころか、ろくな利益も上げていないのが実態です。

投資顧問会社が長期的には利益を上げられないのは、調子の良い時がある半面、元金を割り込むような損を出す場合もあるからです。このため平均的には国債を買っていた方がマシ、あるいはそれ以下の成績しか残せないのです。

国債程度の利回りでは国債そのものを買った方が、安全性の面ではずっと有利です。確実に利益を上げることができる、という意味では投資顧問にプロ、専門家の名に値する人は皆無と言ってもよいのかもしれません。

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ウォーレン・バフェット


このようなことを言うと、投資に詳しい人達からは異口同音に「ウォーレン・バフェットは着実に利益を出している」という言葉が出ます。ウォーレン・バフェットのような存在がある限り、「投資のプロは存在しない」とは言えないというわけです。

オマハの賢人という異名を持つウォーレン・バフェットは、投資持ち株会社バークシャー・ハザウェーのCEOです。個人の総資産は400億ドル以上で、世界有数の金持ちの一人です(一位になったこともあります)。そして バフェットは資産の大部分をバークシャー・ハザウェー社の株式で保有しています。

バークシャー・ハザウェーの投資成績は確かに驚異的です。毎年バークシャー・ハザウェーが投資家に送る手紙には、バークシャー・ハザウェーの投資実績とアメリカの日経平均とも言うべきS&P500との比較が書かれています。それによると1965年を起点として2011年までの46年間でS&Pは6,397%の上昇を記録していますが、バークシャー・ハザウェーの投資成績は何と513,55%、つまり5,000倍以上になっています。

これを年率に換算するとS&P500は年率9.2%の平均上昇率であるのに対し、バークシャー・ハザウェーの上昇率は年率で19.2%にもなっています。この成績で運用を行っていれば、現在のような年金基金の危機は存在しません。

バークシャー・ハザウェーは何か特別なことをしているのでしょうか。バフェットは自身の投資基準として「事業の内容を理解でき、長期的に業績が良いことが予想され、経営者に能力があり、魅力的な価格」であることの四点をあげています。平凡過ぎてつまらないくらいの投資姿勢です。

バフェットが他の投資家たちと違う点があるとすれば、この四点を徹底的に守り、購入した株は短期的な市場の動きに左右されず、長期、事実上の永久保有を続けてきたことです。ではバフェッと全く同じ銘柄を同じように長期保有することは可能でしょうか。

これは問題ありません。バークシャー・ハザウェーの持ち株は公開されていていて、その通りに株を買うことは可能です。それが面倒というなら、バークシャー・ハザウェー社自身の株式を購入することもできます。バークシャー・ハザウェー社の株式時価総額は長期的には資産の額にほぼ比例して上昇してきました。

世にある年金基金はAIJのような投資顧問会社ではなく、なぜバフェッとのような40年間儲け続けた投資家の判断に投資運用を任せないのでしょうか。これはほとんど謎と言っても良いでしょう。

確かに理由はいくつか考えられます。いくらウォーレン・バフェットが過去40年以上目覚ましい成績を上げたからといって、将来もそうとは限りません。しかし、そんなことを言うなら他の投資会社はその過去の実績さえないところがほとんどです。

また、資産の取り崩しをしなければならないことがあった時に、たまたまバークシャー・ハザウェー社の株価が低いかもしれません。過去40年以上の間にはバークシャー・ハザウェー社も損を出した年もあり、タイミングが悪ければ損をしてしまうこともあり得ます。ただ、これはどんなポートフォリオを組んでも投資にはつきものの問題です。

結局、ウォーレン・バフェットと同じ投資戦略を取らないのは、自分はウォーレン・バフェットより優れた投資家だと、どこか信じているからだ、ということになります。客観的に考えれば、これはナンセンスです。少なくとも大部分の投資家にとってはナンセンスな信念です。

それでもウォーレン・バフェットの通りに投資する投資家はごく少数でしょう。そして、それこそがウォーレン・バフェットが46年間で5千倍以上もの収益を上げることができた最大の理由なのです。
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首都高速は建て替えでなく道路網の再編を
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高架主体の首都高速は都市景観を破壊する(写真は日本橋の上を通る首都高速)


首都高速道路の老朽化が問題になってきています。首都高速道路は1964年に開催された東京オリンピックに合わせて、建設が始まったものです。以来40年以上を経過し、総延長300kmのうち約140kmは築後30年以上、築後40年以上のものも約90kmあります。

首都高速は一日百万台以上の車が利用しますが、そのうちかなりはトラックなどの重量車両です。過酷な使用環境で長年利用が行われてきたため、補修・補強工事を続ける必要があるのですが、民営化をきっかけとして経費削減を強く求められるようになり、最低限の補修費用しか計上されていないと言われています。

そのような状況を受け、首都高速道路株式会社では、今月(2012/3/5)「首都高速道路構造物の大規模更新のあり方に関する調査研究委員会」」を発足させ、今後の大規模な補修、更新の検討を始めました。

委員会は今年暮れには提言を行う予定で、どのような内容が盛り込まれるかは現時点では判りません。しかし、多量の車両が通行し8割もが高架で作られている首都高速の大規模な更新は、非常に困難なものになると予想されます。困難と言うより、そもそもそんなことが可能なのでしょうか。

老朽化した首都高速の刷新は、単なるは改修や更新ではなく、東京を中心とした道路網全体で考えることが必要です。まず、首都高速を通る車の多くは、都内ではなく東京を通過するだけなのに、高速道路網が東京という一点でつながれているという根本的な問題があります。

この問題を解決するために、東京を中として、内側から中央環状線、外環状線、圏央道の三つの環状線が建設されていますが、中央環状線が2013年度中に全線開通を予定しているのを除き、他の二つ環状線は完成は当分先だと予想されています。

これら3本の環状道路が全て開通すれば首都高速への交通流入量は大幅に減少すると考えられます。首都高速の大規模な改修をするなら、その前に是非とも完成を急ぐべきです。

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圏央道と外環状線が完成すれば都心の首都高速の利用は大幅に減少する


次に、首都高速が都心を縦横に走るという先進国の大都市ではありえないような形になっている事実を改める必要があります。都心にある高架式の高速道路は醜悪としか言いようがありません。都心部を走る首都高速は更新するのではなく撤去することを考えるべきです。

そのためには、例えば中央環状線と内側、JR山手線の地下に第二中央環状線を作るようなことがも考えることが必要です。もちろん、これは安い投資ではありません。トンネル部分の多い、中央環状線は1mで1億円以上の建設費がかかっており、山手線と同じ距離の高速道路を建設するには5兆円程度の費用がかかるでしょう。

しかし、既存の首都高速を順次建て替えるとなると、その費用は膨大です。仮に30年以上経過した首都高速の半分を建て替えるとなると、それだけで70kmにもなります。建設費用だけでなく、長期にわたる道路渋滞の発生を考えると経済的損失ははかりしれません。

首都高速は当初はほとんど全ての部分が高架、つまり橋でできた道路でした。最近建設された中央環状線などはシールド工法を利用した大部分がトンネルの道路です。高架式の道路はトンネルより一般的には安価に建設できますが、基本的には路面の道路に沿ってしか作れません。古い路線と新しい路線を共存させることは不可能で、建て替えは長期間、路線を閉鎖するしかないでしょう。

そのような方法と比較すれば、新しい路線を建設して古い路線は撤去してしまう方法は、より簡便な方法です。さらに、都心部に流入する車の数を減らすにはロードプライシングの導入で車の利用を抑制することも考えられます。

いずれにせよ、現在の首都高速をそのままの形で作りなおすというのは、あまりにも知恵のない話です。単なる建て替えではない総合的な道路利用の改革が求められます

神隠しのような・・
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私の住まいは港区の麻布にある築30年以上もたつ古いマンションです。高級住宅地とか言われたりする麻布でも、建物は同じように古くなり、人は老いていきます。そして人はいつか死を迎えます。

***

朝8時頃、いきなり玄関のブザーが鳴ったので、少しいぶかしく思いながら、私はドアを開けました。私のマンションは一階の入り口にインターフォンがあり、外からの来客は先ず、そこから尋ねて来たことを告げるはずだからです。

玄関口にはマンションの管理人が立ってしました。朝早い訪問を詫びながら、管理人は訪れた理由を告げました。「馬場さんには一応お知らせしようと思って。お向かいのKさんの奥様が先日亡くなられて、今日お通夜なんです」

私は今のマンションには十年ほど前に越してきました。私の部屋の向かいのKさんは、マンションが建った場所にあった一戸建の持ち主だったいわゆる地権者で、マンションの新築当初から夫婦で住んでいました。

二人とも80歳過ぎ。一年ほど前、賃貸に出でていた同じ階の部屋を借りて、病気がちだった一人暮らしの娘さんを呼び寄せて暮らしていました。同居ではなく一部屋余計に借りるくらいですから、経済的に恵まれているのは確かです。

「奥様が亡くなったって、ご主人は?」間抜けな質問だとは思いましたが、尋ねたわけはご主人も最近見かけていなかったからです。

「ご主人は去年の11月に亡くなったんですよ。娘さんは8月に。半年で三人とも亡くなってしまって」管理人は軽いため息をつきながら教えてくれました。

「ご主人は地下の駐車場で雨の日に転んで、顔をひどくぶつけて入院されて、そのまま亡くなったんですよ」私が驚いた顔をしたのを見て、管理人は「救急車は地下駐車場に直に行ったので、お気づきにならなかったと思います」と付け加えました。

「Kさんの奥様は一人暮らしだったわけですね」「ええ、それが宅配便が受け取られないで溜まってしまって。お電話をしたのですが返事もなくて。そうしたら息子さんから電話がつながらないって連絡が来たんです」

管理人はKさんの部屋の鍵は持っていなかったので錠前屋に頼んだところ、警察の立ち合いがないと勝手には開けられないとの返事。結局、Kさんの息子から連絡があった翌日の昼間、警察官、錠前屋、Kさんの息子、管理人が部屋に入ることになりました。

「そうしたら寝室の所に奥様が倒れていて。息はまだあったんです。それで救急車を呼んだんですが、どの病院もなかなか引き受けてくれなくて」結局広尾の日赤病院に何とか担ぎ込んだそうですが「5日後に亡くなりました」

新聞が3日前のものが部屋に入れてあったことから、3日間倒れたままでいたらいしいことが推測されました。見つかった時は生きていて病院で脳梗塞と判断されたことで、警察も不審死扱いはしないとのことでした。

Kさんの一家がほんの僅かの間に立て続けに亡くなって、隣に住む私が何も気がつかなかったことには、いささか衝撃を受けました。亡くなったKさんの奥様は82歳。老人ですが、今の世の中では格別な高齢者とも言えません。

隣人の私がこんな調子ですから、人のことをとやかく言う筋合いはありません。しかし、老人が一人で暮らしているのに、鍵も預からず、不審に思っても翌日まで関係者が揃うのを待つというKさんの息子の態度もよく理解できません。

Kさんは昔会社の経営をしていて、今は息子さんが後を継いでいるとのこと。経済的には余裕があるというより、資産家と言っても良い部類だと思います。しかし、奥様は倒れたまま3日間放っておかれ、いわば孤独死のような形になってしまいました。

有名人でも大原麗子は亡くなった3日後に実弟に発見されています。孤独死はもはや恵まれない人だけのものではなく、都会に住む誰もがそうなる可能性があるもののようです。

私の住むマンションは小ぶりで30数戸しかありません。それでも、十年以上も住んでいてエレベーターで出会う人は今でも名前どころか顔さえ知らない人の方が多いのです。表札が出ていて住んでいるはずの芸能人は見たこともありません。

長患いで家族に迷惑をかけ最後は邪魔者扱いされるより、Kさん一家のような死はむしろ好ましいとさえ言えるかもしれません。とは言っても自分の住んでいるマンションが、隣り合っても亡くなったことさえ気遣いないほどお互い疎遠だという事実は改めて寒々としたものを感じさせました。

自分の部屋を出るとKさんの部屋のドアには表札がそのまま残っています。けれども部屋の住民たちは突然かき消す私の目の前から消え去ってしまいました。まるで神隠しにでもあったように。