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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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背広を脱いだ男について
最近あまり背広を着る機会がなくなりました。「あまり」というのはかなり過大な表現で、実際にはネクタイを締めるのは冠婚葬祭くらいになってきました。ネクタイを締めないだけでなく、背広は着なくても上着だけ、いわゆるジャケットは着ないこともないのですが、いつもと言う訳ではありません。
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そのような生活をするようになると、途端に困るのは財布その他の細々した品物です。最近はタバコとライターを持ち歩く人は減ってきましたが、携帯電話というそれ以上にかさばる物が必携品となってしまいました。

塩野七生は膨らんだ上着に財布やら何やらを入れることで男の神秘性と魅力が増すということを言っていたことがあります。上着に何も入れないのはお洒落の一つなのですが、塩野七生からみれば、そんなものは薄っぺらい中身と調和するものなのだそうです。

確かに女性のハンドバッグの中は男から見れば神秘的と言えないことはないのですが、だからと言ってバカでかいハンドバックを持ち歩いけば、女性の魅力が増すと感じる男は少ないでしょう。ポケットを膨らませた上着を着る男の方が魅力がある、という塩野七生の意見は多くの女性に共有されているのでしょうか。

それはともかく、上着がないと何か代わりの物がないと困るのは間違いありません。男性でもクラッチバッグという小型のハンドバッグはありますが、これが案外悩ましい。年を取ってあまり貧弱な物を持つのも考えものですが、ブランドロゴを散りばめたり、倉庫の戸締りにでも使えそうな頑丈な留め金を使った物も、バブル紳士の生き残りのようでよろしくない。

問題を深刻化(?)させたのは、背広を着なくなると同時にビジネスバッグというものも持たなくなったことです。ビジネスバッグには書類だけでなく、ノートブックPCを入れるのが最近は普通ですが、ノートブックPCがビジネスマンの必需品になってから、種類も増えて機能性の高いものも沢山出てきました。上着もないビジネスバッグもないとなると、男は丸裸みたいな状態になってしまいます。

学生や若い世代で背広を着ることがあまりない仕事をしている人には、リュックや少しお洒落だとカジュアルなトートバッグを持ったりしているようです。しかし、どちらも年かさの男にはあまり似合いそうもありません(人にもよるでしょうが)。

問題はバッグだけではありません。財布自身も簡単ではありません。原因はもちろん大量のカードです。免許証、保険証もカードと同じサイズになったのはよいのですが、うっかりするとカードの枚数は際限なく増えてしまいます。コンビニやデパートのカードなら割り切って、ポイントを諦めてしまえば持たなくてよいのですが、病院の診察券などはそうもいきません。年齢とともに行きつけの病院が増えると、カードの枚数を10枚以下にするのは至難の業になります。

カードの枚数が増えるので、財布の大型化は進んでいます。今や塩野七生が何を言おうと財布は上着のポケットに収まらなくなってきているのです。そこで財布と携帯くらいは入る「上着替わり」の財布があっても良いのではないか、いやそのようなものはあるだろう。こう考えて色々と調べてみることにしました。

結果、ダンヒルのダブルジップトラ ベルコンパニオンという財布があることがわかりました。財布と言っても、カードが20枚以上も入り、スマートフォンまで収容可能というものです。これなら財布としてだけでなく、上着の代わりができそうです。値段はかなりするのですが、ネットで安く買うこともできるし、何と言っても背広の上着代わりだと思えば、それほどでもない。デザインも昔の威圧的な止め具を付けたクラッチバッグと違って、比較的シンプルです。

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ということで、かなりの出費と引き換えに買い求めることにしました。携帯はiPhoneがぴったり入り(それまで使っていた別のスマホは、これを機会に取変えました)、カードは20枚近く収まる。これはいいぞ、と思ったのですが、実はそうでもありません。まず当然ですが重く、そしてかさばる。しかし、そんなにかさばっても鍵束が入らないことが買ってから判りました。当り前ですが、ハンカチやティッシュのようなものを入れるのも不可能です。

つまり、かなりの出費をした挙句、問題は根本的には何も解決していないのです。やはり何かバッグが必要だ。ということで、今後はツミの肩からかけるタイプのバッグ(メッセンジャーバッグと言うらしいのですが)を、買うことにしました。

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しかし、これも中途半端なのですね。上着の代わりにハンカチや鍵束を入れることはできても、上着とはとても調和しないデザインです。肩からかけるのは持ち運びには便利ですが、銀座あたりを歩くと中国人観光客といった趣になります。正直あまりスタイリッシュではありません。

おまけに、最初に買ったダンヒルの巨大な財布がぎりぎりにしか入らず(入っただけよかったのですが)、入れるのも出すのもひどく面倒です。実はダンヒルの財布は弱点があって、小銭の出し入れあまりスムーズにいかない。つまり、コンビニで飲み物を買って小銭を取り出したりするのは、かなりの作業になってしまいます。上着から小銭入れを取り出して、勘定をすませるの比べれば三倍くらいの時間がかかります。

かくして、背広を脱いだ男は、かなりダサい感じでバッグを肩からかけ、バカでかい財布を窮屈げに取り出し、やっとの思いで小銭を支払う、という状態になりました。邪魔なだけと思えた背広姿は、それと比べれば何とスマートで無駄がないことか。やはり男はポケットを膨らませた上着を着ていなければいけない。たとえ魅力などなくても、それが男には一番ふさわしいのかもしれません。
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小沢一郎氏の不幸
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小沢一郎氏が民主党を割って、新党を作ることになりました。小沢氏とともに衆院議員37名(小沢氏を含む)、参院議員12名が小沢氏と行動を共にしました。これは今からちょうど19年前小沢氏が新生党を作ったことのデジャブを見るようです。その時も小沢氏は政権党の自民党から多くの自民党議員とともに党を出たのです。

しかし、似ているのはそれだけかもしれません。19年前には新生党は自民と共産党以外全ての政党と連立し長年の自民党政権に終止符を打つことに成功しました。今回は小沢氏は政権を奪還する見込みはほとんどありません。

それどころか選挙基盤の弱い一年生議員を主体とする離党組は次回の選挙では当選できる議員はごく少数に留まると予想されています。政権獲得どころか出来た途端に小沢氏の新党は胡散霧消してしまう危険さえあるのです。

毀誉褒貶はあるものの小沢氏が世紀をまたいで、日本の政治にもっとも大きな影響力を政治家の一人であることは疑いありません。40年におよぶ自民党政権を倒し、政権交代を成し遂げただけでなく、小沢氏の動きは常に政界の台風の目でした。

自民党政権を倒した小沢氏も、自民党が社会党党首を首班に立てるという奇策で政権奪回を遂げた後は、政権から長く遠ざかることになります。一時は、小渕首相の時に当時自由党党首であった小沢氏は自自連立により政権に復帰しますが、2年足らずで連立を離れ再び野に下ります。しかも、その時には自由党の一部は小沢氏と分かれ政権に留まります。

権力の座から離れてしまった小沢氏が再び日本の政治を大きく変えることになったのは、民主党と自由党の合同で政権交代に近付いたことです。それまで清新さの半面、政治経験の乏しさに不安を持たれてきた民主党は、小沢氏の参加により国民から自民党に代わる政党として認知されることになりました。

小沢氏の参加もあり民主党は政権交代を実現します。自民党は1994年以来保持してきた政権を失います。しかも、前回が大量の議員の離党と野党の連立という形で政権を失ったのに対し、選挙で大敗を喫した結果でした。名実共の政権交代が実現したのです。

民主党の政権獲得に小沢氏の力が大きかったことは間違いありません。それまで政策論議は得意でも選挙に弱いと言われてきた民主党は、小沢氏により選挙のやり方を徹底的に鍛え直されることになりました。

その小沢氏が再び民主党を離れることになったのはなぜなのでしょうか。表面的には野田政権が小沢氏の主張するようにマニュフェストを守らず消費税をあげることになったからです。しかし、これは奇妙な話です。1993年に小沢氏が著した「日本改造計画」では、小沢氏は消費税を10%に上げ、法人税、所得税を下げることで経済の活性化を目指としていました。

さらに、細川内閣の時、消費税を国民福祉税として7%に上げようとして強い反対で失敗しています。この国民福祉税構想は一一コンビと呼ばれた大蔵省斉藤一との連携によるもので、今で言う財務省支配の結果とも言うべきものでした。

小沢氏は変わってしまったのでしょうか。小沢氏はこの20年共産党を除くほとんど全ての政党と連立、連携をしていきました。増税反対を訴えた今回は、脱原発、反TPPの立場を明確にしています。これは社民党などとほとんど同じ政策です。新自由主義の旗手とも思われたかつての小沢氏と同じ人物とは思えません。

日本外交にとって最重要である対米関係もそうです。湾岸戦争の時、軍隊を派遣できない日本がアメリカに協力するため、小沢氏は剛腕ぶりを発揮して百億ドルの資金を拠出しました。それがいつか親中派を言われるようになり、大量の議員を中国に引き連れていくようなことまでしています。小沢氏の外交の軸はどこにあるのでしょうか。

政策面の変遷を見ていると小沢氏は融通無碍とも変節漢とも思えます。しかし、見方を変えて小沢氏が権力の獲得を最優先にして政策は道具に過ぎないと考えると、理解はずっと簡単になります。

小沢氏の師である田中角栄は数の政治を信奉していました。権力のない政治は考えられません。どんな理想も民主主義で多数を制しなければ実現しません。そのためにはより多くの議員を自分の意に従わせる。田中角栄の秘蔵っ子であった小沢氏は、田中角栄の数の政治を極限まで具現化しようとしてきました。

数の政治では政策へのこだわりは邪魔です。状況によりどのような勢力とも合従連衡をすることができるためには、外交、防衛、社会保障のような政党にとっての基本理念さえ、相手によりどうにでも変えることができる、あるいは変えるべきである。小沢氏は恐らくそう信じているのです。

このように考えると、小沢氏が「日本改造計画」で展開した新自由主義的な政策も、単にその方が受けが良いと思ったからだと思うと納得ができます。政治家の著作はほとんどゴーストライターによるものですが、そのゴーストライターの一人だったと言われる竹中平蔵氏は小泉政権に参画して、自身の政策の実現を計ります。当然かもしれませんが、小泉政権の政策を小沢氏が熱狂的に支持するようなことはありませんでした。

しかし、数の政治(それは政局の政治と言ってもよいでしょう)を追い求め、政策は取変えの効く衣装のようなもの、と考える小沢氏は、小沢氏本人以外から見ればずいぶんと付き合いにくい政治家と言わなければなりません。

まず小沢氏にとって議員は数としての意味しかありません。自分の言う通りに行動できるかどうかだけが評価の基準で、自分と異なる意見を持てば、それは壊れたロボットのように意味のないものになります。これでは力のある政治家は付いていくことはありません。

国民の目から見ても新自由主義者だと思っていると、社民党員のような政策に転換されていては、よほど小沢氏自身のパーソナリティー(その中には「剛腕」というイメージも含まれますが)に引かれていない限り支持し続けることは難しくなります。

小沢氏の不幸は政局を動かすということにかけては群を抜く能力を持っているにもかかわらず、いや持っているがゆえに、政策というものにあまりに無頓着であったことです。小沢氏とって政局が全てで政策は道具でしかなくても、国民はやはりその政策に投票をするのです。

小沢氏のもう一つの不幸は、政治的な剛腕を持っている半面、リーダーとしての資質にあまりに欠けていることです。小沢氏あった人の多くは政治家から一般選挙民まで、その魅力に引き込まれると言います。冷酷で力任せという評判と違って、大きく深みのある人間に見えると言うのです。

しかし、大きな人間に見えるということと、リーダーとしての資質があるということは必ずしも一致しません。むしろ、議員を数でしか考えず、国民を票田としか思えない小沢氏が長い目で見て人を引き付け続けることは難しいでしょう。

小沢一郎氏は政治的な天才だと言えます。小沢氏は二度の政権交代を実現し日本の政治の歴史を変えました。しかし、その天才はリーダーとして日本を動かしていく資質を全く欠いたものでした。

小沢氏の歴史的役割は民主党政権が生まれた時に終わっていたのでしょう。あるいは、自民党を割って一党独裁にくさびを打ち込んだ時点で、もはや終わっていたのかもしれません。けれども現代の政治抗争は革命や内乱のように政治家の命を奪うようなことはありません。

小沢氏を、西南戦争で不平士族に担がれて城山で切腹した西郷隆盛になぞらえる声はよく聞かれます。しかし、現代の西郷隆盛は切腹することはありません。自らの政治的運命が暗転していくのを生きながらえながら、ただ見つめているしかないのです。それこそが、一番大きな不幸と呼べるかもしれません。