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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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就職人気を活かせない日本企業の黄昏
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就職活動が今月から解禁になりました。この解禁という意味は2014年卒業予定。四年制大学の三年生に対してのものです。就職が決まるまで長く苦しい時間が始まります。

時期を決めて一斉に就職活動(正確に言えば企業の採用活動なのですが)を開始し卒業時に新卒を一括採用するというやり方には昔から強い批判がありました。

勉学が本分である大学生がほとんどの時間を就職活動に費やすのは本末転倒だ。三年途中までの成績しか出ていないのに、採用を決めるのはおかしい。こういった批判があるため、採用活動をあまり早く開始することに縛りをかけ、それが「解禁」されるのが三年生の12月1日からと言う訳です。

数々の批判があるのに新卒一括採用を含めた日本の大卒に対する採用活動が現在のようになっているのは、日本の企業の体質、文化それと日本の大学の現状にそれがマッチしているからと考えるべきでしょう。「批判は理解できるが、これがベスト:ということなのかもしれません。

就職活動はネット経由で簡単に求職書類を作成、送付できるようになってから、より学生にとって負担のかかるものとなりました。何十社、人によっては百社を超える求職をするとなると面接だけでも大変です(もちろん面接にたどり着ければですが)。

採用する側にとっても、一人当たりの求職数が増えれば採用募集の学生が増えることになります。人気企業では百人の採用枠に百倍の一万人も学生が押し寄せられます。書類選考だけでも大変な手間がかかることになります。

結果として、多くの企業では特定の大学に採用を絞るようになってきています。昔も「指定校」と呼んでそれ以外の大学の学生は特別の縁故でもない限り就職試験を受ける事さえできなかったのですが、実質的には同じようなことが行われているわけです。

しかし、求人企業と求職学生両方に大きな負担をかけて、企業はどんな学生を採用しようとしているのでしょうか。結局、地頭が良く、明るくコミュニケーション能力が高く、意欲的に仕事に取り組んでいく、というタイプに落ち着くことが多いのではないでしょうか。これは企業ごとにそれほど違わないはずです。

採用基準が企業により大きく違わないのは、内定をもらう学生は何社何社でも内定をもらえるのに、何十社を受けても採用してもらえない学生がいることでも判ります。個性を大切にしたいとは言っても、選ばれる学生は皆よく似ているというのが実情でしょう。

新卒一括採用を基本にする日本の企業では、仕事の実績やキャリアで応募者の選別はできないので、企業文化に染まり易く、学力より持って生まれた頭の良さを持つ学生が好まれるのです。

これは必ずしも間違ったことではありません。日本の企業で成功する人は概ね採用基準に沿うような人達です。しかし、これからの日本企業は今のような採用基準で良いかは疑問です。

グーグルやアップルのような企業は採用試験もユニークであることで知られています。面接は差し障りのない「当社の志望理由は」などというものではなく、「目の不自由な人の使うコンピュータを設計する方法は」とか「富士山を動かすのに何日かかるか」といった日常生活とはかけ離れた突飛な問題が出されます。

グーグルやアップルがそのような設問をするのは、学校の成績や当り障りのない面接からは判らない、知力、能力を見つけようとしているからに他なりません。それはもちろん、そのような人がいなくてはならない物を作っているからです。

百倍も倍率があり何千、何万人もの人が応募すれば、その中には特異な能力を持った人は何人もいるでしょう。しかし、どのような人を求めるか、どのような仕事をしてもらいたいかがはっきりしていなくては、どんな特異な能力の持ち主でも選びようがありません。

家電業界を始め日本企業は今大きな困難に直面しています。日本企業はコスト競争では中国企業にかなわず、品質競争で韓国企業に追い付かれ、独創的な製品ではアメリカ企業の真似はできません。これからの日本企業が生き残っていくためには、新興国の企業とのコスト競争ではなく、独創性のある製品、サービスを提供していくしかないでしょう。

そんな環境で、地頭が良く、明るくコミュニケーション能力の高い人達ばかりを採用して、高度で独創性豊かな製品を作り出していくことができるでしょうか。疑問と言わざるえません。

例えば、百人の採用枠がある人気企業に百倍の採用倍率があった時、そのうち10人でも他の応募者とは全く違う採用基準で選んでみたらどうでしょうか。そんな採用基準で選ばれた社員は他の社員と共同作業をするのが苦手かもしれません。しかし、似たような社員同士が今までとは全く違うものを生みだすのは、それ以上に難しいことです。

海外企業との競争に苦しむ日本企業に相変わらず沢山の学生が押し寄せ、企業が同じような学生を採用する。そのようなことを続けていては、日本企業がいや日本自身が今の苦境を脱するのは難しいのではないでしょうか。
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