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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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電動自転車はEVの未来?
最後にトヨタクラウンのブログを書いてしばらくブログを休んでいましたが、まらクラウンの話題から。先日、新型クラウンのHVの比率が5割を超えたという報道がありました。

同じ記事では、トヨタは「今後、3年間で19モデルのHVを販売予定」と述べられています。既にトヨタ、と言うより全国産メーカーを通して、日本で一番と二番目に売れている乗用車はアクアとプリウスというHV専用車です。トヨタの戦略はむしろ今の流れを踏襲したものと考えるべきでしょう。

しかし、HVにそこまで注力しているのは世界的にはトヨタくらいです。そもそもHVが広く普及しているのは日本独特の現象で、ドイツ車などはHVは高級車の一つの毛色の変わったバリエーションに過ぎません。ドイツ車以外でHVをラインナップに並べているのは韓国車が多少目立つ程度です。

これにはHVが技術的に高度で、トヨタやホンダ以外は独自技術でHVを開発するのは困難ということがありますが、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの効率化でかなり燃費が向上させられるということもあります。

ドイツはターボ化などで排気量あたり従来の5割あるいはそれ以上の馬力を出すエンジンを開発してきています。排気量が小さければ高馬力を必要としない時には燃費を低く抑えられるメリットがあります。高出力の小型ガソリンエンジンとアイドリングストップ機能などを組み合わせることでHVには及ばないまでも燃費を相当向上させることができます。

また、ヨーロッパは昔からディーゼルエンジンが乗用車用に広く受け入れられていますが、ディーゼル車の燃費は元々ガソリンエンジンの5割以上高くなっています。

HVはガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせ。できるだけ電気モーターで駆動しようという車です。ガソリンエンジンは回転数によって効率が大きく変化します。効率の良い回転でガソリンエンジンを使用し、余った動力を蓄電池に蓄えて、ガソリンエンジンより効率のより電気モーターを主に使用するのがHVの考え方です。

HVは電気モーターとガソリンエンジンを組み合わせるために複雑な技術が必要となりますし、複数の動力源があるためコストはどうしても高くなります。またガソリン車と比べてトランクルームの容量などスペース効率の面でも不利になりがちです。

それでもHVが日本で人気があるのは燃費が良い、さらに燃費が良いということで「エコ」に貢献しているという良いイメージがあるからでしょう。複雑な仕組みや電力の供給、貯蔵、使用が確認できるという未来的な運転席も魅力かもしれません。

しかし、燃費はそれほど大切なものでしょうか。と言うと怒られそうですが、少なくとも一般ユーザーにとって燃費が良いことは必ずしも大きな経済的利点ではありません。

仮にガソリン車の燃費がリッター10キロ、HVが(少しおまけして)リッター20キロだとしましょう。平均的な日本のユーザーは年に5千キロ程度しか走りません。ガソリン代をリッター150円で計算するとガソリン車で7万5千円です。HVに替えて節約できる金額はその半分、4万円にもなりません。

HV車は普通同等のガソリン自動車より高く(より複雑で部品点数が多く、高価な電池が必要なためです)燃費だけではHV車は金勘定の上では魅力的ではありません。また、高速で比較的速度が安定している郊外ではHVとガソリン車の燃費の差はさらに小さくなります。

それでもHV車に注力する戦略はその先に電気自動車-EVの時代が来るからだと言う理由もあるかもしれません。確かにHVで使用される回生ブレーキや制御装置そして高性能電池はEVの技術基盤として必要な物です。

一方で、HVは良くも悪くも現在の車の技術を発展させたものです。HVの前提はガソリン車と同等以上の動力性能と走行距離です。ガソリンエンジンとモーターそれと電池を持つHVはある程度以上の大きさが必要で、通常のガソリン自動車と全く違う形状にはならないでしょう。

それでは、将来のEVはHVそして現在の車の延長線上にあるのでしょうか。もちろん将来も時速100キロ以上で500キロも連続して走行できる車の需要はあるでしょう。発達した高速道路網を利用するにはそのような車が求められます。「まだEVの実用化されていない」と言うのは、そのような性能要件を満たすEVができない、あるいはできても極端に高価になってしまうからです。

しかし、EVはHVのようにはガソリン自動車の形状に縛られることはありません。むしろ動力源の特徴を活かすためには、より小型で速度や走行距離がそれほど求められない使い方が向いています。

例えばセグウエイはどうでしょう。一人乗りで自由に動き回るセグウエイにガソリン車の性能を求める人はいません。限られた空間の中ではむしろセグウエイのような形こそEVに相応しいかもしれません。

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セグウエイは一人乗りのEV

セグウエイは日本の法律では一般の道路を走れないのですが、電動自転車は都市の中の自由に走れます。法的な規制が緩まれば、電気を「アシスト」的な存在から電気だけで走らせることも難しくはありません。多額の補助金を付けてもひどく高価になるEVではなく、電動自転車こそEVの未来を示しているのではないでしょうか。

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電動自転車は「実用的」なEV

逆に従来型の車は化石燃料を燃やす方式が当分主流のままだと思われます。その中でHVがどの程度の役割を果たすかは未知数です。電気モーター、ガソリンエンジンそして電池という重荷を背負い、技術的にも複雑なHVがそのまますんなり主流になるとは思えません。

逆に減速時に充電を行う回生ブレーキやアイドリングストップなどHVの個別技術をガソリン車が採用してきていると言う事実もあります。もしかすると全てのガソリン車が燃費向上の補助のためにHV化していくことも考えられます。それこそがトヨタの思惑なのでしょう。一つの賭けではありますが。
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