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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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アロウの一般可能性定理
A>BでB>CならA>C。当たり前ですね。数学でなくでも、「肉のほうが魚より好き、野菜より魚が好き、もちろん野菜より肉が好き」ということになりますが、これを推移律と言います。当たり前みたいなのですが、この推移率は複数の人が意思決定を行おうとすると一般には成立しません。

今、美人コンテストの最終段階でX嬢、Y嬢、Z嬢の3人の美女が残ったとします。審査員も3人いて、それぞれ順位をつけてます。
 A審査員 X>Y>Z
 B審査員 Z>X>Y
 C審査員 Y>Z>X

B審査員はZ嬢を断然押していますがこのままだとZ嬢に決まるかどうかわかりません。そこで一計を案じ「X嬢とY嬢とどちらがいいかな」と問いかけます。Y嬢の方が良いと思っているのはC審査員だけですから、X嬢が残ります。そこで「Z嬢とX嬢のどちらかいいかな」と聞いてみます。そうするとX嬢の方が良いと思っているのはA審査員だけですから、Z嬢に1位が決まってしまいます。

この類の話は経済学者や論理学者のおもちゃとしては面白いのでいっぱいあるのですが、少なくとも複数の案件を複数の人で順序付けなどの意思決定をしようとすると大きな落とし穴に落ちる可能性を示しています。一般的には多数決で物事を決めると、決め方で思わぬものが選ばれることがあります。よくあるやり方ですが、「過半数を制するものはない場合上位2つで決選投票」という方式のとき、1回目の投票での最大得票者が選ばれる確立は候補が10以上あると5割程度になってしまいます。つまり、一発勝負で決めるか上位二者決選投票方式にするかで結果は大きくずれるのです。

小泉首相の郵政解散はそのような意味で意思決定のプロセスを自分の有利なようにコントロールした典型的な例でしょう。本当は民主党の岡田代表の言ったように「もっと大切なこと」は山ほどあるのですが、先ず「郵政民営化に賛成ですか?」と聞いて、選挙には先ず勝ってしまう。後の意思決定は、その票数の差をベースに別個行う。誰が考えたのか知りませんが、民主主義の操縦としては大したものとしか言いようがありません。

そもそも「民主的」とはいったいどのようなことを意味するでしょうか。これには学問的には定義があって、個人の選考の自由、全員一致の決定への服従、決定事項以外の事項に決定は影響されないという3つの原則を満たすことになっています。どれも当たり前のような三原則ですが、実は3原則すべてを認めると「一人の人の 決定に全体の決定が左右される」つまり独裁者の存在を許すという結論が論理的に導かれます。これはアロウの一般可能性(または不可能性)定理と呼ばれる有名な理論で、アロウはこの理論でノーベル経済学賞を受賞しています。

話が小難しくなりすぎましたが、意思決定やり方次第で結果が左右されるということは、もっと広く理解されてしかるべきでしょう。意思決定だけでなく世論調査も質問の方法、順序により大きく結果が異なるのは容易に想像できます。これから議論になりそうな、憲法も部分修正、一部解釈変更、全面書き換えなど多々選択肢があり、もって行きかたに結論はまったく違ってくるでしょう。
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テーマ:意思決定 - ジャンル:政治・経済

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