ビジネスのための雑学知ったかぶり
ビジネスでも雑学は重要! 知っていると少しは役に立ったり、薀蓄を自慢できる話題をご紹介
プロフィール

RealWave

Author:RealWave
Twitterアカウントはrealwavebabaです。

馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

ご連絡はrealwaveconsulting@yahoo.co.jpまで

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

お客様カウンター

Since 2009/10/21

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ブルーオーシャンを求めて
blue_ocean.jpg


昨年2006年のアマゾンのビジネス書ベストセラーの11位はINSTEAD(パリにあるビジネススクール)教授のW・チャン・キム、レネ・モボルニュによる「ブルーオーシャン戦略」でした。ビジネス書とはいっても、ベストセラーの上位に並ぶのは「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか」などのハウツー物、入門書的なものが多い中で、企業戦略策定のためのメソドロイーを正面から書いた、それも翻訳本が売れるというのはかなり珍しいことです。

ブルーオーシャン戦略というのは、血で血を洗うような競争(レッドオーシャン)ではなく、競争のない新たな市場(ブルーオーシャン)の創造を目指すというものです。著書の中ではブルーオーシャン戦略に成功した例として、イエロー・テイル(ワイン製造)、サウスウェスト(航空輸送)、シルク・ドゥ・ソレイユ(サーカス)などがあげられています。
ChanKIM..jpg
W・チャン・キム(左)とレネ・モボルニュ(右)

それではブルーオーシャンである競争のない市場をどのように見つけ、作り上げるのか。キムとモポルルニュはいくつかの、方法論や考え方のフレームワークを提供しています。それらは恐らく実際にそれなりに役に立つと思われますが、競争相手のいない市場創造の方法論というものは、アイデア創造のハウツーと同じで、その通り実践したからといって、自動的に答えが導かれるようなものではありません。

それでも、ブルーオーシャン戦略は26ヶ国語に訳され日本だけでなく世界中でベストセラーになりました。その大きな理由の一つにブルーオーシャン戦略以前に企業戦略論の主流であった(今でもそうでしょうが)、マイケル・ポーターの競争戦略の影響があまりにも強かったことが考えられるでしょう。

ポーターの戦略論は企業は製品を競争という観点からポジションニングすべきだというものです。製品が市場で成功するためには競争を勝ち抜く必要があり、勝ち抜くためには競争にもっとも有利なポジションを製品は占めなくてはいけないというのです。

ここまではある意味当たり前なのですが、ポーターは競争は同業他社だけでなく、バリューチェーン(ポーターは企業内の活動についてもバリューチェーンの考え方を提唱し、バリューチェーンはそちらの意味で使うことが多いのですが、ここでは企業間でバリューチェーンを形成していると考えます)、サプライヤーや顧客とも生じることを指摘しました。ポーターは同業他社、サプライヤー、顧客にさらに(将来の)新規参入者、(可能性としての)代替製品の5つの競争相手、5フォーシズというフレームワークで競争を分析すべきであるとしました。

5フォーシズのフレームワークで競争を分析するというのは確かに画期的で、ここから市場の中で価格で競争するのか、付加価値で競争するのかという選択や、市場のセグメンテーションをどのように行うかという問題にも、より明瞭な分析とアプローチが可能になりました。
michael-porter-2.jpg
マイケル・ポーター


しかし、ポーターは決して、血で血を洗うような競争を勧めていたわけではありません。むしろ製品のポジショニングを分析することで、もっとも利益が多くなるような戦略を探ろうとしたのです。その意味でポーターは一つの市場に横並びで参入し、最後はコスト競争に陥りがちの日本企業を「戦略がない」と言って批判しています。

それでもポーターの代表的な著作の「競争優位の戦略」などを読むと、競争こそが全てという立場が徹頭徹尾貫かれています。競争に勝つための方法論はビジネスというより本物の戦争の戦略論のように、相手の経営陣の性格まで分析するという徹底したものです。

ポーターは単純な競争原理主義者ではないのですが、彼の企業戦略の中心が競争戦略というのは確かでしょう。ブルーオーシャン戦略は、その点ではポーター流の戦略論へのアンチテーゼだということはできるでしょう。

ポーターは競争に勝つには、コストで勝つ、差別化で勝つ、集中化で勝つ、の3つの戦略があるとしましたが、ブルーオーシャン戦略はその中の差別化戦略とよく似ているように思えます。しかし、ポーターの差別化戦略は別の市場を作るというのではなく、その中で非価格的競争力により競争に勝とうとするものです。

差別化戦略では製品の機能を増やす、ブランド価値を高める、品質を高めるという、一般には付加価値を高めることで市場で勝ち抜いていこうとします。しかしブルーオーシャン戦略は必ずしも高級化を求めるものではありません。

サウスウエスト航空は大手が無視していた地方都市間の路線を使用料の高いハブ空港を使わないことで安価に実現することで新しい市場を作り出しました。ここでサウスウエストはコスト戦略をとったわけでもありません。機種の統一や様々なコスト削減は新しい顧客層を開拓するために必要だったのであり、大手に勝つためではありません。地方都市間や不便だが安価な空港を使うことで、新しい航空旅客を作ることに成功したのです。

ブルーオーシャン戦略は確かに素晴らしいのですが、そこには「簡単に競争がない市場が見つかればね」という但し書きがつきます。もちろんこれは競争のないブルーオーシャンを追求するのが無駄だと言っているのではありません。そもそも簡単に誰でも思いつくような市場では競争がないはずがありません。

むしろ問題なの本物のブルーオーシャン市場の多くは、最初は規模が小さいことです。なかには新しい製品やサービスが潜在的な需要に火をつけて、いきなり巨大な市場が形成されるということもあるかもしれません。しかし、そのような場合は沢山の競争相手を引きつけて、ブルーオーシャンがたちまちレッドオーシャンになりかねません。

また、ポーターの5フォーシズの視点で考えると、ブルーオーシャーン市場でも、サプライヤーや顧客との競争関係は存在します。つまり、「同業他社」というものはいなくても、市場自身が小さいため、サプラヤーに対し強くなれないということは考えられます。たとえば、制御用の半導体を半導体メーカーが安くは作ってくれないといったようなことは、同業他社がいないためにおきがちなことです。

市場が未成熟なときにどのような戦略をとるべきか。コンサルタントのジェフリー・ムーアは製品市場の成熟度に応じて戦略を柔軟に変えていく戦略論を「ライフサイクル イノベーション」で展開しています。ジェフリー・ムーアはシリコンバレーのハイテク企業を中心にコンサルティングを行っていることもあり、新市場の創造をイノベーションを中心に考えています。この点は顧客視点で新市場を作ろうというブルーオーシャン戦略とは違いますが、市場自身を育成するという点では、補完的な関係にあるといってもよいでしょう。

戦略論ではマイケル・ポーターのポジショニングに基づく競争戦略と並んでジェイ・B・バーニーの資源ベースの戦略論が有名です。資源ベースの戦略論では企業の組織に根ざした競争力がもっとも強力であると考えます。バーニーの戦略論はポーターのポジショニング論が外的環境に注目するのに対し、内的要素に着目するもので対照的ですが対立的ではありません。

資源ベース戦略で考えると、ブルーオーシャン戦略を長続きさせるためには、市場が未成熟な間に市場のリーダーシップを組織力に組み込む必要があります。ブルーオーシャン戦略で代表的な成功例とされている、シルク・ドゥ・ソレイユは従来型のサーカスとは一線を画する芸術性の高さや演目の豊富さにより、新しいサーカス市場を作りましたが、これは団員の能力によるところが大きく、また大きいからこそ長い間競争の少ないブルーオーシャン市場を独占することができました。

しかし、ムーアのライフサイクルの考え方によると、競走上優位な組織力は製品のライフサイクルによって違ってきます。組織力とは言っても、高度の開発能力、強力な営業能力、高品質の製造能力、効率的なサプライチェーン運営力と色々あります。どれも重要ですが、何がキーになるかは、自社のコンピーテンシーや競争関係だけでなく、市場の成熟度によっても異なってくるのです。

市場が未成熟なうちは、製品機能の全てを自分で提供する必要があり、開発能力が重要です。市場が成熟しコモディティー化するとモジュール化が進み外部依存するすることが可能な部分が多くなり、営業力やオペレーションの効率性がより重要になってきます。デルはオペレーションの効率の高さで市場をリードしてきましたが、PCの主軸がノートブックに移り、単純なコモディティーから差別化が求められるようになって開発力の弱さが弱点になってきました。

当たり前ですが、ブルーオーシャン戦略、ポジショニング戦略、資源ベース戦略など色々な企業戦略論の多くは、ある特定の状況、課題に対する切り口を与えても、一つだけで全てを解決できるというわけではありません。少なくとも「xxxはもう古い、これからはyyy」式の言い方は戦略論では適当ではありません。

こんなことは当の戦略論の提唱者自身が一番よくわかっているのではないかと思うのですが、ブームはブームとして起こってしまいます。ブームに集まる人の多くは、眉にツバをつけながらも、「万能薬がついに現れたか」という期待で新しい戦略論に耳を傾けます。
cirque_du_soleil1.jpg
シルク・ドゥ・ソレイユはサーカスに芸術性を持ち込んだ


万能薬はありませんが、有名な戦略論はどれでもきちんと適用すれば、企業が自分自身を分析する鏡としては機能してくれます。まずいのは、色々な戦略論を中途半端に食い散らすことです。ダイエットと同じで、どんな方法も効果を得るにはある程度、徹底して実行する必要があります。

しかし、一番いけないのは一つの戦略論をドグマのように信じ込み、現実が適用範囲から外れてしまっているのに気がつかないことです。ブルーオーシャン戦略も市場がコスト競争や付加価値競争が行き詰った時には有効ですが、市場が未成熟なうちは焦点を失わせてしまう危険があります。

食べ物と同じで、戦略もバランスよく体調に合わせて摂取しましょうということなのですが、これはこれで難しいかもしれません。難しいならいっそのこと流行の戦略論に惑わされないように、「戦略論なんか意味ないよ」と実務一筋に邁進するという手もあるかもしれません。カリスマ的な経営者だったGEの元CEOのジャック・ウェルチも「戦略論には興味がない」と言っていました。と言って、誰もがジャック・ウェルチほど自信が持てるわけでもないでしょうが。
スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://realwave.blog70.fc2.com/tb.php/101-85219c2f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

モンサンミッシェル魅力的ですね

モンサンミッシェルについて紹介しています。 モンサンミッシェルの魅力【2007/03/15 20:00】

サウスウエスト航空サウスウエスト航空( -こうくう、Southwest Airlines、ニューヨーク証券取引所|NYSE:LUV)はアメリカ合衆国テキサス州ダラス|ダラス市を本拠地としている航空会社である。保有機数では規模別の航空会社一覧|世界で5番目に大きな航空会社である。格安航 世界の企業【2007/11/12 17:43】

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。