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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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アメリカ下院本会議で慰安婦決議案可決
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アメリカ下院本会議は7月30日(日本時間で7月31日)、日本政府の公式謝罪を要求する「慰安婦決議案」を満場一致で可決しました。この種の問題に深入りすると、ネットの世界では炎上の元になったりするのですが、以前このブログで取り上げたことがあるので(従軍慰安婦問題をフェルミ推定で解くと)、成り行き上(?)もう少し考えてみます。

決議案(原文)では第2次世界大戦中、日本が占領地から強制的に若い女性を連行し、「性奴隷」にしたとして、「20世紀最大の人身売買事件」と日本を断罪しています。決議文では慰安婦の数が20万人におよんだこと(この数は疑わしいというのは当ブログで解析した通りですが)、日本の教科書でも正しく教えていないことなどにも言及されています。韓国などの慰安婦問題を非難してきた従来からの意見に沿ったもので、日本の弁明は全く効果がなかったということがわかります。

なぜこんな決議案がしかもアメリカ下院で全会一致で決議されてしまったか日本人にはわかりにくいのですが、大きな要因となったのは決議案を出したホンダ議員が認めているように(朝鮮日報:慰安婦決議を推進したホンダ議員に聞く)にアメリカの韓国人、韓国系アメリカ人のコミュニティーの活動であるのは確かです。

一方、日本政府もロビー活動をそれなりに熱心に行い、以前何度か同様の決議がされそうになったときも、本議会に上がる前につぶしてきたのですが、今回はうまくいきませんでした。この問題をアメリカを舞台にした日本と韓国の外交戦争と考えると日本は完敗してしまったわけです。

今回下院で日本非難をする決議案が全会一致にまでなってしまった原因の一つに、6月14日ワシントンポスト紙に日本の立場を説明する意見広告掲載があったという見方があります。このことについては意見広告の中心人物の一人の花岡信昭は強く反発しているのですが(我々の国家はどこに向かっているのか)、決議案の発議を行ったホンダ議員は朝鮮日報とのインタビューなどでそのように認識していると述べています。実際のところどうなのでしょうか。

結果を見ると、ワシントンポストの意見広告が決定的とは言わないまでも、可決への最後の一押しになったことは確実に思えます。この意見広告は日本の国会の与野党44名が賛同者として名を連ねているのですが、国会議員の名前が沢山入ったことで、日本が国家的に頑なに第二次大戦中の戦争犯罪を否定していると思われることになってしまいました。花岡は意見広告は花岡他4人(屋山太郎、櫻井よしこ氏、作すぎやまこういち、西村幸祐)が中心で、国会議員は「賛同者」の立場だとしているのですが、裁判でもない世論形成のプロセスではあまり説得力はありません。

意見広告を出した人たちは「言うべきことを言わないと間違った日本観が定着しかねない。」ということだったのでしょうが、少なくとも結果は意図とは逆になってしまいました。
20070808164102.gif


上の図は「老婆と貴婦人」と名づけられた絵です。この絵を見て「老婆の顔を描いている」と言う人と、「貴婦人の後姿を書いている」と言う人がいます。どちらも間違いではありません。絵はどちらにも見えるように描いているのです。しかし一度、老婆あるいは貴婦人と思い込んでしまうと、別の見方をするのは簡単ではありません。

慰安婦問題も「日本は悪い」と思うか「日本は悪くない」と思うかで全く違って見えてきます。「いや、そんなものの見方なんという話ではないんだ。事実は事実なんだ、」と決議案に賛成の人も反対の人も言うでしょう。しかし、意見広告の中の「慰安婦の中には佐官級の収入を得ていたものがいた」という主張も、意見広告を出した人には性奴隷ではないという裏づけと思えても、「日本は悪い」と思っている人には、「ソープランドでの稼ぎは医者や弁護士を上回るから立派な職業だ」と言っているのと同程度の屁理屈に聞こえてしまいます。

慰安婦問題を日本を擁護する立場で発言、活動している人たちも、韓国を中心とした日本非難を行っている人たちも、相手を「事実を勝手に捻じ曲げて自分の利益のためにプロパガンダをするとんでもない悪党ども」だと思っているようです。相手を悪党だと思っているので、正しいことを強く主張し続ければ、中立的な人たちは自分を理解してくれるはずだと思い込んでいるのです。

実際には北朝鮮のように拉致問題と慰安婦問題を人権侵害という土俵で打ち消してしまおうとするように、慰安婦問題で直接的に利益を得ようとする立場はむしろ例外です。少なくともアメリカ下院が全会一致で日本非難を行ったのは、韓国系アメリカ人の票目当てというより、「単純な正義感」で賛成したと考えるのが妥当です。そして、ワシントンポストに載った意見広告は、この単純な正義感に火をつけてしまいました。

慰安婦問題、そして南京虐殺(ホンダ議員の次のターゲットは南京虐殺に対する日本の謝罪要求だという観測が広がっているようですが)も日本の悪行の証拠とみなされているものに怪しいものが多いのは事実です。どちらの事件も被害者の数を20万人としていますが、実数は10分の一か、もしかすると百分の一かもしれません。だからと言って、それらに一つ一つ意見広告のような派手な形で反駁することは、少なくとも日本に対し有利な結果を収めることにはならないでしょう。

それではどうすればよいのでしょうか。 まず、必要なのは利害関係のない人は、一般には被害者側の意見に共鳴しやすいということを理解することです。日本でも公害、薬害エイズ、原爆症などの被害者が運動を起こすと概ね世論は被害を受けたとする人たちに同情的になります。「そういう事件は被害者側の言っていることに理があるが、慰安婦問題や南京虐殺は違う!」と怒り出す人がいるのが目に見えそうですが、普通の人は証拠を精査せずに、報道だけをもとに被害者側に同情的になりがちだというのは一般的な事実です。そして報道はえてして「弱者」の味方です。

このような状況でうかつに細かい理屈で反論するとへ理屈ように取られ(「光市母子殺害事件」の弁護団もそうですよね)、世の中は反感を持ちます。公害を起こした会社や、厚労省は「科学的根拠がない」と口癖のように言いましたが、「証拠がないのは悪いと解釈する」というのが大方の世論の反応でした。

慰安婦問題も連行された「性奴隷」の実際の数が20万人の10分の一だろうが100分の一だろうが、現代の社会で起きればとんでもなく沢山の被害者がいたのは確かで、そのうち何人かをテレビカメラの前に引き出せば、真実とは別に被害のリアルな印象を一般に与えることができます。数字だけで20万人というのは「国家予算が80兆円」というのと同じで実感はありませんが、深い皺を刻んだ老婆の叫びを「あれは買収された、ただの元売春婦さ」とは世の中(この場合はアメリカ下院議員)は思いません。

今もう一つの「老婆と貴婦人」があります。慰安婦問題に関する河野談話です。河野談話は慰安婦を「残虐非道な日本は無理矢理若い女性を徴用された性奴隷」と思うか、「軍による組織的な売春の提供者」と思うかでまるで違って解釈できます。そして、一度見方が固定すると別の見方は想像もできなくなるのです。もし本当に慰安婦問題を世論形成を日本に少しでも有利にするという形で解決したければ、アメリカ下院議会(およびアメリカののマスコミの多く)「老婆と貴婦人」の絵に違うものを見ていることを認識しなければいけません。

慰安婦問題に意見広告を出した花岡、桜井などの書いたものを読むと、「中国、韓国は戦略的に日本を攻撃しようとしていて、慰安婦問題でも何でも事実を平気で歪曲しようとする連中だ」と思っているようです。この見方が正しいかどうかは別として、相手は中国、韓国ではなくアメリカそして韓国、中国、日本の一般の世論です。相手を悪党呼ばわりして頑張っても説得力はありません。普通に考えれば慰安婦問題も南京虐殺も加害者側は日本なのです。

日本を「加害者」と断定したことに反発を感じるのなら、20万人ではなくても少なくとも相当数の人が日本にひどい目に合わされた。人生を狂わされたとことは間違いないことを理解すべきでしょう。日本の裁判所やアメリカ議会で騒いでいる老婆を「嘘つきの売春婦」と言うなら、本当にひどい目にあった女性を一人でも二人でも探し出して、きちんとつぐなったらどうでしょう。意見広告を出す金があれば、そちらのほうがよほど日本への尊敬と信頼を勝ち得るはずです。

つぐなうと言っても、第二次大戦中の戦争被害者や朝鮮半島の人への賠償はそれなりに国家間でけりがついていて、政府レベルでは難しいことが多いのでしょうが、薬害エイズやらい予防法での差別の問題は、政治的に解決してきました。「日本は悪くない」と相手を納得させる理屈をひねくりだすより、そちらのほうがずっと簡単でしょう。

誤解を受けるといけないので断っておきますが、これは慰安婦問題を金で解決してしまえと言っているのではありません。「老婆と貴婦人」のように同じものを違った見方をする相手と話し合うときは、相手の視点に合わせてそれを認めないと話が進まないということです。「悪くないだから何もしない」では理解してもらうことはできません。

誰でも自分のことを悪し様に言う人に好意を持つことは難しいでしょう。しかし、相手の思い込みは何らかの理由があるはずですし、相手の思い込みから出発して事実を見直すと相手の言い分も理解できることも多いのです。「悪くもないのにそんなことできるか」と言いたくもなるでしょうが、アメリカ下院での日本を非難する慰安婦決議案可決は、当面の戦いで日本が負けたという事実を示しています。戦いに負けたら「反省すべきは反省する」とわが首相も言っているではないですか。
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謝罪した方が
 この件は謝罪した方が良いものと考えます。こと既に遅しという気もしますが。今はある意味チャンスだと思います。この大不況下では、日本政府がそんなに賠償金を支払うことが出来ないことは、彼らにとっても明明白白だからです。それにお金よりも心情的な要素が大きいでしょうし。
 当時流行した帝国主義に後乗りして、貧乏くじを引かされることに対する反発も理解できますが、あのような世界大戦はもうないであろう現実の前では、取るべき責任は取った方が、歴史的な評価は高くなると思います。
【2009/04/21 13:11】 URL | 桃栗 #6BZoi3no [ 編集]


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