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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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櫻井よしこの「南京事件捏造論」について
前回の「櫻井よしこ 反中の論理と非論理」について、「櫻井は南京事件、慰安婦問題を捏造だと言っている」と指摘したことに対し、「そんなことは言っていないのでは?」 というコメントをいくつかいただきました。

南京事件については櫻井のブログ記事「 存在しなかった『南京大虐殺』を材料に いまだ日本非難を続ける中国の戦略 」で、そのまま「存在しなかった」と題名で書いているように、全面否定です。

慰安婦問題は同じくブログ記事で「 慰安婦問題の意図的歪曲に沈黙は禁物 事実をもって反論する勇気が必要 」で「歪曲」という言い方で事実上全面否定しています。正確に言うと「強制」「性的奴隷」という点が間違いだと言っているわけですが、櫻井自身が読者に慰安婦「問題」はなかったと言いたいのです。これは櫻井に悪意のある読み方ではなく、櫻井の期待する読み方でしょう。

現在のソープランドでも借金で「強制的」に「性的奴隷」(借金の返済でただ同然という意味ですが)として働かされる女性はいくらでもいるわけですから、全面否定は、常識的には難しいでしょう。ただし慰安婦20万人という数の信憑性は、それとは別の議論です(「従軍慰安婦問題をフェルミ推定で解くと」)

コメントに「この記事は公平に櫻井さんのことを書いているとは到底思えませんね。」というものもあったのですが、公平かどうかは別にして、櫻井の言いたいことはできるだけ正確に拾い上げたつもりです。「全面否定」というのは、櫻井の言い分に理解がある受け取り方だと思うのですが、いかがでしょうか。

(追記)
ちなみに「 存在しなかった『南京大虐殺』を材料に いまだ日本非難を続ける中国の戦略 」で櫻井は、ミャンマーのカチン州の女性たちの訴えとして、「カチン族の女性たちが中国に売られ、杭州、湖南、南京、北京、長春など、中国全土に送られて売春などを強要されているという。 」と言い、「売春などを強要」と中国を厳しく指弾しています。

ここで中国を櫻井が非難する道徳水準で、戦時中の慰安婦問題を見るとどうなるのでしょうか。また、日本の軍、政府の関与は、この現代中国のミャンマー女性への売春強要問題と比べてどうなのでしょうか。どう考えてもこれはひどいダブルスタンダードです。

「南京大虐殺」を捏造というのも、「大虐殺」を20万人以上の殺戮と定義してしまえば、「存在しなかった」可能性大です。しかし、多くの研究者の1-2万人という死亡数の推定、虐殺、強姦の外国人の目撃談などから、相当規模の虐殺があったのは、ほぼ事実です。

国際社会で「20万人は嘘だ」と主張しても、「「1万人殺す」より嘘をつく方が悪い」とは思ってくれません。もし、櫻井のこの問題での中国批判が厳密な歴史研究者という立場での否定であれば、アジテーター的な発言は慎むべきでしょう。

こちらもご参照ください。

南京事件という物語
従軍慰安婦問題をフェルミ推定で解くと

(追記の追記)
櫻井の論理を注意深く分析すると、先入観に基づく独断 (中国が日本を併合しようとしている)、根拠のない断定 (南京虐殺はなかった)、陰謀論への安易な依存 (真珠湾奇襲はルーズベルトに仕組まれた)、論理のすり替え (相手の論旨に少しでも誤りがあれば全部嘘)だらけです。そして、主張はきわめて偏狭で、ほとんどヒステリックな国粋主義です。

このような人間の発言がなぜ広く支持を集めるか(必ずしも極端な国粋主義者ばかりが支持層ではありません)、不思議といえば不思議です。しかし、テレビなどで櫻井の独特の語り口を聞くと、とても論理性のない偏狭なナショナリストには見えません。

おそらく、長いこと「お前の親は犯罪者でお前もその遺伝子を受け継いでいる」と言われてきた人が、やさしく「いいえ、あなたのお父様は大変立派な方でした。お父様を悪く言う人のほうが悪人なのですよ」と言われて安心させられるのに、喜んでいるのでしょう。 確かに、櫻井の優しい口調と主張の断固たる強さは、ある種の母性の理想像かもしれません。

自虐史観という言い方が適切かどうか知りませんが、日本の左翼陣営が日本の過去を悪く言うことを自分の論理(たとえば反自衛隊、反米など)に利用してきたことは事実でしょうし、中国、韓国なども日本への強力なバーゲニングパワーとして歴史認識を使ってきたことは確かです。

だからと言って、櫻井のような分析すればほとんど無茶苦茶な論理展開の持ち主に、多くの人が傾倒するのはいささか肌寒い思いがします。諸外国に謝罪するにしろ、断固譲らないところは譲らないにしろ、冷静な事実認識と論理性を持つことは必要です。なにしろ、考える時間は山ほどあったはずですから。
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この記事に対するコメント

いやいや、だから櫻井さんは「南京"大虐殺"」を否定しているんですよ。
南京戦そのものは否定していないのでは?
南京の人口の推移や、段階的に犠牲者数が不自然に増加しているのは子供が見ても変だと思いますが。更に中共の捏造が追い討ちをかけてますよね。
左寄りが幅を効かす日本で、櫻井さんのような右寄りの意見は少数です。
このバランスが取れない限りは自虐史観は続くのかもしれませんね。
【2008/02/01 01:26】 URL | 匿名 #MGuVLNQM [ 編集]

コメントへのご返事
南京事件 (コメントでは「南京戦」ですがこれが存在したのは、太平洋戦争があったというのと同じくらいの「事実」です)はあったが「南京大虐殺」はなかったといういうわけですね。

この件についてはhttp://realwave.blog70.fc2.com/blog-entry-139.html#comment32で書きましたが、コメント氏へ質問したいのは、「大虐殺」の定義です。20万人が嘘だということや、言うたびに数字が増えるというのは、「大虐殺」の否定にはなりません。

20万人でなくても千人どころか百人殺しても大虐殺です。1-2万は虐殺されただろうというのが、多くの研究者の見解です。これは「大虐殺」ではないのですか?
【2008/02/01 05:45】 URL | Realwaveconsulting #- [ 編集]


私も中国政府の言う「30万人殺害」という数字は誇大であると思います。
ただ最近の保守派は明らかに「南京で虐殺は無かった」という方向へ
話が向かっているのではないでしょうか。
「30万人という数字はウソ」 → だから中国の言う事は全てウソ
「慰安婦を強制したのはウソ」 → だから朝鮮の言う事は全てウソ
つまり一部の誤りを捉えて全体を否定するという論法です。
ここは事実と事実でないことを分けて整理する必要がありますね。
【2008/02/02 16:25】 URL | KS #- [ 編集]


大虐殺といわれるような「事実としての現象」があったということと、それが「日本国の戦争犯罪」であるかということと、話を分けて考える必要があります。
たとえば、実際に市街戦が起こり、私と友人が談笑しつつ歩いており(もちろん民間人です)その隣を歩いている軍人が突如狙撃されて「ぎゃっ」と悲鳴をあげ、それを無視して私たちは談笑を続ける、という光景が、果たしてあり得るものなのか。
で、仮にそれを「あり得る」として(それどころか、それが正しい姿だと仮定しなければならないのですけれど)その上で「南京大虐殺事件」があったとします。そうしますと、それは戦争犯罪であり、日華条約と日中共同宣言で解決したことであるでしょう。
同様のことが、従軍慰安婦問題でも言えるでしょう。あることが「起きた」ということと、それが「国家の犯罪である」ということ(暴走した個人がやったのなら、国に監督責任はあるとしても、事件そのものを起こした責任はその個人のものであることは明らかですので)そして、それが外交上決着したものであるということ、それぞれの論点を整理しなければならないでしょう。
なお、道義的問題ということでしたら、その時点で存在していなかった戦後生まれの日本人になんの責任もなければ、反省する必要もないことは明らかです。
「親が犯罪者だから子供も反省しろ」では、江戸時代の封建主義にも劣るでしょうから。
【2008/02/06 12:59】 URL | MM #n08XGfOg [ 編集]


櫻井の論理展開は、南京事件や慰安婦問題に対する、日本国家の犯罪性、あるいは国家の犯罪があったとした時の子孫としての日本国民個々人の責任などの議論のはるか手前で、それらの存在自身を否定するものです。

コメント氏は南京事件、慰安婦問題の実態がどのようなものであるにしろ、日本国、まして現在の日本人個人の責任を云々するのはおかしいというお考えだと推察しましたが、ある意味日本人としては自然な反応だと思います。

しかし、櫻井の論理はそのような感情に付け込んで、事実の否定さらに「日本を責める方こそ悪人」という理屈(これも自然には受け入れやすいのですが)で中国を悪者に仕立てているのです。

日本の戦争犯罪が決着したのか、あるいは国家的な戦争犯罪そのものがあったのかということは、十分検討に価することだと思いますが、櫻井のような論理展開では、極めて低レベルの感情的カタルシスは満たされても、物事は悪くなる一方でしょう。
【2008/02/06 15:48】 URL | RealWaveConsulting #- [ 編集]


私の言葉が足りないので、誤解を招いているようですので、いくつか補足させていただくことにします。
まず、南京大虐殺にしろ、従軍慰安婦問題にしろ、基本的に「国家間の問題」としては平和条約が締結された時点で解決されたものである、という主張は「感情」ではなくて「論理」の産物であるということです。感情的には、なお未解決な部分が残るというのは、すべての犯罪において「補償」がされた後の遺族感情と同様であることでしょう。

ついで、中国を悪者に仕立てている、という主張についてですが。私は、桜井氏の主張に対するそのような反応を、むしろ「日本人としては自然な反応」だと思います。しかし、外交上の論理として、すでに解決された歴史の蒸し返しに関しては、たとえば欧州諸国がフランスに対してナポレオンの「侵略」を蒸し返すのと同じですから、そこに「政治的アジテート」の意図がある、という解釈は現実の解として充分成立するものでしょう。
すなわち、桜井氏の主張は、事の真偽の水掛け論(これはこれで議論の対象なのかもしれませんけれども)以後の問題として、この問題を蒸し返す行為自体を『中国側の主張は「政治的アジテート」である、というアジテート』になっているという二重構造にこそ特色があるように見受けられます。
ですから、このような二重構造の把握から俯瞰すると、管理人氏の主張においては、中国政府の「アジテート」には同意しても桜井氏の「アジテート」に乗せられるべきでなく、乗せられるのは「低レベルの感情的カタルシス」だけである、という一方のアジテートから発した「感情的カタルシス」が語られてしまっているように見えます。
(あえて、低レベルの、とはもうしません。そのような物の言い方が、私は好きではないのです)
【2008/02/08 13:02】 URL | mm #n08XGfOg [ 編集]

再びコメント氏へ、
私自身のブログで、櫻井が「中国が、南京事件を含め、すでに解決・合意された戦争での被害を蒸し返し、日本を非難している(と中国を非難している)」ことの是非は論じていません。コメント氏は、その部分にこだわりがあるようですが、その点は櫻井の論を離れて、別途議論、検証すべきことでしょう。
なお、中国や韓国が少なくとも正式には南京事件、慰安婦問題の国家賠償を日本に求めたことはないはずです。いずれにせよ、私の論点はそこにはありません。

櫻井の論理の問題は、そのような国家賠償とは別に、中国の日本併合の野望をかたり、南京事件を捏造と断じるところです。繰り返しますが、南京事件で1万人殺していようが、100万人殺していようが、それが日中間で国家賠償の議論になるかどうかは全然別の話です。

それから私は中国がアジテーションをしていないとも言っていません。私のブログの「南京事件という物語」http://realwave.blog70.fc2.com/blog-entry-123.htmlにも書きましたが、南京事件がかくも重要な出来事になってしまったのは中国のプロパガンダによるものです。冷戦時代のソ連ほどかどうかはわかりませんが、中国が他国への影響力を強めるために、諜報活動、陰謀、アジテーションなど様々な活動をしているのは明白です。

私も感情レベルでは櫻井のようなやり方をする人間が好きではなく、そのため随所に辛口の表現が出ていることは認めます。しかし、ブログの骨子は、あくまでも櫻井の反中論の論理構造の客観的分析を主眼にしたつもりです。
【2008/02/08 13:42】 URL | RealWaveConsulting #- [ 編集]


当時、南京には便衣兵という市民の服をきた兵士がいたということを聞いたことがあります。
その場合日本兵から見たら誰が兵士で誰が市民かの区別はつかなかったんではないでしょうか?(戦争中の不安定な心理状態ならなおさら)
だからもし不運にもそのときに日本兵に殺されてしまった市民も虐殺されたとはいえないのでは?だから南京で虐殺は無かったというスタンスをとっているんじゃないですか?
【2008/03/08 01:44】 URL | むーらん #- [ 編集]


むーらんさん、
「便衣兵」というのは、正規軍ではないので、国際法での捕虜保護の対象ではなかったというのは、理屈としては一応筋が通っています。アメリカもアルカイダなどに同等のスタンスを取っています。 しかし、便衣兵と一般市民の区別がつかないから、一般市民を大量に殺害してよいかというとそうはいきません。

実際はアメリカもベトナムのソンミ村での虐殺やイラクでの数多くの一般市民の虐殺を、ゲリラと区別がつかない恐怖が引き金になって起こしています。南京事件のかなり部分は便衣兵に対する恐れが原因になっていたと推定されます。ただ、これは裁かれる状況になれば罪になります。また、それ以外いの単純な虐殺、強姦が相当の規模あっただろうというのは、広く認識されているところです。

ただ、ナチのホロコーストやカンボジア、ルワンダでの大量虐殺のような、民族浄化的を主目的にした犯罪行為が南京事件の日本軍にあったかというと、私はそれはなかったと思っています。

しかし、南京事件は民族浄化ではなかったというなら、そのように意味を定義した上で、南京での虐殺はなかったというべきです。しかし、意味をそのように定義しても少なくとも数千人以上が殺害され、無数の強姦事件を引き起こしたことは大きな罪でしょう。

南京での虐殺は民族浄化ではなかったいうことは、虐殺の存在をきちんと認めた上でなければ、国際的な理解を得るのは難しいでしょう。
【2008/03/08 13:01】 URL | Realwaveconsulting #- [ 編集]


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