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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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科学は多数決?
このブログ記事の趣旨は全体として今も妥当を考えていますが、地球温暖化に警告を発するIPCCの多数決的な分析手法が問題がないとは言えません。詳しくは「地球温暖化を考える(1):IPCCという官僚機構」をご参照ください。

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ガリレオ・ガリレイ

養老猛が最近のアエラの巻頭文で「地球温暖化キャンペーンの欺瞞」と題して、環境庁の役人が二酸化炭素が地球温暖化の原因だということを「世界の科学者の8割が認めている」と言っていることをとらえて、「科学はいつから多数決になったのだ!」と非難しています。

養老の議論は二酸化炭素を減らしたからといって、温暖化がおさまるということは証明されていないとして、しまいには「そんなに炭酸ガスを減らしたいなら、世界中の石油の元栓を閉めてしまえばいい」と進んでいきます。そんなことはできないので、「地球温暖化キャンペーンの欺瞞」となるわけです。

養老は東大医学部の教授(解剖学)を勤めた偉い先生ですし、「バカの壁」というベストセラーもあって、ある種のオピニオンリーダーですが、最近は「煙草を吸っても死ぬとは限らないので、禁煙はバカバカしい」とか「医者はガン検診は無駄だと思っているから受診しない」など、いささか乱暴な理屈を説く傾向があります。

今回の説もその一つだと思うのですが、「科学は多数決か」という問いかけは、養老が本来は正規の訓練を受けた科学者であったことを考えると、少し突っ込みを入れたくなります。確かに「科学は多数決か」と聞かれれば違うと答えるのが、正解でしょう。

ガリレオ・ガリレイは地動説を捨て去ることをローマ教皇庁に約束させられて「それでも地球は回っている」と言ったと言われています。実際にガリレオがそんなことを言ったかどうかは別にして、世の中の大部分が何を信じていようと、科学的な正しさを否定することはできません。

科学ではなく、道徳や文化ということになると、何が正しいかどうかは絶対的な基準があるわけではなく、どれだけ多数の人がそのことを正しいと思っているかどうかで決まります。絶対的な基準がないので、時代や場所が違えば、正しいことは違ってきます。文化に関しては「郷にいっては郷に従う」のが正しい態度です。さもないと、バカにされたり、場合によっては命をなくしてしまう危険すらあります。

道徳や文化を制度化した法律は、民主主義国家では文字通り「多数決」が正しさの根拠になります。多数決で決まった法律には皆従わなくてはいけません。これに対し科学は「多数がそう思っている」というのは少なくとも「科学的な証明」にはなりません。「親子は似る」と大部分の人が思っていても、その科学的な証明は遺伝子の存在が発見されるまで、できませんでした。

そんな意味合いで言えば、地球が温暖化している原因が二酸化炭素だというのは、DNAがあるから親子は似るというレベルの因果関係は証明できていません。地球は太古の昔から何度も寒冷化や温暖化を繰り返しています。そのサイクルも数か月、数年のものから数億年単位のものまで様々で、原因もよくわかっていません。

過去のことが充分に解明できていないのですから、未来のことを予測するのは困難です。他の条件が全て一定なら、空気中の二酸化炭素が増加すれば、温室効果で地球の気温は上がるでしょうが、二酸化炭素が増加すること自身が色々な条件を変動させてしまうので、そうはいきません。

しかし、世の中で一応正しいとされている理論には、この程度の曖昧さや不確実さを持つものはいくらでもあります。むしろ、物理学のように精密に未来を予測できるような確かさを理論が備えていることは、まれだと言ってもいいくらいです。

その物理学でも、ニュートン力学は相対性理論や量子力学によって根本的には「間違っている」ことになってしまいました。ニュートン力学は長い間正しいと信じられていましたし、正しさや有効性を証明するような現象はいくらでもあったわけですが、間違いは間違いです。

正しいと証明された科学理論といっても、結局はそれらはすべて「まだ間違っていると証明されたことがない仮説」に過ぎません。それではなぜある科学理論は正しいとされ、ある科学理論は間違っているとされてしまうのでしょうか。それは「その部門で多数の科学者が支持する」理論をとりあえず一般には正しいと考えるからです。

理論物理学の世界ではこの20年ほど、超ヒモ理論というものが主流をなしています。今のアメリカの主要大学では、理論物理学の教授になろうとすると超ヒモ理論家であることが、ほとんど条件のようになっています。ところが昔を遡ると超ヒモ理論は、「そんなものに手を染めると理論物理学者としての将来を失う」とまで思われていました。

そこまで、事態が逆転したのは、超ヒモ理論で宇宙の統一理論が作れるのではないかと、多くの理論物理学者たちが信じ始めたためです。しかし、超ヒモ理論は数学的にはエレガントなのですが、どうもエレガント以上のものではないのではないかとも言われています。後20年もすると超ヒモ理論にしがみついていると、大学教授の職を得ることができなくなってしまうかもしれません。いや、何か画期的な理論や実験によって、一夜にして超ヒモ理論はゴミ箱行きになるかもしれません。

科学は多数決ではないとはいえ、科学的な実験手順、論理展開など理論を証明するための方法は厳密に決まっています。その分野の多くの科学者が支持している理論は、それなりに多数の検証を経てきていると考えてよいものです。多数決で理論の正しさを証明することはできなくても、多数が支持しているのにはそれなりの理由があるのです。

地球温暖化にいたる原因、過程は複雑で単純な因果関係で解明するのことはできないでしょう。それでも、地球温暖化によって引き起こされる影響の甚大さを考えると、「完全な証明ができないから何もしない」というのは感心した態度ではありません。因果関係が完全に解明されなくても適度な運動、栄養バランス、規則正しい生活をした方がガンに罹る確率は低そうですし、そうした方がしないより正しいでしょう。

地球温暖化に関しては、政治的プロパガンダ、環境ビジネスでの一獲千金狙いなど、純粋ならざる連中の誇張や、ヒステリックな環境保護派の思い込みなど、捻じ曲げられている部分は多々ありますが、役人が言ったこととはいえ「8割の科学者が二酸化炭素が地球温暖化の原因となっている」から「二酸化炭素と地球温暖化は因果関係があるとみなす」というのは、妥当な見解でしょう。

もちろん、2割は「原因でない」と言っているわけですが、その反対に2割程度は「何をしてももう遅い」と思っているでしょう(こちらの意見はあまり表に出ませんが)。「取りあえずできることからやろう」というのは、温暖化対策が最後は政治と経済の問題にならざる得ない以上仕方がないでしょう。

未来に確定的なことは言えません。確定的なことが言えないので、確率的に考えるしかないのですが、「8割の科学者が言っている」ということと「8割の確率で起きる」というのは全く意味が違います。本当は未来の出来事の確率などわからないことがほとんどです。

ところで星の位置というのは、この世の中には珍しく何年先でも正確に予測できますが、星の位置で運命を占う星占いは、何年先でも占ってくれるのでしょうか。そうなら、地球温暖化も占ってくれるとありがたいのですが。
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