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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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足りないのは資源、それともお金?
暫定税率復活
暫定税率復活前安いガソリンを求める車の列

資源のない日本は危ない!

暫定税率の復活と、原油価格の高騰のダブルパンチで、ガソリン価格はリッター30円以上値上がりしそうです。原油価格は1バーレル100ドルの壁をとっくに超えて120ドル近くになってしまいました。原油が高騰するとウランや石炭も上がります。電力会社だけでなく、鉄鋼会社も材料費の高騰の直撃を受けています。

エネルギーの値段が上がると食料の値段も上がります。現代の農業は肥料、農薬、機械化と石油で作っているようなものです。おまけに、バイオ燃料をトウモロコシや砂糖キビから作ることで、農産品の値上がりは加速しています。さらに、バイオ燃料はトウモロコシの値段だけでなく、農地をバイオ燃料用の作物に転換することで、他の農産物の値段も引き上げてしまいます。

値段が上がっているのは、エネルギー関連や農産物だけではありません。レアメタルと呼ばれる、主に電子部品に少量使用される種々の金属の値段は高騰しています。これらの金属の多くは中国から産出されますが、中国は自国の電子産業の育成のために輸出には決して積極的ではありません。

こうなってくると、昔からよく言われた「狭い国土で資源もなく沢山の人を食べさせていかなければならない」日本の危うさが再び語られるようになってきました。たった40%の食糧自給率、中国など新興国との資源争いは「買い負け」してしまい、必要量の確保も難しい。マグロのトロまで買い負けで食べられなくなりそうです。大トロは回転寿司の店のメニューからは消えてしまいました。

物価高は家計を直撃しますが、テレビのコメンテーターはほとんど例外なく現状を危機だと警告します。「食料を自分で作れない国は滅ぶ」「輸出で稼ぐと言ってもトヨタなど上位20社に依存している」「20世紀は資源がなくても日本は技術で優位に立てたが、21世紀は資源を押さえるものが強い」。このままでは日本国民は飢え死にしかねないような話に聞こえます。本当なのでしょうか。


物がなくなることはない


今から30年以上前、1973年の第一次石油ショックのときは、原油価格は一挙に3倍も上がりました。石油依存度の高かった当時、衝撃は現在とは比較にならないほど強烈で、物価は一年に30%以上も上昇しました。それだけでなく、今でも語り草になっている「トイレットペーパー」騒動が起きます。トイレットペーパーがなくなるというので、消費者がスーパーの店頭に殺到して日本中でパニックが起きたのです。

騒動が一段落して分かったことは、物価は上がったが、品物はなくならなかったということです。トイレットペーパーがなくなるのはトイレットペーパーの工場が止まった時で、石油の値段があがった時ではないのです。もちろんトイレットペーパーの値段がどんどんあがって1ロール3千円にもなったら、よほどの金持ちでもない限り、トイレットペーパーを気楽に使うことはできなくなってしまうでしょう。しかし、それとトイレットペーパーがなくなるのとは違います(事実上同じことだと言いたいかもしれませんが、ちょっと待ってください)。

食料の値段がどんどん上がっていくとどうなるでしょうか。トイレットペーパーが1ロール3千円になったら、買えなくなるように、買えなくなってしまうでしょう。しかし、トイレットペーパーと違って食料品はなくなったら死んでしまいます。

食料品の値段が上がると最初に生死の危険にさらされるのは、60億人の世界の人口のうち、今でも飢餓の苦しめられている人々です。世界で日本より一人当たりのGDPが高い国の人口は多くても5億人くらいでしょうから、日本人は少なくとも平均的には世界の90%の人が飢え死にするような食料の高騰には耐えられる理屈です。食料の値段が上がって世界中で餓死者が続出して世界の人口が半分くらいになってしまたら、きっと食料は余るでしょう。食料の値上がりもそこでお終いです。

物の値段は需用と供給のバランスで決まるというのが大原則です。京都産のマツタケは1本1万円もします。カスピ海のキャビアは1グラム500円位。重さあたりでは、銀より金にずっと近いほど高価です。こんなものを日常的に食べる人は滅多にいないでしょうが、供給もそのわずかな需要に見合った程度しかありません。その値段で需給は釣り合っているのです。

確かに、物の値段が急に上がると、調整には痛みがともないます。気楽に買えたり、使えたりするものが、高値の花になってしまうのです。しかし、高価になれば結局それに見合った需要しかなくなります。昔の日本人は肉を口にすることは贅沢でしたが、今はそんなことはありません。反面多くの「庶民の味」が食卓から消えてしまいました。

材料費の高騰も、需要家に価格転嫁をするまでは、企業の減益になりますが、そのうち値段を上げたり、代替品を開発したりして、落ち着くべき所に落ち着きます。「わが業界は競争が激しく価格転嫁ができない」と嘆く経営者は沢山いますが、問題は材料費の高騰ではなく、競争の激しい業界で差別化もできずにいることです。

材料費の値上がりは皆に平等ですから、長期的には業績に与える影響は中立的です(製品が材料費の値上がり最適化し、材料の節約、代替品との置き換えが進むまでは、マイナスの影響が出る可能性があります)。

物価の値上がりで困る人は、年金生活者のように収入が物価に見合って増えない人々です。昔は、年金も物価で調整してくれていたのですが、最近は物価が落ち着いていることもあり、年金の受け取りは実質減ることはあっても増えることはありません。

いつまでも、低賃金に甘んじていなけれならない派遣社員もつらいのですが、物みな上がる中で人件費が抑えられていると、海外に流出した産業は戻ってきて、その結果賃金も上がるはずです。賃金も需給で決まる物価の一つです。

投機資金は資源の値段を上げるか?

最近の原油価格や天然資源、食料品の高騰の原因の一つに投機資金の流入が挙げられます。サブプライム問題などで冷え込んだ金融市場から、膨大な投機資金が実物市場に流れ込んでいるのです。投機資金の額は、何兆ドルか見当もつかず、思惑で集中的に買い漁りをするので、極端に価格を吊り上げる可能性があります。

しかし、投機資金がいくら短期的に物の値段を大きく動かしても、長期的に需要を増大させることはありません。金やダイヤモンドはまだしも、石油は貯め込んでおくだけで巨額の経費がかかります。まして、食料品は長持ちをするものではありません(日本の商社がマイナス50度の倉庫に海産物を貯め込んだ例がありますが、それでも2年程度が限度です)。買ったものはいつか、それも数カ月の単位で決済する(つまり売る)しかありません。

テレビのコメンテーターの発言を聞いていると、資源を持っている方が売り惜しみで日本を苦しめるのではないか、という心配をよくしています。そんな7並べで、カードを止めるような真似をしても、空売りをかけられると、大変困ったことになります。いくらカードをとめても、パスは3回までしかできないように、売り惜しみをしてもいつかは売らなければならないわけですから、先物市場で空売りをかければよいのです。投機資金(というより先物市場)はむやみに売り惜しみをする輩への対抗手段として機能します。

物の値段を心配しないで、生産性を心配するべき

食料自給率を心配したり(食料自給率の愚参照)、資源を持っていないことを心配する必要は、全くと言っていいほどありません。資源がなくて困るのは、第2次世界大戦のような総力戦で、資源もなしに、資源国に戦いを挑んだ場合です。そんな戦争はこの先ないでしょうし、やれば日本に勝ち目はありません。そんなことは前の大戦で実験済みです。

心配するべきなのは、一人当たりのGDPが世界平均を下回って、食糧が高騰した時に、飢えてしまう側に回ることです。それを防ぐには日本人の生産性を高め、他国との買取競争で値段負けしないようにすることです。食料自給率を上げても意味はありません。農民(人はすべて)は食料を高く買ってくれる人に売るので、自国民だからといって売ってくれるわけではありません。

戦後日本の農民が米を作り続けたのは、政府が国際価格より高い値段で米を買い取ってくれたからです。もし、国際価格が政府の買い取り価格より高くなれば、誰も政府に米を売ろうとはしなかったでしょう。同じように資源ナショナリズムを叫ぶ国も、資源の国有化はしても売り先は高く買ってくれるところです。

国民の生産性を高く維持することこそが、飢えの危機を遠ざける唯一の方法です。どうしてこんな当たり前のことが、当たり前で通らないのでしょうか。ちょっと慨嘆したくなります。

関連記事:
食料自給率の愚 (02/11)
日本は大企業病 (01/21)
ロシアと石油 (07/28)

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この記事に対するコメント

食料の急激な高騰は環境問題の過熱が挙げられるのではないでしょうか。農地も工場みたいなものですから適地よりも総生産性で決まるのだから食料からバイオ燃料作物に転作する例は多いでしょう。

しかし、blog主の仰るように成熟した市場社会では「以前の価格では手に入らない」ことはあっても足りないと言うことも無いでしょう。

マスコミはなんでもかんでも「足りなくなる」と言わんで欲しいですね。
【2008/05/01 12:16】 URL | wood #- [ 編集]

感銘。
どの記事も食い入るように読ませていただきました。
広範囲に渡る深い考察と読み易い文章に感動し一気にファンになってしまいました。
恐縮ながら一つ報告なんですが、
水色のテンプレートは焼きつくようで目が非常に痛いです…笑。
ブラウザはIE7です。失礼しました。
【2008/05/13 20:04】 URL | 名無し #- [ 編集]

はじめまして。食それ自体も不足しはじめてる
んではないかといった話もしばしばきかれるようです。
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=552019921&tid=get953a45a4sa4h8la4ma4a6a1aa&sid=552019921&mid=4624

かって「緑の革命」とよばれた現象の再登場、いわば「第二の緑の革命」が世界中でまちのぞまれてる、といった話なども。
(少し前のニューズウィーク日本語版、ですが(汗)。)しかしながら、”現状は”、中国など特に謙著だが、農村部から都市部への流出は
とどまるところをしらぬどころかますますさらに増加の一途。農村の荒廃のほうがむしろすすんでるかのようでさえある。

となると残りはやはりアメリカや昨年まで「干ばつ」でさわがれてたオーストラリア等世界的規模の農業経営の国々からの供給ということか?
今後もしばらくは。
だがこちらもごぞんじのとおりの「バイオエタノール」。ドルの下落によるインフレやコモディティへの集中的な資金流入ばかりとりざたされがちですが
それらは意外と?今年いっぱいで持ち直す(特に米国経済が?)という楽観説も近頃また強くはなってきている。
(ここ一ヶ月位の間も03年VaRショックの再来か?といわれた四月末から今は全く正反対に?株高債券安。)ただ、もし本当に

そのように世界経済全体が持ち直し、或いは回復したとしても、やはり「全体量は」今後は十分とはいえない(、足りない?)
「第二の緑の革命」がやはりまちのぞまれるという所か?

日本はどうする?これから。ある試算では(現在40%未満の)食料自給率を、あげられてもせいぜいマックス50%、との事。
【2008/05/16 01:32】 URL | 小野 #YmM3ycEw [ 編集]


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