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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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地球温暖化を止めるには(もし本気なら)
GlobalWarming5.jpg


前回は人類絶滅の記事を書きましたが、絶滅シナリオの中で一番対処が可能そうな環境破壊、なかでも地球温暖化に対応することは本当にできるでしょうか。残念ですが、とても簡単とは言えません。

問題1.そもそも本当に地球が温暖化しつつあるのか確信が持てない

地球の温暖化は人間活動による温室効果ガス、特に二酸化炭素の増加が原因と考えられています(詳しくは「地球温暖化」参照)。国連の下部機関のひとつIPCCでは、地球の温暖化が進行しつつあり、しかも深刻な結果をもたらすだろうと警告しています。これには80%の科学者が賛同していると言われますが、それでも「いつから科学は多数決になったのか」などといういちゃもんがはいります(「科学は多数決?」参照)。

少なくとも、地球温暖化の予測が、星の運行を予測するほど正確であるとは言えませんから、地球が一転寒冷化に向かう可能性がないわけではありません。それどころか、大規模な火山の爆発でもあれば、絶望的なほど地球が冷え込むこともありえます。

今では「エコ」という言葉はポジティブな印象を与えますが、ある種の市民運動が持つ、正義感の押し付けのような印象が完全になくなったわけではありません。共産主義が反体制の思想的バックボーンでなくなってしまった西欧社会では、エコがその代わりをしている面もあります。

そのせいか、地球温暖化に疑問を挟んだり、否定的な見解を持つのは、右派系メディアが多いようです。80%の科学者が地球温暖化を認めているということは20%は賛同していないわけですから、「科学的」に地球温暖化に反論する科学者を探すのは難しくありません。

地球温暖化を防ぐために人類の活動を制限しようというのは、産業界にも、個人生活にも相当の犠牲を強いることです。心の底から地球温暖化という危機が迫っていると信じられなければ、心地よい意見にしがみつきたくなる人も出てくるでしょう。「100%確実とまでは言えないけれど、多分地球は温暖化しているので、全力を尽くして二酸化炭素排出量削減に邁進しよう」というのが本当のところです。確かにこれでは力がはいりにくいかもしれません。

問題2.地球が温暖化して何が悪いのかよくわからない

本当に地球が温暖化するのかということが一点の曇りもないかいうとそうでもないと同様に、地球が温暖化するとどのような問題が起きるかもはっきりしません。北極海の氷が溶けて白熊が絶滅しそうになっている映像を見ると心が痛みますが、「人間は白熊じゃない」のは確かです。

年の平均気温が何度か上がると、日本でもマラリアを媒介するハマダラカが生息できるようになるなど、熱帯、亜熱帯の伝染病が増える危険があることは間違いありません。しかし、シンガポールのように熱帯の気候でも文化水準が高ければ、熱帯性の伝染病はそれほど恐れる必要はありません。

北極の氷が溶けると海面が上昇するなどとうっかり言うと、「水に浮いている氷が溶けても、水面は上昇しない」と突っ込まれるように、南極の氷が溶け出さない限り、海岸沿いの大都市が全滅するような事態は起きそうもありません。南極の氷に関しては、温暖化で降雪量が増えてむしろ増加するという説もあり(ふたたび「説」ですが)、海面上昇がどこまで危険なのかは、控えめに言っても一致した意見はありません。

もっとも海面上昇に関しては、パラオのような海面近くに国土の大部分がある南太平洋の諸国では深刻な問題になってきています。ただ、これはもちろん北極の氷が溶けたせいでなく、主として温暖化で水温が上がって膨張したためだと思われます。少なくとも東京やニューヨークが水没しそうな危険が迫っているようには見えません。

気候変動で大雨や旱魃が増えるような異常気象の増加も心配されています。農業や都市のインフラは安定した一定の気候を前提にしていますから、気候の変動で農業が大きな被害を被る場合もあるでしょう。しかし、温暖化のおかげでイギリスでは地中海地方のようにワイン生産が可能になってきました。 気候変動が必ずマイナスとは限りません。

地球温暖化で農業生産が大幅に低下する予測が出てきますが、あくまでも気候変動に対し何の工夫も対策も行わなかった場合の話です。実際には人間は色々な対応を試みるでしょうから、農業生産がどこまで低下するかは予測は難しいでしょう。

地球温暖化で気温が現在より何度か上がると、どうもロクでもないことが起きそうな気はしますが、「人類絶滅」とまではなかなか思えないというのが、ほとんどの人の感じ方でしょう。本当に怖いのは何が起きるかと十分に予測ができないということなのですが、この程度の論拠では、地球温暖化否定論者の突込みにはなかなか耐え切れません。

問題3.未来への高い割引率

現在の地球温暖化の議論の中心は2100年ごろの地球の平均気温や二酸化炭素濃度がどうなる、どうするというものです。2100年というと、今生きている人はほとんど残っていません。自分の死後という意味では未来永劫先の話と同じともいえます。二酸化炭素排出量の削減目標も2050年には60-80%削減を達成しようということですから、これもずいぶん先の話です。

人間は先の問題は実際より小さく見積もる傾向があります。未来の損害は高い割引率で現在の価値に換算するとも言えます。このことは「喫煙の行動経済学」で書いたので、そちらをご参照いただければと思いますが、喫煙のように相当明確に自分自身の寿命を縮めるとわかっていても、将来の危険を過小評価しても人間は目先の快楽を追及します。まして、自分自身でない将来の世代のために、どこまでの犠牲を受け入れるかは疑問です。

議論が数十年単位あるいはそれ以上のスケールだということは、温暖化防止の日々の努力はすぐには目に見える成果を結ばないということも意味します。現在の予測では、二酸化炭素の排出量は削減努力を行っても、2030年ごろまでは排出量はむしろ増加するとされています。快楽は今現在のものとしてあって、努力や犠牲は目に見える成果もなく、高い割引率を適用される。それでも努力するという人はどれくらいいるでしょうか。

問題4.囚人のジレンマ

もっと大きな問題は囚人のジレンマ(「少子化という囚人のジレンマ」参照)です。囚人のジレンマというのは、一緒に罪を犯した2人の囚人が別々に尋問されて、どちらも相手が自分より先に自白することを恐れて自白してしまい、二人とも黙秘するより重い罪を負ってしまうことです。

皆が自分に最適な戦略を取ることで、結果的に全体の利益が損なわれてしまうということなのですが、道路などの公共財は、自分が資金を出さなくても誰かが作ってくれれば利用できます。それでは誰も資金を出そうとしなくなってしまうので、税金で政府が作る必要があります。

二酸化炭素の排出制限も、誰かがやってくれれば、自分は何をしなくても恩恵にあずかることができます。できたら何もしないで済ましたい、少なくとも他人より苦労させられるのはかなわないというのが、多くの人や国の本音でしょう。完全に公平な排出量制限の方法など存在しませんから、不平を言い出したら収集がつかないことになります。

二酸化炭素の排出は主に石油、石炭などの化石燃料を燃やすことで発生しますが、これはGDPと高い相関関係があります。逆にいえば、GDPを減らすようなことをしなければ二酸化炭素の排出量は減少しないことになります。さらに、ガソリン自動車の使用を制限するような利便性、快適性を失うことも我慢しなければなりません。

総論で二酸化炭素排出量削減に賛成しても、できれば自分は楽をしたいと思うのは自然です。みんながそのように行動すれば、二酸化炭素の排出量は減りません。空気という人類全体の公共財を誰が守るかというのは簡単ではありません。道路なら、それぞれの国が責任を持つしかありませんし、道路に投資しなくても他の国が困ることはありませんが、空気はそうはいきません。

日本の二酸化炭素排出量は世界全体の5%です。日本が削減に努力しても、アメリカや中国が努力しなければ無意味です。何も努力をしなくても、他の国が頑張ってくれれば二酸化炭素排出量は減ってくれます。日本のように国内的合意を重要視する国で(どこの国でも同じですが)、本当に二酸化炭素排出量削減に国論がまとまるかは疑問です。

問題5. どうすれば二酸化炭素の排出量が減るかよくわからない

エコバックなどのファッションとしてのエコは大盛況です。エコには二酸化炭素排出量の削減だけではなく、自然環境全体を守るという意味がありますし、もちろんそれは悪いことではありません。しかし、何が効果があるかということになると簡単にはわかりません。

白熱電球が蛍光灯より電力を消費する、つまり二酸化炭素を沢山排出するというのはわかりますが、マグロと牛肉のどちらを食べるほうが環境負荷が大きいかと聞かれて即答できる人は少ないでしょう。私たちの手元に製品やサービスを届けるためには、おびただしい材料や複雑な流通過程が必要です。どこで二酸化炭素を大量に排出しているかどうすればわかるというのでしょう。

ファッションとしてのエコが危険なのは得てして見た目でエコを判断しがちなことです。たとえば、大都会のスラム街は、森の中のログハウスよりいかにもエコの点で悪そうに見えますが、一人当たりの二酸化炭素排出量という点では圧倒的に効率的です。エネルギー消費でも、ゴミ処理でも、人間をまとめて大都会に押し込んでしまったほうが、ずっと環境負荷は小さくなるのです。

エコという点では、安っぽいプラススティック固めの製品に囲まれたほうがずっと環境には良いでしょう。プラスティックはゴミ処理の点で問題が多いのですが、捨てなければゴミになりません。そしてプラスティックは木や紙よりずっと丈夫で長期の使用に耐えます。

魚は遠洋漁業で漁船が大量の油を使うので、エネルギー効率はよくありません。飼料の重さあたりの肉の生産量を考えると、狭い鶏小屋に押し込めたブロイラーが蛋白質源として一番効率的です。農薬も使わなければ、手間がかかり収穫量が減ってしまうので、エネルギー効率としては好ましくありません。

このように考えると、二酸化炭素排出量の削減とエコのイメージは重ならないことが多いことがわかります。要は経済活動の全プロセスを通して、エネルギー効率を最大化する、つまり二酸化炭素排出量を最小化するようなことを考える必要があります。これは個人の知識や努力を大きく超えるものです。

ではどうすれば二酸化炭素排出量は削減できるのか

とりあえず、地球温暖化が問題で、それは二酸化炭素の排出量を大幅に削減すれば阻止できると仮定してみましょう。 「大幅」という言葉もあいまいですが、2050年ごろの日本の削減目標(の目安)の60-80%としましょう(まだあいまいですが)。

技術的にはこれはそれほど難しくありません。少なくとも、ガンの特効薬を作るとか、人工頭脳を開発するような大きなブレークスルーは必要ありません。技術はすでにあります。まず、電力を全て原子力、水力、風力に置き換えてしまえば、4分の一は削減できます。技術は既存のもので十分です。

家庭用の暖房を全て電力にして、車を電気自動車にすればさらに40%程度削減できます。電気自動車は技術的には極端に難しくはありません(「EVはトヨタ王国を終焉させるか」を参照)。飛行機や船、離島の発電などはそれより簡単ではありませんが、その他の努力を積み上げれば80%の削減は夢でも何でもないでしょう。

要は実行するかどうかなのですが、化石燃料の他のエネルギー源への変換は当面は経済にマイナスです。もし、最初からプラスになるのならとっくに移行しているはずです。移行を促進するためには、化石燃料が経済的に不利になることが必要ですが、一番簡単なのは、石油や石炭の値段が上がることです。

石油価格の値上がりは、他の人為的な対策と比べるとずっと効果的です。石油価格の上昇が原因の代替エネルギーへの転換は純粋に経済的な行動で、「地球温暖化は本当か」「こんな対策は意味があるか」などと聞かれる心配はありません。代替エネルギーに早く転換したほうが競争上有利になるのですから「囚人のジレンマ」に悩まされることもありません。

原油の価格上上昇は材料費、加工費、運送費など広範な影響があり、物価を押上げます。しかし、市場経済が有効に機能する限り、長期的には物価の値上がりは原油価格の値上がり分に落ちつくはずです。つまり、何が二酸化炭素の排出量が多いかを考えなくても、価格がすべてを教えてくれるはずです。エコなど気にしなくても、金を節約すれば、二酸化炭素を節約したことになるのです。

日本のガソリン価格はドイツなどのEU諸国と比べて顕著に安いのですが、ガソリン価格が上昇するとマスコミや世論は「困った、何とかして欲しい」という流れに傾き、これを機会にガソリン消費量を減らそうという意見はあまり表に出てきません。

原油価格がどこくらいになれば、皆本気で代替エネルギーに移行するかは一概に言えないでしょうが、無限に原油価格が上昇しても我慢し続けることはありえません。移行が難しい自動車も、街中しか走らない都市コミュータなら今の電気自動車で十分実用に耐えます。

むしろ問題は原油価格がどこまでも上昇することはないだろうということです。代替エネルギーへの移行や省エネ努力は、石油需要を押し下げますから石油価格は下落します。1980年のイラン・イラク戦争をきっかけにした第2次石油ショックの後、石油価格は3分の一に下落し、その後20年停滞しました。現在の石油価格高騰がいつまでも続く保証はありません。

石油価格の高値が保証されないということは、長期的な観点で代替エネルギーの開発を行うことを難しくします。政府ができることがあるとすると、石油価格の下落を目指すことではなく、高値安定を維持することです。原油の値上がりは産油国に税金を払っているのと同じことですから、産油国に金をむしりとられる前に、環境税、炭素税のような形で、石油の値段を吊り上げて、需要を抑制した方が得策なのですが世論はなかなか納得しないでしょう。

アメリカのブッシュ政権は無意味なイラク戦争で中東を混乱させ、石油価格の高騰を招きました。経済の停滞は投機資金を石油市場に向かわせ高値に拍車をかけています。ここまで石油価格が上がると、こんどこそ世の中は本気で代替エネルギーへの移行や電気自動車の開発に向かうかもしれません。そうすれば、石油のことしか頭にないようなブッシュ政権が、結果的に低炭素社会の実現へ大きく流れを転換させたことになります。(このあたっりは「ロシアと石油」も参照してください)

首尾よく二酸化炭素排出量が劇的に削減され、地球温暖化にストップがかかれば、将来ブッシュ大統領が最大の功績者ととされるようになるかもしれません。だからと言って、ブッシュが先見性のある偉大な大統領だったと評価されることはないでしょうが。

Bush_warming.jpg


参照: 地球温暖化
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[生活]もうこれでいいやん。

まっとうな説でしょ。 ビジネスのための雑学知ったかぶり 地球温暖化を止めるには(もし本気なら) Dr.Eigenvalueの異常な愛情【2008/06/11 23:11】

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