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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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仮想座談会-世襲議員を考える
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麻生内閣は世襲議員が過半数

司会「最近世襲議員の問題が大きく取り上げられています。民主党は次の選挙のマニュフェストで3親等以内の同一選挙区での連続立候補を認めない、という方針を明らかにしました。これに対し自民党は、菅選挙対策副委員長から、同様の制限をしようという動きが出てきました。自民党内には、これに賛同する意見がある一方、いわゆる二世議員から、強い反発が出ています。

本日はこの問題を、戦後の政治史がご専門で、政治評論家としてもご活躍のAさんと、自由民主党の2世衆議院議員で、中堅のホープであるBさんにお越しいただき、本音ベースで率直な議論をお願いしと思っております。ではAさんに国会議員の世襲問題について、簡単にまとめていただきたいと思います。」

評論家「国会議員の世襲問題というのは、政権党である自民党の問題と言ってよいと思います。自民党の国会議員の約3-4割、このあたりはどこまでを世襲と考えるかで数字が違ってきますが、世襲です。この割合は権力の中枢部に近づくに従って高くなり、麻生内閣では17名の閣僚中11名が、世襲議員です。さらに首相に至っては、小泉、安部、福田、麻生と連続4代が世襲議員です。

それどころか宮沢内閣以降は、90年代一度政権を失って、奇策ともいえる当時の社会党委員長の村山富市首班での政権復帰を果たして以来、橋本、小渕が二世議員。その次の森を除けば、自民党の総理総裁はすべて世襲議員です。

このような状況は先進的な民主主義国家では他に例がありませんし、独裁国家や、あまり民主主義が十分に機能していない国にもほとんど見られない現象です。国権の最高機関である国会で、事実上特定の社会階層からしか、議員、大臣さらに総理になれないとなると、日本は純然たる民主主義国家ではなく、大げさに言うと親藩の大名しか幕府の要職につけなかった、徳川幕府の時代に戻ろうとしているのではないかとさえ思えます。

世論の批判も高まっているのですが、ご本人が世襲議員である麻生首相は、この問題に熱心ではありません。驚くのは二世議員の中に「世襲の禁止は憲法で保障された職業選択の自由に反する」というようなことを主張する人がいることです。国会議員は一般の職業とは違い、国家権力を代表する制度そのものです。それをあえて「職業」と言ってしまうところに、問題の根深さが象徴されているかもしれません。」

議員「私も先生のおっしゃる通りだと思います。もっともそう言ってしまうと、この場が成り立ちませんから(笑)、多少私のバックグランドも含めてお話ししたいと思います。

私の父は通産省の役人だったのですが、地元の九州で無所属から立候補しました。当時は中選挙区制で、公認がなくても派閥のボスに押されて無所属で出馬し、当選したら追加公認するということがよくありました。親父もそのケースで、当選後自民党の公認を受けました。

私は二人兄弟の弟なのですが、親父は成績のよかった兄貴の方を期待していたと思います。ところが、兄貴は最初から政治家は嫌だと言って、東大の医学部を出て、遺伝子工学の研究者になってしまいました。

私は政治が好きとか嫌いとかいう意識もあまりなく、大学を出た後、MBAを取りにアメリカに留学しました。その大学はワシントンに比較的近かったので、親父の知り合いの上院議員の家に遊びに行ったりすることがあって、その縁でMBA取得後一年ほどその上院議員のスタッフにインターン、日本語言うと研修生ということになるんでしょうか、としてアルバイトをすることになりました。

日本で政治研修生というと、クリントン大統領と関係を持ったというモニカ・ルインスキーとか、選挙の学生アルバイトのようなものを想像してしまうかもしれませんが、アメリカのインターンは専門を生かして、法案のドラフトを書く人もいるくらいです。私は、当時激化していた日米貿易摩擦問題で日本の事情に精通しているということで雇われました。ま、精通というのは、向こうの買いかぶりだったわけですが(笑)。

その経験が土台になっているのですが、日本に帰って、アメリカ製品をもっと輸入するぞという意気込みで、総合商社に入りました。もっとも、当時の日本ではアメリカの大学院でMBAを取ったと言っても、ある種の中途入社扱いで、親父のコネも使わせてもらって、拾われたというのが本当のところだと思います。

その商社で10年ほど働いて、商社マンとして一生過ごそう思っていたころ、親父が急死してしまいました。その後釜に学者の兄貴よりは多少政治家向きだろうということで、急きょ立候補させられました。このあたりは、志を持って政治家への道を努力して歩んでこられた方より、ずいぶん楽をしたと思います」

司会「B議員にとって政治家は家業のようなものだったわけですか?」

議員「家業というのは確かに当たっているところはあるンですね。というか、自民党の衆議院議員というのは中小企業の経営者のようなものなンです。自分は事業を継続したいと思わなくても、従業員、と言っては大変失礼な物言いになるかもしれませんが、支持者や関係者の方が、後継ぎに事業を続けてもらいたいと思う。この場合、後継ぎが政治家として資質があるかどうかということより、有権者が安心して投票してくれるか、どうか、自分たちとの関係を継続してくれるかどうか、ということが一番大切なわけです。 立候補するというのは、もちろん自分のためではあるのですが、事業を継続するためにも必要なわけです」

司会「議員になると、BMWを持てるとか、二千万円を6年間保障されるとか言う人もいるわけですが」

評論家「杉村大蔵と横峯良郎ですね(笑)」

議員「ま、そういう考え方もあるかもしれませんが、純粋に経済的利益を追求するなら、国会議員というのは、それほど旨みがあるわけではありません。少なくとも、そこそこの事業で成功する方が、経済的に得るものはずっと大きいと思います。もちろん、国会議員になれるから、事業で成功できるというわけではないのですが、落選するというリスクまで考えると、楽して金を儲けるために政治家になるという選択肢は、今の日本では成り立たないと思います」

評論家「政治家が儲かる商売かどうかは別として、二世議員が増加してきたことと並行して、自民党の中での人材選抜の仕組みがうまく機能しなくなってきていることがあると思います。安部、福田と二代続けての唐突な総理の辞任を見ると、本質的にリーダーとしての資質に欠ける人をトップに選ぶようになってしまった。

麻生首相の漢字が読めないということも、それがあれほど支持率の急落につながったのは、国民がリーダーとして間違った人を選んだのではないかという、不信感を持っていたということが背景にあったのだと思います。そもそもなぜ、そんな人を自民の議員が、圧倒的多数で総裁に選んでしまうのか」

議員「安部さん、福田さんの辞任の仕方に問題があったことは確かにその通りですね。これは率直に国民にお詫びしなければいけない。しかし、先生のご指摘の自民党の人材選抜のメカニズムということで言うと、総理・総裁を選ぶ話と、議員が大臣、党役員に選ばれていく過程と分けて考える必要があると思います。

総理・総裁を選ぶ、もしかするとその中で総理が取れて、総裁だけになるかもしれませんが(笑)、小選挙区制の中では、これはもう自分が選挙で勝てる顔かどうかということがものすごく重要になってしまっています。政治家にとって、落選するというのは、企業経営者が不渡りを出して倒産してしまうというのと同じことですから、これは絶対に避けようとします。

この点で日本の議院内閣制の総理大臣が、アメリカ大統領的なものになってきているということも言えるでしょう。ただ、アメリカ大統領は予備選挙を含めた1年以上の選挙戦で、徹底的に政治信条、耐ストレス能力、個人的な性癖、しまいには配偶者の服の趣味まで含めて、チェックするということがあるわけです」

評論家「それでもブッシュ大統領のような、史上最低と言われる人を二期も続けて大統領にすることもある(笑)」

議員「ま、よその国をかまっている暇はないわけですが(笑)、小選挙区制以前の派閥中心の総裁選びでは、何年も派閥を率いていくということが、リーダシップのテストにもなっていたわけです。

ただ、これは派閥を維持するための金集めが大変で、金権選挙というような批判も浴びました。そこで現在のように、小選挙区制にして、同じ自民党から複数の候補が派閥代表で立候補することをやめさせ、政党助成金で金の流れも派閥経由でなく党経由にして、派閥を機能させなくさせたわけです。」

司会「昔の派閥中心の方が良かった?」

議員「派閥が自民党のリーダー選出に果たした役割は認めなければいけないと思います。ただ、派閥政治は冷戦時代に自民党以外、現実的な外交防衛政策を野党が持っていないため、事実上政権交代ができない時代の産物だと思います。金権政治という問題や、派閥内の選抜過程の透明性がないということを考えると、今更、昔に戻せという話は通らないでしょう」

司会「総理予備軍になる、党の幹部への選抜過程はいかがなのでしょうか」

議員「自民党の中で、大臣、役員になるためには、当選回数を重ねていることが非常に重視されます。これは年功序列的な考え方ですから、それ自身批判を受けるかもしれませんが、実際問題として国会議員になって、ある程度の年数を経ないと、政策の形成過程を理解して、党、議会、それと官僚を動かすことは、なかなかできません。

官僚出身者は、そう言う点で新人であっても、国政を動かすという経験を積んだ方が多いのですが、今や官僚支配というのは過去の話です。昔は官僚出身議員に対して、官僚経験のない議員を党人派と言ったりしたのですが、党人派という言葉自身が死語になりました。何と言っても、官僚経験者でない総理総裁が20年近く続いているわけです。二世議員ではない森さんも、党人であったことは同じですね。

ところが当選回数を5回6回と重ねようとすると、10年以上かかります。最近は「若い」ということも重要視されていますから、たとえば15年議員を続けて40代などという条件を付けると、世襲議員が圧倒的に有利になってしまいます」

評論家「官僚でもない、世襲議員でもないということになると、後はタレント議員くらいですか(笑)」

議員「タレント議員だから悪いということはないと思います。東京都知事の石原さんも、参議院議長をつとめた扇千景さんも、最初に当選したときはタレント議員と呼ばれていました。

ただ有権者はタレント候補に、テレビを通じて知っているということで投票するわけですが、やはり人材選抜のメカニズムとしては十分ではないですよね。当選後に初めて政治家としての能力を試される、あるいは勉強をするということですから」

評論家「タレント議員というものも、先進民主国ではあまり例がありませんね。カリフォルニア州知事のシュワルツネッガーのような例はありますが」

議員「やはり、従来党人派としてくくった、党独自の人材選抜、育成の仕組みで国政を担う層を作るというのがあるべき姿なのだとは思います。議員の秘書だったり、地方議会の議員だったりと色々な道筋はあるのですが、先ほど言ったようにいかんせん、50前後でやっと初当選、当選回数を重ねて大臣候補になるころには、とっくに60を超えているというのでは、どうしても総裁候補としては難しくなります」

評論家「アメリカでは、B議員も経験されたインターン制度とか、ブルッキング研究所のような政策立案を行うシンクタンクがあって、国政レベルの人材育成を行うインフラができあがってますよね」

議員「日本では、伝統的に官僚機構がそれを行っていたわけです。国レベルの政治というのは、政策の実行は法律を作ることと、予算の配分を決定することに尽きるのですが、これは技術的に官僚の助けなしでは作業ができなかった。アメリカは弁護士とビジネスマンの国ですから、もともとそのような作業を行う層が分厚い上に、人材の流動性が高くて、民間、官界、政界さらに学界を自由に動き回るのが普通ですよね。

日本の場合は官界から民間という流れはあるのですが、他の流れは非常に乏しい。これも天下りということで今や非難を受けているわけです」

評論家「現代の日本は官僚支配が崩れつつあるという意味で、明治維新以来の権力構造の変化にさらされつつあるとも言えます。あるいは、藩閥政治の弊害と批判が高まったことにあわせて、大久保利通が東京帝国大学で官僚を広く国民から選抜育成するという仕組みに変えようとして以来の変化と考えられます。

日本は藩閥政治の下で、日清、日露戦争に勝ちましたが、官僚支配、軍部支配のもとで第二次世界大戦を戦って、徹底的に破れてしまいました。権力構造に変化がある時は、国が非常に不安定になる危険があります。世襲議員ばかりが国会議員、総理大臣になるとか、財政の裏付けのない支出が増大し、国債残高がGDPの2倍に近づくというのも、その表れだと思われます」

議員「官僚支配の弊害は、外郭団体が膨れ上がることでわかるように、政策決定が官僚組織のためになる危険があるということでも明らかでしょう。残念ながら日本の官僚組織は、「権力は腐敗する。絶対権力は絶対腐敗する」という原則の例外ではなかったわけです。

その一方で、官僚組織の果たしてきた、政策立案、法案作成のような国政実行能力を持った人材の育成を作っていく必要があります。本来そのような議論抜きで、官僚批判、天下り批判を行っても、実効性のある問題解決にはつながらない」

評論家「議員自身はおっしゃりにくいかもしれませので、あえて代弁させていただくと、世襲議員の弊害があるからと言って、制度をいじくって世襲議員を禁止してしまうというのは感心しません。

政治資金規正法が数限りなく改正を続けても、政治と金の問題がなかなかなくならないのと同じで、人材育成と選抜の仕組みの構築を抜きにして、世襲議員が増加することだけを抑制しても、国政のレベルアップにはつながらないとは思います。

もちろん、世襲議員の増加を放置することは最初にお話ししたように、国政を特定の社会階層が独占することにつながりますから、解決の必要はあります。ただ、それは被選挙権の制限という憲法の理念にも反するような制度変更ではなく、世襲議員よりもすぐれた候補者が選挙で当選していくという形が本来ではあるでしょう」

議員「どうもありがとうございます(笑)。世襲議員の話は別としても、日本は政治資金規正法改正に始まって、議員定数の削減、小選挙区制から中選挙区制の復帰など、制度をいじくる話が多いですね。

制度の変更は、とりあえず金はかからなそうですし(笑)、世論の非難が高まった時に、何かしているという姿勢を見せる上では効果があるように思えます。しかし、制度の変更だけで解決する問題というのは、多くの場合限定的です。特に先生のご指摘のように、国家の権力構造が変化しつつあるような時は、門閥に依存しない官僚機構のために東京帝国大学を作ったような、国政を担う人材育成のインフラを作ることを改めて考えるべきだと思います」

評論家「世襲議員の増加は問題の原因ではなく、結果だというわけですね。ただ、問題であることには間違いない」

議員「それは十分に解っております(笑)」

司会「今日はどうもありがとうございました」
(続き:世襲禁止は愚策-むしろ一票の格差是正を

参照:
天下りを考える
わかっていても
日本は大企業病
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この記事に対するコメント

次のようなイベントをやっております。
もしよろしければご参加ください。

4.28 パール判事の日本無罪論購入イベント2
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/event/1241496768/

現在amazon11位です。

『パール判事の日本無罪論』(小学館文庫) 560円
http://www.amazon.co.jp/dp/4094025065

非常に有名な本です。

右寄りの方は「基礎知識」として、
左寄りの方は「敵を知る」ために、
ぜひ御一読ください。
【2009/05/09 23:02】 URL | 田中 #- [ 編集]

嫌われ者の役人や政治家に対して
国の法律や決まりごとを決めるのが役人や政治家なら、国民である我々と関係ない所で勝手に決まりごとを動かしているのが、役人や政治家なのだ。
【2011/09/20 18:12】 URL | 智太郎 #- [ 編集]

嫌われ者の役人や政治家に対して
役人連中は、諸悪の根源みたいに言われて来ているが、親の地盤や看板を引くついで殿様気取りでいる政治家の二世、三世どもよりは、多少ましかなとも思う。国会議員の過半数以上は世襲議員という。
【2011/09/21 13:24】 URL | 智太郎 #- [ 編集]


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