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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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イケメン進化論
SFCGoguri.jpg
小栗旬

二枚目からイケメンに

「イケメン」という言葉が市民権を得て大分たちます。要は「顔が良い男」という意味なのでしょうが、イケメンの普及とともに、二枚目、ハンサムという言葉はすっかり古ぼけてしまい、使われることも少なくなってしまいました。「二枚目」などは、もはや死語に近いかもしれません。

言葉が違うように、どんな顔が異性に好まれるかというのは時代によって随分違いますし、国や民族によっても、変わってきます。一昔前の「二枚目」と現在の「イケメン」は、どう違うのでしょうか。

イケメン、あるいは二枚目の評価には個人的な好みに大きく左右されますが、時代の影響は無視できません。冒頭の写真は現代日本の代表的「イケメン」の小栗旬、下の写真は往年の二枚目スターの長谷川一夫です。大きく、はっきりした目鼻立ちという共通点がありますが、顔のタイプは確かに異なります。
Hasegawa2.jpg
長谷川一夫


男性ではなく、女性はどうでしょう。下はかつて「日本一の美女」という代名詞があった山本富士子と現代の美女、米倉涼子です。小栗旬、長谷川一夫と同様に、はっきりした目鼻立ちという特徴は共通していますが、山本富士子と長谷川一夫の顔が、小栗旬、米倉涼子と別のグループに属しているという印象はあると思います。
Yamamoto.jpg
山本富士子

Yonekura.jpg
米倉涼子

この程度のサンプル数、それも特別な美男美女を集めて、断定的なことを言うのは、危険が伴いますが、あえて傾向を見つけようとすると、長谷川一夫、山本富士子の方が、顔が幅広く、目鼻立ちと比べると、顔全体が大きいことがわかります。

全身の写真を示していないので、わかりにくいのですが、二人とも、小栗旬、米倉涼子と比べて、プロポーションに占める顔の割合がずっと高くなっています。つまり、現代の美男美女はより小顔になっているわけです。

日本人の「平均の顔」

特別な美男美女ではなく、日本人の「平均の顔」はどうなのでしょうか。「平均の顔」などと言われても、困ってしまうかもしれませんが、東京大学で顔研究をしている原島教授は長年、日本人の顔の写真を合成して、それぞれの時代、職業などで「平均の顔」をコンピュータの上で作り出しています(例えば未来の日本人の顔参照)。

原島教授によると、日本人の顔は、大陸から渡来した弥生人と、それ以前から居住していた縄文人の顔が合成され、さらに次第に顎が小さく(つまり全体として小造り)になってきたと結論付けます。この過去の傾向を未来に向け外挿すると、下の図のように未来の日本人は、顎が極端に細くなったものになると予測しています。
Faceaverage.jpg


原島教授の予測する未来人の顔は、ひどく奇妙な印象を与えますが、同時に劇画などに登場する主人公の顔に近いようにも見えます。物凄く顎を細く描くのは、劇画だけでなく、女性マンガに出てくるヒロインの相手役の二枚目(イケメンでもよいですが)でも同様です。

代表的な美男美女も、より顔幅が狭く、小顔になる傾向があるわけですが、自由に顔を描けるマンガの世界は、もっと潜在的な「美しいと思える顔」で未来の顔を具現化しているのかもしれません。

小顔になる理由

日本人の顔が小顔になるのは、食物の影響で顎が小さくなったことが、大きいと考えられます。現代の日本人はハンバーグや加工食品を多く摂取しています。これに対し、昔、一般の日本人は干物、玄米など、今と比べて随分固い物を食べていました。固い物を食べれば、顎が発達して、顔幅は広くなります。

顎が小さくなると、歯を収めるスペースが小さくなります。人間は上下14本づつ、合計28本の歯があるのですが、歯もだんだん小さくなってきていますが、それだけでは足りなくて、親知らずが最後まで生えてこない人が増えてきています。

顎が小さくなるのは、食品の影響だとしても、美男美女の定義そのものと言ってもよい、代表的なスターたちの顔にまで、なぜ日本人は小顔を以前より好むようになってきているのでしょうか。

実は日本人が顎が小さい顔を好むのは今に始まったことではありません。江戸時代、白米や十分に調理された柔らかい物を食べることができたのは、上流階級の人々だけでした。顎が小さいというのは、貴族的な顔、いわゆる「殿様顔」の典型です。

さらに、顎が細いというのは、殿様顔というだけでなく、浮世絵をみてもわかるように、美女の典型でもあります。大奥物で描かれる将軍家はもとより、大名、殿様たちは美女の側室を持つことが普通でした。その美女は、その時代の貴族性を当の上流階級以上に具現化した細面の顔をしていたと考えられます。
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典型的な「殿様顔」-徳川慶喜

殿様たちは食物の影響で、環境的に殿様顔になるだけでなく、遺伝的にも細長い顔を持つようになっていったと思われます。しかし、江戸時代の殿様たちが未来先取り的な、顎の小さな顔になったとしても、それだけでは顔がどんどん細長くなるだけです。細長いだけでない小顔になるのは、理由があるのでしょうか。

小顔になるには、二つの方法があります。一つは本当に顔が小さくなること、もう一つは背が高くなって、相対的に顔の割合が小さくなることです。顎が小さくなれば、細長くなるだけでなく、小顔にもなります。さらに、背が高くなれば、モデル的プロポーションに近づきます。

実際に、ファッションモデルやTVスターたちに会うと、想像より顔がはるかに小さい、つまり本当に小顔であることに驚かされることがよくあります。現代の美男美女の多くは、目鼻立ちを相対的に大きく見せ、なおかつプロポーションのよさを強調するするために、顔が小さいのです。

足の長いプロポーションは、昔の日本人のように、乳製品や動物性蛋白質を多く摂取しない民族にとっては極めて例外的なものでした。ところが、食生活の変化で、日本人の背は高く、足は長くなってきました。日本人のプロポーションは「外人」に近づいてきたのです。

おそらく、ある時代の美男美女は、憧れの対象であるとともに、ある程度身近な現実性が必要なのでしょう。今では170センチ以上の女性は珍しくも何ともありませんが、1964年の東京オリンピックの頃は、女子バレーボールチームでも平均身長は160センチなかばでした。「六尺豊かな大男」という言葉ありますが、メートル法で言えば180センチ超です。今風に言えば、「2メートルを超える大男」になるのでしょうか。イケメンであれ、なんであれ、あまりに自分たちとかけ離れたものには、新近感も憧れも感じにくいようです。大衆的人気を獲得するには、時代を代表する要素が必要なのだと考えられます。

性選択から考えると

小顔の傾向とは別に、美男美女の要素とは何なのでしょうか。先にあげた4人の男女は、はっきりした目鼻立ちが共通していますが、これは必ずしも古今東西普遍的なものではありません。少なくとも昔の絵を見る限り、日本人は目鼻の小さな顔を好んだようです。

二重の瞼や、大きな鼻が美の要素になったのは、ハリウッド映画などがもたらした欧米の美的基準が影響していると考えられます。プロポーションを重視する小顔の偏重も、その影響の一つなのでしょう。

かなり普遍的な美男美女の基準と考えられているのは、左右の対称性が高いということです。人間の顔は、左右完全な対称などではないのですが、健康上の障害が顔の非対称という形で現れるということは、確かにあるでしょう。
Facesym3.gif
左右を別々に対称的に顔を作ると随分違って見える

つまり、左右対称の顔を美しいと感じられるのは、より健康である。つまり、配偶者となって自分の遺伝子を将来に残す上で、より有利な条件を与えてくれるというわけです。
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ほぼ完璧な対称な顔を持つと言われる香椎由宇

子孫を残すのにより好都合だということで、異性を選ぶのは、性選択と言われます。性選択というのは、ダーウィンが進化論の中で言いだしたことですが、性選択で競争力が高ければ、異性から選ばれることが多く、自分の遺伝子を残す可能性を大きくすることができます。

性選択に勝ち抜くためには、犠牲を伴うこともあります。孔雀のオスは見事な羽で雌を魅了するのですが、美しく大きな羽は、捕食者に発見されやすく、作り出すのにコストがかかるので、自分の生存のためには不利なはずです。しかし、雌から見れば美しい羽は、健康で強い身体を持っている、つまりよりすぐれた遺伝子を残す確率を高める証拠のように見なされます。

自分が生き残っても、配偶者が得られなければ、遺伝子を残すことはできません。たとえ、個体には不合理、不経済でも、異性に好かれるために、一種のマーケティングコストをかける必要があるのです。そして、異性に好まれる形質は、性選択によって拡大再生産されていきます。マンモスの牙や、トナカイの角は、性選択によって巨大化していったと考えられます。

しかし、美男美女の要素を性選択によって理由づけるのは、注意が必要です。たとえば、金髪は女性ホルモンであるエストロゲンが活発な証拠で、年をとると輝きが失われていきます。金髪美女はエストロゲンの分泌が活発、つまり妊娠可能性が高い証拠とも言えるのですが、だから金髪美女を男が好むと言われると首をかしげたくなります。黒髪や赤毛の方が好きな男はいくらでもいるからです。

妊娠可能性を云々するのなら、体型の方が重要でしょう。これについては、女性のスリーサイズは、10対7対10であることが、民族を超えた黄金比率とも言われています。BWHが90-63-90というわけで、グラビアアイドルの公表値に近いのですが、これも日本人の男性が、こんなに胸の大きな女性を好むようになったのは、むしろ最近です。
Kumata.jpg
熊田曜子はBWHの比率が10:7:10

人類の女の胸が大きいのは性選択上の説明があります。人類は直立するので、チンパンジーのように発情したとき、赤く変色した生殖器を見せて、妊娠可能であることを知らせることが困難です。そこで、直立して正面から見える乳房を発達させて、性選択上の優位に立てるように進化してきたというのです。

正しい説のようにも思えますが、残念ながら化石から人類の乳房が、どのように発達していったかを知ることはほとんど不可能です。ともかく、今は男性の多くがグラビアアイドルに性的な魅力を感じるという事実と、それは必ずしも伝統的な日本文化の中では女性にとって有利な条件ではなかったいうことがわかっているだけです。

そもそも、人類は一夫一婦制が基本で、ゴリラやアザラシのような、競争の勝者がすべての雌を獲得するような結婚形態を持っていません(ハーレムは例外ですが)。勝者総取り的な文化を持っていないのは、洋の東西を問いませんし、未開人種を見ても同様です。

つまり、性的な好みは個々人が持っていても、それが直ちに遺伝的な強い圧力となって、種の形態を変化させるとは必ずしも言えないのです。イケメンはモテルことは間違いないでしょうが、子供を何十人も持つということはあまり考えられません。これはイケメンではない大部分の男性にとっては、幸いなことだと言えます。

ついでに言うと、性選択の中で、容姿が占める割合は、女性にとっては男性ほど高くありません。女性が、自分より財力、地位、知力で勝れたものを男性に求める傾向は、時代や国、それに女性自身の学歴、職業を越えて、かなり根強いものがあります。 いずれにせよ、イケメンはそれほど性選択で絶対的な強みを発揮はしないのです。

イケメンの未来

イケメンにしろ、美女にしろ、その時代の傾向、平均像をベースにしながら、ある種の憧れの要素を具現化したものだということは間違いありません。その意味で、未来の顔がマンガの主人公のようなら、将来のイケメンもその顔に近づいていくことが考えられます。
Ikemen.jpg


興味深いのは、このような日本発イケメンの像が、日本人がハリウッド映画の美男美女の基準に自分たちの美男美女の基準を合わせたように、他の国の美男美女像に影響を与えるだろうかということです。

マンガのイケメンの顔は、日本人より白人(コーカソイド)に近いようにも思えますが、顎の小ささはそうとも言えません。少なくとも、ハリウッド的な二枚目が、より男性を強く意識させる顔であるの対し、女性と言われても通るような顔です。
Superman.jpg
スパーマンの顎は張っている

格闘マンガを見ると、典型的な主人公は、女の顔にゴリラの体をつけたように描かれています。このあたりが将来のイケメン像になるのでしょうか。もちろんだからと言って、いまさらどうなるものでもないのですが。
kensirou.png


参照:
地球という丸木舟 
ネオテニーの日本人
未来の人類
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