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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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世襲禁止は愚策-むしろ一票の格差是正を
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前々回のブログ、仮想座談会-世襲議員を考えるでは、世襲議員の問題は、世襲を制限するのではなく、国政を担う人材を育成するインフラを作ることの方が重要と書きました。しかし、いくら優れた人材が育っても、選挙で当選するためにはカバン(金)、ジバン(地盤)、カンバン(知名度)が重要です。そこで世襲議員が優位に立っている以上、世襲に対し制限を含む何らかのハンデを与える方が合理的ではないかという考えはあると思います。

世襲議員の増加そのものが問題だということは事実でしょう。特定の社会階層から世襲により国会議員が選ばれるようになり、しかも世襲の比率が閣僚、総理と上に行くにしたがうにつれ高くなる。なおかつ、その総理はリーダーシップや能力に疑問符がつく人ばかりになっている。世襲を制限しようというのも無理からぬことだとは思います。

ただ、世襲議員が今になって問題視されるようになったのは、世襲議員そのものの顕著な増加が、比較的最近ののことだからです。それ以前は、世襲ではなく官僚出身者が自民党では主流を占めていました。世襲議員の多くは二世で、小泉元首相のように三代以上にわたって、世襲を続けてきたというのは、むしろ例外です。また、二世議員の親の多くは官僚出身です。

二世議員を活発に製造するようになったのは、田中角栄の発案だと言われています。自身はたたき上げだった田中角栄は、手っ取り早く自民党、引いては自分の勢力拡大を行うため、二世議員を利用するようになったのです。

田中角栄の手法は、公共事業で国の金を地方にばらまき、建設業者を中心とした、利権集団を議員のカバン、ジバンとして確立することでした(カンバンの方は二世議員は、名前が浸透していることで十分なものがありました)。逆に二世議員でもなんでもなければ「落下傘候補」と呼ばれて、地元では反感さえ受けました。

典型的な自民党議員の選挙は、公共事業に依存した建設業者がコアチームとなり、コメの政府買い上げと、農政事業に依存した農民が票を提供し、さらに、これも世襲の特定郵便局長が実動部隊として働くというものでした。

ところが、小泉改革によって、これらの伝統的な自民党議員の基盤はほとんど破壊されてしまいました。自民党の世襲議員の強さの源泉は、もはや失われてきてしまっているのです。

しかも、田中角栄がほとんど芸術的なレベルで完成させた利権構造による選挙が有効なのは、地方、それも農村部で、都市部では、ほとんど威力を発揮しません。現に東京では小選挙区で当選した衆議院議員で親も国会議員だったのは、石原慎太郎の長男、8区の石原伸晃ただ一人です。その伸晃も選挙区自体を受け継いだわけではありません。

地方でも、利益誘導型の自民党政治はもはや機能しなくなっています。都市化が進んで農村部と考えられたところも都市型の投票行動の傾向が強まる、いわゆる県庁所在地のある都市部に似てきたという意味で、一区化現象というものが起きています。利益誘導で選挙に勝とうとした、反郵政改革派は、小泉郵政選挙で大変な苦戦を強いられました。それまでダブルスコアで当選してきた。平沼赳夫や野田聖子でさえ、落選しそうになったのです。

今後、民主党と自民党が政権交代を繰り返すようになれば、かつての保守王国で、固い地盤に支えられた、領主のような世襲の国会議員は次第にいなくなってしまうでしょう。そうなれば世襲議員は一過性の問題だったということになります。

気を付けなければならないのは、問題の原因を十分考えずに、制度で問題と思える現象を押さえ込もうとすることです。国会議員は普通の「職業」ではありませんし、憲法で言う職業選択の自由が適用されるものではありませんが、被選挙権も立派な憲法上の権利です。むやみに禁止してよいものでもないでしょう。

むしろ改めるべきは、官僚制度に代わる国政を担う人材育成インフラの確立とならんで、都市部に不利になっている一票の重みの格差是正でしょう。都市部が人口に応じた議員数を割り当られれば、世襲議員の生存領域はずっと小さくなります。一票の格差の是正は制度をいじることではなく、最高裁にも指摘された違憲状態の解消なのです。

しかし、それにしても自民党の世襲議員の総理たちはなぜ、あのように無能をさらけ出すのでしょうか。本人ばかりではありません、「お友達」と揶揄される、閣僚、側近の世襲議員(必ずしも世襲議員に限りませんが)の醜態は、人事システムの不全を示しています。それを放置して「優秀なら世襲でもよい」と世襲の総理が言うのは、確かにマンガそのものかもしれません。
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