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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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脳科学なんてありません
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脳科学者? 茂木健一郎

脳ブーム

脳がブームです。脳を鍛える脳トレゲームが売れ、書店には脳を題名に付けた本が並んでいますし、テレビでは木村拓也が天才的脳科学者として難事件を解決する、「Mr. Brain」というドラマが放映されています。このドラマは木村拓也が「僕脳科学者なんです」というフレーズを流す、莫大な番組宣伝を行って「脳科学」という言葉を、ますますなじみ深い物にしました。

しかし、脳科学、脳科学者という言葉を定着させた最大の功労者(?)は、脳科学者と紹介される茂木健一郎でしょう。茂木は脳について何十冊もの一般書を書いています。また、テレビなどマスコミへの露出も多く、脳科学者という立場で、熟練職人の技能の分析から人生論まで、ほとんど何でもかんでも語っています。

確かに、無意識なものも含め、人間のすべての行動は脳の指令によるものです。呼吸でさえ脳の機能が停止すると止まってしまいます。脳の働きを完全に理解するということは、人間を完全に理解することと同じと言ってもよいでしょう。だったら脳科学者たるもの、あらゆる人間活動に発言することは、むしろ当然なのかもしれません。

それでは脳科学は脳をどの程度解明したのでしょうか。脳科学という切り口で人間活動を何でもかんでもコメントできるほど、進歩しているのでしょうか。何でもかんでもが言い過ぎなら、どのようなことが脳科学で、よりよく理解できるようになってきたのでしょうか。

脳は複雑系

脳のことを考える前に、筋肉について考えてみましょう。筋肉は筋線維と呼ばれる筋肉細胞が束ねられたものです。筋肉が生み出す力や仕事量の大きさは、ワットや馬力のような物理量として厳密に定義することができ、ガソリンエンジンや電気モーターと比較することもできます。

筋肉が生み出す力は、一般的には筋線維の束の断面積に比例しますが、断面積を増やすには、運動とタンパク質が必要です。筋肉を増強するためのトレーニングは、目的に応じて的確に必要な筋肉を鍛えることができますし、筋肉の成長を加速させるために、ステロイドなどをホルモン剤を摂取する方法もあります。筋肉量が増大すれば力が強くなり、スポーツ競技では有利になります。

脳はどうでしょうか。脳は筋肉が筋線維でできているように、ニューロンつまり神経細胞が集まってできています。ニューロン同士はニューロンから枝のように何本も伸びているシナプスと呼ばれる接合部を通じて、他のニューロンと結びつけられています。このシナプスでの接合はわずかな隙間があり、その間を化学物質のやり取りをすることでニューロン同士はコミュニケーションを行います。

ニューロンは、もともと外界の刺激を感じ取り、それに反応するためにできたものです。たとえば、かなり原始的な動物でも、熱源を近づけるとそれを避けるように反応しますが、これには、(1)熱を感じ取る(2)熱が危険だと判断する(3)熱源から逃げるような動作を行う、という入力、処理、出力の3つのステップが必要です。

非常に単純な動きのように思えるかもしれませんが、この程度の動きをする機械を作ろうとすると案外大変です。外界の刺激を感じ取るセンサー、刺激の性質、強さを判断する処理装置、刺激に対応した動作を行わせる装置の開発が必要ですが、小型で性能の良いセンサーや処理装置は半導体技術が発達するまで、なかなか作ることができませんでした。

それでも、外部の刺激が熱のように単純なものであればよいのですが、光で外界を認識して反応するのは飛躍的に難しい処理になります。光で感知されるものは、捕食しようとする敵かもしれませんし、逆に餌かもしれません。あるいは配偶者である可能性もあります。行うべき行動は、それぞれ違っています。

相手により、違った反応をするためには、光で得られた情報を適切に処理し、目的に応じた行動を行うように出力信号を出さなければいけません。このように外的刺激に対し、様々な反応をするために、ニューロン同士は内部でシナプスを通じ協調して、複雑な処理を行う必要があります。その中には外的な刺激だけでなく、蓄えられた過去の記憶を情報として利用することも含まれます。脳は進化の過程で、外界だけでなく、脳内部の情報のやりとりをますます増やしていったと考えられます。

そのような脳内部の情報処理は、次第に意識、思考と呼ばれるものに近づいていきます。そして、その極限が人間の脳です。人間は、外的な刺激に対し、行動を起こすだけでなく、内省的に思考をめぐらし、過去の記憶と同じレベルで未来の予測を情報源としながら、種々の行動を起こします。この脳の情報処理の性能は、筋肉の能力を測るような単純な物理量で表すことはできません。

脳の性能を表す適切な指標がないのですから、脳の力を増大させるトレーニングを、フィットネスのプログラムを組むように決めることはできません。少なくとも、筋線維を増やすようにニューロンの量を増やす方法はありませんし、かりにあってもそれで脳の能力が高まるかはわかりません。シナプス間の情報伝達はグルタミン酸が大きな役割を行っていることがわかっていますが、グルタミン酸によって頭の回転が速くなるというものではありません。

それどころか、グルタミン酸を含む化学調味料を大量に摂取すると、めまいや難聴など神経障害を引き起こすことがあります。「頭をよくする薬」はステロイドが筋肉増強に効くようなレベルでは、今のところ存在しません。ただ、アルコールのように脳の働きを鈍くする物質はあります。また、男性ホルモンのテストロゲンは、一時的に計算能力や空間把握力を高める効果があることはわかっています。

筋肉と比べて、脳の簡単な能力増強法が見つからない(筋肉の増強も必ずしも簡単とは言えませんが)のは、筋肉が筋線維の集まりと考えて分析することができるのに対し、脳を単純にニューロンの集合体と考えても脳の全貌を理解することができないからです。

全体が部分の集合とは全く異なる性質を示すものを複雑系と呼びます。脳は典型的な複雑系です。脳を理解するためにニューロン、シナプスの働きや構造を理解することは必要です。しかし、それだけでは脳全体の働きを理解することはできないのです。

心それともクオリア?

全体が部分と全く違ったものになる複雑系の例として水があります。水は水素原子2個、酸素原子1個で構成される水分子からできていますが、水分子が集まった水は温度により、気体、液体、固体と全く違った物理的特性を持ちます。

同じように経済社会は個別の人間の単純な集まりと考えても分析することはできない複雑系です。経済を動かすのは根本的には人間の欲望や意思ですが、それだけでは経済の好況不況がなぜおこるかわかりませんし、景気対策をどのくらいの規模で行えばよいかを決めることもできません。

脳が途方もなく複雑で、部分に分解して理解するという典型的な科学的な方法が簡単には使えないため、心や意識は科学より哲学の領域として長い間扱われてきました。しかし、脳に損傷を受けて性格が極端に変わったり、前頭葉を切除するロボトミー手術で人格が喪失するなど、脳に目に見える障害があるケースを分析することで、脳の各部の機能と知能や感情との関係が、おぼろげながら理解できるようになってきました。

脳は哲学ではなく物質として科学的にすべてを解明することができる対象だ、という確信が深まる中、安楽椅子で長々と会話を続けていた精神障害の治療が、抗鬱剤などの投薬により、大きな効果を上げることわかり、治療法の大きな変化が起きました。心の病も通常の医療と同じように扱えるようになってきたのです。

さらに、核磁気共鳴を利用したfMRI装置を使うことで、脳の血流の動きをそのままの状態で観察することができるようになりました。fMRIを使えば被験者に色々な刺激を与え、脳の各部がどのように活性化されているかを知ることができます。障害者の死後の解剖に脳機能の分析を頼っていたことと比べると、これは革命的な進歩です。

それでも、脳の中で意識、認識というものがどのような物理的実体を持っているかは、確たる結論からははるかに遠い状態です。たとえば、青いものを見たとき、自分の青と、他人の青は同じものなのでしょうか。他人が「赤い」と感じるのと同じ感じを、自分は「青い」と感じているのではないでしょうか。同じものを見て、二人とも「青い」と言ったとしても、それは一方の「赤い」という感じを、自分は「青い」と呼んでいるだけではないのでしょうか。

このような問題を検証しようとして、赤い紙、青い紙を用意して、色を答えさせても意味がありません。たとえ他人の「赤い」という感じを「青い」ものに感じても、同じ青い紙なら、言葉はどっちらも「青い」になって、どのような感じを「本当には」持っているかを確かめることはできません。

こんなことは言葉の遊びで科学として取り扱うのは不適当だという考えもあります。一方、脳の中で感じるものが実体として存在する。つまり、「青い」という感じ、「赤い」という感じは物理的な意味づけを与えることができるという考えもあります。このような考える人は、脳の中の「感じ」をクオリアと呼びます。

いずれにせよクオリア論議に決着がつくのは、まだ長い時間がかかるでしょう。性的興奮があった時に、脳のどの部分が活発に活動できるかはfMRIでわかるでしょうし、性的興奮を高めるような、薬剤も作れるでしょう。それでも、愛だの美などが脳の中でどのような「実体」として感じられているかを、取り出して分析することは当分できそうにありません。

脳科学の専門家はいない

脳科学という単語は日本語のウィキペディアにはありますが、英語のウィキペディアには見当たりません(2009・6・2現在)。日本語版ウィキペディアにあって、英語版にない学術用語は珍しいのですが、それだけ日本では脳科学が確固とした学問領域として存在していると思われているのでしょう。

脳科学をテーマにした研究所は確かに存在します。日本では理化学研究所が脳科学総合研究センターを設置していますし。アメリカでもブラウン大学がBrown Institute for Brain Science(BIBS)を持っています。どちらも怪しげな研究を許すような機関ではありません。

ただ実際には、ブライン大学のBIBSが「人間の最大の謎に迫るためのユニークな学際的プログラム」と言っているように、どちらも神経科学、認識科学、心理学、解剖学など多様な専門家を集めて、「複雑系」である脳の研究をしようというものです。


現代ではどんな科学分野も細分化、専門化されています。しかし、脳科学に関しては細分化ではなく、「とにかく関連分野の優秀な研究者を集めて、何か新しいものをつくりだそう」というものです。企業に例えれば、通常の学問分野が事業部、部、課と組織が分割されているのに対し、関連企業が集まり、コラボで新しいサービスを作りだそうとしているようなものです。脳科学は、まだ独自な領域を定義する以前の段階にとどまっていますし、その意味で脳科学の専門家は存在していないと言ってよいのです。

今は血液型性格判断のレベル

脳科学に対しハウツー的に期待されているものは、人間の性格や行動の理解、さらに人生の生き方の指針といったものでしょう。しかし、そのような期待に理路整然と答えるほどには、脳の理解は進んでいません。

今の脳ブームのように、心理学や精神分析がブームになったことがあります。精神分析にかぶれた人たちは、「X君のあのような行動は、幼児期の欲求が十分満たされなかったからだ」などと言ったりしたのですが、遊びとしてはともかく行き過ぎると問題です。

だいたいある人を精神分析して論評を加えようとするとき、人はおうおうにして分析対象を見下す傾向があります。優秀な研究成果を上げた研究者に「あの頑張りは、強いコンプレックスが潜在的にあるからだ」と言うと、その研究者の知性の高さや、勤勉さ、着眼点のよさを認めない響きがあります。同様の言い方でお返しすると、心理学にやたら凝る人間は、心理学で相手を支配しようとする歪んだコンプレックスがある、と言えるかもしれません。

そうでなくても、性格や知能というのは分析が非常に難しいというより、定義が極めてあいまいなものです。世の中には血液型性格分析というものがあって、A型は几帳面、B型はマイペースなどと言うのですが、几帳面もマイペースも厳密な定義があるわけではありません。

血液型性格判断が、まともな科学としては無視されているのに、かなり幅広く信じられていて、なおかつ多くの人が「当たらずといえども遠からずではないだろうか」と考えるのは、前向きとか、自己中心的とかいった、科学的に十分練られていない言葉を使っているからです。

成功の秘訣のような話題を語る時、脳科学のできることは血液型性格判断と、科学的でないというレベルで大差はありません。ここでいう科学的とは、論理的に物事を解析し、他人がその説の正しさの検証ができるということです。そのような科学的な論証は、やたらと前提や用語の定義があって、適用範囲も多くの場合非常に限定的です。「ビジネスで競争に勝つひらめきをどう得るか」という話には、まず役に立たないと思ってよいでしょう。

脳は複雑怪奇で、今の脳科学は遺伝学で言えば、DNAが発見される以前どころかメンデルの法則も発見されていない段階でしょう。それでも「子は親に似る」程度のことは言えるでしょうし、「血友病は女の子供では発病しない」といった個別にわかることも色々あるでしょう。しかし、意識、認識の根本的な原理が、遺伝学がDNAを理解しているようにわからないうちは、多くは「当たるも八卦、当たらぬも八卦」だと思っているべきです。「脳科学」なんてないのです。

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この記事に対するコメント

山崎さんのブログから来訪しました。

この記事のテーマは脳科学・・・。
脳科学と関係あるか、あるいはブログ主様が
興味あるかは定かではありませんが
本屋で有名な?「マインド・マップ」や「フォトリーディング」
についてどう思われますか?

博識でいらっしゃるので
勉強や自己啓発について記事を書いていただくと嬉しいです。
【2009/10/03 01:08】 URL | 他のブログからの来訪者 #- [ 編集]

Re: タイトルなし
他のブログからの来訪者、

ご来訪ありがとうございます。マインドマップもフォトリーディングも推進者の方から直にエッセンスを教えてもらったことがないので、あまり断定的なことは言えません。

マインドマップは似たようなものはコンサルティングの中で何度か作りました。KJ法、SWATなど名前や中身に違いはあっても、ブレーンストーミングで整理を行う、フレームワークを使うことは多くの場合に非常に効果的です。マインドマップは見た目もきれいで、参加者は楽しみながら作れそうです。結果もさることながら作成のプロセスも大切ですから、なかなか良い手法だとは思います。ただ、手法はあくまでも手法で、手法自身に革命的な創造性はありません。謳い文句を100%信用するのもちと問題化とは思います。

フォトリーディングは、私自身もっと早く本が読めたらと思っているので、学ぶべきところがあるかもしれません。それはそれとして、小説なら楽しむために読むので速読術は必要ないでしょうし、本から知識を得たいと思うなら速読術より、読む本の質がもっと大切でしょう。良い本は論旨も明快で、流れるように頭に話が入ってくるものです。

それでも効果的な速読術は悪いことは何もありません。速読術を学ぶことは、速読できるような文章を書く能力にもつながります。これも謳い文句を100%信用さえしなければ、きっと役に立つはずです。



> 山崎さんのブログから来訪しました。
>
> この記事のテーマは脳科学・・・。
> 脳科学と関係あるか、あるいはブログ主様が
> 興味あるかは定かではありませんが
> 本屋で有名な?「マインド・マップ」や「フォトリーディング」
> についてどう思われますか?
>
> 博識でいらっしゃるので
> 勉強や自己啓発について記事を書いていただくと嬉しいです。
【2009/10/03 10:21】 URL | RealWave Consulting代表  #OVWif65Y [ 編集]


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【木村拓也】についてサーチエンジンで検索してみると

木村拓也 に関するブログのリンクを集めています!最新の検索結果をまとめて、口コミ情報をマッシュアップし… 気になるキーワードでブログ検索!【2009/06/05 22:12】

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