ビジネスのための雑学知ったかぶり
ビジネスでも雑学は重要! 知っていると少しは役に立ったり、薀蓄を自慢できる話題をご紹介
プロフィール

RealWave

Author:RealWave
Twitterアカウントはrealwavebabaです。

馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

ご連絡はrealwaveconsulting@yahoo.co.jpまで

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

お客様カウンター

Since 2009/10/21

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

サントリーをキリンに売却する創業者一族
結局サントリーの創業者一族はサントリーをキリンに売ってしまうことはできなかったようです(サントリーとキリンの合併交渉が決裂


Suntory1.jpg

食品業界はM&Aが有効だが・・・

サントリーとキリンが統合に向けて話し合いを進めています。世間的にもこの合併計画のニュースは大きな驚きでした。消費者市場を相手にする食品業界は、規模に比べて知名度が高いのですが、キリンは2兆3千億円、サントリーは一兆5千億円という大きな売上高で、知らない人は誰もいません。

しかも、不況の中で食品業界は原材料費の低下もあって業績は好調です。サントリーもキリンも昨年度は黒字で、追いつめれてというより、グローバルに展開するための規模を確保しようという戦略的で前向きな合併と考えられます。

食品業界はM&Aが成功する確率が高いと言われている業界です。それは食品業界では製造技術や研究開発の能力よりブランドが一番重要な競争力、コアコンピーテンシーだからです。つまり、合併で人材が散逸しても企業価値には大きな変化がなく、ブランド価値が維持できれば合併は成功するからです。

食品業界のM&Aは、重複するブランドや製造設備、販売チャネルの大胆な整理を行って合併効果を出すことが容易にできます。他の業界であれば、大規模なリストラはキーとなる人材を失う危険があり、必ずしも簡単ではありません。

アメリカでは80年代食品業界と、同様にくブランド価値が一番のコアコンピーテンシーである洗剤、化粧品などの日雑用品の業界でM&Aが積極的に進められました。この動きは90年代から国際的なものとなり、食品業界は巨大なグローバルプレーヤーが活躍する場になってきました。サントリーとキリンの売上高を合計すると3兆8千億円に達しますが、国際的な食品大手のユニリバーは5兆円、ネスレは10兆円の売り上げ規模を持っています。

しかし、食品業界がM&Aに向いているというのは、企業価値を損なわずにリストラを簡単に行えるからです。もともと、サントリーは非上場企業で家族的、キリンは三菱グループの中核企業として官僚的な体質を持つ会社です。社風は正反対と言ってよく、あえて共通点を探すと今時リストラとはほとんど無縁だということくらいです。ある意味これほど合併に不適な組み合わせはないと思われます。

強みを失ったサントリー

それでは、なぜサントリーとキリンは合併に向かうことになったのでしょうか。本当のところはなかなかわからないのですが、今回の合併話は適当な合併先を探していたサントリーが一番の合併候補として、たまたま社長が慶応で同期どうしだったキリンに持ちかけたと言われています。

キリンは、90年代に入って樋口社長のもと積極経営を進めたアサヒが、アサヒドライでビールNo.1の地位を奪うまで、圧倒的なビール業界の巨人でした。一時キリンのビールの市場占有率は60%に迫り、独禁法で分割される恐れまで言われたほどです。現在でもアサヒに首位を譲ったとは言っても、その差はわずかで40%近い市場占有率を持っています。

これに対し、サントリーはウィスキーでキリンのビールのシェア以上に高い80%の市場占有率を持っていました。独占に近い状態で、ウィスキー事業での膨大な利益は、ビール事業に進出する原資となりました。サントリーのビール部門は昨年初めて黒字化したのですが、それまでには参入以来、実に45年が経過していました。非上場企業ならではの長期的な観点での事業展開と言えるでしょう。

ところがサントリーの強みであるウィスキー事業は急速に収縮しています。ウィスキーとブランデーを合わせた消費量は、ピークの1983年には3万6千キロリットルだったものが、現在では4分の1の9千キロリットルになっています。

その上、1989年、97年には酒税法が改正され、スコッチウィスキーが安価に販売されるようになりました。昔ジョニーウォーカーの黒ラベル、通称ジョニ黒はサントリーオールドの5倍以上したのが、今では値段はほとんど変わらなくなってしまいました。本家のスコッチウィスキーがここまで安くなってはサントリーも大変です。

収益の柱だったウィスキーの需要が大きく落ち込む中、スコッチとの厳しい競争を強いられているサントリーの将来は難しいものがあります。何とか黒字化したとは言っても、ビールはアサヒ、キリンの3分の1のシェアしかありません。国際的なM&Aが進展していることを考えると、どのような事業展開で今後の展望を開くかは、サントリーの経営陣にとって大きな課題だったはずです。

合併は実質的にキリン主導か

名門ではあるが収益源のエースのウィスキーが先細りで、やっと黒字化したビールもアサヒとキリンの背中はとても見えない。人口が減少に向かい、食品の消費量は減る一方。国際的な食品業界のM&Aは加速化し、日本企業は大手といえども安閑としてはいられない。サントリーにとって合併戦略は生き残りのために当然のものだったのでしょう。

それでも、相手がキリンだったのはなぜなのでしょうか。主導権を握るのであれば、サッポロや企業規模ではキリンに劣るアサヒという選択はなかったのでしょうか。考えられるのは、サントリーが鳥居、佐治という創業者による経営が続いてきたことがあります。

サラリーマン経営者であれば、吸収合併されるということは実質的に全てを失うということです。新しい会社の経営権を持つことができなければ、会社を去っていくしかありません。去ってしまえば、元いた会社とは赤の他人です。

しかし、創業者は違います。創業家一族はサントリーの9割近くの株式を握っていますが、キリンとの合併比率がどのようになるにしろ、巨額の富を持ち続けることに変わりはありません。むしろ合併するなら、合併効果が大きい方が投資先として優れていることになります。

サントリーの佐治社長は将来にわたって、創業者一族がサントリーを支配し続けることはもはや困難だと思っているのでしょう。同じ関西の名門企業、武田薬品も創業者一族は経営陣からいなくなりました。経営権は失うが財産は競争力のある食品世界企業を作ることによって守ることができる。サントリーを売るなら一番高く売れるところ、それがキリンだったのでしょう。

サントリーの佐治社長の気持ちが、サントリーという企業をキリンに売ってしまうことにあるのなら、合併後の事業再編はキリン主導で進むでしょう。サントリー社員にとってはつらい道かもしれませんが、創業者一族の佐治社長(合併でどのような立場になるかわかりませんが)であれば混乱を最小限に抑えることができるかもしれません。混乱が小さければ、大きな合併効果を素早く手にすることも可能です。

サントリーがなくなったら

ここまでは私の想像にすぎませんが、もし私の想像が当たっていれば、合併後サントリーの色は急速に薄まっていくはずです。ビールは高級ブランドのスーパープレミアムモルツしか残らないかもしれません。ウィスキーはサントリー主体で再編が行われるでしょうが、今後とも市場の縮小でブランドの整理は進むでしょう。

商品もさることながら、サントリーは美術館、音楽ホールを持ち、文化事業の支援をさまざまに展開しています。モルツ球団で往年のプロ野球選手の活躍をまた見られることにしたのも大きな功績です。開高健、山口瞳、柳原良平を生んだユニークな広告も文化と言って良いと思います。そんな文化もこれからの存続は微妙なものがあります。

高度成長のころ、ウィスキーこそサラリーマンのアルコール飲料の中心でした。スナックやバーではヒラはトリス、係長になったらサントリーホワイト、課長は角、部長はオールドとウィスキーのグレードを上げるのが出世の象徴でした。スコッチは役員やお得意への進物用でした。

酒税の改定とウィスキー離れで、そんなウィスキーのハイアラキーが無意味になった時、サントリーは企業の使命を終えていたのかもしれません。それでも「やってみなはれ」の精神は優れた商品力で飲料業界で一定の地位を確保してきましたが、食品業界の変化はサントリーに大きな変革を迫っているのです。

サントリーとキリンの合併はサントリーの創業者一族が会社をキリンに売って、自分たちの財産を守るためのものかもしれません。しかし、同時にそれはサントリー自身を生き残らせるものになるはずです。創業者一族だからこそできる合併戦略と言ってよいでしょう。
スポンサーサイト

この記事に対するコメント

今のサントリーの収益源はアルコールではなく食品ですよ。
社長も鳥居さんではないですよ。
ほとんど妄想ですね!
【2009/07/23 01:38】 URL | 匿名 #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> 今のサントリーの収益源はアルコールではなく食品ですよ。
食品が売上の過半を占めたのは、ひとえにウィスキーの売り上げが激変したからです。サントリーのDNAはウィスキー屋だということは間違いなく、時代の変遷が身にしみているというところでしょう。
> 社長も鳥居さんではないですよ。
これは失礼しました。修正しました。 ご指摘感謝いたします
> ほとんど妄想ですね!
「妄想」ではなく「想像」です(まぁ、言葉の遊びかもしれませんが。

持ち株から計算して、今のままでは統合後サントリー+キリンの圧倒的最大株主は創業者一族[正確には寿不動産)になるのですが、これをもってサントリー創業者一族が三菱グループの有力メンバーを支配するということは、常識的にはありえません。三菱グルーはそんなことを認めるはずはないでしょう。だとすれば統合交渉にはサントリー創業者一族の影響力を排除することが含まれると考えるのが自然でしょう。 これに佐治、鳥居一族が納得したとするなら、実質的に創業者一族はサントリーをキリンに売却したのと同じことと考えるのは、それほど無理なこととは言えないと思います。

【2009/07/23 11:27】 URL | RealWave Consulting代表  #OVWif65Y [ 編集]


はじめまして。凄くディープなサントリーキリン分析に、ただただ、読みいってしまいました。

そうそう、山崎さんのブログから着ました┌|*゜o゜|┘よ┌|*゜0゜|┘ろ┌|*゜-゜|┘し┌|*゜。゜|┘く♪です!
【2009/08/03 01:32】 URL | 矢向 #Ji7woxQg [ 編集]


何故サントリーは撤回撤退したのでしょうか キリンに売れば名前は変わっても生き残れたのに勿体無い、サントリーは長い目で見て消えてしまうでしょう。
【2012/10/29 00:28】 URL | 通行人 #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://realwave.blog70.fc2.com/tb.php/193-2ba26298
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

キリン・サントリー統合は合意にいまだ至らず

創業一族を温存する上場企業などというものは問題があるキリンとサントリーの経営統合 倉鉢徹のページ【2010/01/24 14:18】

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。