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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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「有能」なら官僚出身でもいいんですか?
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日本郵政の西川社長が辞任し、その後任に大蔵省(現在の財務省)の次官を務めた斎藤次郎が就任しました。齊藤次郎は「10年に一人の大物次官」と呼ばれた、大蔵省の有力者でしたが、自民党が細川内閣に政権を譲り渡した際、小沢一郎と組んで国民福祉税構想を打ち出したことでも記憶されています。

斎藤は野党時代の自民党に冷たかったからという理由で、政権に復帰した自民党から深く恨みを買い、おそらく自民党寄りの勢力から意図的に流された、大蔵省の接待スキャンダルなどの責任を取る形で、異例の短期間で大蔵次官の退任に追い込まれました。これは政権交代で辞任に追い込まれた西川日本郵政前社長と、符合した状況と言えるのかもしれません。権力闘争ではしばしば歴史が繰り返されます。

その後斎藤は「10年に一度の大物次官」というキャッチフレーズとは裏腹に、不遇をかこちます。大物大蔵次官経験者の指定席であった、日銀総裁や、東京証券取引所社長などに就くことはなく、事実上の浪人生活を5年ほど強いられた挙句、大蔵次官経験者としては「格下」の東京商品取引所社長に2000年に就任し、現在に至ります。

小沢一郎との関係が深い有名な官僚でしたが、自民党政権が続く間は半ば忘れられた存在でした。その斎藤次郎が日本郵政社長になるとの発表に世間は驚きましたが、この驚きには二重の意味がありました。「官僚体制打破、天下り全廃」を唱える民主党が、よりにもよって、官僚の中の官僚とも言える財務官僚を、民間出身の社長の後任に据えることにしたからです。

日本郵政はこれからどうなるのか、どうするべきかは様々な見解が交錯していますが、ここでは詳しく議論はしません。一つだけ私見を述べておくと、郵政はもはや日本の戦略的重要問題ではないだろうということです。

人口の大部分が居住する地域では、郵便局に行くより、コンビニで投函や切手の購入をする方が便利ですし、宅配便の方が郵便小包より手軽です。郵貯の巨大資金はありますが、それが財政投融資で第二予算として国会のチェックなしで支出が行われた時代ではありません。問題は積み上がった国債や財政赤字です。郵政事業はもはや国民に絶対不可欠なインフラではもはやありません。

郵政事業自体が昔ほど重要ではないとしても、その長に官僚出身者を充てるのはどうなのでしょうか。少なくとも民主党の「脱官僚支配」と矛盾することは疑いようもありません。鳩山首相は「有能な方だし、15年民間におられており、天下りにはあたらない」と述べていますが、本気でそう思っているとしたら、ただの愚か者ですし、嘘を言っているなら国民を愚弄しています。

好意的(?)に解釈すれば、連立政権のパワーバランスで亀井大臣の顔を立てる必要もあるし、斎藤と関係の深い絶対権力者の小沢のご機嫌を損ねるにはいかないという、苦しい事情があるのでしょう。もちろんそれは内輪の論理でしかありません。

まず指摘しなければいけないのは、「有能なら官僚出身者かどうかこだわるのはおかしい」という「へ」理屈です。有能、無能というのは客観的基準ではありません。それでも、大企業の経験の有無、郵政事業の知識などスコアカードのようなものがあり、その採点表が公開されていれば多少納得もいきますが、一言「有能です」では説明にも何にもなりません。

つまり、「有能なら官僚出身かどうかこだわらない」と言うということは、「天下りは認めます」と言っているのと同じです。今後色々な政府関係の機関、団体に官僚出身者が天下りする時、「有能だからです」と言えば済むことになってしまいます。

官僚出身者の全てがダメなわけではありません。民主党から立候補した官僚出身議員の多くは、所属した省庁と縁が切れています。このような人たちは、どこに行こうと天下りではありません。天下りとは、官僚たちが退官後も実質的な出身官庁主導の人事異動として、就職先を見つけてもらうことです。企業の出向者と同じで、忠誠心は元の出身官庁にありますし、退任、転出は人事発令のように出身官庁が決めます。

斎藤新社長は、前職の東京商品取引所が財務省の天下り先だったことを考えると、「現役」の官僚です。官僚をやめて15年も経ってなどいません。斎藤社長と財務省は今後も日本郵社長に財務省出身者が就くことができるように、全力を尽くすでしょう。

アメリカでは経営者をヘッドハンティングで採用することは一般的です。ヘッドハントされる経営者は「有能だから」選ばれるのですが、結果はともかく、判断基準は有能かどうかということにかかっていますし、判断をするのも個々の企業です。しかし、天下りではヘッドハントをするように、現役次官を給与を倍にしてスカウトするなどということはありえません。異動はあくまでも、出身官庁の人事(実際は官房と呼ばれる組織が中心となる)の判断です。

人事が出身官庁主導であれば、天下りした経営者、幹部は出身官庁の利害関係人になります。会計基準では役員を送り込むと、資本関係が小さくても、連結決算の対象になります。利害関係人かどうかというのは、有能、無能よりずっとはっきりした概念として取り扱われているのです。

「天下り」の根本的な問題は、官僚組織が天下り先を増やし、より多くの利益を官僚組織の人間に分配することを、ビジネスモデルそのものにしてしまっていることです。天下りを維持し、増加させることは官庁の基本的行動規範と言って間違いありません。その結果の政策が、国民にとって「たまたま」有益なものになるかどうかは、二の次三の次です。

民主党は天下り先の外郭団体に12兆円以上の金が流れていて、その無駄をなくせば増税などしなくてもマニュフェストの政策は実施できると主張してきました。算盤勘定はともかく、天下りが無駄の根源であり脱官僚支配が必要というのは政策の柱だったはずです。

官僚支配というのは、天皇の家来で東国の代官程度の位置付けでしかなかった征夷大将軍が幕府を開いて権力を持ったように、民主的に選ばれた議院内閣制のもとで、実質的な権力を官僚が握り、国民に奉仕するための組織から、天下り先を増やすというビジネスモデルを追及する組織に変質してしまったものです。

官僚支配を終わらせるには、官僚組織の人事異動の延長で行われる、政府関連機関の人事を止めさせなければなりません。それには先ず官僚組織の「利害関係人」と考えられる人物の幹部登用を排除することが必要です。有能か無能かはその次の問題です。この規準では斎藤次郎は確実にバツです。

鳩山首相の「有能ならよい。15年前に退官したらよい」は天下りを無くすのは止めると宣言したようなものです。官僚はきっと大いに力づけられたでしょう。官僚支配から脱却するには江戸幕府を倒すくらいのエネルギーが必要です。残念ながら民主党にその力はないのかもしれません。

参照: 天下りを考える
天下りを考える:もう一言
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