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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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小沢vs宮内庁どっちに分がある?
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天皇の言動はすべて公的なもの

あの顔で「君は日本国憲法を読んでいるか。天皇の行為は何て書いてある。それはどういう風に書いてある、憲法に。国事行為は、内閣の助言と承認で行われるんだよ」(読売新聞12・14)と凄まれると何も言えないのも無理はないのかもしれません。羽毛田宮内庁長官が内閣からの中国の習副主席と天皇との面会要請を「天皇の政治利用につながる」とわざわざ記者会見をして述べた(「陛下の政治利用につながるのではないかとの懸念を持っているか」との記者からの質問に「大きく言えばそういうこと」と答えた)ことについて定例記者会見で聞かれた時の反応です。

入社試験の難しいことで知られるマスコミの居並ぶエリート記者には一流大学の法学部卒はいくらでもいたはずですが、「私は東大法学部卒ですが」などと答えた記者は一人もいませんでした。「マスコミは弱い者苛めしかしないのか」と言いたくなりますが、ともあれ小沢幹事長の高圧的な言い方に好感を持った人は少ないでしょう。

早速、外国要人との面会は天皇の「国事行為」にはあたらないと小沢幹事長の無知を指摘する声が相次ぎました。しかし、憲法上の定義はともかく、天皇の行為は全て公的なものであることは間違いありません。それどころか結婚、出産のような自然人として最もプライベートな事柄さえ極めて公的な意味合いを持たされています。

当の羽毛田長官も記者会見で愛子親王の天皇への訪問について、皇太子が「両陛下とお会いする機会をつくっていきたい」と述べたのに「回数は増えていない。両陛下も心配されていると思う」と報道陣に語っています(参照)。祖父母が孫にもっと会いたいと思うのは人間として当然ですが、一般にはそのようなことは家庭内の話です。しかし、羽毛田長官のの発言は公的に皇太子を非難したものと受け取られています。皇室の一員にはプライベートという概念はないようです。そもそも皇室の面倒を見るために宮内庁というれっきとした国家機関が存在すること自身が、天皇のすべては公的だということを示していると言えます。

天皇は内閣の意のままにさせられるのか、「助言と承認」とは天皇の自由意志を認めていなのか、という議論もありますが、かりに天皇が「太平洋戦争はルーズベルトの策謀で止むえず開戦に追い込まれたものだ」とか「朝鮮併合は不当な侵略行為だし、慰安婦は軍部が組織的に数十万の朝鮮女性を強制的に連れ去ったものだ」などと発言したら大変な事になります。天皇の言動に対する内閣の助言と承認は広く天皇の自由を制限するものと考えるべきです。

1か月ルールの妥当性

羽毛田長官は記者会見で天皇が外国賓客と面会することは1か月前に申し込みを行うこというルールがあり、「ルールはこれまでも政府内で重視され、国の大小や政治的な重要性にかかわらず尊重してやってきた」と述べています(参照)。にもかかわらず内閣から強引な申し入れがあり、最後は受けざる得なかったということを問題にしているわけです。

1か月ルールは根拠のないものではありません、天皇は前立腺癌を患っており70歳を超える高齢です。まして、天皇は極めて多忙です。国事行為を含む公務だけでなく、新嘗祭(にいなめさい)などの宮中祭祀は数多くあり、中には夜を徹して国のために祈るような相当の負担のあるものもあります。なんでもかんでも引き受けられるような状況ではありません。

それを「日中関係は非常に重要なのでお願いしたい」(平野官房長官がそのように言って要請したと伝えられている)ということで政府の都合でルールを曲げられるのは承服しがたい、公平なルールがなくなったら、国によって差別することになり、相手に対し礼を失するばかりか天皇の政治利用につながるのではないか。

確かに、このような懸念はもっともな点は多々あります。しかし、1か月ルールというものがあって、それを機械的に厳格に守るということになると、アメリカ大統領も人口十万の国の元首も完全に同等に扱うという話になります。建前はともかく、それでは公平さを褒められるより非常識さを呆れられてしまうでしょう。

どんなルールにも例外はありえます。そしてどのような時に例外として認められるかということを「最終的に」判断するとなると内閣しかありません。少なくとも宮内庁ではありえません。お気の毒ですが天皇は公的な立場しかないという意味で、常にそれに従うしかありません。

1か月ルールがいかに天皇の健康のためとは言っても、1か月ルールの対象になるのは外国賓客との面会だけです(他のルールは知りませんが)。現に、大臣の首が飛んで、新しい大臣が任命されると、夜でも天皇により認証式が執り行われます(やたら首が飛ぶような大臣を任命することは誠に不敬の極みです)。阪神淡路大震災の時は、天皇皇后両陛下は余震の危険が言われていたのにもかかわらず、3日後には現地に入って被災者を訪れています。

どんなルールでも憲法や法律に明確に違反でもしない限り、内閣総理大臣が判断すれば例外を作って悪いということはありません。だいたい偉い人は例外を認めるために存在すると言っても良いくらいです。1か月ルールを変更させるには内閣総理大臣よりもっと偉くなくてはいけないのとでも言うのでしょうか(言いたくなる気持ちはわからないでもないですが)。

羽毛田長官は解任すべきか

法律にもない1か月ルールを持ち出し(それも宮内庁が自分で作ったことは明白です)、それで内閣からの要請であっても撥ねつけてしまおうとするのは、いかにも官僚的な抵抗方法ですが、宮内庁が一政府機関であることを考えると「出過ぎたこと」と言わざるえません。記者会見までして、面会相手の来日前に相手国に不快なメッセージを与えたことだけを取り上げても、懲戒の対象にしてもおかしくないでしょう。

しかし、懲戒は表向きに直ちに行うのは難しそうです。一政府機関とは言っても、宮内庁長官は天皇の信任を受けていると考えられます。羽毛田長官もそんな自信があって、天下の権力者を相手にそこまで強気になれているはずです。そうでもなければ、単なる気骨や天皇ためを思う一心だけで、あからさまに小沢幹事長に恥をかかせるはずがありません。厚生次官を含め長年高級官僚の世界に身を置いてきた羽毛田長官がそんなにナイーブに物を言っていると考えるのはどうかしています。

羽毛田長官はその意味で、天皇の権威を使って自分の主張を通そうとしているわけです。このことを取り上げて「羽毛田長官は戦前の軍部」と同じだと言う人もいます。戦前の軍部は統帥権という三権とは別の権力を天皇から付与されているとして、政府が軍部を指導しようとすることを「統帥権の干犯(かんぱん)」と言って認めようとしませんでした。

羽毛田長官が天皇を使って一般の行政機構の秩序を超越した動きをしようとしたことを取り上げれば、戦前の軍部と似ていると言えないこともありません。しかし、羽毛田長官はあくまでも天皇の身辺の世話を行う宮内庁の長官です。できることは「天皇の公務遂行は宮内庁の同意が必要」と言う(言ってはいませんが同じことです)くらいで、戦前の軍部のようなとんでもない大被害を出すような暴走ができるわけではありません。

逆に天皇を自分の権力基盤のために利用しようとしたことで「小沢こそ戦前の軍部と同じだ」と言う人もいます。要は「戦前の軍部」が悪玉のアイコン的な表現になっているわけですが、小沢幹事長は天皇を利用しようとしたことはあるかもしれませんが、天皇の権威の下で超法規的なことをしようとしたわけではありません。

公的政治と私的政治

形式的な筋論で考えると小沢側に分のある話のように思えますが、すっきりそうとは言えないのは、今回の習副主席と天皇との面会は、直前の小沢率いる600人の大訪中団が大歓迎を受け、140人の国会議員が全員胡錦濤国家主席とツーショットの写真を撮影させてもらうという異例のもてなしをしてもらった見返りと思われるからです。

小沢幹事長が自分自身の権力基盤の強化のために、天皇との面会を利用したとするなら、これは天皇の公的政治利用というより私的政治利用です。言葉遊びのようになりますが、そうではありません。私的政治、英語でポリティカルという方がもっと意味が明快になりますが、私的な政治的な動きとは、権力争いのための策謀をめぐらせることです。内閣総理大臣ですらない一党の幹事長が私的政治に天皇を利用するのは許されません。実際には、公的政治と私的政治は明確に区別がつかない場合も多いでしょう。次期国家主席の有力候補と伝えられる習副主席と天皇の面会も、将来の国益に結びつく可能性はあります。

しかし、天皇に助言、承認を与えるのは内閣の仕事ではあっても、国民の選挙で選ばれたわけではない民主党の幹事長の権限ではありません。小沢幹事長が内閣総理大臣を実際は超える権力者である。それどころか鳩山首相は小沢幹事長のただの傀儡で、国民が信を問うことができないところで、政治権力が使われているとなると問題は別です。まして事が天皇に関係するとなると日本人一般に与える不快感は相当なものになるでしょう。羽毛田長官はそのあたりの機微をうまく捉えたと言えます。

官僚組織も私的政治に権力の運営を行って自分たちの権限を維持してきました。羽毛田長官は、公には個人的な意志をほとんど漏らすことのない天皇の思いを代弁する(愛子親王との面会はその典型です)天皇の「口」としての権力を持っています。その羽毛田長官は官僚として頂点を極めた人物です。法的な根拠はないが実権を振るう小沢幹事長(その小沢の年来のテーマは官僚組織の解体です)と天皇を挟んで私的な政治的暗闘を繰り広げている。それが今回の騒動の実態のように見えます。政治主導も官僚主導も、どちらも権力を自分の有利に使おうと言う点では往々にして十分に「私的」に政治的です。天皇の外国要人との面会一つでそんな深読みをさせられるというのも、あまり嬉しいことではないのですが。

追記;
宮内庁には石原都知事も腹にすえかねているようで、今回の一件でも「宮内庁に問題がある」と指摘しています(参照)。日頃の反中国的な言動からはやや意外ですが、知事はオリンピックの東京招致にIOC大会での皇太子出席を目論んだのに、宮内庁の強硬な反対に会ったという恨みがあるようです。宮内庁はやはりある種の権力を持っていることは間違いないようです。

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この記事に対するコメント

> アメリカ大統領も人口十万の国の元首も完全に同等に扱うという話になります。建前はともかく、それでは公平さを褒められるより非常識さを呆れられてしまうでしょう。

とありますが、テレビのニュースやワイドショーを見る限り、国民感情としては「国の大小によらず分け隔てなく接する天皇の公平性」を賛美するほうが大勢だったようにも感じます。

馬場様個人の意見としてだったり、意見の大小を論じる文脈ならいざしらず、国民感情の大勢を論じる文脈では、おそらく当たっていない見解だと思います。
【2010/02/04 19:29】 URL | 幸之介 #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> > アメリカ大統領も人口十万の国の元首も完全に同等に扱うという話になります。建前はともかく、それでは公平さを褒められるより非常識さを呆れられてしまうでしょう。
>
> とありますが、テレビのニュースやワイドショーを見る限り、国民感情としては「国の大小によらず分け隔てなく接する天皇の公平性」を賛美するほうが大勢だったようにも感じます。
>
> 馬場様個人の意見としてだったり、意見の大小を論じる文脈ならいざしらず、国民感情の大勢を論じる文脈では、おそらく当たっていない見解だと思います。

正確なデーターを取るのは難しいですが、アメリカ大統領、イギリス女王との天皇の面会時間、公式もてなしと、パラオその他小さな国の元首、要人にさいた時間の統計があれば、公平と言うことはありえないでしょう。礼節は重んじなければなりませんし、相手が小国だから軽んじる態度を見せるのは避けなければなりませんが、差があるのはいたしかたないでしょう。
【2010/02/05 06:58】 URL | RealWave #- [ 編集]


いや、わたしの読み間違いだったかもしれません。
「呆れられてしまうでしょう。」とは、馬場様の意見ということですね。
「られて」という表現から、てっきり「世論は呆れているのだ」という見解を示したものと勘違いしてしまいました。

馬場様の意見とわたしの見解をつなげて、あえて悪い表現を使えば、
「礼節は重んじなければなりませんし、相手が小国だから軽んじる態度を見せるのは避けなければなりませんが、差があるのはいたしかたない、にもかかわらず、マスメディアは建前論だけで天皇の公平性を偏った視点で礼賛し、国民感情は反小沢へ振られてしまった。」ということになりますか。
【2010/02/10 10:56】 URL | 幸之介 #- [ 編集]


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