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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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国債大量発行で大インフレは避けられないのか
cash flow analysis


狼少年?

日本の国債残高がますます積み上がっています。2010年度の政府予算案では、歳出額約92兆円に対し新規国債発行額は44兆円で税収額の37.4兆円を初めて上回りました。この44兆円も「埋蔵金」と呼ばれる特別会計の積立金、約10兆円を取り崩したものです。来年度以降は埋蔵金はもうあてにできないなので、実質的には50兆円を超える赤字が生じていることになります。積み上がった国債の残高は、2010年度末で637兆円となり日本のGDPの134%に達します。国家財政の破綻への危機感は一層高くなっています。

膨大な国債が最後はどのような結果をもたらすのか、大インフレになるのではないかという懸念も強くなってきました。国債がもうどうにも返済できなくなってもインフレで物価が100倍になれば借金は実質100分の一になり、(借金という意味では)問題は一挙に解決します。100倍かどうかはともかく国家がそうしたくなる誘惑にかられる、あるいはそうすることを余儀なくされるのではないかというのです。

来年度の日本の国家予算のように税収を国債発行額が上回るような状況をいつまでも続けることができないのは自明でしょう。それほどではなくても、国債発行残高の大幅な増加をいつまでも続けていくこともできないでしょう。国債の発行をしても市場で売れなくなれば、国債の利率を大幅に引き上げるしかありません。借金で借金を返し、借金の利率がどんどん上がっていく、それでは多重債務者の借金地獄と同じ状況になります。それでも国債が売れなければ政府が文字通り「倒産」してしまうので、日本銀行にお札を刷らせて無理矢理買ってもらうしかありません。通貨が大幅に増加すれば、インフレになってしまいます。

可能性としてはこのシナリオに異議を唱える人はあまりいないでしょう。世の中に無限に続くものはありませんから、永久に国債の大量発行、大量消化を続けることはできません。しかし、本当の問題は「いつ」インフレになり、その「インフレはどの程度のもの」かということです。地震はいつかは起きるのでしょうが、「いつ」、「どの程度」の地震が起きるかを言わなければ「地震予測」とは言いません。

国債の発行を続けていると大インフレになるという警告は昔から何度もされてきました。不況対策で国債が大量に発行されるたびに(「大量」といっても昔の発行額など今から考えると可愛いものでしたが)、同じことが繰り返されてきました。その結果今のところ大インフレは起きていません。これでは「国債発行の大量発行で大インフレが起きると」という主張は狼少年のようなものではないか、と言われても仕方ないでしょう。しかし、狼少年の物語では最後に狼が襲ってきました。やはり大インフレは避けられないのでしょうか。

カタストロフィーは予測できない

日本の土地バルブの崩壊は予測はできませんでした。バブル処理の手際の悪さを日本にお説教をしたアメリカもサブプライムローンによる住宅バルブの崩壊は防げませんでした。ITバルブの崩壊もアジアの通貨危機も突然でした。どれも「このままでは危ないぞ」と警告する人はいくらでもいましたが、「いつ」起きるかを正確に予測したわけではありません。たまたま「いつ」を当てた人もいたかもしれませんが、その人が次のバブルの崩壊を当てることができたわけでもありません。

バブルの崩壊や経済危機の勃発のようなものは一種のカタストロフィーと考えられます。カタストロフィーとは一言で言えば不連続な現象です。つまり、カタストロフィーとは過去の延長では考えることができない現象です。

木の枝を折り曲げれると、木の枝はどんどんしなっていきますが、ある段階で突然折れてしまいます。これはカタストロフィー的現象です。カタストロフィー的現象は予測が困難で、予測が困難ということがカタストロフィーの定義と言ってもいいくらいです。

地震がなかなか予測できない理由は、地震がカタストロフィーだということが原因だと考えられます。地震は地殻のひずみが限界に達した時にそれまでひずみとして貯まったエネルギーが解放されて起きますが、どの程度ひずみが貯まれば地震が発生するかを予測することは今のところできません(最近特定の地震の発生をかなり正確に予測できるケースがでてきているようですが)。

市場が受け入れることのできる国債の利率が突然暴騰する、言葉を変えると国債価格が暴落するのは、人々の「国債の価格が暴落するのではないか」という懸念が連鎖反応的に広がってパニックを起こした時です。人がいつ「もう国債は買えない」と思うかは多分に心理的な要素が左右します。いくら理論を振り回しても、心理的な現象を正確に予測にすることは難しいので、予測は困難ということになります。

日本の財政が破綻して、大インフレが本当に起きるのか、起きるとすればいつなのかを自信をもって予測できる経済学者はいません。できることは「このままでは大変なことになる」と言うだけです。しかし、それでは「明日世界が終る」と言う宗教家とあまり違いはないようにも思えます。「いつかは大変なことになる」という中身のない議論ではなく、現実的に日本の国債の問題を考えることはできないのでしょうか。

一体いくら足りないのか

経済学者が「いつ日本の財政は破綻するか」という問題に占い師程度のことしか言ってくれないようなので、企業分析と同じように、キャッシュフローから、どの程度日本政府の財政が追い詰められているか見てみましょう。

2010年度に国債を増発しなければならなかった大きな理由はリーマンショック以来の経済不況で税収が大きく落ち込むと見込まれるからです。このまま坂道を転がるように日本経済が転落していくことがあり得ないとは言いませんが、一応これは一時的現象と考えるのが妥当でしょう。

2010年度の税収予測は37兆円です。これに対し2009年度の税収は46兆円でした。税収の中で法人税や所得税は景気によって変動が大きいのですが、現行税制の下で、45-50兆円程度の税収が日本経済の実力と考えても大きな外れはないでしょう(2010年度はあくまでも例外です)。

一方、一般支出は景気対策のための大型補正予算を除くと52兆円です。歳出にはこの他に地方交付税などが17兆円ほどあり、歳入の方も税収以外に10兆円程度の雑収入的なものががあります(2010年度は20兆円以上になりますが)。

結局、歳入、歳出の差は平均的には9-14兆円くらいということになります。これくらいの赤字でも30兆円程度の国債を毎年発行しなければならなかったのは、国債費、つまり国債の元利支払いが20兆円ほどあるからです。国債残高が増えれば、国債費も増加していきます。

国債費の内訳を見ると、元金返済分と利息の支払い分はほぼ半分づつの10兆円です。確かに利息くらいはちゃんと収入で払わないとまずいかもしれませんが、元金の方は単なる借り換えと考えれば、無理して減らさなくてもよさそうです。民間企業でも「貸しはがし」に遭わない限り、元金の借り換えは問題なく銀行も応じます。国債のような信用度の高い債券を借り換えることは何の問題もないはずです。第一金余りの中で国債を返されても、貸し手も運用先に困ってしまうでしょう。

ということで毎年の歳入不足分に国債の利息分の10兆円を加えた、19-24兆円の埋め合わせがつけば、日本の財政は健全化すると考えられます。もちろん、少子高齢化による、歳出増、歳入減や、子供手当のような新しい施策の影響は考えなくてはなりませんが、取りあえずの出発点としては十分です。

この不足分を全て消費税でカバーするとすればどうなるのでしょうか。消費税は1%でほぼ2兆円の税収になります。19-24兆円の不足は10-12%の消費税分に相当します。現行の税率5%を加えると、消費税は15-17%になります。これが大変な増税と考えるかどうかということですが、ヨーロッパ諸国の消費税は18-20%くらいですから、国際比較という意味では、そう無茶な数字でもありません。

ただ、この計算では国債の利息分の10兆円はちゃんと返すという前提になっています。仮に物価の上昇率が1%であれば、700兆円の国債残高は実質年間7兆円づつ目減りすることになります。1.5%も物価が上昇してくれれば、利息分は気にしなくてもよい計算です。物価の上昇率が上がれば、国債の金利も上昇しますが、700兆円の既発国債の金利は変わらず、新規発行の分だけが上昇するので当面影響はわずかです。

700兆円も国の債務が積み上がってしまうと、大インフレでなくても少し物価が上昇しただけで、国債の負担はぐっと小さくなります。無理して利息分を返そうなどと気張るより、その分消費税の増加を抑制したり、他のことに予算を使ったらどうでしょうか。利払いは借金ですることにすれば、消費税を5%も低く設定でき、財政の健全化は消費税10-12%で実現できることになります(それでは健全化ではないと主張する人は多いでしょうが)。

過度な悲観論はおかしい

現在の国家財政を家計にたとえて、月収37万円で92万円の生活費を使い、足りない分を借金で補っているとか、借金の利払いを借金で返すのはサラ金地獄と同じだというような意見があります。意見というよりテレビのニュースショーなどではほとんど真実のように語られているのですが、これは非常に誤解を与える表現です。

まず37兆円の税収を月収に例えていますが、国民経済全体で考えれば月収は税収の37兆円ではなく、GDPの500兆円でしょう。GDPを社会福祉のような公機関経由で使うか個人や企業が直接使うかは国民の選択の問題ですが、収入のベースはあくまでもGDP全体です。

また、国には個人と違って寿命はありません。個人でも2世代ローンを組めばより多くの借金ができますが、国は末代ローンを組んでいるようなものです。それからサラ金地獄はローンを重ねるごとにどんどん高利になりますが、国家は非常に安い金利で借りられるので、わずかに物価が上昇するだけで実質債務を減らすことができます。

積み上がった国債を解消するには4つの方法があります。(1)税金を上げる (2)歳出を削減する (3)インフレを起こす (4)経済成長で税収を増やす ですが、(3)のインフレも急激なものでなければむしろ健全です。今の日本はデフレ状態のため、貯金を貯め、年金を受け取るという高齢者に著しく有利になっています。インフレという形の緩やかな財産税を取り、年金を実質的に減額することが世代間の公平という点では必要でしょう。

昨年末になって民主党は「新成長戦略~輝きのある日本へ~」を発表しました。それによると今後GDPの成長率を名目3%、実質2%を目指すことになっています。つまり物価上昇は年率1%ということになります。年末のどたばたで作ったいい加減なものだし、第一実現のための具体論がないじゃないか、と評判はあまりよろしくないのですが、実現すべき目標を示し、そのためには何を政府はしなければならないかということを考えるには、これで十分です。

有名なGEのジャック・ウェルチCEOが示した「業界1位か2位にならない事業からは撤退する」という戦略も、ウェルチが業界1、2位になる具体論を持っていたわけではありません。具体論なぞはもっと下々が考えれば良いことでトップの戦略メッセージは明快であることの方がずっと重要です。美しい国だの、友愛社会など言われてもどうしようもありません。

民主党の経済成長のモデルが実現されれば、税収は年率3%伸びていきます。日本の高齢化はこれからも進んでいきますし、それに伴い社会福祉関連の支出は増加します。しかし、年率3%で税収が伸び、国債残高も利息分くらいの増加は認めようと思えば、15%程度の消費税で財政は相当程度の柔軟性を持つことができそうです。いや3%は過分な贅沢で、2%の着実な成長があれば、かなりの余裕ができるはずです。さらに、ヨーロッパ並みに消費税を20%にすれば、法人税と所得税を40%も下げることができます。日本を金持ちやグローバル企業にとって魅力のある国にすることもできるわけです。

15-20%という消費税はヨーロッパ諸国では普通です。それでも日本では消費税の増税に抵抗は強いのですが、少なくともその程度に消費税を上げても国民経済は崩壊しないという実例があるのですから日本でも経済の骨格を維持したままで消費税をその程度に上げることは可能でしょう。

市場が日本の国債を引き受け続け、大量発行にもかかわらず利率が上昇しないのは、市場が日本の増税余地が極めて大きいことを知っているからに違いありません。日本の国債の残高については、買主が国民で外国に依存していないから大丈夫という楽観論も、金に愛国心はないから日本人の金もいざとなれば逃げていくという悲観論もあります。どちらも正しそうですが、市場という衆合知が今の日本の国債は返済できる範囲であると判断しているからこそ国債暴落というカタストロフィーはまだ起きていないのです。。

もちろんこれは私の推察です。突然カタストロフィーが襲ってきて、国債市場が大崩落しないとは限りません。国債の発行残高がGDPの1.4倍に達しているという事実は無視しがたいものがあります。しかし、過度の悲観論で「大インフレ到来必至」というのは理性的な態度とは思えません。狼はいつかきっとくるでしょう。しかし狼を防ぐためにめぐらす柵はそれほど高くなくても良いのではないでしょうか。

BoyWhoCriedWolf sm

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この記事に対するコメント

とても勉強になりました。私は今経済について勉強しています。もしご迷惑でなければ、経済の先生として私とメールのやりとりをして頂けませんか?よろしければお返事下さい。
【2011/12/02 14:15】 URL | 学生 #- [ 編集]


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