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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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それでも死刑に反対します
EUDeath.jpg
EUの日本への死刑廃止を訴えたパンフレット


Question:今月(2010年2月)6日内閣府が発表した世論調査では「死刑制度の存続はやむ得ない」との回答が85.6%に上りました。内閣府が5年おきに実施しているこの世論調査で、死刑存続を求める割合は増加傾向にあります。日本国民の圧倒的多数が死刑制度に賛成しているわけですが、その中であえて死刑廃止を求めるのはなぜなのでしょうか。

Realwave:日本では死刑存続派が圧倒的ですが、世界的には死刑を廃止ないし停止した国は増加してきています。特にヨーロッパ諸国では死刑はほとんど行われなくなりました。世界198カ国のうち過去10年で死刑を実施した国は日本を含め58カ国しかありません。先進民主主義国の中で死刑を存続させているのは日本以外ではアメリカくらいです。そのアメリカでも15の州では死刑は行われていません。

Q:日本が例外的な存在だということが何か問題になるのですか。

R:死刑の実施を含め司法は国家主権のもっとも重要なものの一つですが、国際的な影響を受けないわけではありません。国連は2007年12月18日に死刑執行の一時停止を加盟国に要請する決議案を賛成104、反対54、棄権29で採択しました(国連で死刑執行停止要請決議採択)。日本の死刑制度が国際的な批判の対象になっていることは間違いありません。

Q:なぜなのでしょうか。

R:まず、人権の問題は国境を越えて国際社会が監視すべきだというコンセンサスがあります。現在明らかになっている範囲では死刑執行の大半は中国とイランで行われています。両国とも人権尊重の点で問題のある国だと見做されていますが、日本も死刑を存続させているということでは国際的には人権保護に努めていないということにされています。

それから国際化が進む中では犯罪と罪の重さはできるだけ共通のものにしようという考えもあります。どこの国で起こした犯罪でも同じ犯罪なら同じように罰せられるということです。死刑は罰則の重さという点で突出しています。死刑の可能性のある犯罪者を日本に移送するのを断られることもありました。

EU(欧州連合)では日本とアメリカという価値観を共有する民主主義国が死刑を廃止していないことを特に問題視しています(駐日欧州委員会代表部ホームページ)。その中で死刑の存廃は国家の主義の問題であり世論調査で決めるべきではなく、特に凶悪事件の後で世論調査を行うべきでないことが強調されています。日本で内閣府が定期的な世論調査を行い、その結果を死刑存続の理由にしていることへの強い非難と考えて良いでしょう。

Q:ヨーロッパ諸国のようなキリスト教国が死刑を廃止しているのは文化的、宗教的な背景があるのではないですか。

R:キリスト教的な考えで死刑に反対する人ももちろんいます。しかし、伝統的にはヨーロッパ諸国では魔女狩りなどで大量の死刑が行われてきたという事実があります。またナチスドイツが死刑を多数執行したことが第二次世界大戦後の死刑への反対を強めたということもあります。歴史的には日本が死刑を行わないという時期もありました。平安時代は死者は祟る(たたる)と考えられていて貴族の死刑はなく、反逆者に対しても島流しなどで処理していました。現代の死刑廃止は人権保護の観点で進められており、国や宗教の違いを超えた国際的な動きです。

Q:死刑を廃止すると凶悪犯罪が増加するのではないでしょうか

R:死刑を廃止したから凶悪事件が増加したという事実が確認されたことはありません。日本の凶悪犯罪、特に殺人は減少傾向を続けているのに、厳罰化を求める世論が強くなっているのは不思議な現象です。

Q:死刑を廃止して被害者家族の感情が回復されるでしょうか。

R:被害者家族の感情は十分に考慮しなくてはいけません。従来の死刑反対論の論拠は死刑囚側の感情にすり寄ったものが多かったのですが、人間としての感情を考えるなら凶悪な犯罪者より、被害者の方が重くなるのは当然です。ただ被害者家族の感情回復は死刑だけが唯一の方法ではありません。裁判への被害者家族の参加も一つです。被害者家族も単に加害者の生命を絶ちたいというだけでなく、死刑があるのに無期懲役では許せないということもあります。

Q:無期懲役では釈放もありえます。

R:最近は無期懲役囚の釈放は短い年限ではまず行われません。有期刑の上限が30年になったこともあり、普通はそれ以上は服役しなくてはいけません。ただ、釈放の可能性があるのは事実で、死刑を廃止するなら無期懲役の上に終身刑を設けることも必要でしょう。

Q:極悪非道な犯人を国費で長期間服役させるくらいなら、死んで報いをさせた方が国家的観点からは望ましいという意見もあります。

R:刑務所の経費は服役囚当たり年間2-300万円です。この10年を見ると死刑執行数は年平均で5名以下です。恐らく、死刑システムを維持する経費の方が死刑を終身刑に変えるより費用がかかると思われます。刑務所の経費削減は死刑執行を増やすなどという方法ではなく、犯罪総数の減少で実現すべきですし、それ以外の効果的なやり方はないでしょう。

Q:年平均5人の死刑執行ということですが、2004-2009年の死刑判決確定者数は合計で89名と年平均15名近くになっています。

R:さきほど申しあげたように、殺人件数は統計的には一定ないし緩い減少傾向にあります。その中で2004年ごろから死刑確定数が急に増え、殺人のずっと多かった1960年前後と同水準になってしまいました。死刑判決が増えたことが、凶悪犯罪が増加しているような印象を世間に与えている面さえあります。犯罪の厳罰化自体はそれなりに意味のあることかもしれませんが、死刑判決の急激な増加は憂慮すべきことではないかと考えています。

Q:それはなぜですか。

R:厳罰化の流れは、犯人の人権保護ばかりを強調したマスコミが一転して被害者、被害者家族の感情に焦点をあてるようになったことが関係していると思います。被害者感情を考えるということと、犯罪者の人権を無視するということは同じではありません。成熟した社会とはどちらも考えることができなくてはいけないと思います。

Q:人の命を奪ったことに対しては自らの命を差し出すしか贖罪の道はないという考えもあります。

R:そのような考え方は当然あります。特に被害者の立場に立てばその通りだと思います。しかし、現実を見ると殺人犯を全て死刑にしてしまうと現在の百倍も死刑を執行することになります。これは日本社会では受け入れられないのではないでしょうか。ほとんどの殺人犯は懲役の形で罪を償っているのです。

Q:冤罪についてはどうお考えですか。

R:冤罪が現実に存在するというのは何度も証明されています。殺人のように重大な犯罪は警察、検察が犯人検挙に熱心になるため、冤罪が発生する可能性は普通の犯罪よりむしろ高くなる危険があります。冤罪で死刑判決が行われ、さらに執行される事態は無視できません。

Q:冤罪がありうることはわかりますが、インフルエンザの予防注射で亡くなる人も年間数名はいます。冤罪を恐れていては犯罪の摘発自身もできなくなってしまいます。

R:その通りですが、死刑を執行してしまうと、冤罪を晴らす可能性が全くなくなってしまいます。冤罪の発生を完全に防ぐことはできませんし、冤罪を恐れるあまり無闇に刑を軽くしたり無罪にしてしまうのは間違いだと思いますが、死刑執行の危険性は認識すべきでしょう。

Q:鳩山邦夫氏が法務大臣時代、法務大臣の考えではなく一定期間で機械的に死刑を執行するような仕組みを作るべきだと言いました。

R:平等に正しく法律が執行されなくてはいけないという点では、死刑も例外ではありません。ただ、死刑執行の最終判断を法務大臣が行う時、再審請求中であるとか、何らかの意味で冤罪とされる可能性があるときは、普通法務大臣は死刑執行の署名をしません。死刑という刑罰の重大性から念には念を入れる手続きになっているわけで、機械的な処理には全くなじまないものだと思います。

Q:現実に世論の80%以上が支持している死刑制度を廃止することは困難だと思いますが。

R:フランスが死刑廃止を行ったのは1981年ですが、その時点でフランス人の60%は死刑制度の維持を望んでいました。それでも死刑制度賛成者が現在の日本の85%と比べて少ないのは、その当時死刑の執行数が年間1名ないしそれ以下と激減してきた経緯があるからです。日本で死刑制度をいきなり廃止することは不可能でしょうが、死刑執行を事実上停止していくことは可能です。そのためには日本の指導層が政権党の如何を問わず、死刑を廃止していくという暗黙のコンセンサスを持つ必要があります。死刑が事実上執行されなくなれば、死刑執行が現代日本ではかなり異常な刑罰だという現実も国民にも見えてくると思います。このようなモラトリアムは韓国では10年以上実施されています。

Q:死刑がなくなれば日本社会はよくなりますか。

R:手や足を切り落とす刑罰がない国の方が、切り落とす刑罰のある国よりましだという意味では、死刑がなくなった日本は死刑がある日本より良くなると思います。ただ、死刑を廃止しても凶悪犯罪が増えないだろうというのと逆に、死刑がなくなっても凶悪犯罪が減ることを期待できるわけではありません。

Q:裁判員制度で裁判員が死刑判決を出すという負担はなくなりますね。

R:その通りかもしれませんが、裁判員制度の前提は一般人でも正しく法の適用の判断ができるということです。裁判員の負担軽減を死刑制度の廃止、停止の理由にするのは適当ではないと考えています。

Q:最後に何か一言あれば

R:死刑判決を受けた事件を見ると、身勝手な理由で多数の殺人を犯したものばかりです。このような犯罪者が人権を求める資格はないと思う人も多いでしょう。しかし、江戸時代は10両盗めば死罪になりました。死刑をどのような犯罪に対して執行するかというのは、その社会の人権に対する考え方で変わってきます。死刑を廃止する方向に世界が向かっているのは人権をより重視しようという流れの表れだと思います。個々の犯罪の残虐性に目を奪われずに、より人権を重んじる社会を作るために死刑制度の廃止を目指すべきだと思います。
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この記事に対するコメント
やはり納得できません。
 わたしは存続論者です。根拠は「被害者家族の立場に立てば」という原始的なものですが、貴兄の冷静な文章を拝見しても、やはり納得できません。いわんや廃止論者の弁護士の行動を見ると、反感さえ覚えます。
 人権に関しても、優先順位が高い課題は少なからず存在し、死刑廃止は最後に来るものだと考えます。欧州に於いても課題は多く、死刑廃止を圧し付けて来るのは、政治的な臭いがする且つ優越的態度だと思います。
【2010/02/12 12:29】 URL | 桃栗 #- [ 編集]

Re: やはり納得できません。
>  わたしは存続論者です。根拠は「被害者家族の立場に立てば」という原始的なものですが、貴兄の冷静な文章を拝見しても、やはり納得できません。いわんや廃止論者の弁護士の行動を見ると、反感さえ覚えます。
>  人権に関しても、優先順位が高い課題は少なからず存在し、死刑廃止は最後に来るものだと考えます。欧州に於いても課題は多く、死刑廃止を圧し付けて来るのは、政治的な臭いがする且つ優越的態度だと思います。

死刑反対の立場から、裁判妨害に等しい行動を取る弁護士には私も賛成できません。現行の法律、判例の下で死刑判決が出るのは致し方ないことです(それでも1960年代と同水準の死刑判決が出るのは異常だとは思いますが)。死刑の廃止、モラトリアムは司法ではなく、立法、行政の中で行われるべきでしょう。司法が法律という枠組みから逸脱するのは好ましくありません。

ヨーロッパ諸国が日本に死刑廃止を求めることをある種の人種差別的な優越意識の故ではないかということに対しては、全否定はしませんが、アメリカも非難の対象になっているということを考えると、少なくとも表面上は公平な取り扱いをしていると思います。
【2010/02/12 16:16】 URL | RealWave #- [ 編集]


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