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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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マネージメントならどうする: ケーススタディーとしての国母選手と朝青龍
Kokubo.jpg
乱れた?国母選手の格好

異文化との付き合い方

オリンピックでスノーボード男子ハーフパイプ代表の国母選手の服装が問題になりました。発端は出発の時の成田空港に格好が日本選手団のユニフォームを着崩し、ズボンをずり下げた今様の格好(腰パンと言うらしいですが)で現れたことなのですが、映像が流れて「服装が乱れている」という非難に謝罪した記者会見での態度がまた問題になってしまいました。

「反省してまーす」とややふてくされた感じで謝罪したのもあまり感心したものではなかったのですが、小さく「うるせーな」などとつぶやいた声が高性能マイクにしっかり拾われ物議をかもすことになってしまいました。結果として国母選手は再度謝罪記者会見を行うことになった上、選手村入村式、開会式参加も欠席ということになってしまいました。

国母選手の問題の出発点だった「服装の乱れ」などつまらない話ではないかという人も多いと思いますが、そうとも言えません。われわれの日常生活ではデフレの克服、パンデミックへの対処方はたまた巨大隕石衝突の危険性などの「大問題」のことを論じることはあまりません。また、論じたところで何かがどうなるというわけでもありません。

人間関係でのトラブルの多くは服装、言葉づかい、態度などが「気に入らない」ということで起こることが多く、国母選手のケースは身近な問題と言えます。国母選手のようなことが全て「些細なこと」と思えるなら、親子関係、学校、職場での衝突はずいぶん減るに違いありません。

国母選手は開会式の参加を認められませんでしたが、同じように「横綱の品格」を問われた朝青龍は職を失ってしまいました。朝青龍の場合は警察沙汰を起こしてしまったので、国母選手の場合と根本的な違いがあるかもしれませんが、事件の完全解明の前にあっさり引退に追い込まれたのはそれまでの朝青龍の態様が影響していることは間違いありません。

女優の沢尻エリカの場合は出演映画の舞台挨拶で、司会者の質問に「別に」などと不機嫌に答えた映像を何度も流されて、事実上芸能活動中止に追い込まれてしまいました。沢尻の場合は、大麻を所持していたとか暴力事件を起こしたわけではありません。態度が悪かったという理由だけで仕事がなくなってしまったわけです。

ボクシングの亀田兄弟も言葉遣いが悪い、試合のやり方がセコンドについた父親も含めてクリーンでなかったなど散々叩かれました。その結果、コマーシャル出演のような人気のあるプロ選手には本業以上の収入源が大幅に減ってしまいました。亀田兄弟(親子)はヒール的なイメージを売っていて、それが人気の一つだったはずだったのですが、風向きが急に変わって態度の悪さを攻撃されました。

国母選手や朝青龍のような部下を持ったらどう対処したらよいのでしょう。これは今では切実な問題です。国際化の進展で海外に赴任するのは珍しくありませんが、最近では国内でも外国人を採用するケースが増えています。若手とベテランの衝突は昔からありましたが、最近は正規社員と非正規社員の違いが加わっています。産業構造が目まぐるしく変化するため、異業種と思っていた業界、職種の人と仕事をする機会も増えました。

国母選手、朝青龍の場合はさらに「スター社員」をどう扱うかという問題があります。競争力のためには今までの企業文化と衝突する可能性があっても、優秀な社員を採用しなければならなくなっています。日本企業もいつまでも「和をもって尊しとなす」とばかりも言っていられません。パフォーマンスにすぐれたスター社員が文化的軋轢を引き起こした時マネージメントはどうすれば良いかを考えてみましょう。

(1)文化的摩擦を本質的なものとは考えない

国母選手の服装について非難した人は「日本代表として国費を使って参加するオリンピック選手としての自覚にまったく欠ける許されないものだ。そもそもあの格好は頭の足りないことを証明している」という意見を持っているようです。反対に擁護する人の多くは「服装は個性を表現するもので、オリンピックなど権威で服装を押し付けるのは間違いだ。あの服装はそれなりにきまっていて格好いい」と考えています。

どちらも個人的感想としてはそれでよいのですが、マネージメントが自分の好みで部下の行動の評価をするのは感心しません。まして文化的な違いがあるときは絶対に避けるべきです。服装や言葉遣いはある社会的集団に属しているものですから文化的集団が違えば違うのは当たり前で、違い自身を評価するのは間違いです。

国母選手がファッションに無関心な人間とは思えません。鼻ピアスも緩めたネクタイもおしゃれでそうしているので、だらしなくてそんな恰好をしているのではないでしょう。逆にきちんとした服装が常に正しいわけではありません。子供の運動会にビジネススーツを着てきたら、仕事を抜け出してきて、親の参加するゲームに出る気はないなと思われてしまいます。第一場違いな印象で子供に嫌がられてしまいます。

国母選手のファッションは日本選手団のドレスコードの伝達が正しく行われなかったからでしょう。「公の場ではユニフォームを着用し、きちんとしたオリンピック選手としてふさわしい身だしなみをすること」という表現では文化的基盤が違っていると解釈も違ってきます。

問題なのは、ドレスコードやルールをきちんと伝えても、それに従わないときです。朝青龍のガッツポーズはその例でしょう。勝負に勝った後ガッツポーズをするのは世界標準と言ってもいいぐらい普通ですし、日本でも野球やゴルフでは当たり前です。しかし、相撲ではハワイ出身の力士も朝青龍以外のモンゴル人力士もガッツポーズはしません。朝青龍は横綱の品格以前に集団のルールに従う気がないということになります。

次は朝青龍が集団の文化に従わないような性格または文化的背景があるかということです。集団の文化に従わせる強さは北朝鮮のような強権国家と民主主義国家では違いますが、どんな集団でも自分たちの文化に従わせるということは共通しています。モンゴルが例外であるはずがありません。朝青龍の場合は、自分の基準に合わない文化には従う必要がないと考える個人的な性向の持ち主だということに加え、自分は例外扱いしてもらえるという気持ちがあったのでしょう。

(2)価値観を共有する

文化的なベースが違っても価値観を共有できないわけではありません。国母選手の場合でも、国際大会で自国の旗を上げたいという価値観は他のオリンピック選手とそれほど違ってはいないでしょう。オリンピック代表に選ばれるようなアスリートは競争心や克己心は人一倍強く「日本のために頑張ろう」という意識を共有するのは難しいことではありません。

朝青龍のような外国人であっても、自分の身入りだけを考えるという狭い意味の功利主義ではなく、「大相撲の価値を高めよう」という目的を持たせることは可能だったはずです。「あいつはカネにしか興味がないから」という印象は外国人社員に感じることが多いのですが、価値観の共有ができず自分のしていることに金銭以上の価値を感じることができなければ人間はカネにしか興味がなくなります。

一流のアスリートがカネだけの価値観で一流になることは困難ですし、たとえそうでも一流になればカネ以上の何か別の価値を求めるのが普通です。それはメダルの栄誉かもしれませんし、歴史に残る大横綱になることかもしれません。朝青龍も優勝回数で歴代一位になることにこだわりがあったと言われています。もし、「横綱の品格」を持つことを共通の価値観で持つことができていれば、トラブルの多くは防げたはずです。

(3)コミュニケーションに務める

文化的な違いは表面的な違いに目を奪われずに、違いの奥にある共通の価値観を見つけることができれば克服できます。そして共通の価値観を持つためには十分なコミュニケーションを行うことが必要です。

マネージメントにとって、伝統的な日本の会社は文化の均一性が高く、終身雇用のもとでは共有する価値観も「わが社の発展」とすることで十分でした。そんな環境ではコミュニケーションは仕事帰りに一杯やって、仕事場ではしにくい不満を聞いてやったり、部下が「上司は気づいていないだろうな」と思っているような進歩や努力をさりげなくほめることで達成されました。

しかし、文化的な背景が大きく異なる集団では価値観の共有のために行うコミュニケーションはもっと積極的で明確なものでなくてはいけません。国母選手にとってなぜ成田でネクタイをきちんと結んで腰パンのズボンをはかないこと(国母選手にとって、そんなダサイ格好をさせられることは、ひどく屈辱的なことだったかもしれません)が、国母選手の持っている価値観とどう結びつくかを説明できなくてはいけません。

これはそんなに簡単なことではないでしょう。 「そんなこともわからない奴はバカだ」言っても問題は解決しません。バカだからではありません、文化が違うのです。突き詰めて考えると、メダルの表彰式でユニフォームを着用するのは理解しやすいですが、出発の時まで、きちんとネクタイを締めるというのは、文化の中でも軍隊的、体育会的なものでそれほど「当たり前」とは言えないものです。

無理に理屈をつけると、オリンピックの出発風景は日本国民に日本代表が一丸となってメダル獲得に向かうという気分を高める儀式の一部だということかもしれません。朝青龍だって土俵入りのような明文化された儀式には従いました。明文化されていない暗黙的な儀式は明文化(文章でなくても口頭でも)しなければ文化の違う人々には伝わりません。

マネージメント対応を評価すると

国母選手のケースで橋本団長の対応は適切なものだったと思われます。空港での服装は国母選手なりのファッションで、「ダサイ」基準に合わせることを伝えなかったのは、暗黙知によりかかった失敗です。誰が悪いというものではないでしょうが(監督が悪いと言う人もいますが、「まさかそんなことするとは」をいうのは異文化に接した時には良くある話です)、国母選手はある意味被害者と言えないことはありません。

それでも謝罪会見をしてふてくされて「うるせーな」と言ったのは、とてもまずいことですが、これも国母選手は内心呟いたのが声に出てしまっただけです。国母選手も謝罪に行って「うるせーな」と言うことが喧嘩を売ることになるのは知っているはずですから、本心から悪気があったということではないはずです。

たとえ独り言でも聞こえてしまった以上は謝らなければなりません。それも口で謝るだけではなく何か形が必要です。開会式不参加というのは、ちょうどいい妥協点でしょう。晴れがましい舞台に立てなかったのは残念かもしれませんが、スケジュールの合わない女子フィギャーの選手も参加していません。形はあるが実害はないということです。

オリンピックに7回も出場した橋本団長はオリンピック代表に選ばれることが並みはずれた才能と努力の結果だということが誰よりもよくわかっているはずです。橋本団長はスキー連盟からの大会辞退の申し出を却下しました。

全てが橋本団長の決断と考えによるものかはわかりませんが、素早く事態を収拾させ、国母選手に一定の納得をさせた(ように見える)のはコミュニケーションもそれなりにできていたのではないかと思います。

朝青龍の上司である高砂親方にはマネージメントとして厳しい点を付けなければいけません。朝青龍は異文化を修正することが十分できずに引退しなければなりませんでした。高砂親方は朝青龍と最後まで共通の価値観を共有することができなかったと思われます。本当は弟子入りした時から一人前になるまで育てた恩はあるはずですが、朝青龍は「その分稼がせてやった」としか思っていなかったようです。

朝青龍がモンゴル人の中でも自己主張を前面に押し出すタイプだったことは確かですし、簡単に説教を聞くような人間ではなかったでしょう。しかし、コミュニケーションの確立に努力した様子は見られません。努力はしたのかもしれませんが、諦めてしまったのは間違いなさそうです。

高砂親方は誰からも好感を持たれるパーソナリティーの持ち主でしょう。しかし、人格円満でも自分勝手なスター社員を野放しにして、結果的にスター社員を失うような管理職を評価するわけにはいきません。スター社員、スター選手ほど自意識、自己主張が強いものです。それに恐れをなしていてはマネージメントは務まりません。

相撲界がこれからも外国人力士を採用し続けるかどうかは判りませんが、朝青龍のような問題を二度と引き起こさないためには、力士の育成や教育を親方任せにするのはやめるべきでしょう。異文化の力士を受入れ、相撲社会の文化を理解させるにはより専門的なガイダンスが必要だと思われます。外国人力士に限らず、力士の稽古での死亡事件(起訴された内容を見ると実質的な殺人ですが)の発生などを見ると、教育、育成に相撲協会自身がもっとコミットする必要があるのは明白だと思われます。

異文化との関り合いは好むと好まざるとにかかわらず、これかも増えてくるでしょう。文化が違っても互いの理解は可能です。しかし、文化が違えば暗黙知に頼ったコミュニケーションは役に立ちません。「こんなこともわからないのは、悪い奴に違いない」などと相手の行動を勝手に解釈するのは危険極まりないことです。部下に外国人を持つマネージメントだけでなく、誰でもそれだけは肝に銘じてい置く必要があります。
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この記事に対するコメント

いつも読んで勉強させてもらっています。
行き着くところは欧米型の明文化された契約型社会なんでしょうかね。
でももうすこし寛容になるべき点は多いんでしょうけど。
異文化コミュニケーションは日本人がもっとも不得手な分野なのかも。
国内でもなにかしらすぐ枠にはめて差別化したがりますもんね。
年齢やら出身県やら卒業校やら血液型やら。
ところで本分内で国母さんが途中から国分さんに変わってます。
あと朝青竜ではなく朝青龍ですのでヨロシクです。
【2010/02/21 23:27】 URL | フォスター #ySG4J8LE [ 編集]


国分⇒国母ですね
【2010/02/22 09:22】 URL | 匿名 #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> 国分⇒国母ですね
すみません直しました。
【2010/02/22 11:37】 URL | RealWave #- [ 編集]


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