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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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地球温暖化を考える(1): IPCCという官僚機構
クライメートゲート事件

2009年の11月、イギリスの名門大学のイースト・アングリア大学の気象研究所(CRU: Climatic Research Unit)のコンピューターシステムにハッカーが侵入し160MBにおよぶデータが盗まれました。データの中にはCRUのサーバーにある1,000以上(恐らくそれをはるかに上回る)電子メールが含まれていました。

誰がハッキングを行ったかは今もって不明なままですが、ハッカーはCRUの1996年以降の電子メールをインターネット上で公開しました。その中でCRUの気象学者たちが地球温暖化を証明するように都合よくデータを改竄している証拠と指摘されるものがありました。

焦点の一つになったのはホッケースティック曲線に関するものでした。ホッケースティック曲線とは過去1,000年に渡る地球の気温の変化を表したもので、産業革命以降、特に20世紀に入ってから地球の気温が急激に上昇していることを示しています。
hockeystick.jpg
ホッケースティック曲線(図中の矢印と説明は筆者による)

問題はホッケースティック曲線の作成者であるマイケル・マンとCRUのトップのフィル・ジョーンズとのメールのやり取りで、1960-70の気温低下を隠ぺいしそれ以降の気温上を大きく見せる工作を行ったたと読み取れる箇所があったことです。

もともとホッケースティック曲線には疑問が出されていました。近代に入ってからの気温上昇を殊更印象付けるために、過去の気温の変動を小さくなるように修正したのではないかというのです。特に中世の温暖期や近代の小氷河期と呼ばれる気温低下の温度変化を小さく見せているとの批判が多く寄せられました。

ホッケースティック曲線を作ったマンもデータの一部の出典に誤記があったことを認め、グラフの書き換を行っていました。今度は昔の話だけではなく、1960年以降のデータもいじっていたのではないかということですから、地球温暖化説に反対する「懐疑派」から、ここぞとばかりに批判が相次ぎました。

懐疑派の人達はCRUから流出したメールはありもしない地球温暖化を事実と見せかけようとする組織的な陰謀の証明だとして、事件をクライメートゲートと呼びました。これはニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件とクライメート(天候)をかけた造語です。

イースト・アングリア大学は研究機関として高い評価を得ていて、その中でCRUは気象学研究を行っています。CRUにはIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気象変動に関する政府間パネル)へ気象分析データを提供している気象学研究者が何人もいます。地球温暖化に対する懐疑派から見ればCRUから流出したデーターはIPCCの活動そのもの、地球は温暖化していているという結論そのものがいい加減なものである証拠でした。

実際、公にされたメールにはCRUの研究者たちが地球温暖化に疑問を持つ懐疑派の人を侮蔑しているものもありました。地球温暖化阻止という正義に思いあがって、嘘をついたり事実を捻じ曲げるのを地球温暖化論者の学者は平気なのではないか。確かにそうとしか思えないやり取りもあったようです。

ヨーロッパでは騒ぎは地球温暖化は事実かどうかという判断をめぐって政府高官の立場を明らかにしなくければならなくなるほどになりました。しかし、「クライメートゲート」事件をきっかけに基本的なスタンスを変えたヨーロッパ首脳はいませんでした。

クライメートゲート事件は地球温暖化を支持する気象学者たちが、科学的とは言えないやり方で自分たちの主張を強化する場合があること、科学より正義感で気候の分析を行っていることがあることを示していました。

とは言うものの、クライメートゲートという事件そのものに価値観を持った呼び方をするのは欧米では主に懐疑派の人達で、懐疑派の立場を取らない人々は事件を「CRUメール論争」と呼んでいます。

それでも地球温暖化が明確で証明された科学的事実とは言えないということを事件は改めて一般の人に伝えたことは確かでしょう。地球は温暖化しておりそれは人類活動によるものだという主張に賛成しない人は少なくなく、アメリカでは今や温暖化派と懐疑派の割合は半々になったとも言われてます。

一方クライメートゲートという名前は、いくら地球温暖化懐疑派のネーミングとは言っても、大袈裟で悪意があるものです。懐疑派の人々には。地球温暖化が環境左派あるいは原子力発電推進派など特定の信条、利益を持つ人たちが捏造したある種の陰謀だと考える向きが多く、流出したメールはまさに陰謀の証拠に他ならないとしたことが、このような呼び方をした背景にあります。

データの改竄(ホッケースティック曲線を描いたマンは「見やすくするための修正だった」と主張していますが)は科学者としてあるまじきことですし、科学的意見を異にしている人を悪しざまに言うことは褒められた態度ではありません。

しかし、問題があったメールは全体のごく一部に過ぎません。CRUの活動全体が地球温暖化という虚構をでっちあげるために行われていると言うのは無理があります。各国の首脳がクライメートゲート事件で地球温暖化に対する認識を変えなかったことは、「決めたことは変えない」という官僚主義のためというより、大きく意見を変えるほどのインパクトはメールの内容全体としてはなかったと判断すべきでしょう。

IPCCは地球温暖化の証明のために作られた

CRUのメール流出事件で判明した研究者のデーター改竄の疑いや、地球温暖化懐疑派に対する感情的な敵意は、組織的なものではなく個人的なものと考えたとしても、地球温暖化を肯定する側が構造的に温暖化に反する現象を無視しようとする可能性はないわけではありません。

その可能性がぬぐいきれないのはIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気象変動に関する政府間パネル)という地球温暖化の危険を訴えている組織そのものです。IPCCは国連の下部機関として、「人間活動による気候変動の危険性の評価」のために1988年に創設されました。

IPCCは「最新の科学技術、社会経済の情報を評価する(review and assess)することで、気象変動と人間社会に与える影響の可能性の明確な見方を世界に提供する」という目的を持っています。

Review and assessという言葉が示す通り、IPCC自身は実際の研究活動は行いません。世界130カ国の2,500人におよぶ気象学者、経済学者などの協力を得ながら、気象変動にかかわる情報収集と分析をしているのです。

IPCCは分析の結果をIPCC評価報告書としてまとめて公開しています。評価報告書は1990年、1995年、2001、2007年の4次に渡って出されており、次回第5次評価報告書は2014年に発刊される予定です。

IPCCの評価報告書は大変高い権威を持っています。地球温暖化が人間活動によるもので、破滅的な事態を避けるために各国は努力すべきだという政府レベルの共通認識(温暖化ガスの削減率や削減法などで合意はなくても、この点に否定的な政府はありません)は基本的にIPCC の評価報告書が裏付けになっています。

IPCCは、地球温暖化に科学的裏付けを与えたとして、2007年アメリカのアル・ゴアとともにノーベル平和賞を受賞しました。IPCCの活動がなければ、地球温暖化阻止が一つのまとまった動きになることはなかっただろうと考えると、地球温暖化を信じる人々から見れば受賞は当然とも言えます。

しかし、科学的裏付けを積み上げるのが本来の目的であるIPCCが、政治的、行政的な活動に対し主として与えられるノーベル平和賞を受賞したことで、IPCCは科学的と言うより政治的な組織であるということが改めて明確になったことは確かです。

むしろIPCCは地球温暖化を証明し地球温暖化論に権威を与えるために作られたと言えるでしょう。地球温暖化に関しては否定、肯定の見解が入り混じっています。どこか権威のあるところが地球は人類活動により温暖化しつつあると断言してくれなければ犠牲を伴う国際協力の合意はとてもできません。

IPCCが純粋に科学的な事実を追及する機関でないことは、そのアセスメントのプロセスをが多くの情報を集めて分析するということからできていることでもわかります。*論文を集めて分析するのは科学研究ではありません。このようなやり方を地球が温暖化しつつあるという答えを暗黙的にしろ期待されている中で行えば、結論は非常に偏向したものになる危険があります。

CRUのメール流出で明らかになった懐疑派への侮蔑的表現も、IPCCとIPCCに協力する科学者たちのコミュニティー全体が地球温暖化肯定に向いているという流れの中では、出るべくして出た本音だと言えるでしょう。

IPCCの手法は高速道路や空港の建設が投資効果に見合うかどうか検討するための調査とよく似ています。高速道路建設や空港建設を正当化するように都合のよいデーターは採用し「不都合な」データーや考え方は極力無視をしたり、ニュアンスを変えて使用するのです。

地球温暖化が人類活動による温室ガスの発生によって生じそのために人類は甚大な被害を受けるという事実を受け入れると、対策には巨額の費用がかかります。先進国と新興国の対立も深まる可能性がありますし、対策の中には本当に環境によいか疑問のあるもの(典型的には原発の推進)もあります。IPCCが官僚機構として構造的に地球温暖化と人類活動の因果関係を肯定し、なおかつ温度上昇の被害を大きく推定するモチベーションがあることは注意する必要があるでしょう。

付記:IPCCの評価報告書が地球温暖化の傾向を必要以上に強調したり、温暖化による被害を過大に見積もっているという批判は数多くあります。一方IPCCの評価報告書が地球温暖化をむしろ過小評価していると言われることもあります。全体として、IPCCがもっともラジカルな地球温暖化論者ではないとしても、バイアスのかかる危険生は認識すべきでしょう。


*この点に関しては「科学は多数決?」という記事で、養老猛氏の地球温暖化論に対するクレームをあげて、科学的事実はすべて仮説であり、事実という了解は一種の多数決的な合意事項なのだという意味の反論を書いたのですが、IPCCが手法が「科学的手法」とは違うという点では修正が必要です。
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中学時代、初めてテストで100点をとったのが環境問題についてのテストでした。それが今から約13~4年くらい前の話なので、ブログを読んで、真実とは何だろうとちょっと複雑な気分になります。とても勉強になります。
【2010/05/25 16:02】 URL | ジョー君とホー君 #kKkWy9Es [ 編集]

復興財源に温暖化対策税で国民は苦しいねぇ
復興財源に温暖化対策税を検討する中、地球温暖化を証明できる歴代別女性の水着ファッション写真画像を貼りました。確かに近年になるほど女性の水着が露出系で、薄くなってる気がしますが、これも地球温暖化現象を証明できる写真と言えるでしょう。
【2011/09/17 09:36】 URL | 智太郎 #- [ 編集]


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