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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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EQ - 鏡の中の自分 (2)
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続き)他人に共感するのとはどのようなことかを考えてみると、要はその人がどのように考えているかを理解することに他なりません。別の言い方をすると、相手の思考法のシミュレーションができることが他人を理解することの出発点になります。道でぶつかった電柱の思考法をシミュレーションするということは意味がありませんが、相手が動物だったらどうでしょう。昔、人類がマンモスやら猪やらの獣の狩をしたとき、当然獣の行動パターンを理解し、それを利用したでしょう。これは人類に限らず、狩をするときは他の動物でも同じことです。しかし、動物は電柱ほどではないですが、行動の多くが本能によって固定化され、それほど多くのバリエーションを持っていません。いったん、行動パターンの弱点を人類に見つけられてしまうと徹底的につけこまれて、場合によっては滅亡まで追い込まれてしまいます。動物にとって行動パターンは進化の結果であって、行動パターンの根本的な変化は突然変異が子孫に受け継がれる長い進化の過程で初めて可能になるもので、個々の個体がどうこうできるものではないのです。これに対し、人間は違います。状況を学習し、相手の出方により戦略を変えてきます。つまり、人間同士が戦うときは相手が何を考えるか、より正しく推論できるシミュレーション能力が重要になってくるのです。相手の出方により戦略を変える、固定した行動様式を持たない戦いを「ゲーム」と言います。人類の共感力は人類同士がゲームを戦い、より相手の考えを正しくシミュレーションできた方、つまり共感力に優れた方に、進化上有利な条件を与えたと考えられます。

この他者の思考をシミュレーションして、それにより戦略を変えるというのは人類に特徴的なもののようですが、他の動物たとえばチンパンジーやゴリラのような類人猿ではどうでしょう。ここで他者をシミュレーションするとはどういうことか、もう少し考えてみましょう。他人の思考をシミュレートするのは、他人の思考を自分にマッピングする必要があります。言い換えると「他人も自分と似たようなもの」と推定することが必要です。年寄りが若い人を「宇宙人のようだ」とか「外国人のようだ」というのは、自分の中に思考をマッピングできない、つまり理解不能だと言っているわけです。共感の前に、まず相手が自分と同じようなものだと考えるプロセスがあるのなら、さらにその前に「自分というものが存在する」という認識、自己意識を持つ必要があります。それでは自己意識は類人猿にもあるのでしょうか。

自己意識を持っているかどうかテストする方法に鏡テストというものがあります。鏡を置いて、鏡に映る自分を見てどのような反応を示すか観察するのです。生まれたての赤ん坊は鏡に映る自分を見て喜びますが、実は鏡の中に仲間がいると思っているのです。どうしてそんなことがわかるか? 赤ん坊の顔に何か印を付けて、自分の顔に付いているものをとろうとするのを観察することで、鏡に映っているものを自分と認識しているか簡単に調べられます。このような方法で赤ん坊がいつごろから、鏡に映っている像が自分に他ならないか、言い換えれば自分を客体化してみているかを観察することができます。テストの結果では赤ん坊は1歳から2歳、概ね18ヶ月くらいで鏡に映る像を自分と認識することがわかっています。

類人猿ではどうでしょうか、類人猿はチンパンジー、ゴリラ、オランウータンどれもかがみテストに合格します。しかし、それ以外のサルは合格できません。鏡の中のサルは自分と違うサルだと思っている、あるいは自分自身を客体として認識する自己認識能力に欠けているようなのです。十分な自己認識能力がなければ他人(他サル)の思考方法をシミュレーションすることはできません。というより、自己認識を持たない集団の中では、自己認識能力を持ち相手の考え方を自分の中にマッピングする必要性も有用性もなかったのです。このように考えるとサルから類人猿、人類と知能が高くなるのと平行して、自己認識能力を相手の思考方法のシミュレーションにうまく活用できたほうが進化的に有利、つまり沢山の子孫を残す可能性があったのでは想像できます。

このしてみるとEQとは他者の考えをうまくシミュレーションして、相手とのゲームで優位に立つという進化の過程で強化されてきたとの推察が成り立ちます。確かに他者への共感を思いやりがあるとか、他人の痛みがわかると解釈すれば、人間として立派な徳を持っているということになります。EQに対する世の中の見方も概ね肯定的なのもそのためでしょう。しかし、他人の心をシミュレーションすること、相手の裏をかくことに使うことも可能です。詐欺師はだまされる相手の心理状態をうまく利用して詐欺を働きます。そもそも嘘をつくという行為は一定以上自我が確立して、相手の心理をシミュレートしてその裏をかくという能力がなければ成立せず、人間では3歳前後から嘘をつくことができるようになるのです。

さて、詐欺師はき高いEQを持っているはずです。また、成功するマネージメントも高いEQが必要です。このEQはおそらく人類の進化の過程で、他人と互いに戦略の推定を行うというゲームの中で強化されてきたものです。もちろん今や人間は道徳や文化を持っていますから、EQ-共感能力を他人を助け、集団生活、家庭生活をより円滑に行うために使うこともできます。しかし、EQの基本が他人の心のシミュレーションであるとすると、他人への共感(他人の理解と言い換えたほうが良いかもしれませんが)、自分の心を反映しているはずです。人の悪口しか言わない人間が好かれないのは、「自分の悪口も言っているのでは」という疑いを引き起こすこともあるでしょうが、悪口が言っている本人の心根の鏡像であるということがあるからでしょう。とは言ってもマネージメント教育という観点(話が小さくなりましたが)では、他人の心のシミュレーションを行うことでEQを高めるという訓練は十分に可能でしょう。マネージメントが心の動きをよく理解してくれるというのは、きっと部下にとっても良いことのはずです。もちろん、部下の裏をかかないという限りですが
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テーマ:進化論的組織論 - ジャンル:政治・経済

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