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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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差別なのか言葉狩りなのか
防衛省の田中聡前沖縄防衛局長が「不適切発言」で更迭されました。米軍普天間飛行場の移設計画に基づく環境影響評価(アセスメント)の評価書の提出時期について、「犯す前に犯しますよと言いますか」と発言したことの責任を問われたものです。
tanaka.jpg


この発言に対する受け止めは男と女でずい分違い、女性の方が圧倒的に厳しい反応を示します。ただ、これは女性が狭量だとか潔癖症だからという理由ではありません。煙草の煙の害について認識が喫煙者と非喫煙者と大きく違うのと同じで「犯される」側に立つのと「犯す」側で言葉の印象は天と地ほどの差があるからです。

男の同士の内輪の間では、前局長のような言い方はそれほど珍しいものではありません。私が昔属していたIT業界では、顧客の意向と関係なくシステムを導入してしまうことを、よく「強姦システム」と言いました。これはビジネス社会が男ばかりだった時代の名残だとは思いますが、当時の私でもあまり愉快な気持はしませんでした。

今の感覚では田中前局長の発言は不適切以外の何物でもありません。品性に欠けるという以上に「犯される」側の女性の不快さを全く意識しておらず、「オフレコだった」という点を割り引いても、責任のある立場の人間としては軽率で甚だしい女性蔑視発言として糾弾されるのは致し方ないでしょう。

しかし、前局長の発言を女性蔑視だけでなく沖縄蔑視と言い出すと、これは言葉尻を捉えた発言の単なる政治利用だとは思います。沖縄を低く見る本音がそのような発言になったとしても、問題はあくまでも不適切な女性蔑視発言です。

一方で、今回の前局長の発言に対する批判を「言葉狩り」だと言う向きもあります。政治家や官僚の失言、不適切発言を文脈と関係なく攻撃の材料に使うのは日常茶飯事ですが、これらは政治的な道具に発言を使っているだけです。本当の「言葉狩り」とは特定の言葉を使われる状況とは無関係に使用禁止にしてしまうことです。

今日では「めくら」「いざり」といった言葉は障害者に対する差別意識を含む、さらには使用すること自体が差別を助長すると言われています。そのような言葉は、放送で使用できないだけではなく、生物の学名の一部に使用されることさえ非難の対象になるのです。確かに、「チョウセンメクラチビゴミムシ属」とか言われると文句の一つも言いたくなる人が出るのは判らないでもありません。

とは言っても、このあたりになると差別を助長しないための常識的な抑制というより、言葉の排除自身が目的化していると言わざるえません。差別を減らすというより機械的な判断で、放送さらに文芸作品全般まで何もかも言葉の排除が行われるようになるからです。古典落語にはこのような言葉が頻繁に登場するため、オリジナルのままでは多くが放送できなくなってしまいました。

落語には障害や不幸を笑う暗いブラックユーモアがあります。落語だけではありません、笑いは本質的に他人の不幸を楽しむ部分があります。他人を嘲ることが最高の笑いであり快楽なのです。バナナの皮で滑った人を見て笑うのは、笑いが感情移入を求める悲劇や活劇と根本的に違った感情に基づいていることを示しています。**

日本人でアメリカで成功した唯一のコメディアンと言われたタマヨ(大槻珠代)は人種的に毒のあるジョークを言うことで人気を得ました。たとえば、タマヨのステージでスタジオ内の視聴者ゲストに向かい「この中でメキシコ人はいるか」と聞いて、手を挙げた男に向かって「こんなところでサボってないで、とっとと皿洗いの仕事に戻れ」と叫ぶ。

このギャグで観客も当の言われた男も大笑いするのですが、この種の人種的偏見を逆手に取ったジョークはアメリカでは定番です。しかし、これは決してアメリカが人種的偏見に寛容だからではありません。

アメリカで「あいつは人種的偏見で人事異動をした」と言われるのは「専務は劣情をもって秘書を自室に引き入れた」と言われるのと同程度かもっと強烈な非難になります。時々日本の政治家や評論家は「あれは日本人に対する人種的偏見が原因だ」と気楽に言いますが、気を付けないととんでもない喧嘩を売っていることになります。

ギャグの面白さはそのような強い人種的偏見の毒がスパイスになって強烈な笑いを引き起こすのです。これはセックス、排泄物に関するような普段は口にしない言葉を使うことで笑いを引き起こすのと同じです。

このような言葉の使い方は何もかも禁止すべきものでしょうか。人種的偏見、障害者への偏見などは前局長の発言と同じで差別を受ける側が差別する側と違って大きな不愉快を被るのですから、「不愉快だと感じる人いる限り」禁止すべきだという考え方もあるでしょう。

古典落語の差別的表現をそのまま現代の日本で使えば、笑うより不愉快に感じる人が多いかもしれません。排泄物の話が笑いになるか、ただ嫌悪感を催すかは微妙です。しかし、だからこそ機械的に使用禁止を求める言葉のリストを作るのはあまりにも乱暴に思えます。

残念ですが人は他人の不幸を喜んだり、弱い者いじめを楽しむ気持ちがあります。それを抑え込むことは難しいし、少なくとも言葉を禁止するだけで済む問題ではありません。言葉を毒にするかスパイスにするか。もっと、大人の対応というものがあってもよいのではないでしょうか。

なお、念のために断っておきますが、前局長の発言は高級レストランで排泄物の話を大声でするようなものです。文脈も何も無関係に「不適切」としか言いようがありません。つまみ出されるは当り前の話です。


** 笑いの持つ残酷さは「イジメという喜劇」をご参照ください。
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この記事に対するコメント
やはり差別では。
 この件では以下が納得できました。
 
 佐藤 優氏が防衛省局長の発言の根底について発言していた。
 戦前「支那通」と呼ばれた人々が居て、彼らは中国語がしゃべれたり、漢詩に通じていたそうだが、中国を植民地としてのみ捉えていた。現在の防衛省にも「沖縄通」が居て、現在のトップがその局長であった。もちろん彼らは沖縄の人々を尊敬している訳ではない。因みに前のボスが汚職で捕まった守屋次官である。
【2011/12/05 18:39】 URL | 桃栗 #- [ 編集]


失言という表面的な部分ばかりを取り上げたがるマスコミにも問題があるでしょうね。
いい加減、国民が感情的な報道ばかりを好んでいるわけじゃないということに気づいて欲しいんですけど。
【2011/12/06 15:11】 URL | リンデ #hwWIC6tw [ 編集]


この発言の真意はおそらくもっと単純なものだと思います。
男というのは、こういった露悪的な言葉を使うことで己をワルに、マッチョに見せたがるものです。
幼稚で浅はかな発言だとは思いますが差別問題と絡めたり沖縄の心云々と騒ぎ立てるのはやりすぎでしょう。
ニュースの視聴者の多くも野党や沖縄県知事の対応を見て呆れてると思いますよ。
【2011/12/08 20:15】 URL | wuha #- [ 編集]


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