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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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定年延長より定年廃止

厚労省の諮問機関、労働政策審議会は今月(2011年12月)28日、65歳までの継続雇用を企業に促す高齢者雇用制度の改正案をまとめました。それによると現在の「高年齢者雇用安定法」で努力義務になっていた65歳までの雇用の継続を段階的に企業に義務化していくとなっています。

このような政策が出てきた理由は明らかです。年金財政の逼迫で、年金支給年齢が65歳へと引き上げられてきているのに、一般企業の定年はほとんどが60歳に留まっているからです。定年後、年金支給までの無収入の期間をどのいように生活するかは、完全に個人に任されているのです。

しかし、経団連を始めとして企業側はこの提案に抵抗しています。定年の延長は社員の老齢化を進めるし、社会保険の負担も含めれば相当のコストを負担しなければならないと考えられるからです。

一方働く側から見ると、定年延長は既に職を得ている人には有利でも、これから就職しようとする人達には雇用機会がそれだけ小さくなることを意味しています。ただでさえ就職が難しくなっている中で、これは深刻な問題です。

さらに定年の延長で雇用コストが増えると企業は人を雇用しようとする意欲を一層失う可能性が高くなります。円高で日本で事業を行うことが国際競力の上で不利に働くようになってきている中で、これ以上企業の負担を増やせば企業の海外流出が加速する危険があります。

結局、定年延長で利益を得るのは、既に雇用されている人をメンバーにする労働組合と年金財政の辻褄を合わせたい、厚労省、財務省ということになります。一方不利益を被るのは企業とこれから職を得ようとする人々、特に新卒の若い人たちです。

これは日本の将来にとって良いことではないでしょう。確かに年金財政の崩壊、定年後の無収入期間は大きな問題ですが、問題解決を企業と若者に押し付けてしまえば日本経済の未来はさらに暗くなってしまいます。

また、すでに正社員として働いている、本来は「勝ち組」のはずの人達にも、今回の提案はそれほど魅力的なものではありません。なぜなら、定年まで一つの会社に勤め続ける「終身雇用」は過去のものになっているからです。

バブルの崩壊後「リストラ」という名の首切りは当り前になってしまいました。銀行などでは40前後から肩叩きが始まり50歳以上まで勤められるのは一部のエリートだけになってきています。このような傾向は大なり小なりどの企業にも当てはまります。

要するに今回の定年の65歳までの延長のメリットを享受できる人は、ごく限られた人達になるはずです。定年延長で得られる保険金の納付増加額はそれほど大きくなく、定年と年金支給年齢の狭間に苦しむ人で救われる人は少ないでしょう。

それでは定年の延長は必要ないのでしょうか。そんなことはありません。国民の平均寿命が「人生50年」と言われた時代から80歳を超えるようになった現在、従来の60歳定年では少数の現役の働き手が多数の老齢者を養うという形にならざるえないからです。

かりに日本人の大半が70歳まで働くようになれば、少子高齢化の問題はほとんど一掃されます。年金問題の本質は年金支給開始年齢と定年とのギャップではなく、まして社会保険庁の杜撰な事務ではありません。ある時点で国民の中でどれだけの人が働き、どれだけの人が養われているかのバランスこそが重要です。

これは年金などに頼らず個人が貯蓄に励んでいても少子高齢化の問題はあるということを示しています。仮に、少ない働き手に対し多くの老齢世代の人たちが一斉に貯蓄の取り崩しを始めると、結果はインフレや円の減価につながります。

海外資産の運用で利益を得るのでなければ、日本国民の豊かさは基本的に現役の働き手の頑張りにかかっています。シンガポールやクエートのような小国ではない日本は海外資産に頼って日本国民全員の老後をまかなうことは難しいでしょう。

それでは70歳まで働けるような環境をつくるために、定年の延長は有効でしょうか。最初に述べたように単に企業の負担を増やす形で定年を延長すれば、かえって雇用機会は減少するでしょう。

必要なのは65歳まで定年が延長されていることではなく、50歳、60歳になっても新たな雇用機会が与えられるようになることです。そのためには企業から見て雇用が競争力を破壊しないほど高くつかないことが大切です。

企業が派遣社員で正社員を置き換えるのは単純な意味のコストではありません。派遣社員の年収は正社員よりずっと低いのが普通ですが、派遣会社は25%から40%あるいはそれ以上のマージンを取るので時間当たりのコストはそれほど違わないのです。

違うのは派遣社員と企業は雇用関係はないので解雇せずに契約の打ち切りだけで労働力の需給に柔軟に対応できることです。さらに継続した雇用ではなく新しく人を雇い入れることで賃金水準の変更も容易にできるという利点もあります。

賃金は物価として考えると下方硬直性が非常に高い、つまり値下がりしにくいものです。野菜や衣類が大きく値下がりしても賃金はなかなか下がりません。世界恐慌の時でさえ、賃金水準自体はほとんど変化はありませんでした。

賃金水準が変わらないため企業は不景気になると雇用を圧縮しようとします。不景気になると賃金水準は下がらなくても失業率は増加します。逆に言えば賃金水準を下げれば失業率は確実に低下します。

今の日本の定年制の暗黙の前提は終身雇用です。しかし終身雇用が維持できなくなった今、必要なのは定年の延長ではなくより自由で柔軟な雇用関係です。柔軟な雇用関係とは端的に言えば簡単に解雇できる関係です。これは雇用される側から見れば一方的に不利に思えますがそうではありません。解雇されても雇用機会がそれ以上に増えるからです。

前回のブログ記事フリーランスのビジネス戦略で書いたように、終身雇用がなくなった社会では個人はフリーランスとして自分自身の価値を高める努力をするしかありません。

将来、正社員というのは企業の中で特別な機密の保持や濃密なコミュニケーションが必要となる一種の秘密結社のメンバーのような存在になるでしょう。その逆に普通の働き方はフリーランスとして企業と契約関係で仕事を行う形になります。

そのような契約関係には定年などそもそも必要ありません。定年は延長されるのではなく廃止されるべきですし、実質的にはそうなるでしょう。それは働く立場の人間にとって厳しい時代かもしれません。「遅れず、休まず、働かず」と揶揄された気楽なサラリーマン人生ではありません。

しかし、反面それは「社畜」とまで嘲られるほど会社に何もかも依存した人生でもありません。何にもましてほとんどの人にとっては「元気でいる限り働ける」方がやることもない「悠悠自適」の人生より魅力的なのではないでしょうか。
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