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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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核家族から家族法人へ
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核家族の失敗

戦前の社会制度は家が基本でした。家父長の権限は大きく、結婚を自分の意志で決めるのは不道徳とさえ考えられていました。家の存続は義務であり、娘しかいない家は婿養子を取って家を存続させることを求められました。

家からの自由は、戦後個人が得た大きな成果でした。結婚は憲法で両性の合意の結果と定められ、家は憲法からは存在を抹殺されました。おりからの経済発展で都市に村落からの大規模な人口移動が続きました。家からも村からも離れた個人は結婚して自分たちだけの核家族を作ります。家は距離的にも分断され名実共に機能しなくなりました。

個人は核家族を作ることで家からも村からも自由になりました。しかし、次第にその自由の対価は小さなものではないことが判ってきました。子育ては核家族にとっては大変な事業です。自分たちだけで子育てする負担は重く、女性が家の外で仕事持つことは難しくなりました。核家族の子育てはサラリーマンの夫と専業主婦というモデルが前提です。

自分の全てを子育てに注ぐことは、女性にとれば社会的な仕事の機会を奪うことになります。さらに孤独な子育ては育児ノイローゼや児童虐待という悲劇も生みました。

子育ての負担は少子化につながります。少子化は年金制度や介護の問題を解決不能なほど悪化させます。そもそも少子化が続けば社会自身が消滅してしまいます。核家族は子育てや年金、介護という現在の失敗だけでなく、長期的には消滅してしまうシステムである可能性が強いのです。

大家族の利点

核家族が数百年単位で考えれば存続すら困難な家族形態なのに対し、大家族制は現生人類だけでなく霊長類に普遍的に見られます。人類は大家族の中で協力して、子を産み育て、食糧を確保しました。共同して生きることで人類は種として存続してきました。

年金の問題は少子高齢化で一人の老人を支える働き手の数が減少するということだけでなく、老人を子供や孫ではなく、社会全体、国全体でどこまで支えていくかという問題に突き当たります。

子供も親の介護もない人にとっては、社会という、抽象的で見ることも触ることもできないものを通じて、他人の生活を支えることに葛藤があるのが普通です。しかし、福祉社会は個人の葛藤を克服しなければ維持はできません。

これに対し大家族が自分たちで共同して行う子育てや介護は、そのような葛藤はずっと小さくなります。血のつながった子供を世話すること、まして同じ家族の面倒を見るのは税金とは違います。それは自分の遺伝子プールを守ろうとする、本能として組み込まれていると言っても良いかもしれません(ただし自分の子供を殺す親がいるように、それは絶対的なものではありませんが)。

年寄りの世話や介護は、利己的に考えても自分のためでもあります。核家族のように先細りの家族形態での介護は、単なる負担にしかすぎませんが、大家族なら自分に子供がいなくても将来世話をしてもらえる期待ができます。それに寝たきり老人であっても大勢で世話をすれば介護の重さははるかに小さくなります。

年金や医療保険のような社会福祉制度の成立は、近代の都市化、核家族化と歩調を合わせています。大家族が存在しなくなれば、大家族の代わりを社会が務める必要があります。しかし、社会による福祉は結局はすべてを金で解決することになります。

消費税を上げることは国民の強い抵抗を招きます。しかし家族の教育や世話への支出はそれよりずっと納得のしやすいものです。きちんと機能する大家族制は社会福祉を必要としないシステムと言うことができます。

家族法人

大家族が年金、介護、子育てさらには人口減少に対する解決策になるとしても、簡単に大家族制が実現できるわけではありません。現代は個人と核家族を中心とした社会ですがが、それ以前に家族というものが法的には意味を持っていない存在だということを先ず指摘しなければなりません。

今の日本では親子関係や夫婦は法律的な意味がありますが、家族の定義はありません。戸籍や
住民票はありますが、大家族の一員であることを示すことはありません。大家族を作るために家族を定義すること法的に考える必要があります。

家族法人は家族を定義する新しい枠組みです。家族法人のメンバー、つまり家族の人々は角界の年寄株のような家族株を持ちます。家族法人は家父長に相当する家族法人長がいて、家族法人全体の指導に責任を持ちます。

家族をわざわざ法人とする理由の一つ、恐らく最大の理由は、財産を持てることです。家族法人の財産は家族法人のものですから家族法人が続く限り所有しているだけでは税金はかかりません。住まいを家族法人の所有にすれば相続税はかかりません。中小企業なら創業者の持っている株が家族法人所有なら、創業者が死んで相続税で事業が崩壊することもありません。

現在の遺産相続はあくまでも個人が基本です。財産は個人から個人へと譲渡されます。兄弟は全て平等で、介護をするかどうかは関係ありません。親への貢献を相続財産に反映させるためには遺書が必要です。財産を家族法人に寄託して、家族法人つまり家族全員が介護や子育てを行えば、遺産相続の不合理を解決できます。

家族法人には税制面で様々な優遇策を与えることが考えられますが、家族のメンバーは義務も負います。介護や子育てに一定の貢献が求められるだけでなく、扶養は全体の義務でもあります。そのような義務を受け入れるには、家族法人は実際の血縁関係、親子や夫婦、養子縁組といった家族法人の部品に基礎を持つ必要があるでしょう。何と言っても「血は水より濃い」のです。

しかし、家族法人は新しい家族関係を受け入れることもできます。欧米で認めら始めた同性婚は共同生活をしてきた者同士が何の法的権利、義務を持たされていないという問題が背景にあります。家族法人という形態は、性別を問わず強い絆で結ばれた人間関係に法的な意味を持たせることができます。

もちろん家族法人でなくても同性婚そのものを認めてしまうこともできるでしょう。しかし人間関係は多様化していて同性婚以外のユニットにも法的な保護が求められることもあるかもしれません。家族法人は昔の大家族だけでなく、将来の人間関係の変化にも対応できます。

まずは出発点として

実際には家族法人がすぐに年金、介護のような大問題をあっさり解決できることはあまり期待できません。税金の優遇があれば、節税だけを目的にした偽装家族法人を作ろうとする連中が現れるのは当然予想されます。

家族法人が財産を持つとして、それが家族法人長に不正に使われないような適切な監査の仕組みをどう作るか、ガバナンスの確保は介護のような義務をきちんと実行させるためにも必要です。

家族法人が憲法で保障された個人の自由にどこまで介入できるかは、それ以上に大きな問題です。法人が許さない結婚をすれば、法人を捨てて「駆け落ち」をしなければいけないのか。せっかく稼いだ収入を家族のためにどこまで取り上げて良いのか。次から次へと疑問が湧いてくるのは当然です。

家族法人は最初は形式的なものに留めるべきかもしれません。家族法人の財産も住まいをはるかに超える何十億以上の大金持ちの資産保持に利用するのは認めない方がよいのかもしれません。様々な検討が必要でしょう。

しかし、核家族中心の社会が多くの殆ど解決不能の問題を抱えていること、長期的には人口減少で消滅する危険にさらされていることは事実です。一方、家族というものが何の法律的実態を持っていないのは人類の歴史を考えれば不自然なことです。

人を助ける義務が国家にしかなければ、収入の過半を税金にする以外、人々が支え合う仕組みを維持することは不可能です。消費税が果てしもなく上げなければ、福祉国家は実現しません。それは受け入れられないと多くの人が感じ始めています。

今、生活保護、年金、子供手当など多様で複雑な給付システムをベーシックインカムという、一律で行政の裁量余地のない方法に一本化して行政のオーバーヘッドをなくそうという考えが注目を集めています。

ベーシックインカムを家族法人が受け取れるように制度を作れば、家族法人が財政的基盤を持って社会福祉を代行する(本当は福祉とは社会が家族の仕事を代行していることですが)ことが容易になるでしょう。

ベーシックインカムと家族法人のような新しい仕組みで、行き詰った福祉制度の打開を図る。こんな発想が今求められていると思います。
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この記事に対するコメント
この提案自体が抽象的・観念的では
 個人的には安楽死を法制化する方が現実的なように感じます。
【2012/02/18 16:39】 URL | 桃栗 #- [ 編集]


家族法人、いい考えだと思います。
【2012/02/22 08:00】 URL | れいまん #PmwOEvh6 [ 編集]


家制度を根絶させたのは
遺産相続にて骨肉の争いが生じるように仕向けたのは
占領下に造られた法律の障害はあまりに大きすぎる!
日本が復興するには戦前日本の良さを取り戻巣必要がある
【2012/02/26 00:09】 URL | この #- [ 編集]


おもしろい制度と思います。ただ、血縁に限定せず、家族機能(介護、育児等)を行うことを目的とした、コミューン(小規模な共同社会)のような集団、法人の方が、より現実的には有効に思えます。
【2012/03/02 19:40】 URL | AKA #uYuIGIr2 [ 編集]


初めまして。お邪魔します。とても興味深く拝読しました。愛情と信頼で堅く結ばれた家族って超理想ですね(笑)でも、実際は、親が死んだら介護していた長男長女夫妻と介護していない他の兄弟姉妹が、非常に醜い争いをして別れ別れになっているのですよ。先の方のご意見に有る様に、戦後GHQによる占領政策で、たとえ親の世話を全くしていない子供にも平等??に遺産分配の権利が、認められたからです。このため、農村では、殆どの家庭で田舎で親の世話と村社会の付き合い、自分の嫁vs自分の母親との激しく陰険な闘い等で苦労してきた跡取り息子と都会で我儘勝手で自由に生きてきた兄弟姉妹と父母の死後激しい戦いが生じているんですよ。大家族の中では、子供は生き地獄を見て育つのが現実なのですよ。私自身、その生き地獄の中で育って来たので言える真実なのです。長文失礼しました。
【2016/02/08 02:50】 URL | 三毛猫 #- [ 編集]


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