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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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靖国参拝を考える
昨年末、12月26日に安倍首相が靖国神社を参拝したことは、大きな波紋を生みました。中国、韓国がいつものように日本に対し強い非難の意を表したのはいつも通りですが、今回はアメリカ政府も「失望」-disappoint –したと伝えてきたのです。

その後、参拝への批判はEU諸国にも広がりました。同じ枢軸側として日本と戦ったドイツのメルケル首相のスポークスマンは「この件にはコメントしない」と断りながら「一般論として、全ての国は20世紀に起きた惨事に真摯に向きあうべきだ」と暗に靖国参拝が日本が過去の責任を正しく認識していない、と受け取れるメッセージを出しました(参照)。

これに対し、日本では必ずしも強い非難は安倍首相に向けられることはありませんでした。「歴史認識」を巡って中韓が日本非難を繰り返すのはいつものことですし、安倍首相の言うように「戦争で祖国のために戦い命を失った方に尊崇の念を表す」のは当然と考える人も多かったからです。そのためもあってか、明けて新年の初詣に靖国神社を訪れた人は記録的な数に達しました。

大半の日本人は、今日本が軍国主義にまっしぐらに進んでいて、靖国参拝を国民を戦争に駆り出そうという安倍首相の思惑が形になったものだ、とは考えないでしょう。少なくとも第2次大戦前、中国で戦線を拡大し、石油の確保を巡ってアメリカと乾坤一擲の戦いを挑もうという状況とはまったくかけ離れていると思っているはずです。

靖国参拝は祖先の霊に祈りを捧げるという点で、広島や長崎の原爆記念日の慰霊と基本は同じ、と多くの日本人は感じているし、それを「軍国主義を推進」「歴史認識を欠く」と言われては反省より腹立たしさが先に立つのはやむ得ないことです。

しかし、アメリカが「東アジアの緊張を高める」と言った裏に、中韓と共通の「A級戦犯を祀っている」靖国神社に日本の首相が赴くことへの不満があることは見逃せません。アメリカは尖閣列島への中国の軍事力を背景にした圧力にははっきりとした非難の姿勢を取っていますし、韓国の慰安婦問題の解決に日本が取り組まないことを政府レベルで不満を漏らしたりはしていません。つまり、靖国参拝が東アジアに緊張もたらす理由が、A級戦犯を合祀している靖国神社を参拝したこと自身が問題なのです。

ではA級戦犯とは何なのでしょうか。戦犯にはA級の他にB級、C級があります。B級、C級戦犯として処刑された日本人は千名を超えるとされています。これに対しA級戦犯として処刑されたのは7名。南京事件の時の首相だった広田弘毅を除けば、東条英機を始めとした軍人です。どちらも戦争犯罪を問われていますが、A級は指導層、B、C級より下級の兵に対してのものになります。

戦犯を裁いた裁判所は日本国内だけでなく、シンガポール、上海など各地で行われましたが、極東裁判とか東京裁判と一般的に言われるように、A級戦犯はすべて東京の極東軍事裁判所で裁判が行われています。

俗に極東裁判史観と非難する人たちがいるように、戦犯は戦勝国側が敗戦国側を裁いたものです。戦勝国側に捕虜の虐殺のような犯罪行為が皆無であるはずはないでしょうし、戦争の原因が一方的に日本側にあることはありえません。

しかし、戦後の世界の秩序は悪の枢軸国を善の連合国側は打ち破って世界に恒久的な平和がもたらせられたという建前にたって作られました。連合国の組織を基にした国連(英語ではどちらもUninted Nationsです)は世界の平和を守る元はと言えば軍事組織です。その中枢の安全保障理事会で認めた戦争以外、加盟国は勝手に戦争ができません。

安全保障理事会では5つの常任理事国には拒否権を与えられていますが、これは国連が5大国の意向に反した軍事行動はできないということです。日本のGDPはかつてアメリカの7割、世界の15%を占めたこともありましたが、常任理事国になりたいと願いは叶いませんでした。敗戦国側であるというのは依然軽いことではないということでしょう。

戦後の大部分が冷戦の時代であったことでもわかるように、安全保障理事会の常任理事国同士でいつも利害が一致するわけではありません。現在は、米中が世界の二大国として対立しているのもご承知の通りです。しかし、戦後一貫して戦勝国が第2次世界大戦は正義の戦いで善が悪を打ち破ったという建前を否定したことはありませんし、これからもないでしょう。

それを考えると日本の首相がA級戦犯を合祀してある靖国神社を参拝したことを戦勝国側が認めるわけにはいきません。非難がなかったとしても、それは単に黙認しているだけと感がるべきです。その秩序に従うことを「反省」の証にしているドイツが日本を参拝の件で弁護してくれることもありません。

こう言うと、戦後もう70年もたった、小泉首相の参拝にアメリカは反対しなかった、死者は生前の罪は関係なく弔うのが日本文化だ、戦勝国が勝手に裁いた極東裁判は無効だ、といった反論が出てきます。もっと感情的に中韓に日本の中の話にとやかく言われる筋合いはない、と思う人も多いでしょう。

しかし、小泉首相の時代はブッシュ政権との結びつきが強く、中国がアジア全体への脅威もずっと小さいものでした。確かに、欧米から見れば靖国参拝自体は大きな問題でありません。それでも問題が表面化してくれば「戦犯を正当化することなど許されない。東アジアの安定を損なってもわざわざするようなことなのか。」という建前が前面に出てきます。

問題とされているのが、A級戦犯へ参拝していることなのですから、「祖国のために亡くなった方への尊崇の念」と言うと、A級戦犯に敬意を表している、さらに戦後の秩序を認めていない、ということに解釈されるのはある意味仕方ありません。

自国のために尽くした人に敬意を表するのは当たり前で、まして他国からとやかく言われることはない、という理屈もあるでしょう。しかし、70年前でも裁判結果を受け入れたというのは、言ってみれば国際公約、あるいは日本の形を決めたものです。敗者にとっては、それしか道がなかったとしても、国際的にはまだ生きている約束事で「終わったことで今はどうでもよい」というのは日本国内だけに通用する論理です。

日本の首相が靖国参拝をするのは、このような戦勝国に戦犯というより戦争の責任は自国にあるという建前を覆そうということです。「それこそが必要なのだ」と考える人も多いでしょう。しかし、それは戦勝国へのあからさまな挑戦になるということは正しく認識すべきでしょう。

これは決して卑屈になることでも、まして自虐史観でもありません、現在の世界の枠組みが戦勝国側が正義だったという建前の上に成り立っているという事実を認め、そこに出発点を持たなければいけないということです。そして、それが出発点である以上、日本という国がどこに行こうとしているかを改めて示す必要があるということです。
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この記事に対するコメント

 お説、尤もと思いながらすっきりしない理由を考えますと、現在の中国の強権主義が、戦前の日本のそれ以上であるからだと思い当たります。かと言って中国が九州を征服して国を樹立したわけではありません。問題は戦前の日本が国際連盟で責められたレベルの避難を国連から受けていないことにあります。また、まともな知識・神経なら、日本がアメリカの属国的立場から離脱不可能であることは自明でもあります。
 国内的には石原慎太郎のそれと安倍総理のそれはイコールではないでしょう。慎太郎のそれは懐古主義的でありますが、総理のそれは心情的なものであると考えます。つまり欲求不満の表象的な表れなのだと捉えます。
 個人的には安倍さんが参拝するのは勝手だと考えます。しかしながら、同調者が多く出るのは望ましくありません。不満をのぞかせながらも、大きなムーブメントにならない程度にコントロールしていくのが賢明かと存じます。
【2014/01/08 22:27】 URL | 桃栗 #- [ 編集]

漢字を訂正
 お説、尤もと思いながらすっきりしない理由を考えますと、現在の中国の強権主義が、戦前の日本のそれ以上であるからだと思い当たります。かと言って中国が九州を征服して国を樹立したわけではありません。問題は戦前の日本が国際連盟で責められたレベルの非難を国連から受けていないことにあります。また、まともな知識・神経なら、日本がアメリカの属国的立場から離脱不可能であることは自明でもあります。
 国内的には石原慎太郎のそれと安倍総理のそれはイコールではないでしょう。慎太郎のそれは懐古主義的でありますが、総理のそれは心情的なものであると考えます。つまり欲求不満の表象的な表れなのだと捉えます。
 個人的には安倍さんが参拝するのは勝手だと考えます。しかしながら、同調者が多く出るのは望ましくありません。不満をのぞかせながらも、大きなムーブメントにならない程度にコントロールしていくのが賢明かと存じます。
【2014/01/09 13:08】 URL | 桃栗 #- [ 編集]


靖国問題はトランプのジョーカーみたいなもの。
定義しだいで、強さ、どっちに有利なのかが変わるカード。
今は日本に有利なカードになっている気もしますけど。
【2014/01/12 21:59】 URL | 田中 #- [ 編集]


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