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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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チキンゲームと北朝鮮 (2)
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チキンゲームという言葉が広く使われるようになったのは、アメリカとソ連の冷戦時代です。アメリカもソ連もどちらも相手どころか世界中を何回も全滅できるほどの数の核ミサイルを持ってにらみあっていました。双方とも相手の破壊力が自分の側を完全に破壊できるものであると信じていたので、突っ張り続けることはできず、どちらも回避を選択して、冷戦状態は破滅に至らずソ連の崩壊まで継続しました。しかし、回避策が選択されたといっても、その時点で冷戦が終了したわけではなく、言ってみればどちらの側も突っ張り続ける代わりに車を停車させ、相手が車も動かせば再び自分も車を動かす構えで対峙していたのです。

双方がにらみ合っていたとき、問題になるのは相手側に、再び車が動いたら、つまり突っ張りを再開したら、本当に突っ張りに戻り、激突を恐れていないと信じ込ませることでした。これには二つの要素が必要です。一つは相手を完全に破壊できる、つまり突っ張り続けることが自分の破滅になると思わせることです。このため米ソは十分な量の核兵器と運搬手段を持ち続け、発展させることが必要でした。核兵器の爆発力はますます大きくなり、爆撃機、ICBM、潜水艦と運搬手段は多様化、高度化しました。もう一つ必要な要素は、突っ張りの意志がポーズではなく、本気であると相手に確信させることです。これは必ずしも容易ではありません。特に民主主義国は自国に反戦勢力を抱えていて、国論が「死んでも相手に報復する」とまとまるか問題です。アメリカは民主主義国ですが、ソ連が攻撃をしかけてきて、それが核攻撃なら大統領は議会の承認なしで直ちに反撃する権限を持っていました。また、最初の一撃で反撃能力が失われてしまえば、チキンゲームではなく西部劇のガンマンの決闘になってしまいます。米ソとも運搬手段を多様化た大きな理由は反撃能力の維持でした。潜水艦は容易に発見できず、全てを一撃で破壊することは困難です。アメリカではミサイルを巨大な鉄道システムで常に動かし続けることさえ計画されました。もっともこれはあまりに費用がかかるということであきらめられましたが。

米ソの冷戦はどちらも言ってみれば車を止めていただけでしたから、車が動き出す危険は常にありました。それが現実化したのが1962年のキューバ危機です。アメリカはすぐ隣のキューバにソ連が核ミサイルを設置したことを知ったとき、直ちに極めて強硬な対応策をとりました。キューバを海上封鎖しミサイルが撤去されなければ攻撃を行う覚悟を示したのです。最終的にこのチキンゲームはソ連が回避策を取ったため収束しました。ソ連が譲ることができたのは、キューバのミサイルがアメリカに対しては新しい、しかも近距離であることから最悪アメリカの反撃能力を奪いかねない危険なものだったのに対し、ソ連は撤去しても元の状態に戻るだけだったことがあります。つまり、(突っ張り、回避)の利得が米ソで対称ではなく、ソ連の方が受け入れやすいものだったのです。しかし、キューバ危機のとき、アメリカがキューバの核ミサイルを攻撃していれば、キューバのミサイルが反撃する可能性は十分にありました。当時の国防長官だったマクナマラが回顧録で、軍部のキューバのミサイルは反撃する暇もなく破壊しつくせるとの主張をしりぞけて、交渉を継続したことに触れ、後でキューバのミサイルの数は軍部、CIAの推定よりはるかに多かったことがわかり、攻撃は破滅的な結果を招いただろうと書いています。キューバ危機で最終意思決定者だったケネディー大統領は、突っ張りは破滅だということを覚悟した上で、断固とした交渉を続けたのです。

第2次世界大戦のときの日米はどうだったでしょう。日米交渉は完全なチキンゲームの様相をていしていました。アメリカは日本に中国からの即時撤退を要求し、要求が入れられないと石油禁輸の制裁を行いました。当時の日本は石油輸入の過半をアメリカに依存していて、禁輸の継続は軍事能力の喪失を意味していると考えれました。つまり日本としては車を止めて相手の出方を見るということはできず、突っ張るか(日米開戦)か回避(中国からの撤退)の二つしか選択肢はないと思われたのです(本当にそうだったかは議論はあるでしょうが)。このときの日米はチキンゲームの利得を堂どう見ていたのでしょうか。

典型的なチキンゲームは(突っ張り、突っ張り)の組み合わせは破滅を意味するのですが、おそらくアメリカはそうは考えなかったでしょう。アメリカは米ソ冷戦を除けば、自分はダンプカーで相手は軽自動車と考える傾向が強く、(突っ張り。突っ張り)の組み合わせは少なくとも自分の破滅とは思わなかったはずです。これに対し、日本は「満州は日本の生面線」と言われたように、回避は狭い日本領土に日本を閉じ込める非常にコストの高い策であると思われました。一方(突っ張り、突っ張り)はどうでしょう。日米開戦時では日本の盟友のドイツはスターリングランドの敗北以前でヨーロッパ全土を掌握し、ソ連に破竹の勢いで進撃。イギリスの陥落も時間の問題と思われていました。また、日本ではアメリカは退廃文化に犯され、戦争による多大な人的損害に長くは耐えられないだろうという見方も強くありました。突っ張りで衝突が起こっても、破滅はせずに最後は何とかなるだろうという気分はかなり強くあったはずです。とすると、日本の考えるチキンゲームの利得表は(突っ張り、突っ張り)の損失より、アメリカの出方いかんにかかわらず回避策をとる損失方が大きく見えていたはずです。ゲームの利得表がそのように見えていたとすると日米開戦は必至だったと言えると思います。(この項続く
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テーマ:意思決定 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント
日米開戦は必至のチキンゲーム?
「日本の考えるチキンゲームの利得表は(突っ張り、突っ張り)の損失より、アメリカの出方いかんにかかわらず回避策をとる損失方が大きく見えていたはずです。」したがって、日米開戦は必死だったと主張しています。ここの部分だけで考えれば、きわめて正しい見解です。
最大の問題は、チキンゲームはいつ始まったのか、言い換えれば「損失が大きく見えた」のはいつの時からか、という点にあります。
実質的に開戦を決定した1941年9月6日の御前会議の時点では、間違いなくそのとおりでしょう。
では、8月の「日本の資産凍結・石油禁輸」の時はどうでしょう。その引き金となった7月の「南部仏印進駐」では、両者の車は最高速度で走り出したのでしょうか。1940年9月の「三国同盟の締結」時には、どちらかの車は止まっていたのでしょうか。さらに1年さかのぼって1939年7月の「日米通商航海条約の破棄」では、米国側にチキンゲームの認識はどの程度あったのでしょうか。さらに・・・・・

ところでクラウゼヴィツの「戦争論」によれば、戦争は外交の延長であるそうです。言い換えれば外交とは戦争にまで至らない自国の権益拡大とも考えられます。そうであれば日米はペリーが黒船で来航した時から、チキンゲームのスタートラインに着いていたという言い方もできます。
われわれが考えなければならないのは、ゲーム開始のピストルがいつ発射されたのか、それは同時だったのか、逡巡した後に再度走り出したのはいつなのか、また両者の認識の差異はそれぞれの時点でどの程度あったのか、などなどです。
9月6日の御前会議の時点だけでチキンゲームを考えると、論理的には戦争は避けようがなかったことになってしまいます。靖国神社の「遊就館」の展示説明のごとく、真珠湾攻撃は「止むに止まれず」始めたように見えてしまいます。
複雑なものごとをシステムとして考えることは、議論の堂々巡りを避け、結論を導きやすくしますが、思考実験の中で何を捨象し、どのような前提条件に基づいたのかについては、つねに注意を払う必要があります。
【2006/10/30 15:59】 URL | 田岡組:紀和 #- [ 編集]


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