ビジネスのための雑学知ったかぶり
ビジネスでも雑学は重要! 知っていると少しは役に立ったり、薀蓄を自慢できる話題をご紹介
プロフィール

RealWave

Author:RealWave
Twitterアカウントはrealwavebabaです。

馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

ご連絡はrealwaveconsulting@yahoo.co.jpまで

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

お客様カウンター

Since 2009/10/21

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「失敗の本質」は「敗戦の本質」?
Famousfour_small.jpg

「失敗の本質」というのは戸部良一、野中 郁次郎を始めとした組織論、経営学など社会科学の専門家がノモンハン、ガダルカナル、ミッドウェーなど日本軍の負け戦を軍事専門家とは違った観点で分析した本です。読んで面白い本ですし、日本軍の意思決定、コミュニケーション、戦略的柔軟性などの問題を失敗の原因として解説していて、(おそらくそれが本書の狙いなのでしょうが)現代の日本の会社組織の問題に共通するものを描き出しています。

それぞれの作戦での日本軍のお粗末な対応はあきれることばかりですし、主として米軍の合理的な対応は「日本は物量で負けたのではなかったのか!」と思わせるものなのですが、読了後(少なくとも私は)釈然としないものが残りました。それは個々に指摘されている様々な失敗は、それぞれの戦いでは日本軍の敗れた大きな要因であったかもしれないのですが、第二次世界大戦で日本が負けたのは、そのような作戦ごとの失敗の積み重ねではないからです。

きわめて常識的な話だと思うのですが、日本が負けた最大の原因は、海軍が徹底的に敗北して、輸送もままならず太平洋に散らばった個別の拠点を次々に失ってしまったことです。不意打ちを食らわせた真珠湾攻撃は、いわば不戦勝を収めたのですが、「失敗の本質」でも取り上げられた、ミッドウェー、レイテ沖などの海戦は滅茶苦茶にやられています。日米の生産力を考えれば、そのうちいくつかを多少勝ったとしても、いずれ海軍が全滅する事態は避けられなかったのでしょう。装備で圧倒的に劣勢だった陸軍は沖縄、硫黄島などではアメリカ軍に多大の損害を与えていることを考えると、そもそも海戦が主体となる太平洋の戦いを行ったことが間違いだと考えざるを得ません。

こう書くと、結局「物量に負けた」という通説にどおりになってしまって、「失敗の本質」の描こうとした組織論、戦略論で劣っていた日本という図式が成立しなくなってしまいます。同書が指摘した日本軍の組織的、作戦運用的な問題点は確かに存在したでしょう。たとえば、日本海軍は負け戦が続いてもハンモックナンバーという海軍大学の卒業時の席次でその後の出世を決めるというやりかたを最後まで変えませんでした。これに対し、アメリカ海軍は信賞必罰が厳しく、昇進も能力主義をベースにしていました。しかし、このような昇進システムの違いが、日本海軍の一不戦勝、後負け続けとどこまで関係あったか疑問です。要はアメリカ海軍の兵器システムが質量ともに日本海軍を圧倒していたのです。その意味で「失敗の本質」は本質とも言えませんし、そもそも日本軍が負けたのは作戦上の失敗などはあまり関係なかったのです。

同書のあげている、ノモンハン事件ではソ連軍の機械化部隊に日本陸軍はぼろ負けし、しかも敗戦の原因を追究もせず、現場の指揮官の自決をさせるなど、日本軍が組織としての学習能力に欠けていたことの例でしょう。しかし、ノモンハンで示されたソ連の戦車の強さは日本軍の戦車乗りなら十分知識として理解していました。理解していても対抗できる戦車が持てなくてはしょうがなかったのです。

それでも劣った戦車を精神力で補えと言い募った参謀連中は馬鹿ではないだろうかという考えはあるでしょう。ただ、対抗できる戦車がなければ精神力で補う以外(補えないのですが)方法はありません。つまり、戦車と戦車、軍艦と軍艦のような形の戦いでは、ハードウェアの絶対的能力が決定的になってしまうので、そのような戦争の形にしてしまったことが間違い(というより敗戦の原因)だったのです。それと比べれば各戦闘での失敗などは第二次世界大戦のような総力戦ではいかほどの意味もないはずです。

「失敗の本質」はそれなりに的を得た指摘をユニークな観点から行っているという点で、悪い本ではないでしょう。また、著者も物量の差で日本が負けたということは十分理解したうえで、「物量の差だけではなかった」と言いたいのかもしれません。とは言っても、ビジネスの世界でも瑣末な現象を取り上げて、これこそ失敗のあるいは成功の鍵としてしまうことが多いことを考えると、これほど明々白々な敗戦原因を横において、「失敗の本質」と言ってしまうのは(世評が高いだけに)やや気になります。もしかすると、明白な生産力の違いを知っているはずなのに、アメリカの得意なガチンコのハードウェア勝負に出た日本の過ちを、「失敗の本質」という題名をつけた著者たちも繰り返しているのかもしれません。これは言い過ぎかもしれませんが。
スポンサーサイト

テーマ:意思決定 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント
番狂わせの方法
前略
博士のご指摘どうり日本の質量的戦力による真っ向勝負は明かに不利だったと思います。ただ自分が疑問に思うのはもっと相手戦力、兵器を具体的に研究する姿勢が日本側に無かったのかという点です。どんな相手でも弱点は抱えているはずですからそこを上手く突けば何とかなった気がしなくもないのです(あくまで物量ベースの万歳突撃で押しきられる場合は除く)。開戦当初の空母による艦船攻撃は当時としては画期的なアイデアだった筈で、その後海戦闘戦術の基礎になる程ですから海軍にはかなりの切れ者がいたようですけれど陸軍にはいなかったのでしょうか?。ロシア製戦車にたいする対抗兵器として歩兵用対戦車兵器を開発量産出来れば戦況も違っていたのではないかと思います。(陸軍戦車はお粗末ですよね)
最も最終的にローコスト且つ艦隊戦に有効な潜水艦等でなく戦艦大和を寄りによって海軍が建造した時点であの大戦の雌雄は決したといえるのでしょう。当時の反大国的無意識が日本軍閥上層部の冷徹な判断を奪ってしまっていたのであればある意味納得せざるをえないのでしょうか。
敬具
【2012/02/29 19:46】 URL | nontedio #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://realwave.blog70.fc2.com/tb.php/48-727b383d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。