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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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1年間落下を続けると・・・
20061031183422.jpg


いきなり物騒な話ですが、30メートル、8階建てのビルの屋上から飛び降りたらまず助からないでしょう。このとき地面には時速80-90キロで激突します。20階、30階とビルの高さが高くなれば、激突するスピードはどんどん大きくなりますが、空気の抵抗でスピードは段々抑えられ、一定の速度以上になることはありません。どんなに高いところから飛び降りても、最高速度は200キロ前後です。空気がなければ速度はどんどん速くなりますが、これはもちろん地球に重力があるからです。

地球の重力の力を1Gと表します。もし車が1Gで加速すれば、スタートから400メートル、いわゆるゼロヨン加速は9秒程度、時速100キロには2.83秒で達します。これは市販のどんなスポーツカーも圧倒するすさまじい加速です。ちなみに1千6百万円する415馬力のポルシェ911 GT3 RSは時速100キロに到達するのに要する時間は4.2秒ですが、これは0.7G 弱に相当します。スペースシャトルは打ち上げの時3Gで加速し、地球の重力とあわせて4G の力がかかります。つまり体重は4倍になってしまいます。これではやはり特別に訓練を受けないとスペースシャトルには乗れません。

宇宙空間に出て、定速飛行になると無重力状態になるのですが、加速をやめなければ加速する方向と逆に「仮想」の重力が発生します(一般性相対性理論では「仮想」ではなく、重力と同一のものということになりますが)。1Gでどんどん加速を続けると、地球にいるのと同じ重さを感じて宇宙旅行を続けることができるので、宇宙飛行士の健康には大変好ましい状態になります。それでは1年間1Gの加速を続けるとどのくらいの速度になるでしょうか。桁がやたり大きくなるので、直感的に推察するのは難しいですが、ほぼ光速に達します。

空気のない高いところから飛び降りて1年間落下を続けて光速に到達できるということになるわけですが、もちろんそんな場所は存在しません。そこまで高いところだと地球の引力も、ごくごくわずかしか働かないので1G では加速しないからです。それでも、1年間自由落下を続けてやっと光速になるということで、光の速度が多少実感できるかもしれません。では1年間1G で加速し続けるには、どのくらいの燃料が必要でしょうか。

スペースシャトルは5分程度で衛星軌道に乗る速度(秒速8km)に達しますが、その間に2,000トンの燃料を消費します。1年間1Gの加速を続けるための燃料というと、それの数万倍、多分1億トンくらいの燃料が必要になりますが、それではロケットがあまりに大きくなり過ぎるでしょう。相対性理論の有名なE=mc2,という式は、物質がエネルギーに変換すると、質量に光速の二乗をかけたエネルギーを発生することを示していますが、光速になるまでには、それのちょうど半分のエネルギーが必要です。一度光速に達した後、1Gで1年間減速すると考えると速度がゼロになるまでに、また同じだけのエネルギーが消費されます。合計すると1年間1Gで加速し、次に1Gで減速するような宇宙船は、自分と同じ重さの燃料を全てエネルギーに変換することで、やっと実現できることになります。

E=mc2,を利用しようとすると、物質を全てエネルギーに変換するようなエンジン、反物質エネルギーエンジンのようなものが必要となるわけです。こんなエンジンを作る見込みは今のところまったくないので、これはそれこそ机上の空論です。それでは現実的(?)に、火星探査船の速度、秒速20kmの5倍の秒速100km程度のロケットで宇宙飛行をしようとするとどうなるでしょう。秒速100kmで光が1年間に進む距離、1光年を旅行するのには、3千年くらいかかります。地球から一番近い恒星のケンタリウス星は4.22光年離れていますから、1万2千年ほどかかることになります。

光速に到達できるようなエンジンを作るのと1万2千年宇宙旅行を続けるのと、どちらが実現可能かは考え方によりますが、少なくとも後者であれば人間の生存を前提にしなければ不可能とまでは言えません。地球に良く似た星(似ているという言葉の定義にもよるでしょうが)が、どの程度地球の近くに存在するかはわかっていませんが、10万年から100万年くらいの宇宙旅行で地球型の惑星に到達できる可能性はあるでしょう。もちろん、人間が生きたまま、その地を踏むことは不可能です。

生きたままの人間を100万年宇宙旅行させることはできませんが、冷凍卵子と冷凍精子を人間の代わりに地球型の惑星に送って、そこで地球の文明を再び開花させることは、理屈の上ではできそうです。でもそんなことをする価値があるでしょうか?価値があるかどうかは、科学というより哲学、宗教の範疇でしょう。

キノコは繁殖するのに、胞子を飛ばします。キノコの形のままで風に乗ってどこかに行こうとしても、そんなことはできません。キノコは繁殖のために丈夫で軽量な胞子を空気中に放って、子孫を増やすのです。もし、人類が自分たちの遺伝子を宇宙にばらまき、それによって人類を繁栄させようと考えるのなら、生身の人間を送るより、冷凍卵子、冷凍精子を宇宙に撒き散らすほうがずっと賢い選択です。というより、それ以外の方法はないでしょう。100万年後にどこかの地球型惑星で人類が発展を始めたなら、自分の遺伝子の繁栄を追及してきた地球生物の歴史を人類が科学の力で忠実に繰り返すことになります。

人類は地球に満ち溢れていますが、5百万年前に人類と分岐したチンパンジーはアフリカに閉じ込められています。アフリカからヨーロッパ、アジアと広がっていくことはチンパンジーはできませんでした。人類は道具を作り、他の獣の皮を身にまとうことで気候の壁を乗り越えてアフリカから脱出することができたのです。しかし、人類もポリネシアの島々に広がることができたのは、高々この数千年に過ぎません。航海術を獲得するまでは、離れ小島に移住することはできなかったのです。

ドーキンスの書いた「利己的な遺伝子」という本があります。人間は(他の動物も同じですが)遺伝子を中心に考えると、遺伝子の乗り物でしかなく、遺伝子は乗り物を利用しながらコピーを増やそうとしている考え方を著しているのですが、それでも個々の人は自分の利己にしたがって生きていると思って、結果として遺伝子に利用されているということで、遺伝子に操られているという自覚があるわけではありません。もし、100万年の宇宙旅行を可能にするような技術を開発しようとすれば、ロケット、コンピューター、生命科学で膨大な研究開発が必要でしょうし、そのために必要な資源は莫大なものになるでしょう。いくら投資をしても、見返りは100年後の人類の繁栄であって、自分の繁栄ではありません。こんなことを人類が実行する日が来るでしょうか?

100万年の宇宙旅行への投資などは世俗的な人間の欲望から考えると、一見とてもありそうにも思えません。しかし、人類の歴史を振り返ると、戦争は自分たちの遺伝子を増やそうという欲望が根本にあることは確かです。それは、現代のように戦争は殺し合いだけで遺伝子の繁栄という観点でまったく割が合わなくなっても同じです。ジンギスカンが自分の遺伝子をばら撒こうとして(そう意識していたわけではないでしょうが)、大帝国を作ったものと同じ欲望が、人類を何度も破滅させることができるほどの核兵器を生み出し、今も増やし続けようとしているのです。ばかばかしいように見えても、人類は時々とてつもないことを実現します。大神殿、大航海そして核兵器、100万年の宇宙旅行も案外実現しようとする日がくるかもしれません。
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テーマ:進化論的組織論 - ジャンル:政治・経済

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