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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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近づく日本版SOX導入
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「金融商品取引法」という法律が今年の6月に成立しました。この法律は最近話題の多いインサイダー取引の厳罰化やファンドへの規制の整備など、証券取引法を全面的に改正するものなのですが、その中で上場企業は内部統制の強化をしなければならないという規定が盛り込まれました。企業の内部統制と言われてもイメージがつかみにくいかもしれませんが、これはアメリカで2002年に成立したサーベイン・オックスレー法(Sarbanes-Oxley Act)、通称SOX法に由来しています。そこで金融商品取引法を日本版SOX、JSOXと呼ぶこともあります。

アメリカのSOX法はワールドコム、エンロンという大企業が粉飾決算が原因となって、数兆円規模の倒産を引き起こし、株主に多大の損害を与えたことがきっかけになって作られました。特にエンロンの場合は、最大、最古の監査会社であったアーサー・アンダーセンの担当者が粉飾決算に加担し証拠隠滅を行ったことや、経営陣が従業員に自社株買いを勧めながら自分は売りぬけを行うなど、経営者のモラルの欠如が社会的な強い批判の対象になりました。

SOX法では全ての上場に対し不正を行うことを防ぐための仕組み、内部統制を確立すること。内部統制の仕組みが機能していることを確認、報告することが求めています。さらに、経営者が粉飾決算などで財務報告書に虚偽の記載を行ったときは最長20年の懲役になることが含まれています。経営者への罰則は意図しない場合でも10年までの懲役はあるとされていたので、アメリカの経営者は一種のパニックになりました。

罰則を免れるためには内部統制の確立が必要になるのですが、これが半端な話ではありませんでした。企業の中には、入出金だけでなく、在庫の払い出し、先払いの承認など、会計上に影響を与えるビジネスプロセスが山ほどあり、それらの適正な運用とリスクへの対応を確認しなければいけなかったからです。結果として、膨大な文書の作成、不備の改善などのために社員やコンサルタントが大量に投入され、多大の出費が発生しました。出費の規模は上場企業の平均で数千万ドルにおよんだとの話もあります。

2002-06-2720Worldcom20accountancy20standards2020504.jpg


日本では、アメリカで発生した事件に対しアメリカで作られた法律と同じものを日本でも作るという話には抵抗感がありました。莫大な費用が予想される上に、日本の独特な商慣行のためにアメリカ以上にSOX対応が難しくなるのではという懸念もあったからです。しかし、日本企業でもアメリカに上場している企業(これは超大企業が多いわけですが)はいずれにせよSOX対応をしなければいけないこと、ライブドア事件などで日本でも粉飾決算に関心が高まったことなどで、最終的に金融商品取引法の成立と2008年3月期からの適用が決まりました。もはや不平を言っても対応するしか仕方がない状態になったわけです。

アメリカのSOX法や金融商品取引法で求める内部統制の強化は粉飾決算の防止にどの程度有効でしょうか? 実際には、ワールドコムの営業費用を資産勘定にしてしまう、エンロンのSPC(特別目的会社)をトンネルに損を隠してしまうといったやり口自身を防ぐことは難しいでしょう。日本でもカネボウやライブドアで発生した粉飾決算が今回の法律があれば防げたかというと、そうとは思えません。内部統制の強化は末端の社員や現場の管理職の不正を減らすことはできても、内部統制の強化だけでは経営トップが関与するする不正には有効でない場合が多いのです。また、末端の社員の不正であっても犯罪者は常に創造力を発揮して仕組みの不備を突いてくるため、不正を完全に防ぐことはできないでしょう。銀行は日本でもSOX法が求める内部統制を昔からほぼ実行してきましたが、横領事件がなくなったことはありません。

結局、内部統制の強化は意味があるとしても、経営者が関与する粉飾決算は取締役会の構成など統治の仕組みを厳格化することと、SOX法で決められた最長20年の懲役など経営者の犯罪に対する厳罰化によって防ごうということになるのでしょう。経営者の犯罪に対する厳罰化は異論も多いのですが、私は上場会社は株という「貨幣」を発行できる以上重い責任を負わされるのは致し方ないと思っています。偽札作りは重罪ですが、偽札がせいぜい数百万、数千万程度の規模しかないのに対し(北朝鮮の偽ドル作りは別ですが)、株は数千億円の規模の信用創造を行うこともあるからです。エンロンやライブドア事件で財産を失った人のことを考えれば、粉飾決算は重罪なのは当然でしょう(ただ、堀江被告の関与の程度に私は個人的な疑問を感じてはいますが)。

今回の金融商品取引法では虚偽の財務報告を作ると最長10年の懲役になります。また、インサイダー取引も今までの3年が最長5年までの懲役となります。アメリカの20年にはおよびませんが、かなりの厳罰であることは間違いありません。いままでの日本ではよほどのことがない限り、経営上の問題で経営者が実刑に問われることはなかったのですが、これからは違ってくるかもしれません。


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テーマ:意思決定 - ジャンル:政治・経済

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