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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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フェルミ推定 
fermi.gif
エンリコ・フェルミ

「富士山を動かすのには何年くらいかかるか」「日本に蚊は何匹くらいいるだろうか」「長野に蕎麦屋は何軒くらいあるだろうか」
こんなことを聞かれても、答えはなかなか見つかりませんし(最近はネットで「フェルミ推定」と入れると出てきたりしますが)、ちょっと試してみるというのも困難です。そこで、仮定や推定をいくつも組み合わせて「概ねどのくらいになるか」ということを見積もることが必要です。このような問題を物理学者のエンリコ・フェルミにちなんでフェルミ推定(あるいはフェルミ問題)といいます。

エンリコ・フェルミは1901年にイタリアで生まれ、1938年にノーベル物理学賞を受賞しました。フェルミは妻のローラがユダヤ人であったため、ムッソリーニ政権下のイタリアには戻らず、ノーベル賞を受賞したストックホルムから、そのまま家族とともにアメリカに亡命し、コロンビア大学で物理学教授の職を得ます。その後シカゴに移り、1941年にシカゴ大学で世界最初の原子炉の稼動に中心的な役割を果たしました。

この後、フェルミは原爆開発のプロジェクトであるマンハッタン計画に参画し、プロジェクトの主柱となりました。原爆開発は核分裂という当時の最先端の理論分野と実際の爆弾製造という技術的は分野を結びつけることが必要で、例外的に理論物理、実験物理の両方ですぐれた業績をあげていたフェルミの貢献は非常に大きかったと思われます。

フェルミは学生や友人をしょっちゅう捕まえては、「カラスは止まらずにどれくらい飛べるか」「砂浜に砂は何粒くらいあるか」といった、秀才、天才たちも答えにくい質問をしていました。その中でも有名な問題に「シカゴにいるピアノの調律師の数を数える」というものがあります。 考え方として、まず次のような仮定を設定します。

1) シカゴの人口を5百万人とする
2) 1世帯あたりの人数は2人
3) 定期的に調律するピアノを持っている世帯は20世帯に1つ
4) 調律するピアノは1年に1回調律する
5) ピアノの調律には交通時間も含め2時間かかる
6) 調律師は日に8時間、週5日、年50週働く

1)、2)、3)、4)から1年に調律するピアノは12万5千台。5)と6)から1人の調律師が調律できるピアノは1年に1千台。したがってシカゴにいる調律師の数は125人となります。
Pianotuner.jpg


この問題を答えるのに、シカゴの人口がわからないと例のような解き方はできません。また、そもそもピアノの調律とは何か見当もつかなくては考え方を組み立てるのも難しいでしょう。フェルミ推定では問題をいくつかの要素に分解して考えていくわけですが、分解しても数がわからなければフェルミ推定を実行することはできません。

逆に、シカゴの人口だけがわからなければ、調律師の数からシカゴの人口を推定することもできることになります。また、解答方法は例の通りする必要もありません。たまたま1回の調律費用がわかって、調律師が食べていくのに何台くらいピアノが必要かを考えることもできるでしょう。あるいは、ピアノの製造台数がわかって、そこからシカゴにあるピアノの数を推定することもできるかもしれません。

フェルミ推定は、いくつもの仮定に基づいていますし、それをさらに掛け算していくので、1桁2桁程度はたちまち誤差を起こしてしまいます。一つの問題をいくつもの角度から考えることが、答えの精度を上げるためには必要なことになってきます。

フェルミ推定が最近脚光を浴びるようになってきたのは、マイクロソフトやコンサルティング会社が入社試験にフェルミ推定の問題を出すと言われるようになってきたからです。冒頭の「富士山を動かす」話はマイクロソフトの試験も問題の例として出ていますし、蚊の数を数えさせるコンサルティング会社もあったそうです。

もっともどんな試験にも傾向と対策はあるように、フェルミ推定も慣れてくれば解くのはそんなに難しくありません。逆に、フェルミ推定の問題を難しくしようとすると、シカゴをインドの小さな町の名前に変えたり、蚊ではなく聞いたこともない細菌にしたり、地理や生物の知識を試すようになってしまい、論理力を試すという本来の意味を失ってしまう可能性があります。

フェルミ推定は問題を要素に分解し、要素を掛け合わせて答えを得るという点で、非線形で反還元主義という複雑系の対極をなすやり方のようにも見えます。フェルミ推定ではそれぞれの要素が相互に作用して、「自己組織化」したり、「創発」を引き起こしたりなどとは考えません。その点シンプルでわかりやすいとは言えるでしょう。

フェルミ自身がフェルミ推定を使って提出したパラドックスに、フェルミのパラドックスというものがあります。これは「なぜ宇宙人がその姿を現さないか」というパラドックスで、フェルミの言葉では「かれらはどこにいるのだろうね」と言ったと伝えられています。実際にフェルミがその通り言ったかどうかは別にして、フェルミは宇宙人が見つからない不思議を他人にも自分自身にも投げかけました。

確かに地球は生命の発生に好条件に恵まれていますが、銀河系には2千5百億個の星があり、宇宙全体ではさらにその3千億倍ほどの星があります。宇宙は生まれてから1百億年以上立っているわけですから、時間をかけて知的生命が宇宙に広がっていけば相当な数の星が植民されていても良さそうです。ところがいまだに、われわれ地球人には宇宙人からコンタクトがないわけですから、何か理由がなくてはいけません。

「きっと宇宙人はいて、きっとわれわれにコンタクトしようとしているはずだ」という信念のもと、宇宙からくる電波を測定して何かパターンを見つけようという試みは今も続いていますが、成果はあがっていません。そのため、
1:もうとっくに宇宙人は到着していて地球人が気がつかないだけだ
2:宇宙旅行は大変でとても難しい(参照
3:最初の想定以上に地球と同等の条件を得ることは難しい
など、色々な意見が出てきました。1の宇宙人はもう来ているとうのを別にすると、地球環境が実現される条件が厳しいことは近年ますます明らかになってきました。

地球と同じような環境というと、水があって、水が液体でいられるような温度と圧力というのがまず考えられます。これはそれほど甘い条件ではありませんが、何万個の惑星に1個というほどきついものではありません。現に太陽系でも火星には液体の水があったことがあるようですし、金星も惜しいところで温室効果で高温化しましたが、少し条件を変えれば水は持てそうでした。太陽系は普通の存在ですから、出発点はそれほど難しくはなさそうです。

ところが、地球に隕石や星がやたらと落下しないためには木星が重要な役割を演じているとか、月の距離と大きさが潮の干満を進化に最適な条件を与えたとか、新しいことがわかるたびに地球のユニークさが際立ってきました。木星はありふれた惑星ですが、月は距離、大きさまで考えると相当稀な存在で、それだけでも何桁も確率を下げてしまいそうです。

フェルミ推定を使って地球にコンタクトできるような宇宙人の住む星の数を見積もると次のようになります。、
N=RxfpxnexflxfixfcxL
N:銀河系にある通信するETCの数
R:銀河系で1年に星が生まれる率
fp:惑星を持つ恒星の割合
ne:惑星を伴う恒星のうち、生命が維持できる環境を持つ惑星の数
fl:生命が維持できる惑星のうち、実際に生命が育つ割合
fi:その惑星のうち、生命が知的能力を発達させる割合
fc:そのうち、恒星間通信ができる文化が発達する割合
L:そのような文化が通信を行う期間の長さ

つまりfl、fi、fcあたりが思ったよりずっと厳しいようなのです。

もしかすると地球は全宇宙で唯一知的生命を育んでいる星かもしれませんし、他に知的生命体があっても宇宙はあまりに大きくお互い連絡をとりあうのは実質的には不可能なのかもしれません。フェルミの残した最大のフェルミ推定の問題はまだ解かれていません。

andromeda_galaxy.jpg


社会問題に対するフェルミ推定の応用例です:
従軍慰安婦問題をフェルミ推定で解くと
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テーマ:意思決定 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント
フェルミのパラドックス
これについては「宇宙人はいるか?」という本に触れられていて。答えは
We are alone !
です。
【2006/12/01 16:53】 URL | いつをり #- [ 編集]


はじめまして。
「宇宙人 雑学」と検索して、たどり着きました。
最後の宇宙人を求める式は知っていたのですが、
フェルミ推定という理論が元だったんですね。
勉強させて頂きました。
【2007/07/23 22:14】 URL | chewbacca #- [ 編集]


物事には幾つかの見方があります。フェルミ推定もその一つであり絶対ではありませんが、推論は面白く、地頭を鍛えるには不可欠かもしれませんね。
でも、なんとなく宇宙人は(地球人以外に)存在して欲しいですよね。
【2008/02/18 14:37】 URL | なにわダンディ #- [ 編集]


宇宙人は、いるもん
【2008/07/01 11:50】 URL | とうき #- [ 編集]


Googleで「フェルミ推定」を検索してこのブログにたどり着きました。

「まぐまぐ」からフェルミ推定のメールマガジンも出ているようですね。
http://archive.mag2.com/0000269558/index.html
【2008/08/05 21:19】 URL | フェルミ推定ファン #- [ 編集]


色付きの文字自由研究の参考にさせていただきます。ありがとうございます。
【2010/08/02 17:20】 URL | 水無月 #- [ 編集]


読みやすく、かつ分かりやすい文章で楽しく読ませていただきました。
面白く深い考察なんですね。
しかしエンリコ・フェルミという人物は、夢があり愉快な人物だという事を勉強させていただきました。有難うございました。

私も宇宙人は居ると信じています。
【2012/06/27 13:43】 URL | 匿名 #25OPJu36 [ 編集]


「沖縄市の未成年の水色のiPhoneケース保有率」
http://gachikuu.blogspot.jp/
【2012/07/20 07:59】 URL | 匿名 #- [ 編集]


IT関係のブログやってます。
良かったら遊びに来てください♪♪
「[フェルミ推定]沖縄市の未成年の水色のiPhoneケース保有率」
「iOS6で変わる事」
http://gachikuu.blogspot.jp/
【2012/07/21 14:59】 URL | 吉田 #mQop/nM. [ 編集]


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フェルミ推定に興味ある、かと思いきや。

フェルミ推定ってご存知ですか? ガリガリガリクソンに言われるまでもなく、wikipediaで調べたんですけど、項目が見つかりませんでした。 ビジネスのための雑学知ったかぶり フェルミ推定 フェルミは学生や友人をしょっちゅう捕まえては、「カラスは止まらずにどれくらい... この道しかない春の雪ふる【2008/11/19 18:25】

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