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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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いじめ自殺の深淵
20061123225302.gif


上のグラフは文部科学省がまとめた児童の自殺件数の推移です(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/09/06091103/006.pdf参照)。自殺まして児童の自殺は大変痛ましいものですが、統計的には概ね減少傾向にあります。このうち、高校生によるものが3分の2程度で過半を占めていて、中学生は高校生の約半分、小学生の自殺は毎年数名以下にとどまっています。自殺のような事件の補足率は高いでしょうじゃか、数字自身の信頼性は高いと考えられます。

絶対数の把握はできていると思われるのに対し、原因分析は全く不満足なものです。なんと言っても、最近問題になっている「いじめ」による自殺は自殺原因が示されている、04、05両年度ともゼロになっています。

管理品質改善のメソッドのシックスシグマ(http://realwave.blog70.fc2.com/blog-entry-43.html)ではDMAICと呼ばれるプロセスで問題の分析と改善を行います。DMAICとは
 Define: 管理対象の定義
 Measure: 管理データの採取
 Analyze: 問題の分析
 Improve: 解決策の作成
 Control: 解決策の実施と管理
の5つの手順ですが、最初の管理データの定義と採取の段階で、誤魔化しや間違いがあっては、効果的な改善策を作ることはできません。「いじめ」の問題は出発点で躓いているという状況だと言えます。

自殺児童数の総数が減っているからといって、いじめによる自殺が減少しているとは言えませんが、最近になって劇的にいじめによる自殺が増加してきたという明白な証拠がないのは事実です。危険なのは勝手な思い込みで、
・ いじめによる自殺が最近急増してきている
・ これは昔と現在の社会環境の相違が原因だ
・ 現在あって昔にないのは、インターネット、携帯などのテクノロジーだ
という具合に関係があるかないかわからないものを原因に仕立て上げてしまうことです。

いじめによる自殺は衝撃的な事件ですし、たとえ減少傾向にあったとしても根絶を目指して努力すべきです。しかし、数から言えば自殺に至らないまでも、非常に苦痛を受けている児童がはるかに多数いるはずです。報道番組などで視聴者を対象に簡単なアンケートをとると、いじめをしたことがあると人が20-40%、いじめを受けたという人が10-20%にもなります。いじめは極めて普遍的な現象であることは確かなようです。

いじめによる自殺はもちろんのこと、いじめの実例の話を聞くと、大部分の人は心を痛め、怒りを感じるでしょう。では、なぜそんなに多くの人がいじめの加害者になってしまうのでしょうか。

1971年アメリカのスタンフォード大学のジンバルドー教授がスタンフォード監獄実験と呼ばれる心理学の大規模な実験を行いました。実験では学生など21人の被験者が集められ、11人の看守役と10人の囚人役かに分けられ、刑務所を模した施設に隔離されました。

実験が開始されて何日かたつと、看守役は次第に看守のように、囚人役は囚人のように振舞いだしました。そのうち看守は囚人に素手でトイレ掃除をさせるような陰湿な罰則を与え、ついには囚人役の被験者に精神を錯乱させるものまで出ます。
Stanford2.jpg
看守役、囚人役は次第に役そのものになりきっていく

驚くべきことに、事態がそこまで進展しても実験を主導したジンバルドーは実験を中止しませんでした。実験はカウンセラー役の牧師(これは本物)が被験者の家族に通報し、家族は弁護士を連れて押しかけて、やっと実験は中止されました。ジンバルドーは後で状況に麻痺して事態の重大さに気がつかなかったと言っています。

スタンフォード監獄実験に良く似た実験でアイヒマン実験があります。アイヒマンはナチスのユダヤ人虐殺実施のリーダーで、戦後20年以上してから南米で逮捕されました。実験はアイヒマンを含め、ユダヤ人虐殺の実行者たちが単に命令に従っただけかを検証するために行われました。

実験では被験者と被験者に見せかけた役者をペアにして、被験者を教師役に、役者を生徒にします。生徒は教師から問題を出せれ、間違えると教師は生徒に罰として電流を流します。被験者は予め45ボルトの電流を流されて、電流の実体験しています。

被験者と役者は別々の部屋に入れられ、被験者が電流を流すと、電流の大きさ応じて用意されている叫び声だけが聞こえます。生徒が間違えると15ボルト刻みで電流を強くする罰を教師は与えていきます。電流が強くされていくと、生徒の叫び声は大きくなり、壁を叩いたり、中止を懇願したりするのですが、途中で実験を中止した被験者はわずかで、被験者40人中何と25人は450ボルトの最大電流まで電流を強くしていきました。

実験中、被験者の大部分は管理者に実験を続けることの是非を尋ねるのですが、実験に何の責任も負わないことを確認すると、次第にサディスティックな罰を与えることに麻痺し、むしろ快感を感じているようにさえ見えました。

スタンフォード監獄実験も、アイヒマン実験も役割で加害者側になった大部分の人は罰を与えることに罪悪感を感じるどころか喜びさえ覚え、攻撃を強めることを何とも思わなくなることが示されています。「いじめ」でもいったんいじめられる側が固定すると、いじめる側は安心していじめをエスカレートさせると思われます。

もちろん、今問題になっているのは児童によるいじめで、スタンフォード監獄実験、アイヒマン実験が成人を対象にしていることは注意が必要でしょう。ただ、子供は大人より人間性をよりストレートに出すことが多いので、隔離された実験環境でなくても、より容易に加害者の攻撃性が現れやすいとも考えられます。

実験結果からわかることは、加害者側の自覚を待つ方法では、いじめがエスカレートすることを防ぐのは困難だろうということです。また、スタンフォード監獄実験で囚人役を割り当てられると、次第に態度が卑屈になることでわかるように、被害者側も強い意志で抵抗するのが難しくなっているのだろうと推察されます。

いじめの解決策で「いじめは社会のどこでもある。いじめに負けない強い心を持つようにすべきだ」という人もいます。これは「詐欺に騙されるのは頭が悪いからだ。もっと頭を良くしなければだめだ」と言っているのと同じような話にも聞こえます。

「強い心を持て」というのとは逆に「死ぬ前に逃げろ」という意見を言う人もいます。しかし、自殺者の多くは鬱状態であることが多く、鬱状態にある場合、「逃げる」にしろ何にしろ前向き、建設的なことをする意欲や力がなく死を選んでしまう傾向があり、適切な解決策とは必ずしも言えません。病的な鬱状態でなくても、被害者が「囚人役」のようになってしまうと抵抗する力は失われてしまうのです。

むしろ加害者側が「いじめ」をエスカレートさせて、犯罪的または犯罪そのもの行為を行ってしまうこと考えると、いじめの被害者でなく、加害者側を退学、転校させる方が筋でしょう。転校させるというと学校が遠くなるとか、いろいろな負担を生じることもあるでしょうが、負担を被害者がさららに負うのは、どう考えても不当です。

「いじめ」は昔もありましたし、洋の東西を問わずどこにでもあります。しかも、いじめは人間性の根源に根ざしていて、誰でも加害者になる可能性があります。しかし、他の問題と同じで根絶できなくでもカイゼンは必ずできます。実のある解決策を作るように世の中が動いていくと良いのですが・・・。

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スタンフォード監獄実験-心理学を考えよう

スタンフォード監獄実験スタンフォード監獄実験(スタンフォードかんごくじっけん、''Stanford prison experiment'')とは、アメリカ合衆国|アメリカのスタンフォード大学で行われた、心理学の実験である。心理学研究史の観点からは、アイヒマン実験のバリエーションとも考 心理学を考えよう【2007/02/13 09:47】

アイヒマン実験ミルグラム実験(ミルグラムじっけん)とは、閉鎖的な環境下における、権威者の指示に従う人間の心理状況を実験したものである。俗称としてアイヒマン実験とも呼ばれ、またこの実験の結果示された現象をミルグラム効果とも呼ぶ。.wikilis{font-size:10px;colo 心理学を考えよう【2007/09/09 07:33】

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