ビジネスのための雑学知ったかぶり
ビジネスでも雑学は重要! 知っていると少しは役に立ったり、薀蓄を自慢できる話題をご紹介
プロフィール

RealWave

Author:RealWave
Twitterアカウントはrealwavebabaです。

馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

ご連絡はrealwaveconsulting@yahoo.co.jpまで

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

お客様カウンター

Since 2009/10/21

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

対北朝鮮禁輸の効果は?
cigar3.jpg
アメリカ人はキューバの葉巻は吸えない
今どき、ニューヨークにあって、東京にはないものはほとんどありません。その逆も同様なのですが、東京に来たアメリカのビジネスマンが喜ぶ品物の一つにキューバ産の最高級葉巻のコイーバがあります。タバコがますます嫌われているアメリカで、なぜか葉巻はちょっとしたブームになっていて、喫煙者のほとんどいないエリートビジネスマンでも葉巻だけは吸うという人は多いのですが、その人たちにとってコイーバは幻の葉巻なのです。

実はアメリカでも売られているコイーバというブランドの葉巻はあるのですが、これはドミニカ製でキューバ産ではなく本家とは関係のない、いってみればまがい物です。アメリカ本国ではコイーバに限らず、キューバ産のものは葉巻であろうと何であろうとほとんど輸入も販売もされていません。厳密には国外で購入することも禁止されていて、東京でキューバ産のコイーバを吸うのは違法なのでしょうが、そこまで気にする人は少ないようです。。

キューバの禁輸措置はキューバ危機のあった1962年に遡ります。以来40年以上たった今も解除はされていません。禁輸以前キューバの貿易の70-80%を占めていたアメリカとの交易は途絶えてしまいました。キューバの経済は停滞して時間が止まったようになっていますが、禁輸を含めアメリカと経済的に断絶した打撃は小さくありません。

アメリカにはキューバよりもっと長く禁輸措置が取られている国があります。北朝鮮は1950年以来の禁輸措置が取られています。クリントン政権時代にいったん一部緩められたのですが、再び強化され、違反した場合は最長懲役10年の罪になります。

日本は北朝鮮に対し、北朝鮮の核実験を受けた国連決議で定められた、大量破壊兵器関連貨物と贅沢品の輸出禁止と、日本独自に輸入の全面禁止を行いました。トロの輸出はしないし、マツタケの輸入もできないということになりました。

北朝鮮に対してアメリカは長い間禁輸措置を続けていたので、国連の議決があってもなくても、アメリカとの貿易の減少による影響はほとんどありません。日本はどうでしょうか。

日本から北朝鮮への2005年度で輸出は70億円弱、輸入は150億円弱です。北朝鮮の貿易総額は2004年度ですが、輸出入がそれぞれ、約13億ドル、23億ドルですから、輸出入とも全体の5%程度。これは中国、韓国についで3位ですが、キューバ禁輸時のアメリカの70-80%とは比較になりません。

国連決議で対北朝鮮輸出禁止品目に大量破壊兵器関連物質とならんで贅沢品があるのは、人道的観点からも不要ということでしょうか。もちろん、キム・ジョンイルとそのまわりの特権階級へ目に見える抗議ということもあるでしょう。しかし輸出禁止物資については、実効性という点で、効果は非常に限定的でしょう。

まず、大量破壊兵器関連の物資ですが、日米をはじめ旧西側諸国は共産圏に対する貿易制限を行っていた時代から終始一貫、原爆製造につながるような材料、資源は北朝鮮へ合法的には輸出できませんでした。にもかかわらず、原爆もミサイルも曲がりなりにも作ってしまったわけですから、今後も必要な物資を手に入れることは可能でしょう。

贅沢品については、さらに制限が難しいでしょう。贅沢品はかさの割りに値が張るものばかりですから、その気になれば国外に持ち出すことは比較的簡単です。麻薬は所持しているだけで違法ですが、マグロのトロを持っていても逮捕はされません。贅沢品の運搬は最後に北朝鮮に持ち込むことがはっきりするまでは合法的に処理できます。
20061128065452.jpg
トロも輸出禁止

結局、北朝鮮を困らせようと思うと輸出規制より輸入規制で資金を渡さない方が効き目が確かでしょう。ただ、キューバが砂糖をアメリカの代わりにソ連に買ってもらったり、葉巻を日本に買ってもらったりしたように、代替輸出先が簡単に見つかると効き目はなくなってしまいます。

石油は出産国の区別が難しく、世界中に必要としている国があるので、産油国への経済制裁、禁輸措置はほとんど有効ではありません。かつてのリビア、イラクそして現在のイランなどアメリカは一生懸命経済封鎖をしようとしているのですが、産油国が原油価格の下落で困ることはあっても、石油を抱えて輸出できずに困ったことはありませんでした。

マツタケは日本は2005年度に16億円ほど輸入していたのですが、石油ほど簡単に良い買い手は見つからないかもしれません。なま物で保存もきかないので、こっそり日本に持ち込むのも難しそうです。原産地を偽って、たとえばカナダ産と誤魔化すことは可能かもしれませんが、摘発されるなは輸出の場合より大きいでしょう。

16億円というマツタケの輸入金額は小さく見えますが、そうでもありません。アメリカ政府は北朝鮮の偽札の発行高は年間1千5百万ドルから2千万ドル程度と見積もっていますが、ほぼそれに匹敵する金額だからです。

北朝鮮の偽札の規模は、全世界で7千5百億ドルの流通米ドルの1万分の1程度といわれています。そこから計算すると北朝鮮製偽ドルは7千5百万ドルくらいになります。アメリカ政府は流通している偽札の総額を4千5百万ドルとしていますが、この数字自体は1998年から、変わっていません。流通量の1万分の1程度という推定より少ないですが、正確な数量を把握するのが困難なことを考えると誤差の範囲と言っても良いでしょう。

北朝鮮は100ドル札と50ドル札を偽札として作っているようですが、アメリカ政府の見解でもこれらの偽札は、実質真券とほぼ同等、つまり物理的に偽札と判別するのが事実上不可能とされるレベルです。偽札とはいっても、本物と同じ印刷機、同じ材料、同じ製法で印刷されているのです。

元NHK社員の手嶋龍一が書いた「ウルトラダラー」という北朝鮮の偽札作りを題材にした小説では、紙幣にICチップを埋め込むことにより、真贋を判断するということが書かれていますが、現時点ではICチップは紙幣製作工程の熱と圧力に耐えて埋め込む技術はなく、実用化はされていません。もはや、本物、偽札の区別は事実上印刷が米国政府かどうかだけと言えるかもしれません。

しかし、100ドル札でも2千万ドルともなると、重さだけで200キロになります。これだけの量の紙幣は使うにしろ、換金するにしろ、簡単ではありません。北朝鮮は外交官に持たせて、外貨として使用させたり、密貿易の代金として使ったり、一時はIRA(北アイルランド独立戦線)と連携してポンドに換金したりまでしていたようです。
100dollarbill.jpg
偽札の換金は大仕事

今年の初め、アメリカ政府が北朝鮮に対し金融制裁を実施するまでは、マカオの銀行では偽札の束を入金して、あちこちの銀行に送金することができたようです。これが禁止されると、能率的に偽札を処理することは難しくなるはずです。

金融制裁は偽札だけに有効なわけではありません。北朝鮮はやはり政府レベルでケシの栽培とヘロインの製造、覚醒剤の製造も行っています。麻薬はマツタケやトロと違って所持しても厳罰ですから、裏社会を通じて流通、換金しなくてはいけません。、これらの資金も銀行に預金しなくては、ボストンバッグに現金を詰め込んで動き回ることになってしまいます。

北朝鮮が麻薬類でどれくらい稼いでいるか推定するのは偽札と同様困難ですが、アメリカはヘロインの生産(覚醒剤も作っている)で年3-4.5トン程度ではないかと見積もっています。末端価格なら、数百億円と偽札の10倍以上になりますが、「卸値段」は数十分の1になることもあるので、収入は偽札と同程度かもしれません。

偽札も麻薬も国家主導で製造販売しているとなると重大問題です。アメリカ政府は北朝鮮の偽札製造を事実上の戦争行為だと断じています。とは言え、偽札製造で得られる額が20億円程度でマツタケと大同小異というのは、いかにも割が合わない気がします。元手も考えるとただ同然の人件費しかかからないマツタケの方が、ずっと儲かるのではないでしょうか。

もしかすると、アメリカ政府の年に2千万ドル程度という偽札の量が間違いで、実際は何億ドルもあるのかもしれません。しかし、仮に10億ドル分の偽札というと10トンにもなります。使うにしろ、銀行に持ち込むにしろ簡単とは思えません。年間2千万ドルの推定は、大きな間違いではなさそうです。

逆に偽札や麻薬による収入が数十億円の規模に過ぎないのなら、マツタケ輸入や、さらに日本から北朝鮮への送金の20-30億円というのは無視できません。また、このほか日本の北朝鮮からの輸入している無煙炭(20億円)、うに(生、加工品で計10億円)、あさり(7億円)などは韓国や中国で同じような価格では売れないと思われ、禁輸は痛手でしょう。

結局、北朝鮮と中国の長い国境線や韓国の親北朝鮮的政策を考えると、輸出の禁止の効果は少ないが、輸入の禁止はそれなりに効果があると思われます。ただ、金額にしてせいぜい100億円程度の話ですから、韓国が少し本気で支援を行う気になれば、どうとでもなるレベルです。

むしろ一番気になるのは、偽札、麻薬など北朝鮮が裏社会と深く結びついていると思われることです。また、偽札の処理をIRAと共謀するなど、反政府、テロ組織とはすでに相当密接な関係を確立していると考えられます。

このような裏社会、テロ集団との関係は核兵器の密輸のようなハルマゲドン的事態にならなくても、非常に危険です。ルール無用で、他国の政府レベルの意思決定に関与する可能性もあります。最近の韓国政府の要人の発言を聞いていると、単にイデオロギーとして北朝鮮にシンパシーを感じている以上に、買収、脅迫などの手段で操られている可能性も否定できないと思います。

これは「ユダヤ人が金融を通じ日本支配を企んでいる」式の陰謀史観とは違います。このところ県知事が談合、収賄で逮捕されていますが、金のために非合法なことをするといのは、人間が組織を動かしている以上普通にありますし、それを利用しようとする組織も必ずあるのです。

韓国と北朝鮮の交流を見ると、韓国の新聞記者、官僚さらに要人に対し女性関係に絡んだ脅迫、買収さらに買収されたことに対する脅迫は、発生しない方がむしろ不思議でしょう。拉致もそうでしたが、偽札、麻薬にまで手を染めているわけですから、「そんなことまでしていないだろう」と思うほうがお人よしに過ぎるでしょう。

もちろん、このようなことは簡単に明らかになることはありません。しかし、談合の場合もスパイ事件も摘発されるのは常に氷山の一角です。韓国で先月「一心会」という左翼的韓国人を中心にしたスパイ事件が明らかになり大きな問題になっていますが、北朝鮮の浸透は相当進んでいると思って間違いありません。

禁輸措置の話から少しずれてしまいましたが、北朝鮮が今回の禁輸でさらに非合法活動を中心にした国家になることは確実でしょう。少なくともキム・ジョンイルの食卓からトロが消えることはなさそうです。
20061128070404.jpg
今や犯罪集団のドン
スポンサーサイト

テーマ:進化論的組織論 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://realwave.blog70.fc2.com/tb.php/70-a60989f3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。