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ビジネスのための雑学知ったかぶり
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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

ご連絡はrealwaveconsulting@yahoo.co.jpまで

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No1とNo2
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No1には側近が付きものですし、側近が時として実質No2の実権をふるいま
す。最近の東京都の副知事更迭問題は、そのような関係が往々にして組織に引き起
こす問題を示していますが、No1とNo2の関係をいくつかの類型で見てみま
しょう。

1.ジャイアンとスネ夫

一番多くて、一番問題のある関係です。二人はドラエモンのレギュラーメンバーで
すが、長い間変わらず登場するのも見ても、子供にも理解しやすい関係なのでしょ
う。この場合ジャイアン(No1)は圧倒的なパワーを持っているので、スネ夫
(No2)は弱くてもジャイアンとの距離が近いということだけで、それなりの権
力を獲得します。しかし、その力は自らのものではなくジャイアンの力を借りてい
るだけですから、スネ夫はどんなときでもジャイアンに逆らうことはできません。
そしていつもジャイアンにゴマをすって生きていくことになります。

トップは孤独なものですから、どうしても心を許せる側近が欲しくなります。側近
はNo1の側にいる立場を利用して、トップへの情報をコントロールする力を得て
次第に実権をふるい、名実ともにNo2となります。しかも、往々にしてNo1は
引退後、後々の影響力の保持を考えてNo2を次のNo1に指名します。ここでNo
2は、もともと能力、実力ではなくNo1との距離で力を持っていたことを思い出
してください。No2は力のあるタイプではなく、力のない人に取り入る方が得意
なタイプが多いのです。

問題はNo2がNo1になった後、さらに拡大します。力のない元No2のNo1
は実力のある部下を警戒しがちです。もともと能力の低い元No2が、自分よりさ
らに実力のない人間を新No2に据え、その新No2が次のNo1になる。このよ
うなことを2-3代繰り返すと、会社は能力のないゴマすりだけで、上層部が形成
されることになります。

外部から経営に対する明白なチェックがないと組織は実に容易に硬直化し、なおか
つ能力の低い人間が、能力が低い故に指導者になります。このような状況は例を挙
げればきりがないでしょう。何と言ってもある意味で典型的なNo1とNo2の関
係が原因ですから、そうならるのは半ば自然現象と言っても良いでしょう。

2.貴婦人とドーベルマン

No1は心優しくて、粗っぽいことはできないので、獰猛なタイプをNo2に据え
るケースです。この場合、No2にするより、汚れ役をする部下を持つというやり
方もあります。高級官僚出身の政治家などで、よく見られる関係です。

互いに補完的な役割を果たしているので、一見うまく行きそうですし、確かに安定
的にこのような関係が続くことも沢山あります。しかし、No2側がNo1を心か
ら尊敬していれば良いのですが、そうでないと潜在的なクーデターに危険がありま
す。この種の人間は、ドーベルマンの役を自ら買って出るくらいですから、実力も
あり野心も人一倍強い場合が多いからです。

一方No2というより汚れ役の部下になった場合ですが、こちらは泥を被らされ
て、消されてしまうことも実によくあります。「あんなに尽くしたのに!」と慨嘆
するわけですが、貴婦人タイプの経営者は存外冷たい、あるいは自分たちエリート
以外はどうなっても構わないという人が多いのです。

会社の経営は沢山の人間と資源を上手に扱わなくてはならない仕事ですから、綺麗
ごとばかりでは動かないということはあるでしょう。しかし、ドーベルマンや汚れ
役が必要なのは、建前とは別の本音の部分が裏として存在しているからです。この
ようなものが必要なのはどこか間違った方向に会社が進んでいる可能性が高いと考
えても良いのはないでしょうか。

3.ビジョナリストと実務家

会社が大きく成功するためには、ゴマすりや汚れ役をNo2に選んではいけませ
ん。会社を大きく成長させるには、遠大なビジョンと確実な実務能力の両方が必要
ですが、この二つのNo1とNo2の分担がうまく機能すると、大きな成功を納め
ることができます。

典型的な例としてよくあげられるのは、本田技研の本田宗一郎と藤沢武夫です。本
田宗一郎は夢想家と職人と学者を合わせたような人ですが、その下で長く女房役と
して支えてきた藤沢武夫は、非常に実務的な経営者でした。本田宗一郎はF1に出
たり、日本でも無名なうちにアメリカに進出を企てたり、必要な資源を綿密に考え
て行動を起こすタイプではありませんでした。「これをしたい。これをやるべき
だ」というものに突き進む、いわゆる「ナルチスト型人格」の典型です(人格の類
型については「嫌なやつほど何故出世する」を参考のこと)。これに対し藤沢武夫
は典型的な「強迫神経症型人格」で、必要なことをきっちり、しっかり行うことに
全力を尽くしました。

素晴らしかったのは、本田宗一郎は藤沢武夫を信頼し、藤沢武夫は本田宗一郎を尊
敬していたことです。うっかりするとナルチスト型のNo1は「あいつがケチなこ
とを言うから会社は飛躍できない」と怒ったり、その逆に強迫神経症型のNo2が
「こんなにめちゃくちゃじゃ、もうやってられない!」となるはずなのに、そこは
しっかり二人三脚で事業を伸ばしたのです。

このようなビジョナリストと実務家の組み合わせはソニーの井深大と盛田昭夫にも
見られます。戦後日本の生んだ最も偉大で革新的な二つの企業がともに、このよう
なNo1とNo2の組み合わせだったのは全くの偶然とも思えません。世の中には
本田技研やソニーと同じように急成長した企業は沢山ありますが、多くはビジョナ
リストと実務家を一つの人格に併せ持った経営者が引っ張っていったケースが多い
のです。一人で何でもやるわけですから、ある意味個人的な能力はより高いと言え
ますし、一人の分能率があがる点もあるでしょう。

しかし、優れたNo2を持たないNo1は暴走する危険が大きく、いったん暴走す
ると、止める人はいません。多くに急成長企業がトップの暴走で、社会的指弾をあ
びる、あるいは事業が傾くという状況になる例は枚挙に暇がありません。No1と
No2がコンビで会社が発展する、というより良いNo2を得ることができる、慕われ
るというが良いNo1の条件下もしれません。

4.参謀型No2

実力のある参謀は組織に取って重要です。この場合参謀は企画能力に優れた冷静な
分析家というケースが多いのですが、有能なリーダーは優秀な参謀を得ることに努
力します。秀吉が竹中半兵衛を礼を尽くして自分の部下になるように説得したとい
うのは話として有名です。もっとも、これは三国志で劉備が諸葛孔明を得るために
を三顧の礼を尽くたという話の焼き直かもしれません。

話が講談話めいたついでに、この話を続けると、(少なくとも講談話のレベルで
は)竹中半兵衛が補佐的な参謀に徹したのに対し、諸葛孔明は参謀というより、総
理大臣と軍司令官を兼ね備えたような立場でした。この意味で、竹中半兵衛は参謀
タイプの典型ですが、諸葛孔明は劉備というオーナーに経営を委嘱されたCEOに近い
のかもしれません。昔の財閥の大番頭も同じような立場でした。

参謀型No2は3の実務家タイプと一見似ていますが、実務家が実行に徹するのに対
し、参謀は実行力より綿密な分析力を得意とします。本当は分析しているだけでは
ダメで優秀な参謀は高い創造力があり、他人が思いつかないような戦略を考えま
す。本当の軍隊が戦争をする時は、相手と同じことしか思いつかないのでは、意表
をつくことは出来ません。企業も同じ事をしていては競争に勝てませんから、企画
マンにとって創造力は大切です。

問題は参謀型をNo2からNo1にする場合に生じます。参謀型の人の多くは、分析力、
創造力に優れていても、リーダーシップやカリスマ性はあまりありません。そのよ
うなものはN02を引き上げたNo1が持っていれば良かったわけです。参謀型の元No2が
No1になっていきなりリーダシップを要求された時、得てしてスネ夫タイプやドーベ
ルマンタイプのNo2を登用したります。どうなるかは、1、2で説明したとおりで
す。

No1とNo2は文字通り会社のトップのNo1とNo2の間に限りません、組織である限りNo1
がいて、多くの場合何らかの関係を持つNo2がいます。No1とNo2がどのような類型に
関係がおさまるかで、組織の活力が決まると言っても過言ではありません。
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テーマ:進化論的組織論 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント
体育会系縦社会
なる程。個人的能力だけでなくバランスも要求される訳ですね・・・。日本は小さい頃から縦社会にならされますが、有能な人間をよってタカってイジメ殺してる状況は裏を返せば殆どの人間がスネ夫タイプであるとも考えられる訳ですね。
【2011/04/11 12:00】 URL | 自己愛星人☆ #- [ 編集]


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組織とリーダシップの関係

リーダシップのスタイルは、その組織の状況に合わせる必要がある。組織は発足当時、構成員や仕組みの成熟度が低いので、リーダが仕事本位のリーダシップで引っ張っていく。成熟度が上がるにつれ、リーダと構成員の人間関係が培われ、仕事本位から人間関係本位リーダシップに 買ってはいけない東急リバブル・東急不動産【2006/09/28 21:58】