ビジネスのための雑学知ったかぶり
ビジネスでも雑学は重要! 知っていると少しは役に立ったり、薀蓄を自慢できる話題をご紹介
プロフィール

RealWave

Author:RealWave
Twitterアカウントはrealwavebabaです。

馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

ご連絡はrealwaveconsulting@yahoo.co.jpまで

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

お客様カウンター

Since 2009/10/21

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

結合双生児と枯葉剤
20061219195749.jpg


ベトとドクの兄弟は981年にベトナムで生まれた下半身が結合した結合双生児でした。1988年分離手術が行われましたが、ベトは重い脳障害を患って、今でも寝たきりの状態です。しかし、分離後ドクはコンピュータープログラムを学び、職を得ることができました。このドクが今月16日結婚したとのニュースが報じられました。

気になるのは、ベト、ドク兄弟について報じられるとき、ほとんど必ず「ベトナム戦争時に枯葉剤の影響で」結合双生児となったと枕がつくことです。ベト、ドク兄弟はベトナム反戦運動のシンボル的な存在で、1986年にもベトが急性脳炎になって治療のために日本に移送された時も、それら団体の支援がありました。しかし、ベト、ドク兄弟は枯葉剤の犠牲者なのでしょうか。

誤解を生じるといけないので断っておきますが、私は一般的な意味で枯葉剤散布の害を否定しようとしているのではありません。ベトナム戦争時ジャングルに紛れるベトコンや北ベトナム軍に手を焼いたアメリカは、密林の除去と、作物の死滅による兵糧攻めを狙って、7万4千トン以上、一説では100万トン近くの枯葉(除草)剤を、主として空中から散布しました。
20061219200322.jpg
アメリカは大量の枯葉剤を散布した

枯葉剤は様々な種類が使用され、ドラム缶の色にちなんで、ブルー、ピンク、オレンジ、グリーンなどと名づけられました。中でもオレンジとよばれた枯葉剤は、ダイオキシンを含んでいました。ダイオキシンは極めて毒性が強い上に分解しにくく、長く地中に残留します。使用された薬剤の総量は致死量換算で400億人分におよぶとも言われています。

ダイオキシンは分解されないので、食物連鎖を通じ濃縮され、人体に影響を与えます。そのため、一般の成人でも心臓病、神経症、皮膚炎などの症状を引き起こしますが、さらに深刻なのはホルモン分泌系の異常により、DNAの複製、つまり遺伝に悪影響を与える可能性があることです。

正確な統計はないようなのですが、ベトナムでは枯葉剤の影響と思われる、奇形児(良い言葉ではないのですが、一応使っておきます)、死産が多数発生したと推定されます。奇形児の象徴がベト、ドク結合双生児ということなのでしょう。

しかし、少なくとも結合双生児はベトナムだけに生まれているのではありません。人間の場合、10万回の妊娠に1回の割合で結合双生児が発生していると考えられています。日本でも「シャム双生児」という言葉がベト、ドク兄弟の前は結合双生児を表す言葉としてよく使われました。

シャム双生児の呼び方はタイのエン、チャン結合双生児に由来していますが、この双生児は1811年に生まれ、1829年にアメリカに渡り、1834年にアメリカ市民権を獲得しています。2人は1874年まで結合したままで生き延びますが、生まれたときと同様にともに生涯を閉じました。残っている写真から見ても、兄弟は結合双生児にはまれな健康状態を保っていたことがうかがえます。
20061219200518.jpg
シャム双生児は人気者になった

結合双生児の発生の原因はよくわかっていません。受精卵から成体にいたるまでの細胞分裂の過程で、成体を形成するオルガナイザーとよばれる機能が1個ではなく2個生じるためではないかと言われていますが、なぜ2個になるかは不明です。

オルガナイザーを複数発生させて結合双生児をつくことは、マウスでは薬品により再現性のある実験として行われていますが、人間ではもちろん実験などできないので、同様の効果があるかは不明です。

枯葉剤、タバコ、公害などの被害は、ナイフで刺したしたような意味では、障害、死亡との因果関係を証明することは困難です。この困難関係の証明が難しいことを利用して、企業や国家は「因果関係が不明」と言って責任を回避することが多いのは、ご承知の通りです。

ダイオキシンの害は青酸カリのように即死を招くようなこともありますが、致死量でなくても長い期間に蓄積、濃縮されることにより害を与えます。遺伝に対する影響も考えれば、危害は長い因果連鎖をたどっているため、直接的な因果関係の証明を求められてもどうしようもありません。

しかし、石綿と中皮腫のように病気の発生率が著しく通常より高くなった場合は、「疫学的」に因果関係が証明できたと考えるべきでしょうし、実際現在はそのような考えに基づいて訴訟などでの責任追及は行われています。

そのような意味で結合双生児と枯葉剤の因果関係の疫学的証明は少なくとも十分には行われていないと考えられます。ただ、ここで問題にしたいのは枯葉剤の恐ろしさを、結合双生児を見たときに普通の人が感じる「怪物!」という意識を反戦、平和運動に利用してしまっていることです。

最初に書いたように、枯葉剤が遺伝的な害も含め、長期的にベトナムに大きな害悪を与え続けていることは間違いありません。同じように劣化ウラン弾、クラスター爆弾、地雷などの長期的害悪は厳しく指弾されるべきです。本来なら戦争犯罪として裁かれるべきものが放置されているのです。

しかし、ベト、ドク結合双生児を何の証拠もないのに「枯葉剤の影響」と思い込み、断じ続けるのは止めるべきだと思います。それは結合双生児や種々の「奇形」を怪物として恐れ、同時に「怖いもの見たさ」の覗き趣味で見ているのを、反戦、平和でごまかしていると言うと言い過ぎでしょうか。
スポンサーサイト

テーマ:進化論的組織論 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント
Re:結合双生児と枯葉剤
考えさせられる内容です。
私自身知り合いに結合双生児を出産した方がおりまして、
結合双生児の原因が枯葉剤によるものだと強く印象付けるような報道には疑問を抱いておりました。
そんな中で
http://www.chibaken.jp/dioxin/
こちらのような千葉県議会議員の書いた文章を読んで、
なんとも言えない違和感を覚えました。
議員が書くような文章なのか?と思わされましたが・・・
おそらくこの人は日本にも結合双生児が何組も生れている事を知らないんでしょう。
【2007/12/05 18:25】 URL | まよ #nKhiwxGQ [ 編集]

枯れ葉剤イコール、シャム双生児?
どんだけ情報遅れなんだよ。
当時でも、ベトちゃんとドクちゃんがベトナムにたくさんいるとは思わなかったよ

奇形がたくさん生まれてその中の一つだろう
ぐらいにしか思わなかった。枯れ葉剤が核とかじゃなくじゃなくダイオキシンだとネットで初めて知ったけど。

シャム双生児は昔からいるから枯れ葉剤と一緒にする人はよほど本とか見ない人達だろう

短絡的な論理に呆れてしまったよ

あ~ちなみに見た当時は中学生だったかな?
【2011/07/21 10:02】 URL | なんだかなぁ #fywb2CzI [ 編集]


「左翼が皆、歯口にしか見えないのは何故?」

それはね、坊や、マルクス主義を始めとしてイデオロギーを持つ者※1 の発言が全て、目的(イデオロギー)の為の、子供騙しの嘘だからなんだよ。

※1 「マルクス主義であれ、フェミニズムであれ、あるいは宗教であれ、イデオロギーを持つ者との対話などは不可能である※2」…林 道義

※2 発言の理由を聞いても「バイブルにそう書いてあるから」としか言わないからな。
例えば小森陽一は『朝まで生テレビ』で、反論不可能となるや、氏にとってのバイブルである(与太新聞)ニューヨークタイムズの反日トンデモ記事を掲げて
「えーい!これが目に入らぬか!」と 恥ずかしすぎる暴挙にでた(憐)
【2016/02/15 13:38】 URL | 引用・利用は御自由に #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://realwave.blog70.fc2.com/tb.php/80-6d14f654
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「枯葉剤」について

枯葉剤枯葉剤(かれはざい)は除草剤の一種である。収穫を容易にするため葉を枯らす薬品であり、綿の栽培などで使用される。.wikilis{font-size:10px;color:#666666;}Quotation:Wikipedia- Article- History License:GFDL 環境用語【2007/02/09 22:22】

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。