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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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借金なんて怖くない
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日本の将来は?

確実なことなど何もないような世の中で、確かなことがあります。日本が少子高齢化の社会に向かっているということです。今40歳の人は30年後には70歳になります。20年後の20歳は現在の零歳児です。将来の人口構成が予測を根本的にはずれることは、まずありえません。

2006年の日本の総人口約1億2千7百万人、65歳以上の割合20.5%は、現在の推定では2020年ごろには1億2千4百万人、28%になります。さらに2050年ごろには日本の総人口は1億人を切るかきらないか、65歳以上の36%程度に達すると予想されています。

2050年ごろになると仮定のおき方で、数字のふれも大きく異なってきますが、それでも少子化の進行が遅いケースで総人口1億8百万人、65歳以上が33%、早いケースでは総人口9千2百万人程度、65歳以上39%になると見積もられています。

高齢化もさることながら人口が減少していくというのは、あまり楽しい予想ではありません。ピーター・ドラッカーは日本の人口減少の速度を「民族の集団自殺」と表現しましたが、単純に現在の傾向を延長していくと、数百年という歴史的にはそれほど長くはない時間軸で、日本民族は消滅してしまいます。

もっとも、将来予測は2050年ごろが限度で、それ以上になると色々な条件が影響するので、むやみに悲観的になったり、楽観的になることは良くないでしょう。2・26事件の理論的首謀者として処刑された思想家の北一輝は1923年に「日本改造法案大綱」を著し、21世紀には日本の人口は当時の4倍の2億5千万人になり、海外に進出しない限り日本民族は存続し得ないとして、日本の中国侵略を正当付けました。国家百年の計と言いますが、先を読みすぎるのも時には良し悪しです。

先を見すぎるのは危険であるとしても、2050年ごろまでの予想はそう大きくはずれることは考えられません。人口が減少し、年金支給開始年齢の65歳以上の割合が増加すれば、年金財政は苦しくなります。対策として、年金支給開始年齢を上げる、支給額を減額する、保険料率を上げるなどを行っても、後の世代ほど、負担に対し受け取る年金額が減ることは変わりません。

現行の制度のままだとすると、1930年生まれの負担に対する支給額の割合が、3.78倍なのに対し、団塊の世代の1950年生まれは1.63倍、1990年生まれは0.9倍になります。このうち1990年生まれあたりになると、少子化の進行度合いにより、もっと数字が下がる可能性もあります。

ただ世代間格差はあるものの、1990年生まれで0.9倍ということは年金制度が崩壊することは、少なくとも近い将来はあまりありそうもないということです。年金制度は崩壊するからせっせと納めても意味がないとか言って、国民年金を納めようとしない人がいますが、そんなことはありません。1930年代生まれのように4倍近い大儲け(?)ができないというだけです。制度改革で0.9倍は1倍に近い数値に落ち着いてくるでしょうから、出した分程度は返ってくることになりそうです。

ただし、出した分だけ取り戻そうとすると、少なくとも平均寿命程度は生き延びる必要があります。また、何とか国民年金納付を逃げとおして、もっとうまい利殖を行ったのに比べれば、損になることは事実です。「年金」という言葉が自分の積み立てた金を将来一定額で返してもらえるという誤解を与えているだけで、納めた金をそのままその時の支給に使うという点で、建前はともかく年金は税金と根本的には同じです。

それでも世代間で不公平があるということに不満は残るかもしれません。たまたま生まれた年代と人口構成の変化という、本人の努力とは何の関係もないところで、支払額と受取額の割合が大きく異なるからです。

ただ、世代間の不公平というのは簡単に比較することはできません。1930年ごろに生まれた人たちは、納付額よりずっと多くの支給を受けていますが、その親の世代は年金をほとんど受けていません。つまり親の扶養を考えると、1930年代の子供にあたる団塊の世代のほうが実質的には負担が少ないかもしれません。

親子の年齢差は当然個人差がありますから、世代間の負担割合のような平均値が問題なのではなく、一人ひとりの親子の年齢によって損得は違ってきます。まして、親の扶養は兄弟の数や同居の有無などで異なってくるので、比較はますます難しくなります。しかし、世代ごとの不公平を云々するのなら、本来は親の扶養や、将来負担を行う子供の養育を考える必要があるはずです。

平均的な比較が難しくても確かなことがあります。それは親から遺産を受け取れる人と、そうでない人は経済状態に大きな差が生じるということです。世代間の不公平は逆に見れば、世代内では公平ということになりますが、遺産は世代間の不公平を世代内で拡大再生産をさせてしまいます。

日本の人口が減少に向かえば、個人の財産の蓄積を考えると、年金の支給額が減っても平均的にはむしろ日本国民は豊かになると考えられます。しかし、それはあくまでも平均で、過去の財産を受け継ぐことができるかどうかは、親の世代の経済状況によるわけですから、親に財産がなければ少ない年金支給だけが残ることになります。

親に財産があれば有利だったのは今に始まったことではありませんし、まして少子高齢化とは関係のない話なのですが、GDPの1.5倍の借金を日本国がかかえて年金支給が実質的に減額され、格差社会が問題になっていることを考えると、矛盾がないとは言えません。

世代間の不公平を世代内に拡大再生産するのを減らすために、相続税を増税することが考えられます。現在日本の相続税は1兆3億円程度ですが、3兆円まで増加させれば消費税を1%減少(あるいは増加を抑制)することが可能です。

しかし、相続税の大幅な増加の影響は小さくありません。ほとんどの人にとって相続税の大半は不動産で、場合により住んでいるところ売却する必要があります。中小企業ではオーナーが相続税のために事業を売却し、事業継続そのものが困難になることもありえます。国際比較でいえば、日本の相続税は低いほうではありません。大幅な増税は現実的ではないのかもしれません。

それでも、相続税や固定資産税のような財産に対する税を強化しない限り、世代間格差が増幅して世代内格差につながる状況は改善しないでしょう。一つのアイデアとして税金を支払う替わりに、超長期の国債たとえば50年程度の国債の購入を行わせることは考えられます。

いっそのこと永久国債を発行して、購入分の相続税を全て免除してしまってはどうでしょう。相続税が重くなることの問題をすべて解決することはできませんが、積みあがってしまった国債の返済は大分楽になるはずです。実は通貨は一種の永久国債と考えられるのですが、国債の返済で通貨の大量発行(政府の日銀からの借金で発行する)を行うと大インフレは避けられないでしょう。それよりはましなはずです。

今の日本の財政状況を家計にたとえると、年収460万円で支出が800万円、差は借金でまかなっていることになります。しかも積み上がった借金が7,500万になっているということになり、個人なら自己破産が射程圏内です。しかし、国家は個人と違って寿命があるわけではありませんし、今のところ貸手も大部分は日本国民自身です。破産するぞといたずらに危機感をあおるのではなく、冷静に対応すれば大借金も解決は可能なはずです。

こどもに愛国心の教育をするのも良いかもしれませんが、永久国債を愛国国債とでも呼んで、愛国心で借金返済をする方が日本国のためには役に立ちそうです。いずれにせよ、借金を孫子の代に残すことを恐れてはいけません。財産も残すのですから。

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この記事に対するコメント

要するに、遺産を遺すのだから国の借金を押し付けるのはアンフェアではないと言いたいのですか?間違いです。国の借金は全国民に負担をかけます。しかし遺産の恩恵を享受できるのは金持ちの子弟だけ。こうなると金持ち以外の人間は国の借金を返す負担を背負わされ、遺産の恩恵には全く預かれないことになってしまいます。しかも国の借金が個人金融資産を超えてしまうのは時間の問題となっています。こうなると老人達は借金ばかり残したということになるのですよ。もうすこし頭を使ってください。
【2007/05/25 16:12】 URL | 匿名 #- [ 編集]


相続税は多くの人の家を奪い故郷を奪う制度です。
むしろ廃止すべきでしょう。
都市部の人の資産が多く見えるのは単に地価が高いからです。地方の人は資産はすくなくても実は大きな家に住んで豊かな暮らしをしている人が多いです。
つまり資産格差はみかけだけなので問題ありません。
【2007/06/03 23:29】 URL | ホワイト #NkOZRVVI [ 編集]


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税金が気になったぞ

かつて、贈与税がなかった時代には、財産を生前贈与によって移転することで、容易に相続税課税の回避を行うことができた。特にイギリスでは1974年まで、贈与税がなかったことから、世襲貴族などの資産家の富の承継が可能で、貧富の差の拡大を招いた。スイスには国税としての 税金が気になったぞ【2007/03/06 01:52】