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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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中央リニア新幹線 番外編
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東京一極化は進んでいるが・・・

前の続き) うかつな話なのですが人から指摘されて、今週号の日経ビジネスの特集「東京大誇張」の最初記事で「超巨大都市に賭ける-リニアで始まる日本再生」として、中央リニア新幹線の2020年実現に向けてのJR東海が頑張っていることが書かれていることに気がつきました。

読んでみたのですが、JR東海の意気込みはわかったものの、整備新幹線との優先順位の入れ替えなど、「国家プロジェクトにする」という以外実現への決め手はないようです。国家プロジェクトにしない場合、JR東海が自分で建設してしまうということも理論的には可能なのですが、民間企業ではとても不可能でしょう。

中央リニア新幹線の建設費について7.7兆円-9.2兆円という建設促進のための楽観的と思われる数値が使われていましたが、それでもJR東海の新幹線収入年1兆円、設備投資可能金額3千億円と比べてあまりに巨額です。

建設金額が恐らく楽観的なものである上に、革新的な技術利用に伴う問題の発生、環境問題や住民の反対による建設の遅れなどリスク要因が多く、莫大な建設費とあわせて考えると民間企業が容易に手を出せるものではないでしょう。
                                

建設費が巨額でかつリスクが高くても、それを上回るビジネスモデルが提言できれば、市場から資金を調達する方法があるかもしれません。19世紀の鉄道は、有望な投資対象として主として民間資金で建設されたのですから、まったく不可能ではないのかもしれません。ただし、ビジネスにノーベル賞があれば受賞できるほどの革新性が必要です。

皮肉なことに日経ビジネスの特集「東京大誇張」は、東京への集中の進展がメインテーマで、東京、名古屋、大阪が一体化した東海道メガロポリスにはあまり関心をはらっていません。意気込んでいるのはあくまでもJR東海(と山梨などの関係地域の政治家)だけなのです。

結局、前回のブログの内容を覆すものはあまりないと言ってよいと思うのですが、私自身はルートに不満は残るものの、そして成田-羽田のような優先すべき路線があると思ってはいるものの、東京と大阪をリニアで結ぶというアイデアには否定的ではありません(ブログを読まれた方はそう感じなかったかもしれませんが)。

東海道新幹線も建設前は不可能だとか、世界的に鉄道が衰退する中で建設するのは、エジプトのピラミッド、戦艦大和とならぶ世界の三馬鹿だとか散々だったのですが、開業以来死亡事故を一度も起こさず、巨大な経済効果を生み出しました。

リニアが同等の効果を発揮できるかは疑問ですが、東海道メガロポリス化は進展しており、今の日本で数少ない、それなりの経済価値が期待できる公共事業(民間での建設は前述のように現実的ではありません)です。 たとえ20兆円かかっても長期的には勘定に合うでしょう。

それに引きかえ整備新幹線は建設に10兆円くらいかかるでしょうが、効果は非常に限定的で、投資に見合う見込みはなさそうです。中央リニア新幹線は技術革新も含めた広範囲の波及効果も期待できます。

それにつけても、中央リニア新幹線の予定ルートは良くないですね。東海道メガロポリスの主要都市は結ぶべきですし、そうしないと現在の新幹線との有機的な運用も難しいでしょう。そもそもJR東海だって、本当の意味の利便性が高くなければビジネスとして魅力がないはずです。

日経ビジネスの記事で面白いと思ったのは、リニアができれば東京-大阪の飛行便は不要になるので、羽田の発着枠に余裕ができるということが指摘されていました。そうすれば整備新幹線の必要性はますます小さくなるはずです。総合的交通政策としては、はるかに整合性のある考え方です。

しかし、残念ながら整備新幹線もできず、中央リニア新幹線もできず、成田―羽田もリニアでは結ばれずということで、多分革新的なことは何もなしで、次第に細る公共事業と疲弊する地方という図式が変わることはなさそうです。本当は日本にとって残された資源も時間も、そう多くはないのですが。
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