ビジネスのための雑学知ったかぶり
ビジネスでも雑学は重要! 知っていると少しは役に立ったり、薀蓄を自慢できる話題をご紹介
プロフィール

RealWave

Author:RealWave
Twitterアカウントはrealwavebabaです。

馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

ご連絡はrealwaveconsulting@yahoo.co.jpまで

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

お客様カウンター

Since 2009/10/21

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

インテリジェントデザイン
bushear1.jpg
ブッシュ大統領はインテリジェントデザインを支持している

日本人には少し想像しずらいのですが、アメリカでは人間は下等生物から進化したという意味で進化論を信じる人は少数派です。2005年に行われたアメリカの世論調査会社のハリス社の調査によると、アメリカの成人のうち進化論を信じている割合が22%、64%は神によって人間は創造されたという創造説を、そして10%は高度な知性が人間を設計し作り出したというインテリジェント・デザイン(以下ID)を信じていると解答しています。

現代的な進化論は1859年にチャールズ・ダーウィンが表した「種の起源」から始まっています。ダーウィンは生物は生来の違いがあり、自然淘汰という生存競争を通じて「適者」が勝ち残ることで、徐々に進化を遂げていくと考えました。ダーウィンの時代には遺伝子は知られていませんでしたが、ダーウィンは後に突然変異といわれる、個体にわずかな変化がランダムに起こり、その変化が個体にとって有利なら、生存競争を通じて子孫に伝えられることが、進化の原動力になり、人間を含め今あるような生物種ができ上がったとしました。

進化論は、キリスト教の聖書の教える、神が地上の生物を一度に今あるように創造したとする考え方と真っ向から対立するものでした。このため進化論はキリスト教の立場から当初激しい反発を受けましたが、化石の研究や、突然変異、メンデルの法則の発見などを通じ徐々に科学的事実と認められるようになって来ました。

それでも、進化論に対する抵抗はアメリカでは根強く残り、多くの州で進化論を教えることを違法とする「反進化法」が成立しました。反進化法は1968年になってやっと連邦最高裁判所が反進化法の制定を違憲であるとするまで、いくつもの州で存続しました。

その後もアメリカでは1982年アーカンソー州で創造説を創造科学として進化論と均等に教えるべきだとする法律が制定される(最高裁で違憲とされた)など、ファンダメンタリスト(聖書を字義通り解釈しようとする立場のキリスト教宗派)を中心としたキリスト教右派からの反撃が続きました。

最初に紹介したハリス社の調査では進化論を信じる割合は10年前と比較してむしろ減少しており、アメリカ社会の保守化とともに進化論に対する反発が強まっていることが示されています。化石が進化論の証明にはならないという人さえ、半数以上いるのです。

しかし、進化論に対し、いきなり神を持ち出して否定することはあまりに「科学的」でないという考えも強まってきたのでしょうか。進化論の問題点を「科学的」に指摘することを通じ、偉大な力の存在を気づかせようというのが、90年代後半から出てきたIDです。

IDでよく引き合いに出されるのは、バクテリアの鞭毛の仕掛けです。バクテリアは器用に鞭毛を動かして自由に水中を泳ぎまわりますが、鞭毛の構造はモーターが駆動力を作り出すように各部分が部品として適切に配置されています。ネズミ捕りでバネを一つ取り除いても道具として役に立たなくなるように、鞭毛の部分、部分は必要不可欠なものとして機能します。こんなことが、突然変異という偶然と自然淘汰だけでつくりあげられるのでしょうか。そうではない、誰か高度な知性が設計しない限り、バクテリアの鞭毛さえ作られるはずはない。IDはそう主張します。

IDのこの考えは、ばかばかしいと一笑に付すこともできるかもしれませんが、直感的には進化論よりむしろ納得しやすいと感じられるかもしれません。進化論はキリンが高い木の葉を食べようとしているうちに首が長くなったとか、寒いところで保温のために動物の体が大きくなるということの説明にはなるかもしれませんが、複雑な構造物を作るための理論としては無理があるような気がする人も多いのではないでしょうか。

しかし、ダーウィンは進化論に対しそのような疑問が生じるだろうということを十分理解していました。進化で複雑な構造が作られていくことを、ダーウィンは「種の起源」の中で目を例にして説明しています。

目はレンズによる集光や網膜による光の感知など、カメラと同じような精緻な構造を持っています。しかし、ダーウィンはそのような構造が、感光機能を持つ皮膚細胞を出発点として、集光増すためのくぼみを生じさせたり、徐々に形作られていったこと、それぞれの過程で、それらの小さな変化が生存競争上有利に作用していったことを論証します。複雑な構造物の形成を進化論で説明することは進化論の最初から行われていたのです。

進化論だけで複雑な生物の構造を説明できるということが直感に反するのは、進化が途方もない時間の結果であるということを忘れているからでしょう。物理学の世界でも、微小な世界では量子力学が、宇宙的なスケールでは相対性理論が支配的になります。時間が伸び縮みするとか、物質が波と粒子の二重性を持つなどというのは、日常感覚で理解するのは難しいのですが、科学的には事実です。

人間の1世代は30年くらいですが、この10万年、3千世代のを経て、少なくとも外見的には目立った変化はありません(肌の黒い、白いくらいの違いはありますが)。進化の様子は日常的な時間感覚で感じられるようなものではないのです。

進化がなかなか目に見えないのは、生物の形態が環境に適合していて、生物に有利な変化はランダムな突然変異では滅多にないことと、有利な突然変異も単に個体の生存競争にプラスになるだけでなく、より沢山の子孫を残す結果にならないと進化としては意味をなさないからです。

犬はチワワからブルドック、ドーベルマンなど多種多様で、とても同じ種に属するとは思えないほどですが、全て同一種で互いに交配も可能(種の定義そのままですが)です。このようなバリエーションは高々人類が犬を飼いだしてから、それも数千年でできあがったものだと思われますが、これは人類という「環境」が変化を選択的に繁殖に反映したからに他なりません。

農産物の品種改良は数十年の単位で相当な変化を実現します。突然変異による変化は意外なほど頻繁で大きなものなのです。ただ自然界では環境への適応と子孫の増加になかなかつながらないため、進化による変化は非常にゆっくりしたものになってしまうのです。

日常感覚だけで判断すると地球も平面に思えてきますが、地球を平面だと主張する人はいません。進化論に対しIDが主張されるのは、進化論が人間も動物にすぎないという点で、キリスト教の信仰のから認めたくないという人が多いからなのは間違いありません。

IDの話が一段と大きくなったのは、ハリス社の調査(2005年6月)と同じ年の8月にブッシュ大統領が、「IDを公教育で教えるべきだ」との発言を行ったからです。ブッシュ大統領は明らかに進化論に賛成しないアメリカ人の多数派に属しているのです。

ブッシュの発言以来アメリカで一層高まったID論議に、ローマ法王庁は反対の立場を明確にしています。バチカン天文台長のジョージ・コイン神父は、ヨハネ・パウロ法王の「進化論はもはや仮説ではない」という言葉を引いた上で、「われわれは強く創造説を信じるが、IDは神を矮小化し、世界を愛するものからただにエンジニアに貶めてしまう」としてIDを批判しています。
PopeJohnPaulII.jpg
ローマ法王庁は「進化論はもはや仮説ではない」との立場

ローマ法王庁の明言にもかかわらず、アメリカではIDの影響力はむしろ増しつつあるように見えます。ある意味奇妙なことなのですが、ID論者はIDが背後にキリスト教のファンダメタリストがあることは明らかであるにもかかわらず、「IDは宗教ではなく科学である。IDのデザイナーは神を指しているわけではない」という立場を鮮明にしています。ブッシュの公教育でIDを教えるべきだというのも、その文脈からきています。

日本ではIDは一般的には無視または嘲笑の対象ですし、アメリカでも主要な報道機関は進化論に対立する科学的選択肢の一つなどということを真面目に論じることはありません。しかし、IDは進化論では一見説明が困難そうに見えるバクテリアの鞭毛の話など、多くの巧妙なレトリックに満ちており、頭から「非科学的なたわごと」と決め付けると思わぬ落とし穴にはまる危険があります。IDの道具立てをもう少し見てみましょう(この項続く)。
スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://realwave.blog70.fc2.com/tb.php/87-b45326dc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。