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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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コンサルタントを使うには
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ジェラルド・ワインバーグ

ジェラルド・M・ワインバーグは、ソフトウェア開発のコンサルタントですが、著作の一つ「コンサルタントの秘密」の中でコンサルティングとは「人々に、彼らの要請に基づいて影響を及ぼす術」と言っています。

これはものすごく広い定義で、普通コンサルタントとは思われないような占い師、デパートの案内係、ゴルフのパートナー(「要請に基づいて」というところは怪しいですが)、人生経験豊富な気のよい友人などもみんなコンサルティングをしていることになります。

反面、要請とは無関係に命令する上司、売り込み熱心な営業マン、懲役を宣告する裁判官などはコンサルティングではなく人に影響を及ぼします。 また、医者が手術の方法を説明したり、弁護士が訴訟手続きについて解説しているのはコンサルティングではありません。説明の目的は「影響を及ぼす」ことではなく、自分のすることを了解してもらうためだからです。

とは言っても、コンサルティングはこれほどありふれたもののはずなのに、職業としてのコンサルタントとなると一般のイメージは様々です。イメージが混乱する原因の一つは、広範囲な定義にもかかわらず、定義に入らないような職業がコンサルタントと称することが多いからでしょう。

コンサルタントに対する悪い印象を代表するものに、経済事件などで事件の渦中で動き回っている、実態不明なビジネスマンがコンサルタントを名乗っていケースがあります。この種の人の多くは人間関係のブローカーのようなもので、ワインバーグの定義にはあてはまりません。

また、言葉のインフレもあります。IT会社がプログラマーというと、人を集めるのにもサービスを売るのも値打ちが低そうに聞こえるので、システムエンジニア、さらにコンサルタントと名前をつけたりする場合です。これは便所をトイレ、さらにRestroomと表示するようなもので、実態とは無関係にコンサルタントとつけているわけです。

一方、非常に沢山の種類のコンサルタントがいるのに、コンサルタントの免許なぞは存在しないということがあります。中小企業診断士、ITコーディネーター、ファイナンシャルプランナーさらにMBA取得など、コンサルタントの仕事をする人が持つ「資格」は星の数ほどありますが、コンサルタントの「免許」に類するものはどんなコンサルタントにも存在しません。コンサルタントは名乗ればその日からコンサルタントになれるのです。

コンサルタントに「免許」がないのは、コンサルタントが「人の行動に影響」を与えることが仕事で、実際の行動は行わないということにあります。癌への対処を教えても、手術をしなければ医者の免許はいりませんし、節税法をアドバイスしても税務申告をしなければ税理士の免許はいりません。社会としては顧客の行動を代行したり、実際の作業を行うことのないコンサルタントは、免許制の必要はないと思っているのです。

ではコンサルタントは何をしてくれるのでしょうか。問題を解決するためのヒント、方法、データーその他もろもろのアイデアを提供するのが本来のコンサルタントの仕事です。問題が存在しなければコンサルタントに頼むことはありませんし、問題を解決するためのアイデアを実際に実行するのはコンサルタントの仕事ではありません。実行するのは、依頼者しかできない場合もありますし、誰か別の人がすることもありますが、コンサルタントとしての仕事は「影響を及ぼす」ところまでです。

では、問題をどのよう解決する、あるいは解決にはいたらないまでも何か解決の足しになるような知恵をどのように出すのでしょう。これには (1)すでに問題解決の答え、ないし有用な情報を知っている (2)星占いその他、理解しがたい手段で答えを作り出す (3)問題を分析し論理的に解決法を作り出す の三通りのやり方があります。

世の中でコンサルタントに期待される解決策の提示方法は(1)のコンサルタントがすでに知っている知識を与えてくれるというものが多いのではないでしょうか。アメリカによくある有名な経営者や政治家が引退後コンサルタントになったような場合は、経験豊富な人から指針を示してもらいたいという客が、高額のフィーにもかかわらず集まります。

しかし、答えが非常に明確で知っていれば間違えようがない、たとえばトイレの場所を知りたいといったケースや、「後継者の育成の心構え」のような漠然とした場合には良いかもしれませんが、問題が複雑だったり、いくつかの案を比較検討しようというときにはあまり好ましい方法ではありません。「このあたりで良いレストランはどこ?」程度の質問でも、一人で行くのか、恋人と一緒か、それも最初のデートか、懐具合は、腹のすき具合はといった沢山の情報を分析しないと満足のいく答えを出すわけにはいきません。

世の中には(2)の占い師の類に頼るという場合も多いでしょう。占いのプロセスは不可解で、未来を予測できる根拠も根本的には存在しないのですが、決断を求められる経営者や政治家が沢山訪れます。アメリカのレーガン大統領が星占いを頼りにしていたのは有名な話です。日本でも多くの政治家や経営者が高額な占い師を訪ねているのは周知の話です。

もっとも決断の理由を表立って占いだと言う政治家や経営者は滅多にいません。「今回の20億ドルのM&Aは、xxx先生の占いで間違いないと出たから安心してください」などと言ったら、株主代表訴訟になっても不思議はありません。

そこで、一般には(3)の問題を分析して論理的に解決策を見出すという方法に行き着きます。しかし、このやり方も色々悩ましいことがあります。「論理的に解決策を見出す」とは言っても、解決策発見ソフトウェアがあるわけではありません(あれば売れるでしょうが)。

それでも、コンサルタントがまともであれば、それなりに役に立つ結果は得られるのですが、何しろ免許もない仕事ですから(医者でも弁護士でも免許を持っていても油断は全くできないのですが)、問題分析法や解決策の組み立て方が理にかなっているか保証がないのです。

企業を相手にする経営コンサルタントや戦略コンサルタントは、問題解決に仮説検証という方法を一般的に使用します。仮説検証とは、仮説を設定してその仮説を検証することを繰り返していくことですが、これは科学研究の方法論です。

科学ではたとえば「癌は遺伝する」という仮説を設定して、検証するために親、兄弟で癌にかかる割合と、赤の他人同士で癌にかかる割合を比較したり、様々なデーターを集めていきます。さらに、遺伝的傾向あるなら、癌にかかる遺伝子があるはずだという仮説を設定して、遺伝子を特定するという検証作業を行っていきます。

科学で仮説検証は普通と言うより、仮説検証しか科学研究の方法論はないと言ってもよいほどですが、科学は普通コンサルティングよりずっと時間をかけますし、空振りはしょっちゅうです。仮説検証というくらいですから、検証して仮説が否定されてしまうとか、検証法が見つけられないということはいくらでも起きる(むしろその方が多い)からです。

コンサルタントも「A事業部の売上げを伸ばしたい」という問題には、売上げ増大を阻んでいる原因を仮説として設定して、原因の正しさを検証し、次に解決策の仮説を設定し、その正しさを検証するとうプロセスを踏んでいきます。しかし、仮説が有効かどうかを本当に検証するには、結局その通り実行してみるしかありません。

コンサルティングに科学の方法論を持ち込むということは、逆説的に言うとコンサルティングはエンジニアリングではないということです。エンジニアリングであれば、ビルや橋なら通常きちんと作られますし、盲腸の手術なら新米の外科医でも概ね大丈夫です。しかし、仮説検証はこのように確実に結果を生み出すエンジニアリングの手順とは違います。

解決策が得られるかどうか保証がないということになると、コンサルタントも顧客も困るので、万能薬のような理論やコンセプトがしょっちゅう生まれてきます。特に経営コンサルタントの世界では、競争ベースの経営論、資源ベースの経営論、コアコンピーテンシー、リエンジニアリング、第5水準のCEO、ブルーオーシャン戦略などの言葉飛び交いますが、必ず解決策を導き出してくれるようなものではありません。

それぞれの理論が間違っているというわけではありません。しかし、新しい経営学のコンセプトの多くは、特定の企業のケースには当てはまっても、汎用的に適用可能というわけではありません。誰かに効果のあったダイエット法が、他の誰でも効果があるというわけにはいかないのです。良くないのは理論そのものより、万能薬のような言い方をするコンサルタントやセミナー屋の方です。

経営についてはコンサルタントの良し悪しの前に、経営は科学なのか技術なのかそれとも他の何かなのかという議論があります。MBAは「経営は技術」という立場が強いのですが、有名な経営学者のミンツバーグは「MBAが会社を滅ぼす」という本を著して、技術論に傾きがちのMBAのカリキュラムを否定しています。 ミンツバーグは職場でのマネージメントの実務に焦点を当てたマネージメントスクールの開発までしています。
Mintzberg.jpg
ミンツバーグはMBAに否定的

ミンツバーグの指摘はもっともな点は多いのですが、トップマネージメントは戦略だビジョンだというMBA好みの話題に向き合う必要が中間管理職よりは格段に多く、MBAのカリキュラムにより近い知識も求められます。ただ、MBAのカリキュラムが分析的、還元主義的な意味でも本当に必要な知識を与えてくれるかどうかは別問題です。

企業は大きな組織ですから、単純な人間業だけでコントロールすることは不可能で、様々な数字や分析手法を「エンジニアリング」として利用することは不可欠なのですが、最終的な決断のレベルになると、機械的な方法は存在しません。コンサルタントのできるのは、せいぜい様々な可能性を多角的に検討することを助けることまでで、決断そのものにはコンサルタントより占い師のほうが役に立つでしょう。

それでも優秀なコンサルタントなら「ハウツー」を噛み砕いて教えることはできます。ビジネス関係ほどハウツー本があふれている分野はありませんが、ビジネスほどハウツー本が役立たないものも稀です。少なくともダイエット本を読むのではなく、専門家にダイエットメニューを組んでもらう程度のことはしてくれます。メニューの通りするかどうかはあなた次第ですが。
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