ビジネスのための雑学知ったかぶり
ビジネスでも雑学は重要! 知っていると少しは役に立ったり、薀蓄を自慢できる話題をご紹介
プロフィール

RealWave

Author:RealWave
Twitterアカウントはrealwavebabaです。

馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

ご連絡はrealwaveconsulting@yahoo.co.jpまで

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

お客様カウンター

Since 2009/10/21

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

産む機械作りますか?
20070207232114.jpg
産む機械作りますか?

少子化が問題とされるようになってずいぶんになりますが、柳沢厚生労働大臣が「女は産む機械」と発言したということをめぐって場外乱闘のような状況になってしまいました。柳沢の女性観、人間性がどうかという議論はさておいて、少子化対策を考えていくと生産機械のように女性の出産効率をいかに高めるかというところに考えが固まってしまうのかもしれません。

ただ、少子化が「問題」とされているのは、個人ではなく国家の視点であることは間違いありません。個人の立場で考えると、「少子化という囚人のジレンマ」でも書いたように、子供をつくるというのは必ずしもベストの戦略ではなく、本来は人ごとです。少子化対策はどこまでも個人のためではなく、将来の年金財政や国力の維持のためです。

今はそんなことを表立って言う人は少なくなってきましたが、ついこの前まで子供を作るというのは、「家」の存続のためでした。子供を産めない女は家を危うくするという意味で、欠陥製品とみなされたのです。現在でも家がたまたま天皇家であれば、家が危うくなることと日本の根幹が危うくなるのと同じになると思う人は沢山いるでしょう。家の存続を絶対視すれば、女性は産む機械、道具ということになります。

少子化の問題は家のレベルを国家レベルに変えただけですから、「女は産む機械」というところに話が行きやすいのは確かです。しかし、機械と考えたとしても機械の性能が問題なのではないでしょう。現在の日本は工場に機械は並んでいて整備も行き届いているのだが、なぜか稼動していないという状況でしょう。

もともと子供が増えないのは(1)男女のいずれかないし双方が性的興味、能力を減少させている、または性的接触が減っている(2)妊娠しないよう避妊する、あるいは妊娠しても出産しない(3)子供が生まれても死亡することが多い。の三通りが考えられます。

上の中で(1)の男も女も性的興味を失ってしまうというのは、動物園のゴリラやパンダなどには見られ、テレビでゴリラにポルノ(ゴリラの!?)を見せるというのは実際あるらしいのですが、今のところ人間ではあまり心配なさそうです。性的な刺激は現代社会では過剰ではあっても、過小ではありません。

ストレスその他の原因で精子の製造能力や排卵に支障が出ているのではないかという説もあります。精子に関しては、精子の数が現代の男性は50年前の半分程度になったという話もありますが、真偽のほどは確かではありません。精子の数は量、密度とも放出の前後で大きく違ってくるので正確な統計を取るのは簡単ではなく、まして過去から一貫したデータもないので、今のところ与太話の範疇を出ません。

(3)の子供が十分に成長できないというのは、もちろん少子化の原因ではありません。今の日本では、生まれた子供の99%以上は成人に達します。乳幼児や子供の健康増進にやるべきことは多々ありますが、少子化対策になるわけではありません。

むしろ、子供が無事に育つということが少なく産むという傾向につながっているのかもしれません。20世紀の初頭のころの日本の乳幼児死亡率は15%を越えていましたし、もっと遡れば5人6人子供が生まれても半分も成人に達しない家庭がほとんどでした。1人、2人の子供ではとても安心できなかったのです。

結局(当たり前ですが)、少子化の原因は女性が妊娠・出産を避けることに尽きます。ではどうすればよいか。議論は百出していますが、女性が子供を産んでも職場に復帰できる、保育園を完備するなどの働きやすさと産みやすさを結びつける方法がまず、考えられます。

次に、子供を育てる経済的負担を減らすために学費を安くする、手当てを支給するなどの方法があります。このほかにも、産科を増やす、子育ての相談に応じるなどの方法もあります。また、結婚した女性は2人は子供を作ろうとすることから、結婚を奨励することで子供を増やそうという考えもあります。

しかし、出生率の増加に成功しつつあるように見えるフランスでは子供の5割近く、第一子に限れば60%以上が結婚していない女性による出産、いわゆる婚外子です。結婚しないと子供ができないという発想自体間違っているとも言えます。

フランスは経済的援助も沢山行っており、第2子からは月額1万5千円程度、3子以上は2万円を子供が20歳になるまでもらえます。そのため、4人の女性に20人子供を産ませ、何も働かず月額40万円もらって悠々と暮らしているという移民の存在が問題になったこともあります。

フランスに限らず、ヨーロッパ諸国やアメリカでは移民の出生率の高さが逆の意味で問題になることも多いのですが、移民も2、3世代をへると出生率が落ち着いてきて、他の国民と同じ程度になると言われています。移民は良くも悪くも少子化の長期的な解決策とは言えません。

少子化対策で面倒なのは、どのような政策がどの程度出生率の向上につながるかが定性的なレベルでさえ不明確なことです。フランスで一部に見られるように、貧しい女性が子供を作ることで生活しようとして子供を産むということはあるかもしれませんが、キャリア志向の女性には、少々の経済的支援では失うものの方が多いでしょう。このような女性は(子育ての義務は男性にもあるわけですから、男性も含めてですが)子育てを他の女性に依存するだけでなく、子を産むことも他の女性に依存することになるかもしれません。

もしかすると、少子化対策が進むと、文字通り産むことの専門化が進むかもしれません。こんな話をすると、ひそひそ声で「悪い遺伝子が多く残る」という古典的優生学丸出しのようなことを言う人が結構いるのですが、恐らくそんな問題は起きないでしょう。

母親がキャリアウーマンになれなかったのは、「悪い遺伝子」を持っているというより、育った環境、運不運など沢山の要素が関係していて、単純に「頭の良くなる遺伝子」が欠落したわけではありません。知能に遺伝的な部分があることは事実でしょうが、血液型のように単純なものではありません。産むことの専門化が進んだから日本民族の平均的知能が下がるというのは、妄想と言っても過言ではありません。

産むことの専門化が問題なのは、「女は産む機械」を非常に極端に社会が実現してしまうことにあります。これは代理母出産を社会的に大規模な形で行っているのと同じことかもしれません。あるいは、臓器提供のやや穏当なやり方とも言えるかもしれません。

SF的ですが、本当に「産む機械」を作ってしまったらどうなるでしょうか。精子バンクと卵子バンクから受精卵を作り出し、産む機械に装着して子供を作ってしまう。可能なら少子化対策はこれに勝るものはないということになります。

幸か不幸か「産む機械」は「考える機械」と同じくらい作るのが難しいでしょう。胎児の正常な発育には環境として人間の子宮が不可欠で、現実には機械でシミュレーションするのは困難というより不可能です。もっとも人間では許されない人工子宮の実験も他の動物では可能ですから、そのうち作れてしまうかもしれません。

話が横道にそれてしまったように思われるかもしれませんが、私は少子化対策というのは、本質的には「産む機械」開発計画的な意味合いがあり、その中で半ば無意識に「女性を産む機械」と例えてしまったのではないかとさえ思います。

働く女性が「個人」として子供を作ろうとしたとき、企業の対応の冷たさや、保育園の不足であきらめなければいけないのは確かに問題です。このような障害は解決されるべきです。婚外子もあらゆる面で社会的に差別されている現状は、改めるべきでしょう。その結果として、自然な形で婚外子が増加することもあるでしょう。

しかし、「少子化対策」は最後は女性もいらない「産む機械」を夢見るような不自然さを内に持っています。子供を作るのは個人の問題で国家の問題ではない。国家や政治は子育てを助けることは求められても、子作りの掛け声をかける必要はない。そう思っていれば、失言をしなくてもすんだと思うのですが。
スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://realwave.blog70.fc2.com/tb.php/92-380bf627
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。