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馬場正博: 元IT屋で元ビジネスコンサルタント。今は「A Thinker(?)]というより横丁のご隠居さん。大手外資系のコンピューター会社で大規模システムの信頼性設計、技術戦略の策定、未来技術予測などを行う。転じたITソリューションの会社ではコンサルティング業務を中心に活動。コンサルティングで関係した業種、業務は多種多様。規模は零細から超大企業まで。進化論、宇宙論、心理学、IT、経営、歴史、経済と何でも語ります。

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それでもクジラ食べますか?
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グリーンピースの反捕鯨アピール船

去る2月13日から15日まで、東京で捕鯨賛成国を中心に国際捕鯨委員会(IWC)のあり方について議論が行われました。 反捕鯨派が優勢なIWCでは建設的な議論ができないという日本の主催により開催されたこの会議は、IWCの正式な催しではありません。あまり大きな報道はされなかった会議ですが、会場の外では海外からグリーンピースのメンバーが集まり、日本の捕鯨賛成国獲得の買収活動だと非難を繰り広げました。

IWCの加盟国は2006年末で66カ国ですが、日本の熱心な捕鯨賛成国獲得活動にもかかわらず、捕鯨反対国が過半を占めています。現在の捕鯨は1982年のIWC会議で商業捕鯨が禁止(正しくは「モラトリアム」:中断)されて以来、年間数百頭の調査捕鯨を細々と続けている状況ですが、商業捕鯨を再開するにはIWCで4分の3以上の賛成が必要で、実現は絶望的です。

IWCは1946年にアメリカを中心とした15カ国が条約締結を行い、1948年にそのうち9カ国が批准して成立しました。日本が加盟したのは連合軍の占領が終了する1951年でその時点でIWCの加盟国は17でした。その後、IWCは捕鯨国を中心に構成され加盟国はむしろ減少し、一時は14カ国にまでなりました。

ところが1970年代になり、反捕鯨派が捕鯨反対の票を増やすため、非捕鯨国の積極的な加盟運動を行い1980年には40カ国を超えました。新たに加盟した国の多くは反捕鯨の立場を取り、1982年に商業捕鯨が禁止され現在にいたっています。

この経緯でもわかるように、IWCが当初捕鯨国が資源保護も含め、産業としての捕鯨を国際的な協力で維持発展させようというものだったのに対し、途中から「クジラ保護国際会議」のようなものに変質してしまいました。今のIWCには捕鯨どころか海さえない内陸国もあり、捕鯨に反対するためにだけ加盟している国が多くなっています。

クジラは本当に絶滅しそうなのでしょうか。クジラは多くの種類があり、ミンククジラなどはIWCの推定で50万頭から110万頭(中央値76万頭)おり、商業捕鯨停止以来増加してきていると考えられています。 もっとも、広い海洋を遊泳するクジラの実数を把握することは困難で、IWCの推定値が大きな幅を持っていることからわかるように、どの程度増えているか(あるいは減っているか)を判断するのは簡単ではありません。
20070308074859.jpg


なかにはシロナガスクジラのようにIWCが860-2,900頭(中央値1,700頭)と推定するように危険なレベルに達している種類もあります。シロナガスクジラはクジラの中でも最大の大きさを持つ象徴的な種類ですし、昔は20万頭程度生存していたと推定され、乱獲の影響をもっとも大きく受けており、頭数の回復も思わしくないようです。

グリーンピースなど反捕鯨団体はクジラ問題をシロナガスクジラ問題に置き換えて、絶滅の危機にあると言います。これに対し、捕鯨賛成派は主としてミンククジラを例にあげて「クジラは増えている」と主張します。数字を都合の良い部分だけつまみ食いするのは感心しませんが、捕鯨賛成派は少なくとも資源として安定的な種類を取りたいと主張しているわけで、シロナガスクジラの数を根拠にクジラ全種の捕獲全面禁止を求める反捕鯨派のようなことはしていません。

科学的には捕鯨派の方が分があるはずなのですが、捕鯨賛成派には不利な状況が続いています。これは反捕鯨派の作戦的な勝利と言うことができます。反捕鯨派の中心はグリーンピースなのですが、グリーンとピースつまり環境と平和を求めるグリーンピースの活動で反捕鯨は圧倒的に大きな位置を占めています。

反捕鯨はグリーンピースのような団体にとって標的とするには理想的と言えます。クジラは巨大で見た目にも美しい生物です。エコシステムという観点ではクジラのような食物連鎖の頂点に立つ生物より、蛙やミミズのような食物連鎖のハブ(多数の生物に捕食される)のほうが重要かもしれないのですが、何といっても印象的で環境保護のシンボルにうってつけです。

しかも、クジラの保護は捕鯨国が捕鯨を止めれば、ほぼ完全に達成されそうです。おまけに捕鯨国は日本、ノールウェーのような先進国で捕鯨禁止が国民を苦しめることはなさそうです(グリーンピースもイヌイットのような先住民族の捕鯨は認めている)。白熊は北極海の氷が温暖化で減少することで全滅の危機に立っているのですが、温暖化の原因は捕鯨のように単純な標的ではないので、キャンペーン向きではありません。

インドネシアのオランウータンは森林の乱伐で全滅しそうなのですが、森林を乱伐しているのは現地の貧しい住民です。同じようにアフリカの野生動物の減少は貧しさを解決しないと解決しないという面がありずっと複雑です。

これに比べれば反捕鯨はグリーンピースのように捕鯨船を付回して、スクリューをテープで巻いたり、小船で体当たりするという嫌がらせレベル(これらはシーシェパードのしわざです)の抵抗がかなり有効に機能します。こんなことをカスピ海のキャビアやアフリカ象の密漁者に対して実行したら、本当に殺されかねません。少なくとも英雄気分だけで、水着姿の美女と一緒にできるようなものではありません。

つまり、グリーンピースにとっては反捕鯨は自分たちの活動のPRとして最適なのです。科学的な根拠などもはやどうでもよいのです。グリーンピースの参加者でもミンク鯨が減ってはいないことは知っているかもしれませんが、クジラを殺すのはそもそも悪なのだと思っているので、捕鯨禁止の立場は揺らぎません。

クジラを殺すのは悪だというのは多くの国では基本的な認識だと言ってよいでしょう。クジラやイルカはチンパンジー並みの知能を持っている(必ずしも誤りではないようですが)と信じる人は多く、そのような人たちはクジラを食べるというのは、日本人がチンパンジーやゴリラを食べると言われたときに感じるのと同じような嫌悪感を感じるようです。

「クジラを食べるのは日本の文化」だというのは正当な主張ですが、相手により「犬を食べるのは文化だ」「チンパンジーを食べるのは文化だ」と言ってるのと同じだということは理解しておいたほうがよいでしょう。日本人がクジラがなければたんぱく質が不足するほど貧しいという主張は国際的には成立しませんから、クジラを食べることの理解を他の国で得るのは本当に難しいのです。

反捕鯨派は日本以外ではメディアも巻き込んでいますから、オーストラリア、ニュージーランドなどでクジラがモリを打ち込まれて血を流しながら苦しみ続ける映像を、家庭の食事時に長々と放映したりします。これは牛や豚のと殺現場を食事時に放映するのと同じではないかと思うのですが、このようなことをされたら日本人に対する嫌悪感は非常に強いものになる危険があります。

いっそIWCから脱退すればよいという考えもあるでしょう。しかしIWCから脱退してもグリーンピースの反対運動はなくなりません。脱退して捕鯨の規模を拡大するのは、グリーンピースの資金集めに協力するようなものでしょう。しかも海洋資源はマグロをはじめ保護しなければならないものが沢山あり、国際的な枠組みを無視するような態度を取るのは、他の問題で日本を不利な立場にさせかねません。

ここまで来ると、不当ではあっても捕鯨を放棄せざる得ないのかもしれません。反捕鯨派はクジラの捕獲技術や捕鯨産業を壊滅に追い込むのがねらいですが、これはかなり成功しつつあります。供給が減り値段が高くなったこともあり、クジラを食べさせる店も少なくなってきています。鯨クジラ連の産業が小さくなれば、日本にとって国際的評判を落としてまで捕鯨に執着する意義はますますなくなってきます。

捕鯨とIWCの問題は国際社会での民主主義という日本人の多くが善と考えるものが、時としてとんでもない状況を作り出すという一つの例でしょう。IWCの参加資格は「国」であるということだけです。IWCの状況は一株株主に株主総会を占拠されたようなものですが、株主総会と違ってIWCは1国1票なので、クジラ問題を十分に考えない国が数の点で大きな影響力を持ってしまいます。なかには、グリーンピースのメンバー(自国民ではない)が代表になっている国まであったのです。

アメリカはユネスコから脱退したり(現在は復帰)、国連を含め国際機関より自国が優位に立っていることをことあるごとに主張するのですが、国際社会の民主主義というものをどこまで信用するべきかは確かに問題なのです。カントは「永遠の平和のために」で、平和のための国際協力の前提としてそれぞれの国が民主主義国家であること(カントの表現では「共和的体制」)を求めています。捕鯨の問題は小さな問題かもしれませんが、IWC加盟各国は代表の選出方法まで考えれば、先進国も含め民主的なプロセスを持っているとは言えません。
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イマヌエル・カント

国際社会での民主主義を成立させるためには、国際社会の構成国が民主国家でなければいけないという主張は、アメリカの新保守主義者いわゆるネオコンの底流となっている考え方でもあります。北朝鮮やイランだけでなく、民主主義どころかアフリカ諸国の多くのように政府がきちんと機能していないような国と民主主義国が国連で1票づつ持っているのは不当である、さらにそのような国際社会に全てを委ねるわけにはいかないという考えは、ネオコンに限らずアメリカ人に根強くあります。

しかし、国際社会に背を向けるとイラク戦争に見られえるように、いったんトラブルが発生すると解決が非常に困難になってしまいます。国際社会がたとえIWCのようないい加減なものでも、無視するのは正しくないでしょう。日本人はとっていつまでクジラを食べ続けるか考えなくてはいけないようです。

(この後、考え方がもう一歩過激になりました。「もうクジラのことはあきらめましょう」参照)
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この記事に対するコメント

>年間数百頭の調査捕鯨を細々と続けている状況ですが

現在では1000頭を超えています。

>今のIWCには捕鯨どころか海さえない内陸国もあり、
>捕鯨に反対するためにだけ加盟している国が多くなっています。

それはお互い様です。マリ、モンゴル。

>商業捕鯨停止以来増加してきていると考えられています。

そのような科学的(合意された)証拠はありません。

>グリーンピースのように捕鯨船を付回して、スクリューをテープで巻いたり、

スクリュー云々はグリーンピースではなくシーシェパードです。

>いっそIWCから脱退すればよいという考えもあるでしょう。

脱退すればたとえ調査捕鯨であっても
少なくとも南極海捕鯨はできないってことを意味します。

>捕鯨産業

商業捕鯨が再開されたとしてどこの水産会社が南極海捕鯨を行うとお考えでしょうか?
ちなみに去年大手水産会社3社は某船舶会社の株式を5つの財団法人に無償譲渡して
捕鯨関係から去って行きました。
【2007/02/19 05:51】 URL | 赤いハンカチ #EBUSheBA [ 編集]


>そのような科学的(合意された)証拠はありません。

IWCはミンクの初期資源量は8万で1970には76万、そして現在30~40万としているんだがね

で現在、推定資源量は30~40万。 健全ですね。 捕鯨に反対する理由がみつかりません

あぁ最後にいっときますけど
76万から30~40万に半減したのはクジラの頭数予測は難しいからだ!
とか
調査捕鯨で減ったんだ!
とか
海洋環境の悪化のためだ! 
とか
統計は信じられない!!
とかエキセントリックなこと言うのはやめてくださいね

特定の南氷洋の区域に集まりそして息継ぎをするため海面に上がるクジラの統計学的サンプリングが難しいならほかの海洋生物はどうなるんでしょうね?

なんでミンクが減った一方で大型ヒゲクジラが増えているのか?

まぁほかにもいろいろありますがこのへんで
【2007/05/15 19:43】 URL | maxilliped #- [ 編集]


犬を食べる文化も、猿を食う文化もお隣の国々にありますがな。
【2008/05/27 11:24】 URL | 一重まぶた #- [ 編集]


こっちにも、恥知らずの赤いハンカチ=kujira77777=調査捕鯨利権がいますね。

yahoo掲示板で侮辱と著作権違反を繰り返し、3度もIDを削除された、恥知らずの多重IDの持ち主です。
悪名を馳せて誰も騙せなくなって2chを荒し、名前が知られて飽きられると今度は余所様のブログを荒らしています。荒らしたサイトはもう200を超えましたか?
またグリーンピースのサイトの内容を丸コピーしてますね?恥ずかしくありませんか?

そもそも何故自分でブログを持って主張しないのでしょうか。
yahoo掲示板の捕鯨スレであれだけこてんぱんに論破されて、まだ足りないのでしょうか?
【2010/05/11 00:59】 URL | 青いネックレス #3un.pJ2M [ 編集]

Re: タイトルなし
> こっちにも、恥知らずの赤いハンカチ=kujira77777=調査捕鯨利権がいますね。
>
> yahoo掲示板で侮辱と著作権違反を繰り返し、3度もIDを削除された、恥知らずの多重IDの持ち主です。
> 悪名を馳せて誰も騙せなくなって2chを荒し、名前が知られて飽きられると今度は余所様のブログを荒らしています。荒らしたサイトはもう200を超えましたか?
> またグリーンピースのサイトの内容を丸コピーしてますね?恥ずかしくありませんか?
>
> そもそも何故自分でブログを持って主張しないのでしょうか。
> yahoo掲示板の捕鯨スレであれだけこてんぱんに論破されて、まだ足りないのでしょうか?

(この種のコメントには通常返答しないのですが)私をkujira77777と推定されていますか? そうではありませんし、私は実名も公開しています。 何かお問い合わせがあれがば@yahoo.co.jpまで(ブログコメントでも結構ですが)
【2010/05/11 23:37】 URL | RealWave #- [ 編集]


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